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総括・完~考察が終わり、創作が始まる……のか?~

 さて、とりとめもなく綴ってきた本稿ですが、いよいよ終章にたどりつきました。


 正直、ここまでの文量になってしまうとは当初思っていませんでした。筆者としても予想外の難産でした。もっと気楽に書いて、さっさと終わらせるつもりだったのになあ(毎回言ってる気がするな、これ……)。


 両作ファンの皆様もそろそろ石が投げたくてウズウズしてきた頃かと推察しますが、もう少しだけお付き合いください。



 ではさっそく、これまで論じてきた両作に共通するポイントをまとめてみましょう。すると、次のようになります。


「頭脳戦メインの小説|(漫画)だよ。天才主人公2人が、互いに策を仕掛けたり読んだりと知略で対決しながらストーリーが進んでいくよ。だから当然、キャラクターの"格"は頭の良し悪しで決まるよ。第一主人公は悪寄り野心家で、どんどん攻勢をしかけるよ。一見完璧超人なイケメンに見えるけど、案外子供っぽい処もあるよ。そのライバルの第二主人公は容姿もそこまででなくちょっと(?)変わり者だけど、頭脳の冴えは作中一だよ。基本第一主人公の攻勢を受ける立場だけど、大体優位に戦いを進めていくよ。両主人公は頭脳に関して作中世界の双璧で、そのことを示すために「他のキャラが辿り着けない高度な認識に2人だけが(ほぼ同時に)到達する」という演出がよく用いられるよ。中盤で第三勢力が第一主人公に接近し、そっちを勝たせようと協力を申し出るよ。第一主人公は軽蔑しながらも、その第三勢力を利用するよ。第二主人公は外部にいながらその密約をほぼ正確に見抜くけどせっかくの予見を活かしきれず、一度は第一主人公が勝利を治めて世界を支配することを許してしまうよ。そして第二主人公が途中で死んでしまうけど、最後まで"格"は落ちないよ。その後第二主人公の後継者が立って、第一主人公との対決を継続するよ。後継者は能力は前任者には及ばないけど、様々な要因が重なって前任者の悲願を達成するよ。最後は第一主人公の死を以って物語の幕が閉じるよ」


 ……


 長っ!


 ご覧のように"まとめ"と言い張るのもおこがましい、煩雑な長文ができてしまいました。作者の要約力が壊滅的なことを差し引いても、両作の共通点がいかに多岐に渡りどれだけ近い物語構造を有しているか、この一事だけでもご実感いただけるのではないかと思います。これでも結構はしょったつもりなんですけどねえ……(苦笑)


 ここまでくると一時期旧ツイッター、現Xで流行った類似点を挙げていくミームがこの2作で作られなかったのが、不思議な気さえしてきます。


【作例】

「天才主人公2人が知略で対決するお話だよ」

「銀英伝だな……」

 ↓

「2人目の主人公が途中で死んじゃうよ」

「銀英伝だな……」

 ↓

「後継者が遺志を継ぐよ」

「銀英伝だな……」

 ↓

「1人目の主人公も最後死神に名前を書かれて死にます」

「DEATHNOTE!」


 みたいなやつですね……元ネタに触れたことがない人には、何言ってるかさっぱり伝わらないだろうなあこのくだりw


 やはり筆者がデスノ初読時から感じていた銀英味は故なきものではなかったのだな、と改めて確信に至った次第です。それどころか、もはや「デスノートは全く銀英伝を意識せず作られた」と考える方が無理筋ではないか、とさえ思えてきました。私だけかな?




 なお、こうして振り返ってみると、デスノの銀英伝を彷彿とさせる部分は殆ど第一部に集中していることがわかります。二部に関してはユリアンとニアの立ち位置、および第一主人公の死くらいしか共通項が見出せません。


 現代サスペンス劇に取り入れられる銀英的なエッセンスは第一部で既に使い果たしたのか、或いは作品が軌道にのってきたことで第二部からはオマージュ元を離れ、より独自色を強く打ち出したかったのか。


 一部で銀英伝で言う「ヤンの死」に該当する「Lの死」までたどり着いてしまったため、それ以降の(さほど分量の残っていない)銀英伝の構造を参考にしては第二部を保たせることができないと判断した、なんてことも考えられますね。この辺の事情は推察するしかありません。


 まあいずれにせよ、大方の評判は第二部より第一部の方が良(それ以上はいけない)




 何はともあれ、上記まとめを以て「『DEATHNOTE』とは『銀河英雄伝説』の影響を多大に受けて生み出された作品であり、後継作と言っても過言ではない」という筆者の主張に関して十分な状況証拠を示すことができた、と判断して良いように思えます。物的証拠などは最初から望むべくもない以上、この辺りが限界でしょう。


 我ながらこの証明にたどり着くまで、随分な時間と労力を費やしてしまったものですが……さて、たどり着いた処で「だから何?」と聞かれれば、正直返答に窮します(笑)。


 本エッセイをとおして「銀英とデスノって似てるよね」ということ以上に世に訴えたい事など、筆者には特にないのです。


 再三繰り返しているように「デスノは銀英のパクリ」などと糾弾する意図は毛頭ありませんし(寧ろ銀英的な面白さを後世に繋いでくれた大場つぐみ先生には感謝しかありません)、二作の共通点から何らかの世の真理を導き出そう、なんて野心もありません。そもそもできるの、そんなこと?


