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優しい騎士と小さな魔法使い  作者: 満月すずめ
第一部・逃げる二人
22/85

第二十話 「増える追っ手」

――謁見の間に、ヴィシオの怒声が響き渡った。


「これで二度目ですぞ! 名門ユースティティアが、聞いて呆れる!!」


 玉座に座る王と、(ひざまず)く騎士団長レヒトとリデルを前に、ヴィシオは耳まで真っ赤にして怒鳴り散らす。

 疲れ切った顔の王は嘆息し、レヒトは一言も発さない。

 勿論、この場でレヒトの後ろに控えるリデルに発言権などあるはずもなかった。


「『魔法使い』を見つけておきながら、二回も!! 騎士団長はもしや、『魔法使い』を逃がせと命令しているのではありませんかな!?」

「騎士リデルに出した指令については、報告書に記載の通りです」


 厭味たっぷりのヴィシオの皮肉に、レヒトは真っ正直に答える。

 それがヴィシオの神経を逆撫でし、益々怒りを募らせる。


「ならば、何故!! 何故、二度も取り逃すのか!!」

「騎士リデルの報告を聞く限り、相手がこちらの想定を上回っていたと考えるべきです」


 淡々としたレヒトの答えに、ヴィシオが歯軋りを立てる。

 王の前だからと自重しているが、そうでなければ足を踏み鳴らし指を突きつけ倍する音量で叫んでいたことだろう。


「ならば、最初の想定が甘すぎるのだ!! だから私は言ったぞ、追っ手が足りぬと!! 騎士団の総力を持って、『魔法使い』を捕らえるべきだと!!」

「ミニストロ卿。貴殿は何か勘違いしておられる」


 眉をぴくりと持ち上げ、憎悪すら込めてヴィシオがレヒトを睨み付ける。

 受け止めるレヒトは、血が通っているか疑わしくなるほど冷たい瞳で応えた。


「勘違いぃ?」

「騎士団の使命は、国と民を守る事。『魔法使い』の拿捕(だほ)は、その職務の一つに過ぎません」


 そしてもう一つ、とレヒトは続ける。


「騎士団の作戦行動に関する決定権を持つのは、国王と団長である私です。貴方ではない。貴方にできるのは、あくまで意見具申であるということをお忘れなく」

「分かっている!! だから、こうして申し立てているのだろうが!!」


 乱雑極まりない口調でヴィシオが吐き捨て、今にも足を踏み鳴らさんばかりの表情でレヒトを見下ろす。

 ヴィシオがどれ程怒気をぶつけようが、レヒトの表情は微動だにしなかった。

 一区切りついたのを見て取って、黙っていた国王が口を開く。


「して、オルドヌング団長。報告はそれだけか?」

「いえ、あと二件ございます」


 再び頭を垂れるレヒトに、国王は鷹揚(おうよう)に肯いてみせる。

 レヒトは忌々しげに睨むヴィシオを意に介さず、国王を見上げた。


「まず一件。今回の失敗ですが、問題ないとしてほぼ無視していた『魔法使い』の護衛にしてやられました。今後は、その護衛も脅威・排除対象として処理します」

「うむ」

「また、追っ手の増員は余剰戦力の関係で見送ります。騎士リデルに関しては、今回は処罰をなしとします。これまでに放った追っ手の中で、実際に『魔法使い』と接触できたのは騎士リデルのみ。相手が所在不明であることを考えれば、むしろ功績と言えるでしょう」

「よい、そなたの判断に任す」


 ヴィシオが露骨に舌打ちをする。

 レヒトは気にも留めず、国王も聞こえなかった振りをして話を続ける。


「次の件ですが、これはミニストロ卿に関係するものです」

「あ?」


 唐突に話を振られ、ヴィシオの顔が訝しげに歪む。

 国王もまた、眉を上げて疑問を示す。

 レヒトはヴィシオを一瞥し、一枚の羊皮紙を取り出して国王に向かって大きく広げた。


「これは、騎士リデルが見つけてきたものです。詳しい内容は報告書に記載しますが、紋様で構成された『魔道具』のある里にて、二年程前に国の調査隊を名乗った男達が持っていた許可証に()されていた印章、その写しです」


