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優しい騎士と小さな魔法使い  作者: 満月すずめ
第二部・追う二人
82/85

第七十九話 「報復の連鎖」

 ジャンがいない。


 クーアから話を聞いた時、村長はそこまで慌てるようなことかと首を傾げた。

 確かにジャンが仕事をサボるのは珍しいが、今までに全くなかったわけでもない。今日は普段の手入れ以外にすることもないし、元の家にでも行っているのではないか。


 こういう日に、ジャンはこっそり昔両親と住んでいた家を掃除しにいくことがある。もしくは、村の誰かの手伝いにでも行ったか。

 引き取っているとはいえ、別に無理に仕事をさせているわけでもない。基本的には、ジャンの好きにさせている。だから、それほど問題のあることだとは思わなかった。


 しかし、どうにもクーアの不安がる様子に引きずられ、なんとなく村長もジャンを探すことにした。

 クーアは村のあちこちで聞いて回っているようだが、今のところジャンを見たという話を聞いていない。そうなると、村長も段々と不安になってくる。


 どこに行ったのだろうか。

 まさかとは思うが、村から出て行ったりはしていないだろうか。この前などはそれで騎士やクーアを連れてきたわけだし、ないとは言い切れない。

 最初は適当に探して終わりにするつもりだったが、なんとなく不安が増してきて次第に本格的に探し始めてしまう。


 どこにもいない。

 なんだかんだと悪い予想が頭の中をぐるぐると巡り、心配で胃が痛くなってきたところで昨日話した男を見つけた。


「あ、おい! すまんが、ジャンを見なかったか?」

「ジャン? ジャンがどうしたんです?」


 首を傾げる男に、村長は眉をハの字にして答える。


「いや、さっきから姿が見えないんだ。住んでいた家にいるかと思ったがそこにもいないし。見かけなかったか?」


 問いかけると、男は何かに思い当たったかのように顔を青くさせた。


「まさか……いや、まさかな……」

「おい、何か知っているのか? 知っていたら教えてくれ!」


 ただならぬ気配を察した村長に肩をゆすられ、男は怯えたように首を振る。


「い、いや、俺はちゃんと言いましたよ! 近づくなって!」

「だからなんだ!? 何の事だ!」


 険しい顔をした村長に迫られ、男は昨日の出来事を吐いた。



 それは、村長の顔から血の気を引かせるのに十分な内容だった。



  ※                 ※               ※


 草を踏みつけ、藪を掻き分けてジャンは走った。

 朝の仕事が始まれば、誰も注意をこちらに向ける者はいない。その隙をついて、ジャン少年は魔女の塔に向かって駆け出した。

 今日は、今日だけは誰にも邪魔されるわけにはいかない。人が少ない道を選んで走り、万が一にでもリデルに気づかれぬよういつもの道から外れた森の中を進む。


 懐を触る。硬い刃物の感触。この日の為に研いできたナイフだ。

 あの魔女に突き立てることを、何度も何度も夢見てきた。今日、ようやくそれが叶う。


 父と母の仇。あれだけ優しくしたのに、恩を仇で返したクズ。

 もう、家に帰っても迎えてくれる人はいない。笑いあう食卓も、暖かな笑顔も、優しい言葉も、何もかもが奪われてしまった。


 父と一緒に虫をとりにいったのはいつの頃だったろうか。母と一緒に山菜狩りに行ったのは。

 どれもこれも、遠い昔のことに思えて仕方がない。

 半年以上住んだ村長の家は、どうしても自分の家だと思うことができなかった。


 父母と魔女と暮らした家は、未だに村にある。誰も手をつけず、ほったらかしだ。たまに掃除をしにいくと、蜘蛛の巣が張っていたりもする。

 半年前まで人が住んでいて、蜘蛛が居座る余地なんてなかったのに。


 許さない。絶対に、魔女を許さない。

 父の、母の、村の皆の好意を利用したあいつを、このままにしておいてたまるか。

 藪を抜けて開けた場所に飛び出そうとして、足を止めて身を屈めた。


 あの青年騎士がいる。


 塔の前で立ち止まって、一体何をしているのか。今いる距離だと何一つ具体的に見えない。

 だが、これ以上近づけば間違いなく存在を察知されてしまうだろう。そうなったら何もかもがパーだ。

