プロローグ(1)
読みにくかったらごめんなさい。
見渡す限りのひび割れた大地、ところどころにある白骨化した魔物。
僕はそんな荒野の土を固めただけの道を歩く。
ずさずさとブーツの足を引きずりながら歩く。
なれないワイシャツとズボンに身を包み、新品のブーツに足をいじめて、
重たいリュックとサーベルを下げて…
「はぁ…。」
ため息をついてしまう。
荒野を独り、夕日を背に、男一人旅…
聞こえはいいけれど、実際は好きで歩いてるわけじゃない…
ちくしょうめ。
僕はツキモト。もといたフォマサンという国で上様…つまり王様の影武者を務めていた。
しかしつい最近、その上様が病気でお亡くなりになった。
用済みになった僕は、次の王様を決める争いの中、ひょんなことで国外に追放されてしまった。
そして今に至る。
改めて、ちくしょうめ。
ああなんて自分はこんな姿に育ってしまったのだろう。
ひょろりとした躰におなごのように低い背…
もっとしっかりした体格であれば、虫も殺せない上様の影武者なんかにならなかったのに。
そんなことをぼやいていると、道は分かれ道にたどり着いた。
さびさびの古い看板だが、塗料のあとから辛うじて「←ガヴァス」と読める。
僕はさっそく左の道を進む。
「ふぅー…」
あともうすこしだ。
看板はもうすぐ帝国との国境にさしかかる兆し。
もう夕暮れだがこれなら明日になる前に入国できるだろう。
…帝国とは、ここから北にある国で、技術と科学力を持って栄えてきたと上様は言っていた。
対して王国は魔法…魔法学によって栄えてきたらしい。あとは知らん。
この二つの国はつい最近まで戦争をしていたが…
王国宗教などの理由ではよそ者の入国を認めないと聞いた。
帝国ならばまだ僕を入国させてくれる確率はある。
「…?」
ふと前を見ると、
遠くから何か灰色の車のようなものが、土煙を上げて走ってくるのが見えた。
僕はかなりのスピードでこちらに近づいてくるそれに、目を凝らした。
ピカピカと何かが点滅しているのである。
「うおっ!」
突然チュインと乾いた地面がはじけてこぶし大のくぼみができた。
銃弾だ。
流れ弾がこちらに飛んできたのだ。
僕はあわてて道を外れ、ひび割れた地面に滑り込んだ。
「………げほっうげぇ。」
土煙でむせた。
よく考えると数週間ぶりに声を発したわけだ。
ってそんなのんきなこと考えている暇はない!
今は状況をよく知るべきだ…
チュイン、パーン、キューン
「…ひぃいい」
前言撤回、もっと姿勢を低くして祈るべきだ。
伏せていると、どんどん流れ弾の数が増えていく。
ああ、神様!ナンマイダブ!
そして数秒後、何かが光ると同時に、轟音が僕の耳を痛める。爆弾や薬品による爆発音とは違う。これは――――
魔法だーーーー!
「王国カルトめ!」
うわっ誰だ。
顔をそっと上げる。
見えたのは、黒煙から飛び出した深い緑色の自動車だった。
「ヒィヤー!!当たるかよォ!」
運転手は叫びながらわきを走り抜けていく。
ブロロンと自分のすぐ横を通り過ぎた後に、いくつかの光が煙から飛び出した。
それは人がまたがった箒だった。
真っ白のロープに身を包んだ魔導士が馬車に並走していたのだ。
魔導士と、帝国の車両…
帝国VS王国…?
逃げなければ。
僕は本能的に駆け出す体制を取る、しかし
ヴォン!
突然、煙の中から一発の魔法弾が僕の逃走を阻止した。
僕を風圧で一メートル転がし、数十メートル前を走る自動車の車輪をふきとばした。
体中に衝撃と痛みが走る。恐怖で体が震える。
あばばばばばば。
まずい、このままでは訳の分からないまま死んでしまう。
僕はサーベルを引き抜き、道を阻むように剣を突き出す。
片刃がぬらりと夕日に輝く。
遠目で見た感じ、煙から飛び出していった者を除くと残り二人程度に見えた。
だから一気にやってしまおう。
その方が生存率も上がるし――あの自動車の主に何かお礼がもらえる可能性もある。
「うへっえへへへへ!」
もうどうにでもなれ!
心で叫んで、体は笑って、僕は煙に向かって剣を振りおろした。
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