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第164話 天からの光

「■■■■■■■――!!!!!!」


 竜の咆哮と共に魔光が輝く。


「ちぃ!?」

「間に合わな……!?」


 天からの光が園内へと注がれる。

 周囲が爆炎に包まれ、各所から黒煙が立ち昇る。


 直後、破壊の嵐に晒された園内の一角が廃墟と化したことは言うまでもない。


「――進軍せよ! 我らの未来のために!」


 だがそれでも攻撃の手が緩まることはなく、上空より次々と侵攻者が飛来する。


「まさか特異点出現と同時に撃って来るとはな。今まで散々ブレスを邪魔してきた意趣返しってところか……」


 さて、当の俺たちではあるが、三人とも無傷。


 斬撃、氷壁、水流壁。

 各々が灼熱を防ぎ、どうにか事なきを得ていたわけだ。

 でもそれは雪那と萌神の力量だからこそであり、本当に護る必要がある連中にまで手を回すことが出来なかったのが現実。


「“アルテミス”と“飛雷”の反応は確認出来る。どうやら無事ではあるらしいが……」

「状況混乱……またこんなかよ!? てか、天月! テメェ、お(はら)いには行って来たのか!?」

「生憎と忙しくてな。学生だって色々大変なんだ。というか、そっちこそ学校は……」


 “白亜の剣(アーク・エクリプス)”。

 “白銀の槍斧(シルフィス)”。

 “水死の短剣(ヒュドル・ダガー)”。


 それぞれが武装を展開しながら、周囲の“レギオンマンティス”を蹴散(けち)らしていく。だが数が減るどころか、逆に増えていくばかりだった。


 園内は人混みかつ、連れとの間には距離もある。

 辺りの人々も恐慌状態。

 挙句、“異次元獣(ディメンズビースト)”から波状攻撃を仕掛けられてしまえば、思うように動けないのは当然の話。

 当然、連中が空中から現れている以上、飛び上がって風破たちを探すのも困難だろう。下手に突出すれば、集中砲火に晒されることになるのだから。


 だが四の五の言っている場合じゃない。

 このままでは多くの命が喪われることになる。


「“アイオーン”――」

「“ニュクス”――!」

「“デルカリオン”――ッ!!」


 “魔導兵装(アルミュール)”を完全起動。全開戦闘状態へと突入する。

 その瞬間、明らかに周囲からのマークが強まったのを感じたが、危険は承知の上だ。戦力数値の差は絶望的だが、今は抗う以外に道はない。


「なんでアタシが一般人を守らなきゃならねぇんだ!? しかも無賃で……よォ!」

「まるで自分が人々とは違うという口ぶりだな。とはいえ、この中に連れが混じっているのなら、致し方ない話だろう?」

「ちっ、めんどくせーなァ!!」


 氷結槍と水流の高圧刃。

 背中合わせの二人が属性魔導の弾幕を張り、次々と“異次元獣(ディメンズビースト)”を(ほふ)っていく。

 今日は閉鎖空間などの制約もないし、相手と状況的に手加減は論外。二人とも珍しく、開幕から全力で魔導を行使している。


「この数、厄介だな! 他の連中は……!?」


 一方の俺は、二人が作った隙を利用する形で上空に舞い上がっていた。

 陣形から突出した以上、地表・空中から凄まじい集中砲火に晒されているが、当然それも承知済み。

 破壊乱流の中を無理やり駆け抜けながら顔見知りを探している。


 園のシンボルであるジェットコースターは既に半壊状態。

 ファンシーな色味をした地面も、そこら中が砕けて辺りを飛び交っている。


 風破たちの現状は分からない。

 当然、一般人も守らなければならない関係上、変にアトラクションを壊されても一大事だ。

 その上で全方位から襲い掛かって来る敵を退ける必要があるのだから、中々にハードな闘いだが――。


「■■■■、■■――!!!!!!」

「斬り伏せる!」


 ――“エクシードフィアーズ”。

 蒼穹の斬撃で天を薙ぎ払って侵攻者を蒸発させるが、進路を切り拓いても新たな軍勢がすぐさま押し寄せて来る。


 だが敵の数に際限がないのかと思わされる一方、ここまでは想定通り。

 連中は単騎で突出して暴れ回る俺を脅威だと認識してくれたらしく、集中放火が園内から上空へと()れ始めていた。


「烈火!?」

「相変わらず無茶しやがる!」


 二人はフリューゲルの機動性で強引に飛び回っている俺を援護しようとしてくれているようだが、それでは無茶をしている意味がない。


 何と言っても、空を覆い尽くすほどの敵の数だ。

 仮に全てを退けられたのだとしても、戦いが終わった頃には辺りが焦土と化してしまっていることだろう。

 つまり今必要なのは、倒すよりも護ることを主眼に置いた戦い。

 雪那たちには防衛と捜索に回ってもらおうと、二人の動きを制しようとした瞬間――。


「――ッ!?」


 俺は条件反射で遥か上空に向けて斬撃を放っていた。

 しかし咄嗟(とっさ)に放った斬撃は、陽動と時間稼ぎにしかなり得ない。


「良い反応だ! 憎たらしいほどになァ!」


 なぜなら上空から(・・・・)の一撃(・・・)に対応すべく体勢を立て直した直後、俺の白刃は高速回転する螺旋槍を受け止めながら金切り音を上げていたのだから――。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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