 呼吸すら抑えて、豆粒よりはマシ程度のリデルの姿を捉え続ける。暫くして、塔の中へと消えていった。


 ジャンは慎重に藪から這い出て、周囲を確認する。誰もいない。

 足音を忍ばせて塔に近づき、玄関にそっと耳をくっつける。

 何も聞こえない。少なくとも、近くには誰もいなさそうだ。

 音を立てないようにドアを開き、顔の半分だけ突っ込んで様子を窺う。


 誰もいない。

 そっと中に入り、耳に全神経を集中させる。魔女と騎士が争えば、必ず物音がするはずだ。音の発生源を辿れば、二人が争っているところに行き着くはず。

 そして、隙を見つけて、



 殺す。



 懐のナイフを取り出し、柄を握りこむ。

 父と母が受けた痛みを、この半年重ね続けた苦痛を、あいつにも味わわせてやる。

 それ以外何も考えることができず、ジャンは耳を澄ませる。

 先のことなんてどうでもよかった。ただ、憎悪だけを胸にナイフを握った。



  ※                 ※                 ※


 玄関を開けたティスに、リデルはいつものように微笑んでみせた。


「おはようございます。今日も失礼して宜しいですか?」

「どうぞ」


 半身を反らして中に招きいれ、ドアを閉める。

 やや不審げに振り向くが、旅人の振りをした騎士は彼女を一瞥しただけで普段通りに散策し始めた。

 気づかれぬように魔女は胸を撫で下ろす。計画が台無しになるところだった。



 こいつを、今日こそ殺す。



 今まで散々見逃してきたが、騎士と分かったからには容赦しない。相変わらず卑劣な奴等だ。どうせ調査というのも名目で、魔女である自分を殺しにきたのだろう。

 そう考えると、今までのことにも筋が通る。やたら遺跡に詳しかったり、魔道具について知っていそうだったり。騎士ならば当然だ。

 最初から斬りかかってこなかったのは、油断させたところをばっさり、という寸法か。全くもって反吐が出る。


 こいつには身をもって思い知ってもらわなければならない。

 父の、母の、隊商の皆の痛みと苦しみを。一年以上積み重ねた憎悪と怨嗟を。

 因果応報だ。騎士がやったことの責任を騎士に取らせる。誰からも文句のないやり方。

 その為なら、なんだってできた。


「鍵、見つけましたよ」


 探索する振りを続ける旅人もどきの背中に声をかける。

 訝しげに振り向く青年に、ティスは形見でもある鍵を差し出して見せた。


「昨日、部屋を探していたら転がっていたんです。あの壁の鍵じゃないでしょうか?」


 近づく青年に緊張を押し殺し、少女は震える手で受け渡す。

 怪しまれたら終わりだ。誘いに乗ってこない可能性がある。そうしたら、多分こいつは村から出て大勢の騎士を引き連れてくるだろう。


 逃げ場所もある山林でこいつを仕留められるかどうか、分からない。何より、どこか知らないところで死なれても少しもすっとしない。

 果たして、身分を隠した騎士は鍵を手にとって、ためつすがめつ眺めだした。


「多分、そうでしょうね。他に当てもありませんし」

「試して、みますか?」

「そうしましょうか」


 思わず喝采をあげそうになってぐっと堪える。

 まだだ、まだバレてはいけない。慎重に行動しなくては、捕らえた獲物を逃してしまう。

 鍵を手に奥へと進む騎士の後ろに続く。


 壁沿いの階段を上がり、二階へ。そこからさらに一番奥まった部屋へと向かう。

 部屋の扉を開け放てば、蓋を取られて鍵穴が丸見えになった壁があった。

 気負いのない足取りで近づくリデルに、ティスが杖を握り締めて続く。ティスの視線がさっきから一度としてリデルから離れない。

 そのことに、果たしてリデルは気づいているのかどうか。

 手にした鍵を穴に差し込めば、壁が音を立てて開いた。


 重々しい低音は、人の力では決して開かないことをこれでもかと教えてくる。遺跡特有の、『魔法』による仕掛けだ。

 開かれた先は、真っ白な部屋になっていた。

 塔と同じ円錐状の構造をしており、中央に台座が置かれている。白色の壁は薄ぼんやりと発光しており、遺跡の中でも珍しい物質で作られていた。


 台座は、空だった。


 白く何もない部屋にリデルが足を踏み入れ、ぐるりと周囲を見回す。


「……魔道具は、持ち去られた後だったようですね」


