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籠の中  作者: Kate
4/5

昼休みが終わり、昼食を終え、春から夏にかけての今の気温と先生の授業。昼寝に最適な空間が教室には用意されていた。いつもと同じように眠気と闘いながら板書をする。何回も見た光景。これから何度も見るありきたりな光景だった。

睡魔に負け、机に伏せている人が出てきた頃に僕達の日常は大きく崩れた。

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

一瞬何が起きたか分からなかった。

寝ていたクラスメイトは一斉に飛び起き、先生も振り向いた。全員の視線は一点に注がれていた。

そこには五人の死体がいた。一緒に国語の授業を受けていたクラスメイトがそこに倒れているのだ。血まみれで。

あの音は銃声だったのだ。

顔から足まですべて血だらけのクラスメイトはもはや見れるものではない。脳は弾け飛び、眼球はどろりと落ちる。首からはとめどなく鮮血が流れ出る。内蔵は穴だらけの腹から無残に飛び出し、絡まり合いながら虎井に踏まれている。

―虎井?

五人の死体を見下ろす虎井がすぐ横にいた。いつも兎丸をいじめているよりも冷たい目をしている。それでいて殺人を犯したということへの気分の高揚が表情に表れているなんとも言えない表情であった。

虎井の手にはゲームなどでよく見る連発式のマシンガンがあった。光沢のある鉄製のマシンガンは、僕も手に持ってみたくなるほど魅了的で、五人を射殺したとは思えないほどかっこよかった。

だが、そんなことを考えているうちに虎井はまた撃った。

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

人がみるみるうちに死んでいく。

虎井の周りの人間はもう誰も息をしていない。虎井が全員殺した。冷たい顔で。怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。

「きゃああああああああ!」

「うぁああああああああああああ!」

クラス中がパニックになる。虎井の銃口から逃げようと全員が走り回り、教卓や掃除用具入れ、ロッカーなどにぶつかりながら逃げている。

あるものは叫び、あるものは泣きわめき、教卓やロッカー、掃除用具入れは無惨に倒れている。教室の中は地獄絵図と化していた。

鷹島先生が説得をする。

「虎井。落ち着くんだ。なにかあったのか?学校に不満でもあるのか?」

「パンッ」

鷹島先生が死ぬ。

学級委員長が説得をする。

「虎井くん?どうしたの?怖いよ?いつもの虎井くんに戻って?」

「パンッ」

学級委員長が死ぬ。

なんなんだ!虎井はなぜこんなことをしているのだ!全くわからない。さっきまで一緒に兎丸をいじめて楽しんでたじゃないか!

虎井の体にはクラスメイトの返り血が飛び散っていた。かなりの量で、白いポロシャツが地獄のように赤く染まっていた。

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

鳥井が死ぬ。乾が死ぬ。音駒が死ぬ。牛島が死ぬ。蛇尾が死ぬ。有馬が死ぬ。全員死ぬ。どんどん。死んでいく。ははは。

残ったのは僕と熊田だけだ。床には三十八人の死体がある。誰の腕かもわからないゴミのような肉塊や、いくつ転がってるかも分からない程の眼球。血液で床は真紅に染められ、滑って転びそうになる。

熊田が口を開いた。

「虎井。どうしたんだ?」

「お前が言うなよ熊田。俺はお前にむかついているんだ。俺はお前を殺したいんだよ!」

虎井が熊田を殺したい?なぜ?

いつも金魚のフンの如く熊井について行き、機嫌をとるためなら何でもするような忠実な下僕の虎井が謀反を起こすなんて。想像もできなかった。

「お前だと?下僕のくせに偉そうな口聞いてんじゃねーぞ!言いたいことがあるんならちゃんと直接言えよ!何が文句あるんだよ!言ってみろよ!」

「そういうとこだよ。熊田。なぜわからないんだ。俺は心底お前にはうんざりなんだよ。お前に下の者の気持ちは分からないだろうさ!俺は人の下にいるべき人間じゃないんだ!お前の下にいるなんてうんざりなんだよ!お前なんて死ぬべきなんだ!」

「タタタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!」

銃声が響いた。数え切れない数の弾が熊田の顔面に全て命中する。

熊田の顔面がなくなった。さっきまで話してた熊田が。僕の絶対的存在であった熊田が。いとも簡単に死んだのだ。虎井に殺された。笑えてくる。

はっはっは。僕が信じてたものとはこんなにも早く消えるのか。虎井に教えられるとはな。虎井が実は一番狂ってたんだな。

「タンッ」

目の前にまた新しい死体が生まれた。

はははははははははははははははははははははは。

熊田が死んだ。鷹島も死んだ。委員も死ぬ。クラスメイト全員死んだ!虎井も死んだ!

ははははははははははははははは!

僕はこれからやらなければいけない事がある。カーストで一位になるためにはしなければいけないだろうと前から考えていたことだ。神威くんにしたように。

さて、まずは熊田からだ。


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