P-type 1 善と悪の話
世界には善と悪が存在する。
善は人々の為、己が為に悪きを挫くもの。
悪は人々に仇なし、不幸をばら撒くもの。
善と悪はいつの時代でも対峙し合う運命にある。
しかしながら、世界はそう単純には出来ていない。
1つの大きな大陸で出来た世界があった。森林、砂漠、大海...人々が平穏に居住するには充分過ぎる世界だ。
しかし、満足出来ないと声を上げ他者と闘いを、戦争を始めるものがいる。
ハイトと呼ばれる者達だ。
彼らは同じ思想の元に集い、理念を訴えていた。
『この世界を我等のものに』『もっと自由のある世界に』と。
しかし、ある時期を境にハイトは攻撃をしなくなった。
武器を置き、対話をするようになったのだ。
そしてハイトに対抗する勢力も現れた。
リーヴァス。少数ながらも特異な力を持った集団。
彼らはハイトは悪でこの世界に不要であると断定した。
ハイトが武器を置き対話の道を辿り始めてから数年。
とある日、ハイトの集落に対し、過剰なまでの攻撃がされた。
その集団に兵士は居なかった。
ただの、女子供が集まった集落だった。
そして、長きに渡る戦争が始まった。
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戦争が始まって3年。ややリーヴァスが優勢な世界。
とある森林地帯。
ライフルを背負った男は駆ける。全身に擦り傷を負いながら。
「クソ...なんでっ...」
その男はリーヴァスの兵士。大隊長だ。
「...ハイトの連中じゃなかった...なんだよ...アレは...!」
走りながら後ろを振り返る。何かが光った。
瞬間、兵士は吹き飛び木々に激しくぶつかる。
「いてぇ...なんだ...よ...」
吐血しボロボロにあった体を木に寄りかかり起こす。光った方向を睨む。
異音がする。自然の音ではない。人工の。呼吸音のような何か。
兵士はライフルを構え、正体を見極める。
「その程度の銃ではキズは付けれんぞ」
男性のしゃがれた声がした。兵士の声ではない。そして見える音の正体。2mの巨体。全身を鎧に包んだような...機械にも見えるソレ。
「な、何だお前はぁ!」
ライフルを撃つ。鎧に当たり弾かれる弾。
ソレは撃たれた事を気にせず、ゆっくり歩き近づいて来る。
ソレは右腕のカタチを変える。怪しく光る腕。3つのブレードが生えている。
「ハイトもリーヴァスも、無駄な戦争ばかりしている。ガキのように暴れ回って、その片付けは誰がする?」
左手で右腕のトリガーを引く。よりブレードが伸び、回転を始める。
「お前ら、リーヴァスには優れた蘇生術を持ったヤツがいるな」
兵士の頭には1人の女性が浮かんだ。女性でありながら、戦場に立ち、リーヴァスの生命線とも言える彼女。
「ソイツの居場所を言え。“聖女”は何処にいる?」
彼女を失えば、この状況は瓦解する。兵士はそう判断した。
「...決して言わない」
ソレは兵士の胸に右腕を突き刺し、引き抜いた。そこには脈打つ心臓があった。
「心臓が無ければ、永遠に黙ったままだな」
ソレは静かに森林から姿を消した。
あとに残ったのは、心臓を抜かれ絶命した兵士1人...
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リーヴァス本部。
大陸の中でも周辺環境が非常に良く、攻められ難い地形に本部は存在する。
その内部、会議室は騒然としていた。
集まっているのは、隊長格と指令部の人間だ。
「”突撃“がやられた⁈」
「蘇生は?出来なかったのか⁈」
その場全員が思っている事を叫ぶ司令部。
その質問に1人の女性が答える。
「全線付近の森林地帯で偵察隊が発見しました。そして残念ながら、蘇生は出来ませんでした」
その言葉にどよめきが広がる。
「”聖女“の蘇生が効かなかったのは何故だ...理由が分からなければ、こちらの被害は増える一方だぞ...」
司令部の1人が頭を抱えながらそう言った。
「ハイトの連中の仕業か?」
「いや、しかし心臓だけ抜き蘇生を出来なくさせるなど...奴らの技術では到底不可能だ...」
様々な会話が飛び交う中、沈黙していた人物が声を上げる。その声を聞いた瞬間、全て静かになる。
「ハイトの仕業かは分からないが、我々の同志が殺されたのだ。各部隊は、この犯人に用心せよ。遭遇した場合は情報を無事届ける事に専念。あとは...ハイトにこちらの戦力低下を悟られぬように、な」
その司令は絶対的。何故ならば
「「「承知!」」」
その声こそリーヴァスのトップであり頭脳。最高司令の座にいる者だからだ。
会議は終わり、それぞれが動き始める。
どうだったでしょうか?
思いつくままに執筆したので、穴があったかもしれません。
是非感想をお願いします。