 ティスは返事をしなかった。

 リデルは振り向かず台座に近づき、おそらく何かが収められていたであろう場所に触れる。掌に、遺跡特有の不可思議な感触が返ってきた。

 小さく拳を握り、深く息を吸って吐く。


「聞いておきたいことがあるんですが」


 返事はない。そのことに動じず、リデルは先を続けた。


「その杖は、どこから持ってきたんですか?」


 台座から手を離し、振り向いて、


 杖を振りかざす少女の姿を見た。



「こいつを、殺せェェェェェェェッ!!」



 杖から光が放たれるのと同時に、リデルの頭上で二匹の魔物が叫びを上げた。

 見上げた青年騎士の目に映ったのは、蜘蛛と蟻。人の数倍はあろうかという巨大なそれらが、張り付いていた壁から飛び降りてきた。

 鋭利な刃物と化した脚がリデル目掛けて振り下ろされ、着地と同時に埃が粉塵となって巻き上がり、地響きが鳴る。


 殺した、とティスは思った。

 完全に不意をついたはずだし、速度も高さも十分な一撃を頭上から放たれればどんな人間だってひとたまりもないだろう。

 死体を確認しようと一歩進み、



 蜘蛛が悲鳴を上げてたじろいだ。



「グラン・スパイダーとミルメ・コレオ……魔物の中でも下級の二匹ですね」


 粉塵が収まった先には、平然と佇むリデルの姿があった。

 手には剣。

 信じられずに目を剥くティスを他所に、蟻の怪物がリデルに襲い掛かる。


 横目で一瞥し、リデルが腰を落とす。脚の一撃を受け流し、そのまま表皮をなぞるようにして刃を滑らせ胴体を斬りつける。

 高周波の悲鳴を上げて後ずさる蟻の脚に狙いを定め、半ば程から一本切り落とす。

 砂に還る脚に目もくれず迫るリデルに、巨大蟻は毒液を飛ばした。身をよじってかわし、若干態勢を崩す。その隙にねじ込むようにミルメ・コレオが大顎を開けて噛み付くも、開いた口の中に剣を突っ込まれる。


 甲高い叫びを上げて後退する魔物を無視し、リデルはティスと相対する。

 ふと見れば、蜘蛛も脚が一本欠けていた。魔道具を持った少女は身震いし、平然とした顔のままの騎士に視線を向ける。


「その魔道具の能力ですか? 貴女が魔物を使役できるのは」


 指で示され、思わず杖をぎゅっと握り締める。

 その態度が、何よりの証明になると分かったのは騎士の顔を見てからだった。

 全て分かったような顔をして、さっきまで旅人だった騎士は真っ直ぐに見据えてくる。


「今すぐ使用を止めて投降して下さい。このままだと貴女の体も危険です」


 騎士の目は綺麗で、偽りなどなくて、正しさだけがあった。

 ふざけるな。


「……嫌……」

「魔道具は無償で使える便利な道具じゃありません。貴女も分かっているでしょう」


 知っている。

 騎士の目は揺らぐことなく、何も後ろ暗いところなどないようで、



 この世で一番、憎らしかった。



「……嫌」

「ここで争っても衰弱が早まるだけです。大人しく投降して下さい」


 だからなんだ。

 どうせここで争わなくても、末路は変わらない。


「嫌」

「……魔物二匹程度じゃ、私は仕留められません。無益なことはやめましょう」


 哀れむような騎士の表情が、心底癪に障った。


「嫌だって言ってるでしょ!!!」


 杖に力をこめる。魔物へ命令。

 目の前の男を殺せ。

 魔道具が光を放ち、全身から力が奪われていく。足から力が抜けそうになって、気力を振り絞って踏みとどまる。


 分かっている。こいつの言うとおり、魔道具は無償で力をくれるわけじゃない。このままだと危ないだなんて、とっくの昔に気づいている。

 やっぱり衰弱は魔道具が原因だったし、さっきの攻防でこの二匹じゃこいつを倒せなさそうなのもわかっている。


 だけど、だからって、


「言うとおりにして、それで!? 魔道具を勝手に使って人も殺したんだ、騎士団が私を見逃すはずがない! どうせ殺されるに決まってる!」


 今も覚えている、あの一年前の光景。

 血しぶきと断末魔が飛び交う場所で、膝を抱えて震えながら隠れていたこと。見つかっていれば、間違いなく殺されていた。


 この村にきてやったことを考えれば、問答無用で斬り捨てられてもおかしくない。こいつはどこか頭がおかしいみたいだが、騎士団全員がそうだったらあの時きっと放浪隊商の皆は殺されなかった。

