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籠の中  作者: Kate
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真っ暗だ。

頭も痛い。

ここはどこなのか思い出せない。

耳も聞こえない。

口には何かが詰められている。

動けない。紐で縛られている。

狭い。

さっぱり何もわからない。

よし。自分の身に何が起きたのか思い出してみよう。

一時間前、クラスメイトの熊田と虎井と獅子尾にいつもどうり体育館の裏でいじめられていた。

体育館裏とはご存知、校内で一番静かな場所であり、誰も通らなく、校舎とは百メートルくらい離れているので声も届かない。

すなわちベストいじめスポットでいじめられていた僕はいつもどうり声を出さないで静かに痛みに耐えていた。意外と声を出さない方が痛みに耐えられることもある。理屈は全くないけど。これは完全なる僕の持論であり、いじめられっ子のパイオニアとしての勝手な意見だから科学者には否定されるだろう。

いじめの内容は至って普通。頭や腹、その他もろもろ殴られ、蹴られ、蹴られ、蹴られ。

何回蹴られたかなんて数えてない。回数を数える行為なんて意味が無い。後で同じ数だけやり返す予定がある場合や、何回蹴られたかを毎日日記につけてニヤニヤする場合ならわからないけど。

そこからの記憶がない。これは思い出せないというよりもたぶん、感じてない。気を失ったのだろう。

みんな今頃教室に座って授業を受けている。

僕が教室にいない事なんてざらにあるから多分誰も気にしてない。日常茶飯事なのだ。いじめも監禁も。

前は蹴られすぎてフラフラになっていた体を持ち上げられゴミ捨て場に置かれたこともある。不法投棄だし、あの日はペットボトルごみだし、お家に送り返されてもおかしくないからな。熊田よ。

その前は確か、屋上に放置されたんだ。

その日は獅子尾が珍しく積極的で恐ろしく手数の多い攻撃を僕に繰り出してきた記憶がある。獅子尾はいじめ慣れてないのか、顔を重点的に殴ってくる。確かに僕は人をイラつかせる顔とよく言われるし、通りすがりの人にも怪訝な顔をされるけど、流石に顔は殴らないでほしいよ。なんてったって痛いからね。骨と骨が当たるから。

顔がぼこぼこに腫れ上がった上に炎天下の屋上に放置され、鍵を占められ、助けが来たのは四時間後だった。助けというか、見回りの先生が偶然タバコ吸いに来た時に発見されただけで、先生も至福のときに僕の顔を見て嫌な顔をしていた。 僕の顔は先生を肺がんにしたりしないのに。

そんなことが多くある僕はいじめられっ子としてのプライドさえ芽生えてきた。殴られてるのではなく、殴らせているのだ。蹴りたいなら蹴ればいいじゃない。いじめられる人のいじめられる人によるいじめられる人のためのいじめ。

だからあの三人が僕以外をいじめの標的にしたら僕は怒るよ。俺をいじめろよ。って。

このとおり。いじめには慣れている僕だけど今回はいつもと少し違う。

今日は誰が不機嫌だったのかわからないけど、悪質だとおもう。さんざんいじめた上に体の穴という穴になにか分からないものを入れられ、暗い箱に入れられ、放置。足に負担がかかってるからたぶん立っている。

いったいここはどこだろうか。真っ暗。狭い。箱。

―棺桶?

僕は殺されたのか?燃やされるのか?

嘘だろ?そんなの。


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