表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しろいカゲムシャ  作者: テアク
2/4

プロローグ…その2

続いちゃった

 すると煙の中からかなりのスピードで二人の白ロープが箒で飛び出してきた。


「ぐっ!」「うわ!?」


 回避するが―

 遅い!もうすでに刃は振り下ろされた!

 僕は一人の白いロープの肩に刃が入る前に刀を返す。

 みねうちにするのだ。


「がぁっ!」


 間髪入れずにもう一人、相手のみぞおちあたりを狙って蹴り飛ばす。


「むぐっ!」


 蹴りは魔法でガードされてしまった。が、衝撃は受けとめ切れず、箒から転がり落ちた。

 ともかく、二人とも箒から引きずり落とすことはできた。

 問題はここからだ。


「ぐッ…なかなか…だが、帝国の剣術に王国の剣術が負けるわけにはいかん。」

「………。」


 シュラリとロープの中からタガ―が抜かれ自分に向けられる。

 どうやら僕は帝国の用心棒か何かと間違えられたようだ。

 自分もサーベルの切っ先を相手に向ける。

 先ほどみねうちにした白ロープはピクリとも動かない。


「降参しろ、キミ達に殺す価値などない。」


 できる限りドスのきいた言葉で言う。

 しかし、こんな子供みたいな体の僕が言っても威圧感などはやはりなく、


「ふん、貴様のようなガキに逃走など。」


 笑い交じりで彼の右腕に魔力が込められる。


 正直言ってマズイ。やばいやばい。

 あちらはタガ―だけではなく強力な魔法を使える。

 対してこちらはサーベル一本のみ。魔導士でもない僕の魔法が奴らに通用するとも思えない。ましてや僕にとって初めての実戦だ。殺し合いだ。

 今まで剣術に積み上げてきた努力を信じるしかない。


「行くぞ!」


 彼の腕から火球が一発放たれる。

 初期の魔法だが当たれば普通に致命傷になりうる。

 僕はサーベルで振り払ってかわす。


「くらえッ!」

「!」


 その火球の影からの短剣の突き。切っ先がのど元に迫る。

 サーベルの切り返しは間に合わない。

 ならば。


「ならば!」


 僕は短剣を手ごと蹴り上げた。


「っ!」


 強烈な蹴りに彼は呻いて手をかばう。つまり――――


「スキありー!」


 僕は踏み込み、サーベルで腹に横一線の打撃を繰り出す。


『ガキィン!』


 あれま?

 全力で放ったみねうちは金属音とともにはじかれた。

 …鎖かたびらを着ていたのだ。


「ぐはっ…なんてやつだ」


 だが鎧の上からとはいえ、全力の打撃はこたえたようだ。

 僕はフードののど元に切っ先を向け、改めて逃走を勧める。


「逃げろ、見逃してやる。」

「…我が名はデイビュー。」


 彼はフードを外して、言った。

 短い茶髪の髪と、若く彫りの深い顔、真っ青の鋭い瞳。

 いい男だが、僕は男だ。


「そうか、デイビュー。もう―――」

「冥土の土産に我が名を、勇士。勝利の元、安らかに。」

「え、何の話だ?」

「恨むなよ、小僧。」


 突然、彼の右目が光ったと思うと、僕の目の前は真っ白になった後、真っ暗に――

――気絶したのだ。



続きます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