 見返した青年騎士の顔は、何故か苦痛に歪んでいた。


「だったら! どうせ死ぬなら、お前を道連れにしてやる! お前の、騎士の首を冥土の土産にするんだ!!」


 少し驚いたような表情を浮かべ、騎士は悔いるように顔を伏せた。

 今更何を悔やむというのか。反応が全く意味が分からない。だが、今はそんなことはどうでもいい。

 魔物二匹で足りないなら、追加するまでだ。森の中に潜ませた連中程度では多分、こいつには勝てない。

 なら、今の魔物共に時間を稼がせている間にもっと強いやつを呼べばいい。


 蜘蛛と蟻の化け物の複眼が紅く光り、耳が痛くなるような雄叫びを上げて騎士に襲い掛かる。

 蜘蛛の振り下ろした槍のごとき脚の一撃を切り払い、蟻の脚を受け止め、動きが止まったところに毒液が放たれる。

 横に飛んで避ければ蜘蛛の大顎が迫り、思い切り下顎を蹴り上げて怯んだ隙に顔面に剣を突き立てる。

 剣に体重をかけて蜘蛛の顔面を切り裂き、流れるように邪魔な脚を斬りおとす。


 自重を支えきれずに沈む蜘蛛を尻目に、騎士の剣は蟻の怪物を狙っていた。

 吹き飛ばす毒液を紙一重でかわし、前足を一本斬り飛ばす。これで三対六本の足のうち、まともに使えるのは四本となった。

 脚での攻撃を不利と見て大口を開けて迫る怪物に、正面から斬りかかる。

 魔物の目を切り裂き、口を縦に割ってリデルが打ち勝った。


 魔物二匹相手に不利に見えたのは最初だけだった。

 宣言どおり、まさに二匹程度では相手にならない。せいぜい傷を負わせることができるかどうか。


 こんな人間、見たことない。

 ティスの背筋に怖気が奔り、杖を握る手が震える。

 こんなやつ、何を呼び出せば殺せるのか。それこそ、伝説のドラゴンでも出さないと、無理じゃないのか。


 呼び出せるのか、そんなの。

 呼び出せなければ、それこそ何もできずに死ぬだけだ。


 杖を両手で握って、祈りをこめるように行使する。

 なんでもいい。命を全部使ったっていい。こいつを殺せるだけの力を。


 騎士に復讐するだけの力を。



 もう戻らないあの日を奪った連中に、地獄を見せるだけの力を。



 杖が、震えた。

 今までとは違う反応。がたがたと震えているのに、手が吸い付いて離れない。仄かに光るだけだったはずが、だんだんと光が強くなっていく。

 何が起こっているのかわからない。分からないけれど、きっと今までより凄い力が働いているに違いない。


 身を委ねればきっと、ろくでもないことが起きる。

 けれど、もしかしたら、力が手に入るかもしれない。

 胸のうちに生じた迷いに答えを出せずにいると、



「避けろ!!」



 騎士が叫んだ。

 ふと顔を上げて首を回したティスの目に、



 ナイフを持って突っ込んでくる村の少年の姿が映った。



  ※              ※                 ※


 仕留め損ねた。

 小さく舌打ちをして、ジャンは魔物と斬りあっていた騎士を睨み付ける。

 あいつが余計な事を言わなければ、今頃殺せていたのに。

 無様に転がった魔女を見下ろし、もう一度ナイフを握りなおした。


 構造が分からず二階に上がるのに手間取ったが、絶えず響く音のおかげで無理なく場所を探り当てることができた。

 二階の一番奥まったところにある部屋。そこで、予想通り魔物を操る魔女と騎士が戦っていた。

 想像よりも圧倒的な力で魔物を叩き伏せる騎士に若干焦ったが、上手い具合に魔女が何かに集中してくれた。


 一切周囲に気を払っていない魔女の背後をとるのは難しいことではなく、覚悟を決めて走り出せば後は簡単だった。

 ナイフは背中から突き刺さり、苦痛と絶望を与えて命を奪う。


 そのはずだった。

 あの騎士が叫んだせいで、気づかれてしまった。それでもナイフは掠って傷をつけることには成功したが、この程度では致命傷にならない。


 魔女の体から血が流れている。足らない。そんなものじゃ、少しも伝わらないだろう。

 この半年、受け続けてきた痛みを教えてなくては。


 魔女は杖を握り締めたまま、尻だけで後ずさる。みっともない姿。

 顔は今にも泣きそうで、恐怖に引きつっている。いい様だ。それが今までお前がしてきたことの報いで、村の皆が味わってきたものだ。

 父と母が受けた苦しみの、その何分の一でも味わって死ね。


「や、やめて……」


 か細く漏れた声に、ジャンの頭は一気に沸騰した。


「やめてだぁ!? 何様のつもりだお前!!!」


 ナイフを握っていないほうの手で魔女を殴り飛ばす。

 ジャンとそう変わらない体格の少女は軽く吹っ飛び、それでも杖を手放さない。

 怒りが限界近くに到達し、荒々しい言葉が飛び出す。


「自分が今まで何をしてきたかわかってんのか!? こんな程度で、少し傷ついたくらいで何命乞いしてんだクソが!! お前がやってきたことが、こんなんで済むわけねぇだろ!」


