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第156話 タッグマッチ

 急遽行われることになった模擬戦。

 アリーナ上空に佇むのは、四つ(・・)の影。


「烈火、その……よろしくね」

「ああ、ほどほどにな」

「うへぇ……あっちの美人さんの方が良かったなァ」

「ハァ!? 銀河一の美女が隣にいるでしょうが!?」


 俺と風破、根本と伊佐涼斗(いさすずと)とかいう男子生徒。

 この模擬戦は、前者と後者で二人チームに分かれてのタッグマッチ形式で行うのだそうだ。

 まあ朔乃が評価されている通り、実戦において一対一(タイマン)戦闘に特化した能力が役に立つ機会は意外と少ない。だからこそ、味方の行動を把握した上で複数の敵と相対する形式は、より実戦的だと称していいのかもしれない。


 加えて、全員が固有(ワンオフ)機持ちということもあり、他の連中に対してへの示威行為という意味も秘めているのだろう。

 言うなれば、体のいい見せしめというか、エキシビジョンマッチというか。

 それも雪那を出さなかった辺り、それなりに戦いを繰り広げた上で勝て――という、美人教師からの愛の鞭だ。


 まあそんなことはどうでもいい。

 この間の試験では出来なかった他校エースのお手並み拝見だな。


「ぶちかますわよッ!」

「行くぜぇッ!!」


 開始早々、長槍を構えた伊佐が突っ込んで来る傍ら、橙の魔力弾が吹き荒ぶ。

 識別装置(IFF)に表示された通りなら、根本の機体が“アプロディーテ”。

 伊佐の機体が“飛電”。

 機体特性は、各々の主兵装を見たままというところだろう。


「やかましい連中だ」

「迎撃するよ!」


 対するこちらも、主とする戦闘スタイルは似たようなもの。

 確かに他の生徒に見せつける対戦カード(マッチアップ)としては、悪くないのかもしれない。


「ちっ!? またアンタが!!」

「烈火の邪魔はさせないよ!」


 傍らで翡翠の魔力弾が舞う。

 前回同様、橙の魔力弾が撃ち落とされていく。


「かぁー! 青春してるねぇ、怪物君!」

「どういう呼び方……?」

「この間、初戦であれだけかましたんだから、印象に残って当然ってことだよ!」


 白刃と長槍を交錯させる。

 しかし奴はあくまで長槍の距離(レンジ)で戦っており、絶対に剣の間合いには入ってこないでいる。


 この伊佐という男。

 軽口を叩く割には、随分と堅実な立ち回りだな。同学年の固有(ワンオフ)機持ちではあるが、明らかにキレながら魔力弾をばら撒いている根元とは一線を画している。

 もし例の試験でイレギュラー的な活躍をした朔乃がいなければ、順当に土守に勝っていたのではないかと思わされるほどに――。


 ちなみにその土守ではあるが、進級以降一度も顔を見せていない。

 このままだと単位不足で留年になるかもだが、一体どうすることやら。まあ俺には関係もないし、果てしなくどうでもいいことであるが。


「思ったよりねちっこい奴だ」

「はっ! あれだけ可愛い子ちゃんに囲まれてるのを見せつけられたんだからなァ! それに性格悪子ちゃんほどじゃねぇが、俺も新天地で一発かましてやりたいし!」


 穂先が魔力を帯び、本格的に仕留めに来る。

 どうせ出来ない連携を捨てて速攻を仕掛ける選択は、確かに一つの正解ではある。根本が相方である以上、俺が奴と同じ立場でも恐らく同じことをしたはずだ。


 でもこれはタッグマッチ。

 一対一を二ヵ所で繰り広げていては、この模擬戦の意味がない。


「……」


 現に俺の無言で動きを追って来る鳳城先生は、行け――と視線で訴えかけてきている。

 駐屯地訪問に対抗戦。Fクラスだった俺に偏見無しで目をかけてくれた人だし、たまには指示通りに優等生をやるのも致し方ない。


「な……っ!? うぉぉおおおっ!?」


 直後、差し出された槍の柄を素手で掴み取り、そのまま風破たちが銃撃戦を繰り広げるド真ん中に向けて伊佐をぶん投げた。

 これで二対二のタッグマッチが成立。

 さて、怒られない程度に生徒の模範とやらになるとしよう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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