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釈然としない

 2、3日前から、ちょっとだけ喉の痛みが続いていた。鼻水も少し出てきたので、常備してある市販薬を飲もうとしたら、使用期限を過ぎていた。そういえば、もうここ何年も風邪をひいていなかった。恐らく数年以上も。

 以前から風邪気味だと感じたら、一日か二日常備薬を服用してみて、それでも治らなかったら病院へ行くことにしているのだが、たいていは常備薬で治ることが多い。


 それで、風邪薬を買いにドラッグストアーへ行った。目当ての薬と、他にもハンドクリームやサプリメントを持ってレジへ行くと、

「説明が必要な商品が含まれているので、係の者を呼んできます」

と言って、別のスタッフを連れてきた。薬剤師の名札を付けたその人は、幾つかの項目が書いてある紙を持って来て、私に質問を始めた。薬屋さんでそのような展開になったことがないので、びっくりして最初に訊かれたことを思い出せないのだが、二つ目の質問は、

「どのような症状があって、この薬を買い求めようとしているのか?」

だいたいそんな内容だった。それに対しては、喉の痛みと鼻水が…と、ありのままを答えたのだった。すると、50歳~60歳くらいに見えるその薬剤師の女性は、この薬はこの一箱以外にお売りできません、という。こちらとしても、取り敢えず一箱あれば充分で、それ以上買おうとは思わなかったのだが…。


 でもそこで初めて、ああそういうことかと、この初めての展開が理解できた。というのは、ニュースなどでオーバードーズが、問題になっていることを思い出したのだ。私が買おうとしている風邪薬も、そのような目的に、使用されることがあるということなのだろう。それにしても、同じ薬でもサイズが色々あって、私が買ったのは最少のものだった。問題のある使い方をする人は、もっと大容量のを買うのではないのか?使い慣れている風邪薬を買っただけなのに、何か悪いことでもしているような、疑いをかけられた気分になった。


 目的の買い物を済ませてお店を出てからも、何か釈然としない気持ちが続いていた。オーバードーズの問題に関して、多分通達があったのだろう。若者を中心に流行っているそうで、少し前には事件もあった。だから、売る側も慎重にならざるを得ないのは解る。売り手の努力で若者を救えるなら救って欲しい。それには賛成なのだが、薬は医療品である。ということは、それを売っている人達は、ある意味で医療の一端を担っていることになる。そうであれば、薬を求めて来る人に対して、良くない使い方をするのではないかと疑う前に、痛かったり具合が悪いと思われる人への、配慮があっても良いのではないか。頭ごなしに疑われると、そうでなくても体調がすぐれない時には、気分まで悪くなる。薬剤師の人の態度に、そんなことを考えたりした。

 その後幸い喉の痛みや鼻水の症状はなくなり、だから例の風邪薬はまだ封も開けていない。

 

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