 思い切り腹を蹴る。小さく浮いて、魔女はうつ伏せになって咳き込んだ。

 もういい。何か喋るだけ腹が立って仕方がない。

 殺そう。


 金属がこすれあう音がしてそちらを向けば、一歩踏み出そうとした騎士が魔物に絡みつかれていた。

 あの有様じゃあ、魔物はすぐに倒される。時間がない、騎士が自由に動けるようになったら力づくでも止められるだろう。

 ナイフを両手で持って大きく振りかぶる。


 どこでもいい、思いっきり刺せば十分致命傷になるだろう。

 呼吸が荒くなる。落ち着かせようとしてもどうにもならない。心臓が煩いくらいに音を立てて、周りの音が何も聞こえなくなっていく。

 魔女以外何も目に入らなくなって、呼吸の音が煩くて、ナイフを握る手が震えて、


 どこか遠くで、止めろ、と誰かが言った気がした。


 力いっぱいナイフを振り下ろして、



 突然吹き込んだ突風が、ジャンの手からナイフを奪い去った。



  ※                ※               ※


 血が出ている。

 傷口を押さえながら、ティスはうつ伏せに(うずくま)る。

 殴られた頬が熱くて、蹴られたお腹が痛くて咳き込むのが止まらない。


 杖がさっきから手から離れなくて、上手く傷口を押さえられない。流れ出る血はたいしたものじゃなくても、記憶が蘇って怖くなる。

 血が流れすぎれば人は死ぬ。あの時の皆みたいに。

 死ぬことくらいどうでもいいと思っていたのに、いっそ死んだほうがいいと思っていたのに。


 怖い。

 死ぬことも怖いけど、それ以上に目の前の少年が怖い。

 恨みと憎悪が染み付いた目つき。それに射竦められて、身動きが取れなくなった。

 思わず漏れた声は、自分の意思で発したものじゃない。勝手に口から出てきたものだ。


 自分が何をしてきたか。知っている。分かっている。

 復讐を果たす為に他人を利用して踏みつけた。ずっとずっと、そのつもりでいた。


 本当に、そうだったのだろうか。

 それならどうして、巡回の騎士団が来たときに一人でも多く殺してやろうと思わなかったのだろうか。

 あの時既に、魔道具の限界なんて分かっていたはずだ。これ以上数を増やすのが難しいことが分かりきっていて、どうして見逃したりしたのか。


 本当に、復讐を果たしたかったのだろうか。

 リデルとかいう青年騎士を道連れに殺してやると思った。

 でも、こいつを殺せばまだ暫くは何とかなると思わなかったか。

 こいつを殺せば逃げる時間くらいは稼げるとか、考えていなかったか。


 血が出ている。

 少年の目は、憎しみに満ちていた。

 それはそうだろう。だって、両親を殺されたのだから。

 覚えている。村で一緒に暮らしていた男の子。初めて殺した人達の子供。

 あれから多分、誰も殺していないと思う。だから間違いない。

 復讐する側から、される側になってしまった。


 怖い。

 少年の姿に、かつての自分の姿が重なる。

 自分は一体、何をしてきたのだろうか。知っていたし、分かっていたはずなのに。

 復讐の為に、なんだってする気でいた。

 それなのに、復讐される側になって今にも殺されようとしている。

 なんだこれ。

 かつての自分が、自分を殺しに来たような気がする。

 復讐する覚悟を、試されているような。


 血が出ている。

 一緒に、怒りも流れ出ていくような気がする。

 本当にしたかったのは、復讐だったのか。

 違う。本当にほしかったのは、あの日々を取り戻すことだ。

 そんな不可能な願いが、一番叶えたかったことだ。

 それが無理だから、せめてもの慰めとして復讐を志した。

 その結果が、こうして少年に復讐されようとしている。


 一体何をしていたのだろう。恨みの一つも晴らさないで、ただただ塔に閉じこもって生き延びて。

 同じ境遇の子を作り上げて、その子に復讐されて。

 こんなことがしたくて、魔道具を手に取ったのだろうか。


 弱りきった体に少年の拳も蹴りも痛くて、涙が零れ落ちそうになる。

 踏みつけられる側に戻った気がする。ずっとそうだったから、魔道具を手に入れたときに踏みつける側になったと有頂天になったのだ。


 だから、踏みつけられる側のことなんて考えるのを止めた。


 自分はずっと踏みつけられる側だったくせに。



 復讐の為と大義名分を振りかざし、踏みつける快楽に酔った。



