表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/167

第143話 本拠地突入

 “KEINERAGE(カイナエイジ)”本社。


 一見すれば、普通の工場。

 特筆すべき点は何もない。


 だが工場周辺の防衛システムは、過剰なほど整い過ぎている。周りにある昔ながらの工場と比べても明らかに異質だし、社長が几帳面とかそういう次元の話じゃない。

 木を隠すなら森の中。一周回って、どうぞ疑って下さいと言っているようなものだ。


 さて、何故俺たちがここまで工場内部について把握しているのかと言えば――。


「お疲れ様です」

「ありがとう。随分と若い新人さんだね。これからよろしく頼むよ」

「ええ」


 目深に被った帽子に青い作業着。

 清掃会社の社員に(ふん)して、堂々と社内に侵入しているからだ。

 正面突破では肝心な奴に逃げられる可能性もあるし、従業員の中にも無関係な人間がいないとは限らない。よって、周回潜入から二日経過した今日、またも潜入活動を繰り広げているわけだ。


 ちなみに結局ついて来た萌神も長髪をまとめ上げているところ以外は、俺と何ら変わらない。

 まあ偽の社員証を手に入れるのに(つて)を使ってくれたようだし、魔導の実力も申し分ない。少々短気な一面さえ抑え込んでくれれば、相棒としては最高の人材だし、特に問題はないだろう。


 まあそんなこんなで工場を回りながら社長の所在を探っているわけだが、内部には思った以上に特筆すべき点が見当たらない――というのが正直な感想だった。


 良く言えば素朴、悪く言えばごく普通。

 本当にどこにでもある工場でしかない。ただ従業員全ての魔力を足しても、先日の男子生徒一人にすら及ばないということを除けば――。


「まあ表があるなら裏もあるわな」

「ああ、人を隠すなら人の中だな」


 一方、当の俺たちは、工場に接続した機器を用いてのクラッキングを完了させていた。

 これで工場地下(・・・・)を含め、全てのシステムを掌握(しょうあく)したわけであり、俺たちの存在を隠蔽(いんぺい)することも可能となった。

 とりあえず第一段階はクリアだ。


「にしても、器用なもんだな」

「大したことじゃない。所詮(しょせん)は素人仕事だ」


 ちなみに俺が制御卓(コンソール)を引っ張り出して操作しているのは、よく清掃会社の社員が引いている台車を改造したものだ。端から見れば車輪がついた正方形のゴミ箱台車にしか見えない一方、その実情は色々と機能を加えた精密機器と化している。

 実際、工場機器の一つに有線接続させた結果、こうしてシステムへの介入操作が出来るようになったわけだしな。

 しかし肩口から覗き込んで来るのはともかく、萌神との距離が少しばかり近い気が――。


「ともかく、いよいよ本番だ」

「おう」


 それはさておき、作業を終えたと見せかけて外に出た俺たちは、工場外の小部屋へと侵入。床の隠し扉を開いて地下施設へと踏み込んでいく。


「よくもまあ、こんな空間(モン)を……」

「秘密結社が地下室を隠れ(みの)にするのは、王道ってことじゃないのか? だが普通の工場にあるはずがない機構なのは確かだ」

「ああ、信者からの献金(けんきん)(まかな)える規模じゃねぇ。そもそも魔力が無くたって、ちゃんと成功してる奴もいる。そういう奴は、神になんざ(すが)る必要がねぇからな」


 問題が解決する度に新たな違和感が浮上する。

 それでも真相へ到達しつつあることは事実だ。


 富裕層を抱え込んだ意識高い系集団なのか。

 それとも別の何らか(・・・)が関わっているのか。

 風破を求める意味は何なのか。


 監視の目が止まった構内で研究員らしき連中を気絶させながら進む先、いよいよそれらしい扉の前に辿り着いた。

 こちらは絶賛不法侵入中なのだから、ノックは必要ないだろう。


 最奥の社長室。

 ボス部屋とでも称するべき空間に踏み込むべく、セキュリティーを強制解除して扉を開いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白そう!」

「続きが気になる!」


と少しでも思っていただけましたら、

広告の下にある【☆☆☆☆☆】を→【★★★★★】にしてポイントを入れてくださると嬉しいです!


その応援がモチベーションとなりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

では次話以降も読んでくださると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