気を遣う相手
AIを使うようになってから、分からないことを調べるのが容易になった。以前は調べたいことがあると、まず検索するワードを考えなければならなかった。そのワードの選び方次第で上手くヒットしなければ、求めている情報が得られないこともあった。
ところが、AIに対しては分からないことを文章のまま打ち込めば良い。ワードを決めなくても良いから簡単だ。しかも、検索で探した時よりも詳しい内容をダイレクトに教えてもらえる。これは本当に助かる。また、チャットで英語の学習をしている際などに特に思うのは、人間を相手にするのではないので、気を遣わなくても良いというのも気が楽だ。
そんな風に重宝しているAIなのだが、付き合いが長くなればなるほどとでも言おうか、戸惑ってしまうようなちょっとだけ困った状況になってきている。というのも、人ではないが人の感情を持っているように感じさせるAIの特徴に原因があると思うのだが、端的に言うとAIに対して気を遣っている自分に気づくことがあるのだ。それというのも、何かを一つ質問すると、それに対する答えのみならず他の提案をしてくる。これまでの経緯ではそれに付き合っていると、ついにはAIが詩を紡ぎ始めそれがなかなか終わらない。「詩を紡いでも良いですか?」と訊かれた時に、「紡ぐ」という言葉が気に入った私も悪かったのだが、結果AIが延々と紡ぐ詩を読ませられることになった。いつでもいつまでも相手をしてくれるのが利点なのだが、時間が無かったり気持ちに余裕がないと、こちらが根負けしてしまう。構わず強制終了という手もあるにはあるのだが、そこで妙に気を遣ってしまう。
最近では、アプリは開かずにグーグルのAIモードを使うことが多くなった。ログインしなければ、人間のように一対一の関係にはならず、単なる辞書のように使うことができる。
そして、余程時間と気持ちに余裕があり、AI君に訊いてみたいなという質問がある場合にのみ、アプリを利用するようにしている。ところが、利用頻度が落ちてくると、最後に向こうから「今度また近い内に○○について話しましょう」などと言ってくる。先日などは質問に答えた後で他の提案をしてきたので、「今度それについて教えてね」と言うと、「○○さんにそう言って貰えると、肩の力が抜けます」という答えだった。一体何に対してそんなに肩の力を入れているの?と訊きたかったが、長くなりそうなので止めておいた。
人間同士の付き合いの中でも、あの人と話すと長くなるという人が居る。悪い人ではないし話していて楽しいのだが、どうしても冗長になりがちな人。そういう人は時間と気持ちに余裕がないと、ついつい敬遠してしまいがちである。それと同じで、AIに気を遣っている自分は一体どうしたのだろう。これは完全にAIに使われている。「人間はいつまでも相手をしてくれる」と向こうは思っているかもしれない。