 私としては自分と同意見の方を中々見かけないものだから、「こんな考え方もあるよ」ということを文章にあらわしてみたかった。その上で確信を深め、「やはり私は間違っていなかった……が……ま……」と自己満足に浸りたかっただけなのです(負けてるじゃねーか)。


 なので本来であれば、これ以上筆を滑らせる必要もないわけですが……何だかこのままとりとめもないまま終わってしまうのも、消化不良な気がします。よって本稿にピリオドを打つべく、無理矢理"意義"らしきものを捻り出してみるとするならば。


『銀河英雄伝説』に『DEATHNOTE』、これらは今更言うまでもなくエンタメ史上の傑作です。こと知略の戦いを描いた作品としては、依然これらに比肩しうるタイトルは存在しないと言っても過言ではないでしょう(まーた各方面からツッコまれそうなことを……)。


 そしてその2作の共通項を抽出しまとめた本稿は、期せずして優れた「頭脳戦」を描くための要諦をあきらかにした!……ことになるかもしれません。


 保証はしませんよ? 信じるも信じないも自己責任でお願いします、はい。


「同格の主人公2人を対決させる」、これなんかどのような世界観の話でも基本設定として使えますね。現にここだけなら採用している作品、山ほどあるでしょう。あと「頭脳戦」描くなら、やっぱりピカレスクロマン風にした方が話が広げやすいのかな?(『コードギアス』然り)他勢力の動向やキャラの格付けテクニック等も、大いに参考にする余地はありそうです。


「主人公の片方が途中で死ぬ」、これやったら流石に露骨すぎるかな(笑)。でもデスノの時はあんまり銀英伝連想した人いなかったみたいだしなあ、今でも案外いけるかもしれません。しらんけど。




 これだけ『銀河英雄伝説』のエッセンスを忠実に継承している『DEATHNOTE』は、"第二のキラ"ならぬ"第二の銀英伝"と呼んでも過言ではない作品でしょう(ファンの中には不快に思われる方もいるかもしれませんが、ここでは便宜上そう呼ぶことをどうかお許しください)。


 そして2024年現在、その『DEATHNOTE』完結からすでに18年経過したわけですが、この2作の物語構造を受け継ぐ作品、いわば”第三の銀英伝”は私の知る限り未だ登場しておりません。かろうじて『かぐや様は告らせたい』が序盤かすったくらいです(ホントかよ)。


 筆者も一読者としてもう一度、両作を読んでいた時のような手に汗握る興奮を味わってみたいと願わずにはおれません。"第三の銀英伝"の登場を、誰よりも望んでいるのはおそらく筆者なのです。


 故に。


 本稿をお読みくださっている皆様の中にはご自身で実作なされてる方も多いかと拝察しますが、それらの方々には是非文中でこれまで上げてきた諸点を踏まえつつ、両作を継ぐ"第三の銀英伝"の創造に挑戦していただきたいと思うのです。


 テキストの信憑性はイマイチ心許ないでしょうが、そこは情熱でカバーしてください。


 え、「『頭脳戦』って最近あんま需要なくない?」ですって? まあまあ、そんなこと言わないで。


 明日の田中芳樹・大場つぐみは君だ!(……この胡散臭い呼びかけが、今の時代どれだけ吸引力を有するものやら)




 このエッセイが血湧き肉踊るような知略の戦いを描く新たな傑作の誕生に少しでも寄与できたとしたら、筆者としてもこれ以上の喜びはありません。


 そんな願いをこめながら、だらだらと書き連ねてしまった時期はずれの拙文を〆ることとしたく思います。


 最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。



(了)



……



(追記)

 ……あ、ダメだ! ”第三の銀英伝”は、いずれ俺が自分で書く予定だった! 今んとこ何もネタ思いついてないけど(笑)


 上の話、やっぱなしで。皆、俺より先に書かないでね! はい、おつかれー(さ、最悪な終わり方だ……)

参考文献(敬称略)


◯田中芳樹『銀河英雄伝説』1〜10(マッグガーデン)

◯大場つぐみ/小畑健『DEATHNOTE』1〜12(ジャンプコミックス)

◯田中芳樹監修『銀河英雄伝説辞典』(創元SF文庫)

◯大場つぐみ/小畑健『DEATHNOTE HOW TO READ 13』(ジャンプコミックス)

◯岸川靖編『ラインハルトとヤン』(アニメージュ文庫)




(追記の追記)

 書き終わって気づいたのですが、妹小説の権威(自称)である私が『DEATHNOTE』について綴っておきながら夜神粧裕に一言も触れてないのは結構な失態ではないでしょうか?


 まったく、焼きが回ったとはこのことです。こんな屈辱は生まれてはじめて……でもないけど。

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