 そんなことをすれば、踏みつけられた側がどうするかなんて分かっていたのに。

 だって、自分がそうだったのだから。


 少年は自分と同じ事をしている。

 因果応報とは、こういうことを言うのだろうか。

 それでも、死ぬのは嫌だった。


 両親も仲間も失って生き延びたのに。

 ここで死んだら、何の為に生きてきたのか。

 許しを請おうとも、少年は決して聞き入れはしないだろう。だって、自分がそうだったのだから。

 どうにもならないまま、ただ咳き込むだけで何も出来ずにいると、



「なんでだよ!!」



 少年の叫び声がした。



  ※                 ※               ※


 ナイフを弾き飛ばされた時、何が起こったのかジャンにはわからなかった。

 ただ、手の中からナイフが消えたのは確かで、あちこち周囲を見回して床に転がったナイフを探し、


 飛びつこうとしたところで、騎士がナイフを蹴飛ばした。


「なんでだよ!!」


 思わず叫んで睨み付ける。

 騎士は黙って見つめ返してくる。その目が哀れんでいるようで、ジャンの頭が怒りで真っ赤に染め上げられていく。


「なんで邪魔するんだよ!! どうせこいつ殺すんだろ!? じゃあ俺が殺したっていいじゃないか!!」


 叫ぶジャンに、リデルが小さく首を振る。


「駄目だ」

「なんでだよ!? なんで駄目なんだよ!!」


 悲痛さを伴ったそれは、最早嘆きに近かった。

 リデルの顔が歪み、目を伏せる。

 理不尽だ。ジャンは心底そう思った。


 何故いけないのか。どうせこいつは騎士であるあんたに殺されるんだろう。

 もしあんたが殺さなくったって、騎士に連れて行かれれば待っているのは死刑だ。

 だったら今この場で殺して何の問題がある。


 怒りと憎悪に満ちた目でリデルを睨み付け、奥歯を噛み締めてどうにもならない気持ちを燃やして口から吐き出す。

 青年騎士は、目をあわそうとはしなかった。

 それがますます頭にきて、もう無視することに決めてナイフを探した。


 あった。だいぶ離れた場所に蹴り飛ばされている。

 走っていこうとしたら、騎士が立ち塞がってきた。


「どけよ」

「どかない」

「どけっつってんだろ」

「どかない」

「どけって!!!」


 怒りに任せて殴りつける。

 硬い木でも殴ったみたいに拳が痛くなる。騎士は微動だにせず、悲しげにこちらを見下ろしていた。


 馬鹿にしているのか。

 見下して、哀れんでいるのか。

 ふざけんな。


「どけよ!! 邪魔すんじゃねぇよ!!! てめぇに何がわかんだ、もう用はないんだよ失せろ!!」


 力を込めて殴りつける。

 どれだけ殴っても拳が痛くなるばかりで、騎士が堪えている様子は微塵もなかった。


 腹が立って仕方がない。

 力があればえらいのか。何したっていいのか。力がない奴等は泣き寝入りしろとでもいうのか。

 千載一遇の復讐の機会さえ、果たさせてもらえないのか。


「何が駄目なんだよ!! お前たちだって人殺しの癖に!!」


 殴っても蹴ってもびくともしなかった騎士の体が、ぴくりと反応した。

 そうだ、人殺しだ。

 騎士だなんだといっても、結局は人殺しだ。

 王様とかなんか偉い人が許せば、人を殺しても無罪になるだけだ。


 だったら、この復讐だって偉い人が許してくれよ。

 それだけのことをこの魔女はしたはずだし、それだけの権利は自分にあるはずだ。

 騎士だからって、なんでこいつらの人殺しだけ正当化されなきゃいけないんだ。


「人殺しの分際でな、復讐はいけませんとかいうつもりかよ!? ふざけんな!!」


 殴る手が痛くて、もうまともに握ることもできなくなってきた。

 涙が出てきた。

 なんでこんな目にあわなくちゃいけないんだ。さっさと魔女を殺せればそれでよかったのに。

 復讐さえ、許してもらえないのか。


 何発目か数えるのも忘れた拳を当てたとき、その手を掴まれた。


「そうだよ。人殺しだ。だから、止めろと言えるんだ」


 見上げた青年の顔は、今にも泣きそうな程に歪んでいた。

 最初に会ったときに見た顔に、とてもよく似ていた。


「人を殺していいことなんてない。悩みも増えれば人に恨まれもする。復讐だと襲われたりもする」


 騎士が横目で魔女を一瞥する。

 そういえば、何か魔女が言っていた気もする。騎士に恨みでもあるのだろうか。

