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第158話 連携突破《Cross Fusion》

 鋼鉄と魔光を断つ感触と共に剣を振り下ろす。

 それは久方ぶりに感じる殺気で刃が研ぎ澄まされていく感覚だった。


「にゃろうっ! ちっとはヤバいって表情(かお)しやがれ!」


 一方、伊佐は閃光の中を突っ切って来ている。

 だが主兵装である長槍は大半を喪失。戦闘装束も各所が焼け焦げており、見るからに満身創痍。

 そんなボロボロな様子から察するに、斬撃魔導を攻撃ではなくクッションとして転用しつつ、武装を犠牲にしながら特攻して来たのだろう。


 軽快な言動と裏腹に、意地になって正面から押し合ってこなかったこと。

 更には、咄嗟(とっさ)に狙いを次撃にシフトして自らを切り捨てる冷静な判断。


 それは学生らしさを感じない実戦的な挙動であり、とても教科書で習うような物じゃない。

 泥臭いながらも、完璧なカウンターとなって迫り来るが――。


「生憎、愛想がないのは生まれつきらしい」


 俺は右の可変拳銃を引っ込め、二振り目の白刃を顕現。

 双刃に蒼穹を纏わせながら迎撃する。


「二刀流!? ならよぉっ!!」


 対する奴は、魔力を押し固めて二振り目の槍を手に取った。どうやら速度を落とす気は、一切ないようだ。


 しかし二刀と二槍で頭数自体は同じである一方、こちらが二振りの主兵装を展開したのに対し、奴の対抗策は悪あがきでしかない。

 中々の威圧感だが、所詮は――。


「付け焼刃だ」

「ぐ……っ!? そんなもん、分かってるっての!!」


 ――“エクシードフィアーズ”。


 一太刀目の蒼刃で二つの得物を纏めて吹き飛ばせば、術者である伊佐は体勢を崩して無防備を晒すことになる。

 そこに二太刀目の蒼刃を差し向ければ、必然的に撃墜になるわけだが――。


「……っ!?」


 俺の眼前に迫り来ているのは、連射された魔力弾。

 攻撃を加えて来たのは、根本京子。


「あの性格悪子ちゃんのことだし、どうせ俺に八つ当たりして来るのは分かってたからなァ! これなら……!」


 先ほど蹴り飛ばされたことで、根本は見事にご立腹。

 確かに授業中の態度からして、奴が助けられたことを理解せずにお返し(・・・)してくるだろうというのは想像に難くない。

 そしてコイツは敢えて自分の背中を狙わせ、ギリギリまで避けなかった。

 己の身体で死角を生み出し、俺に対して魔力弾を命中させるために――。


 これもまた、一つのチームワークか。


「って、にゃにぃっ!?」


 だが黙って攻撃を受けてやる義理はない。

 寸前まで収束していた斬撃魔導(エクシードフィアーズ)を空撃ちして壁にしつつ、フリューゲルを展開。

 高速機動を以て、残る全ての魔力弾を(かわ)してみせる。


「どういう反射神経だよ!? でもせっかく懐に飛び込んだんだ! 逃がすかよォ!!」

「悪いがこれで……」


 未知の武装(フリューゲル)を前にしても、即座に魔力槍を展開して突っ込んで来る伊佐の反応は驚嘆に値する。

 根本も自棄(やけ)になっている割には、狙い自体はかなり正確さを保っている。まあこちらに関しては、序盤から飛ばし過ぎてガス欠気味――年度末試験と同じ(てつ)を踏んでいる所為(せい)で色々と台無しだが、それでも固有(ワンオフ)機持ちに相応しい技量を遺憾(いかん)なく発揮している。


 だとしても――。


「終わりだよ!」


 彼方(かなた)より翡翠の流星が煌めく。


「ぐぅ、ぁああああっ!?!?」


 伊佐はミサイル群に襲われて爆炎の中へ。


「いったああっ!?!?」


 手の甲に魔力弾を受けた根本は、主兵装を取り落として悶絶。

 両者共に手痛い一撃を浴びせられている。


 当然ながら、俺が何かをしたわけじゃない。

 これはタッグマッチ。

 俺一人にヘイトを集めた結果、フリー状態と化していたもう一人の戦力を改めて投入したということ。

 さっき連中が疑似的に連携した時のように――。


「ちょっ!? 死体蹴りッ!?」

「や、めっ!? あぐゥっ!?」


 ――“ネメシスフルバースト”。


 更に煌翼から出力を抑えた剣群を放ち、連中の戦闘能力を奪い去る形で撃墜。

 “魔導兵装(アルミュール)”を強制解除された二人は、各々が地表のクレーターに横たわること結果となった。

 これで決着。


 見世物としては上々――だと信じたいところだが。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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