第26話 白刃、竜を裂く
膨大な熱量を誇る竜の息吹が地を灼き、周囲一帯を地獄に変える。
各所から爆炎を上げる“シオン駐屯地”はかつてないほどの被害を受けていたが――。
「ギリギリセーフ……」
「■■■■■■■――!!!!!!」
俺が下から放った砲撃で顎をかち上げられた“グロリアスドラゴン”は、息吹の射線を大きく反らしていた。
その結果、本来狙っていたはずの施設を灼払うことは出来ず、膨大な熱量のほとんどが上方への空撃ちに留まった。
滑走路は悲惨なことになっていても、人的被害は出ていないはず。
まあ最悪の状況を防げたというだけで、目の前の広がる敵の数が減ったわけではないが――。
「とはいえ、この状況では……」
白い疾風と化して戦場を駆ける。
通常形態に戻した“白亜の拳銃”から蒼穹の弾丸を撃ち放ち、異次元獣を撃墜していく。
だが本来必殺だったはずの息吹が外れ、向こうも状況の変化を感じ取ったのだろう。
再び特異点が開き、更なる異次元獣が溢れ出す。
目の前に広がるのは、異形が飛び交う地獄の空。
「千客万来……。キリがないな」
「あ、ありがとう……って、ちょっと君!? 待ちなさい! というか、どうして学生がっ!?」
空を駆ける最中、男性団員と組み合っていた“レギオンマンティス”を撃ち落として、ピンチから脱出させた。
一方の団員は大口を開いてとんでもない表情を浮かべているが、今は立場をどうこう言っている場合じゃない。
実際、学生である俺が割り込まなければ、さっきの息吹で多くの死人が出ていたはずだしな。
よって、俺は制止を無視して高速機動。
一気に高度を上げ、“白亜の剣”で飛竜の翼を斬り落とす。
更にそのままの勢いで刀身から魔力を炸裂させ、返しの刃で斬り上げれば――。
――“エクシードフィアーズ”。
振り抜いた白刃から蒼穹の斬撃を飛翔させ、周囲の異次元獣をまとめて消し飛ばす。
「■■■、■■■■■――!!!!!!」
だが斬撃魔導を放った直後、“グロリアスドラゴン”が背後から迫っていた。さっきの砲撃で腹を立てているようだ。
しかし俺を狙ってくれるなら、むしろ好都合ではあるが――。
「デカい図体でよく動く。でも……」
天空へと舞い上がれば、突き立てられた牙が空を切る。
更に前腕、尻尾と攻撃が続き、格闘戦を仕掛けられていく。
「■、■■■■■■――!?」
無論、素直に当たってやるつもりはなく、次々と攻撃を回避。
更に尾による一撃を急降下で回り込みながら躱した後、竜の背目掛けて砲撃魔導を炸裂させる。
とはいえ、流石に硬い。
奴は背中から黒煙を上げながらも、怒りに任せて息吹を放ってくる。
瞬間、即時迎撃の灼熱が天空を焦がす。
だがそこに俺の姿はない。
「斬り裂け――」
先ほどまで背後にいた俺は、高速機動で逆サイドに回り込んでいたからだ。
そう、本来そこにいるはずの俺を迎撃すべく、首を後ろに向けて無防備となった巨大竜種の腹側へと。
――“エクシードフィアーズ”。
再び魔力の息吹を纏わせ、“白亜の剣”を一閃。
蒼穹の巨大斬撃を飛翔させる。
「■■――■■■■――!?!?」
直後、比較的防御の薄い腹部に巨大斬撃が命中。
“グロリアスドラゴン”は、鮮血を散らしながら苦しみ悶える。
正しく好機――。
「世界の平和なんて知ったことじゃないが、下の連中は殺らせない。向かって来るのというのなら……」
――“テスタメント・レイ”。
更に隙を付く形で蒼穹の砲撃魔導を撃ち込めば、戦場の空に爆轟の華が咲き誇る。
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