 自分が、魔女を恨むように。


「何でかと言われても、俺にもわからないけれど」


 青年の顔が泣きそうなまま、微笑みの形に動く。

 それは、終わりのない迷路の中に置き去りにされた子供みたいにジャンには見えた。



「誰かを殺せば、誰かが泣くだけだ。何も終わったりなんかしない」



 虚しさが漂う言葉に、ジャンの肩から力が抜ける。

 後ろに振り向いて、蹲る魔女を見やる。


 あいつを殺せば、誰かが自分を恨むのだろうか。

 そんなことはないだろうと思う。天涯孤独の身の上だろうから、誰もあいつの為に恨んだりはしないだろう。

 なら、殺してもいいのだろうか。

 いや、逆に恨む人がいれば自分は復讐を止めるのだろうか。

 もし、そんな人がいれば。あの魔女を大事に思う誰かがいれば。


 止めるかどうかは分からないけれど、間違いなく手は鈍ると思う。

 そうして、その誰かは自分と同じように恨みで心を満たすだろう。

 それでも、復讐をしたいと思うのか。

 本当に、それがしたいのか。


 違う。

 本当にしたいのは、本当にほしいのはそんなもんじゃない。

 あの頃の暖かな日々を取り戻すこと。それが、本当にしたいことでほしいものだ。

 でも、そんなことはできないから。

 だから、せめてもの慰めで復讐を誓ったのだ。

 今も目を瞑れば思い出せる。まだ父も母も生きていた頃の事。何も分からず、ただ幸せを当たり前として受け取っていた頃。



 ――だから、お前も出来ればあの子を気にかけてやってくれ。



 ふと、父の声が脳裏に蘇る。

 あれは、いつの事だったか。確か、魔女を引き取った日の夜だったような気がする。

 お人好しな父が、息子にもお人好しになってほしいと言ってきた。


 蹲ったまま動かない魔女に視線を移す。

 きっと大変な思いをしてきたのだ、と父も母も言った。あの時の自分も、そんな父母の言葉を真に受けてあいつに接した。

 馬鹿馬鹿しい。どんな苦労をしたのか知らないが、だったら何をしてもいいのか。


 でも。

 それはきっと、自分にだって言えた事で。

 そういえば、父や母は魔女が正体を現してからも、あいつを責めるような事を言わなかった気がする。

 本当につくづくお人好しだと思う。


 魔女を蹴り飛ばしたとき、簡単につま先が腹にめり込んだ。

 頬を殴り飛ばしたときも、騎士と比べれば藁みたいに柔らかかった。

 きっと、ナイフなんてなくてもあっさり殺せてしまうだろう。


 父と母が拾った命を、息子である自分が奪う。

 それが正しい事だとは、とても思えなかった。

 そんなことをすれば、きっと思い出の中でも暖かさは遠ざかるような気がした。


「……分かったよ。今回はあんたに譲ってやる」


 恨みが消えるわけじゃないけれど。

 憎いと思わなくなるわけじゃないけど。

 思い出の中の父母に免じて、今日のところは引き下がってやることにした。


 少年の言葉に、騎士は実に複雑な顔をして微笑む。


「それじゃ、彼女を連れて帰ろうか」


 リデルに釣られるようにして、ジャンも視線を少女に向ける。



 その瞬間、とんでもない量の光が圧迫感を伴って部屋中を覆った。



  ※             ※               ※


 少年と騎士の話は、ティスの耳にも届いていた。

 ナイフでついた傷は、たいしたものじゃなかった。それなのに、血が止まらない。蹴られたお腹も殴られた頬も熱くて、熱に浮かされたように頭がぼうっとする。


 マトモに考えられない頭に、少年の言葉が何度も反響する。

 許された、わけじゃないと思う。でも、多分、もう彼のナイフが向けられることはない。

 どこか安心している自分が情けなくて、毀れそうになる涙を唇を噛み締めて堪えた。


 人を殺していいことはない。本当にそう思う。

 恨まれて、ナイフを突きつけられて、怖いことばっかりだ。

 かつて自分がされたことを他人にしても、気持ちいいのは最初だけだ。最終的に自分と同じような人を作り出して、こうして報復される羽目になる。

 ずっと続く、終わりのない迷路だ。


 もういい。もう止めた。どうせ、騎士団への復讐なんて絵空事だったのだ。

 生きていければそれでよかったのだ。放浪隊商なんて、そんなものだったじゃないか。自分と仲間が生き延びられればなんでもする。仲間が殺されたって、復讐より先に生きている仲間の事を考えていた。


