第4話 揺れる気持ち
完全に失恋。……というか失望。
それでも、私は今朝も学校の最寄り駅のホームで普通電車から降り、5分後に来る準急列車を待っている。
昨日のあの人は、《《別の人》》だったような気がして。
午前8時。
準急列車は、今日もぴったりと同じ時間に駅のホームに入って来た。
私は降車客の中に同級生っぽい女の子と談笑する彼を見つけた。でも、きらきら輝いてみえていた魔法のマントが剝れたみたいに、彼は少し背が高いだけの男子高校生にしか見えなかった。
よく見ると、笑顔もあざといし、話しているのは女の子ばっかり。
何これ。
突然、自分の馬鹿さかげんに気づく。
まるで、灯りが消えれば、ごちゃごちゃとした、ただの電飾に戻ってしまうクリスマスイルミネーション。私はそんなものに、心魅かれてしまっていたのだ。
「はぁ……天塔、早くこないかなぁ」
苦い思いを聞いてくれそうな彼を待って、駅のホームに留まった。そうしていれば、「おはよっ」と元気な声が背中から響いてくるから。
「詩先輩は、《《そこんとこが》》鈍いんだよ」
何気なく、叱ってくれる君。それを待っている私。
それなのに、
「……」
準急列車から降りて来る最後の学生が、改札口から出て行っても、天塔翔はホームに姿を現さなかった。
ふと、昨日、校門を通り過ぎた時に、降り払った彼の手を思い出す。
ううん、風邪でもひいて、今日はお休みなのかもしれない。
だって、天塔はいつだって、あの5分遅れの準急列車に乗ってくるんだから。




