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第163話 集う運命の歯車

 今はランチ後の小休止兼、ティータイムの真っ最中。

 一方、平穏な響きとは裏腹に、どこか張り詰めた空気が立ち込めていた。


 俺と雪那と萌神。

 それは友達の友達という微妙な距離感に加え、これまでの色んな事情や要因が絡み合った結果の産物だった。


「幼馴染、ねぇ……」

「学園外のお友達、か?」


 表立って敵意を向けるわけではないが、相手を受け入れているわけでもない。

 まあ互いの膨大な魔力量を感じ取ってしまえば、こうなるのも当然のことだろう。


 それに雪那は“神宮寺”だ。

 一般人にとっては憧れの超絶お嬢様でしかなくとも、裏の世界の人間からすれば超VIPの要人でもある。萌神としては面識がなくとも、何かしら心当たりがあるってところか。

 加えて、双方共にどうして俺が、自分と関りがあれば知り合うことのなさそうな相手と親しくしているのか――と、疑問に思っているのだろう。


 風破の時は勢いと腐れ縁で乗り切れたが、今回ばかりはそうもいきそうにない。当然、俺たちの関係について、それぞれから根掘り葉掘り聞かれたことは言うまでもないだろう。

 しかし美人に凄まれると迫力が凄い。色々と耐性のある俺じゃなければ、気絶物のサンドウィッチだった。


 ちなみに萌神だけがここにいる理由については、他の三人が園内ではしゃぎ回っているからとのことだ。

 つまり疲れて一休みしているわけであり、その中で俺たちと顔を合わせたということ。更に話を聞けば、他の三人は風破たちと一緒の組でコースターを待っているらしい。

 なんて偶然、奇妙な巡り合わせだな。


「……にしても、全身ブランド物の学生ったぁ、流石お嬢様だな」

「そちらも大差ないだろう? それに淑女の言葉遣いとは思えないな」

「テメェだって似たようなもんだろうが。何とかですわ、とか言ってみたらどうだ?」


 別に怒鳴り合っているわけでもないし、罵り合っているわけでもない。

 だがお互い微妙に棘があるというか、ジトっとした視線が時折こっちに向けられているというか。

 何も悪いことはしていないはずだが、何故か怒られている気分だ。


「にしても、ガッコの行事で遊園地に遠足ねぇ」

「遊んでるだけで単位がもらえるんだ。別にサボる理由もない。それよりそっちは……」


 こちらの現状は一言で説明が付く。

 対してあちらは――と思って声をかけたが、萌神は仏頂面を浮かべながら、顎でコースターの方向を指した。


 そういえば連中の内の一人は、この施設のメインキャラクターを大層気に入っているように見受けられた。他の二人も大概はしゃぎたがりに見えたし、平日遊園地の発起人と賛同者がどういう状況で現れたのかについては、それほど深く考える必要もなさそうだ。

 つまりは子供と保護者のようなもの。

 やっぱりオカンだ。オカンがいる。


「テメェ、今余計な事を考えただろ?」


 すると、左側から伸びて来た手で頬を抓られた。

 ポーカーフェイスには自信があったんだが。


「そうだな。私も興味がある。ぜひ詳しく聞かせてもらおう」


 更に今度は、逆サイドから凄まじい凍気を感じた。

 薄っすら横目を向ければ、ドス黒いオーラを纏った雪那が光のない瞳をこちらに向けて来ている。

 しかし理由がよく分からない以上、弁明の余地もない。

 ディオネの時と違って被害は少ないが、これでは対処法も分からないぞ。


 だがこうして繰り広げられる俺たちの日常は、突如現れた非日常(・・・)によって塗り潰されることになる。


「魔力反応!? これは……」


 空が割れ、海が輝く。

 出現したのは、次元の(あな)

 雪崩(なだ)れ込んでくるのは、異界からの侵攻者。


 そして――。


「総員、眼下の敵を滅却しつつ、探索作業を優先せよ! 我らの“鍵”を探すのだ!」


 “竜騎兵(ドラグーン)”――クロード・ガルツァ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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