 いつから間違えていたのだろう。

 多分、最初からだけれど。


 もし、もしも。もしも、この杖を見つける事がなかったら。

 あの壁の鍵をもっていなかったら。

 こんなことにならずに済んでいたのだろうかと思う。


 あの男の子の両親を、殺さずに済んでいたのだろうか。

 あのお人好しの夫婦に引き取られたまま、お人好しの少年と暮らせていたのだろうか。


 時折夢に見ていたのを覚えている。あの村で暮らした日々の事。

 どうでもいいと切り捨てて、何も見ず何も聞かず、ただただ憎悪と憤怒だけを育てていた毎日を。

 どうして夢に出てくるのか、ずっと分からなかった。放浪隊商の日々はまだしも、どうしてあんなどうでもいい時間を思い出すのか。

 ようやく分かった。


 村での日々は、人生で数少ない穏やかな時間だったからだ。

 明日の生活に怯えることもなく、安心して過ごせた毎日だったからだ。


 人を殺していいことなんて一つもない。

 後悔と苦痛が、こうして襲い掛かってくるばかりだ。

 お人好しの少年を復讐者に変えてまで、一体何をしたかったのか。


 その少年に見逃されて初めて、何の覚悟もなく駄々を捏ねていただけだと分かった。

 そんなことを言ったって、死んだ人が生き返るわけじゃないし、犯した罪が軽くなるわけでもないけれど。


 騎士団につれていかれたら、やっぱり死罪だろうか。十中八九、そうだろうなと思う。

 なんとか逃げられないものか。もう二度と復讐なんて考えないから、見逃してもらえないだろうか。

 無理だろうな、と思う。

 こんなに生き汚いなんて、放浪隊商の一員としては立派なことではなかろうか。


 思わず自嘲してしまう。復讐だなんだと躍起になって、優しい人を殺して、最後に行き着くところがここか。

 今更になって、自分が救われぬ悪党だと分かった。それはそうだ。八つ当たりで拾ってくれた村に憎悪を撒き散らした段階で、とっくに分かっていたはずのことだ。

 魔女の呼び名も、相応しいものだろう。尤も、そんなに大層なものでもなかったが。


 少年に殺された方がマシだと本気で思う。でも、死ぬのは嫌だ。

 折角あの地獄を生き延びたのに、運良く優しい人達に拾われたのに、死にたくはない。


 復讐なんて、最初から方便だったのだ。

 生き抜くための理由がほしかっただけだ。

 自分に嫌気が差して、それでも生き延びようと起き上がって、


 手の中の杖が大きく震えだした。


 何が起きたのか分からない。手を離そうとしても、吸い付いてどうにもならなかった。

 そうこうしている内に震えが大きくなり、それと同時に力がどんどん吸われていく感覚がして、



 暴力的なまでの光が、部屋中に溢れ返った。



 目を焼ききらんとするような光は空中で踊り、何かしらの模様を形成していく。

 光が収まった時、何もない中空に巨大な円の図形が描かれていた。


「ティス! 何をしている!?」


 青年騎士の詰問は、むしろこちらが聞きたいくらいだ。

 狼狽しきって何も考えられずに、ただ弁明じみた言葉が口から出た。


「ち、違、私は何も――」


 そこから先は声にならなかった。

 杖が強制的に力を吸い上げてくる。手が離れない。こんなこと、初めて起きた。

 全身が震えて、もう杖にいいように操られているみたいだ。

 空中の図形が輝き、中から炎が吹き上がる。



 円の中から現れたのは、煌々と炎を照り返す緋色の肌をした巨大な蜥蜴だった。



「サラマンダー……」


 呟くリデルの声がティスの耳にも入るが、何の事かさっぱり分からない。

 第一、もう考えられる余力も残っていない。

 よく分からないが、何かしら危険なものである事はわかる。吸い取られる力の量が尋常じゃない。もう、指一本動かすのも難しいくらいだ。


 このままだと、全員死ぬ。

 緋色の蜥蜴が放つ炎のせいか、熱くて仕方がない。こんな炎を浴びたら、まず間違いなく人間は死んでしまう。

 魔道具は言う事を聞かない。もういいと、還せといっているのに召喚を続けている。

 どうしたらいいのか分からずに目だけを動かして、


 騎士と視線がかち合った。


 何かに迷っているような顔で、答えを求めるようにこちらを見ていた。

 そんな顔をされても、何もできない。助けてほしいのはこちらのほうだ。

 だから、そのまま口を動かした。



 ――タ・ス・ケ・テ――



 死にたくはない。それに、少年にも死んでほしくはない。

 二人とも助かるのが一番良くて、それ以外はきっとどうなっても悲劇でしかない。

 そう願いを込めて口にしたのが、果たして伝わったかどうか。


 旅人だった騎士の目から、迷いが消えた。

 呼吸を整え、剣に手を添える。

 力を込めて柄を握り、鞘から抜き放った。

 刀身が薄ぼんやりと光を放ち、風が渦を巻く。



 鞘から抜き放った剣は、その刃に風を従えていた。



 杖を使ってきたから分かる。あれは、魔道具だ。

 風を操る魔剣。

 少年の手からナイフを奪い取った突風も、あの剣の仕業か。


 火傷しそうな熱さが、風に吹き飛ばされて遠のいていく。

 騎士は軽々と宙に浮かび、緋色の蜥蜴と切り結んだ。

 吐き散らす炎を風で蹴散らし、体に纏う火を吹き消して切り裂く。

 緋色の蜥蜴は雄叫びを上げながら騎士と戦い、嘆きのような鳴き声を上げ、



 そこから先は、暗闇に飲まれて何も見えなくなった。




 この日を境に、山奥の村を支配していた魔女は姿を消した。

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