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古都の街のタトゥー
感染症が遠ざかり、しびれを切らした人々の逸る気持ちが、街に以前の景色を取り戻させている。そこに住む人ばかりでなく、寧ろそこに住む人は少ない。誰もが自分の街のように振る舞い、誰も他人の事など気にする様子はない。そこに住む少数の人達が、ここは自分の土地ですよと主張しても、それはあまり意味がなくなってしまった。
髪の色、目の色、肌の色など様々な人々が歩いて行く昼下がり。皆同じ方向を目指しているが、それぞれ目的は違う。目的は違うがそれに大差はない。台風が去った後の日差しは強い。季節に追われて人は上着を脱ぎ、薄いシャツを纏い、その袖口からのぞいている模様。