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「マリーは、何をするのが好き?」

「私ですか。私は、そうですね…料理、とかでしょうか?」


彼女は自信がなさそうに返答する。その答えが真実であるとは思えない。まだお互い心を開けていない。


今は、隣町へ向かう一日近い旅路の途中である。馬車がふと止まる。何かがおかしい。御者が私たちに聞こえるように話しかける。


「目の前に狼が…」


これだからこの国は!少し出歩くだけで簡単に死にかける。狼も牛とか家畜を襲えばいいものの、なぜ大した質量のない私たちを襲うのやら。人の肉の味を覚えてしまった、ということなのだろうか。


「一匹だけだが、信じられない大きさだべ」

「なにか音の出るものは…」

「まずい、こっちに飛びかかってくる!」

「馬車を走らせて逃げられません?」

「馬が怯えちまって…」


哀れな御者は、慣れない弓矢を使って攻撃したが、当たらない。すぐに接近した狼が御者に襲いかかる。たしかに大きさが尋常ではない。


血が飛び散る音がする。ハズレの道を引いてしまった?私は、ここで死ぬの?そんな、冗談じゃない!こんなことなら、もっと攻撃向けのスキルを…その時、後ろで積み荷の剣を引き抜く音がした。え、マリー?


「お嬢様は下がっていてください」


大人しそうな雰囲気はどこへやら、殺気をまとっている。慣れた手つきで剣を構え飛び出していく。これは、一体どういうこと?でも、これで勝ち目が生まれた。私も命がけで彼女を後押ししよう。


「マリー、私には、私には傷を治す力があるの!」


一瞬こちらを見て、マリーは頷いた。怪我を恐れず、捨て身であの化け物狼を倒せという意思が伝わったはずだ。


◆◆◆


マリーは血まみれで剣に寄りかかっていた。特に噛まれた左腕の損傷が痛々しい。足元には狼の死骸。勝敗は決したのだった。私は駆け寄り、大魔法『治癒魔法』を発動させる。完全に詠唱し、本来の力を引き出そうとする。外部・内部の不良を全てないものにする、絶対的な回復の魔法である。


マリーは自身を中心に展開された魔法陣にかなり驚いているように見える。私はそのままあまりに長い詠唱を続け、終わった時には彼女の傷は消え去っていた。同時に、私にどっと疲労が押し寄せる。


「マリー、最後の方の動きは明らかに精彩を欠いていましたね」

「お嬢様、大丈夫ですか…?その、あれは、突然の腹痛で」


腹痛?それなら、マリーも疫病に感染していた可能性がある。まあ、私が治してしまったのだろうけれど。


「そういえば、腹痛も収まっています…。あれがなければ、遅れをとることもなかったのに。いえ、それよりもお嬢様の魔法!一体これは…」

「町に着いたら教えてあげます。さあ、すぐに行きましょう」


痛みで意識を失っていた御者も治療し、私たちは町に辿り着くことができた。まったく、一歩間違えば死んでいた。恐ろしい世界だ。


さて、マリーと話したいこともあるが、まずはこの町の領主に合わなければ。マリーによると、私が生き別れた父というが…?


しかし、町の様子がおかしい。

酔いが回ってます三回目はない

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