プロローグ…その2
続いちゃった
すると煙の中からかなりのスピードで二人の白ロープが箒で飛び出してきた。
「ぐっ!」「うわ!?」
回避するが―
遅い!もうすでに刃は振り下ろされた!
僕は一人の白いロープの肩に刃が入る前に刀を返す。
みねうちにするのだ。
「がぁっ!」
間髪入れずにもう一人、相手のみぞおちあたりを狙って蹴り飛ばす。
「むぐっ!」
蹴りは魔法でガードされてしまった。が、衝撃は受けとめ切れず、箒から転がり落ちた。
ともかく、二人とも箒から引きずり落とすことはできた。
問題はここからだ。
「ぐッ…なかなか…だが、帝国の剣術に王国の剣術が負けるわけにはいかん。」
「………。」
シュラリとロープの中からタガ―が抜かれ自分に向けられる。
どうやら僕は帝国の用心棒か何かと間違えられたようだ。
自分もサーベルの切っ先を相手に向ける。
先ほどみねうちにした白ロープはピクリとも動かない。
「降参しろ、キミ達に殺す価値などない。」
できる限りドスのきいた言葉で言う。
しかし、こんな子供みたいな体の僕が言っても威圧感などはやはりなく、
「ふん、貴様のようなガキに逃走など。」
笑い交じりで彼の右腕に魔力が込められる。
正直言ってマズイ。やばいやばい。
あちらはタガ―だけではなく強力な魔法を使える。
対してこちらはサーベル一本のみ。魔導士でもない僕の魔法が奴らに通用するとも思えない。ましてや僕にとって初めての実戦だ。殺し合いだ。
今まで剣術に積み上げてきた努力を信じるしかない。
「行くぞ!」
彼の腕から火球が一発放たれる。
初期の魔法だが当たれば普通に致命傷になりうる。
僕はサーベルで振り払ってかわす。
「くらえッ!」
「!」
その火球の影からの短剣の突き。切っ先がのど元に迫る。
サーベルの切り返しは間に合わない。
ならば。
「ならば!」
僕は短剣を手ごと蹴り上げた。
「っ!」
強烈な蹴りに彼は呻いて手をかばう。つまり――――
「スキありー!」
僕は踏み込み、サーベルで腹に横一線の打撃を繰り出す。
『ガキィン!』
あれま?
全力で放ったみねうちは金属音とともにはじかれた。
…鎖かたびらを着ていたのだ。
「ぐはっ…なんてやつだ」
だが鎧の上からとはいえ、全力の打撃はこたえたようだ。
僕はフードののど元に切っ先を向け、改めて逃走を勧める。
「逃げろ、見逃してやる。」
「…我が名はデイビュー。」
彼はフードを外して、言った。
短い茶髪の髪と、若く彫りの深い顔、真っ青の鋭い瞳。
いい男だが、僕は男だ。
「そうか、デイビュー。もう―――」
「冥土の土産に我が名を、勇士。勝利の元、安らかに。」
「え、何の話だ?」
「恨むなよ、小僧。」
突然、彼の右目が光ったと思うと、僕の目の前は真っ白になった後、真っ暗に――
――気絶したのだ。
続きます