 ヴィシオの喉が、小さく鳴った。

 国王は目を細め、その羊皮紙をじっと見つめる。


「この印章は、ミニストロ家のものです。その男達は、『魔道具』のある場所を念入りに調査していたとのことですが……ミニストロ卿、覚えはありますか?」


 レヒトの視線に、ヴィシオが頬を引き攣らせる。

 ミニストロ家ほどの印章ともなれば、似たものを作ることは許されない。見間違いなど決して起こらぬよう、一目で分かるように法で定められている。

 まして、レヒトや国王からすれば見慣れた印章だ。それこそ一目で分かる。

 追い討ちをかけるように、国王がヴィシオに顔を向けた。


「二年程前と言えば、別荘を作るとかで国内の大規模調査の許可を申請していたな。これは、その一環か?」

「……えぇ、はい、そうです」


 ヴィシオは国王に向き直り、実に苦々しく肯いてみせる。

 まさかこんなことになるとは思ってもいなかったのだろう。眉間の皺が、取り返しがつかないくらい深く刻み込まれていた。

 ヴィシオが肯定したのを見て、レヒトが追撃をかける。


「では、『魔道具』のある場所を念入りに調査していたというのは?」

「……それは、知りません」


 ヴィシオは、白々しくも首を横に振った。

 勿論、そうなることはレヒトも予想していた。

 ここで終わらせるわけがないのだ。


「では、その男達の現在の所在は? 話を聞きたいのですが」

「申し訳ないが、今すぐには分かりかねます」

「何故? ミニストロ卿の部下なのでは?」


 逃がさないとばかりのレヒトの追撃に、ヴィシオの顔が怒りと苦悩に歪んでいく。

 レヒトはただ淡々と、顔色一つ変えていなかった。

 忌々しげに睨みながら、ヴィシオが言葉だけは丁寧な弁解をする。


「あの時は、人数が必要だったのであちこちに声をかけて人を(つの)ったので、直接の部下というわけではなかったのです。今暫し時間を下さい、こちらで調査します」

「……分かりました。所在が分かり次第、連絡をお願いします」

「承りました」


 腹の探りあいは、決定的な所には至らずに終了した。

 一つ確かな物的証拠とはいえ、これだけではヴィシオが(はかりごと)をしている証明にはならない。最初から、レヒトはある程度のところで切り上げるつもりだった。

 ただ、ヴィシオに牽制し、下手に動けなくさせられればいい。

 この一撃は、何も今だけに効果を及ぼすものではない。ここから先、この事が影響して尻尾を出さないとも限らないのだ。

 レヒトは国王に向き直り、再度頭を垂れる。


「以上が、今回のご報告になります。より詳細な内容は、後程書面にて」

「うむ。ご苦労、下がって良い」

「はっ」


 レヒトとリデルが一際深く(こうべ)を垂れ、立ち上がって出て行く。

 その背中を、歯を食いしばったヴィシオが射殺さんばかりに睨みつけていた。



 国王は、ため息と共にその姿から目を逸らした。



  ※            ※             ※



 騎士団・本営。

 王都に居を構えるそこは、王宮と遜色ないほどの敷地を与えられた唯一の場所だった。

 総勢約500名の精鋭騎士を従える本拠地であり、毎年厳しい試験を潜り抜けた新米騎士達が数年間訓練を行う場所でもある。

 防衛と治安維持の為の騎士が約100名ほど常駐しており、王都が最も安全で繁栄していると言われる所以(ゆえん)を作っていた。


 さて、その騎士団の宿舎にある団長室に、三人の男が(つど)っていた。

 王権派の要ギューテ・エヴィニス、騎士団長レヒト・オルドヌング、そして騎士リデル・ユースティティアである。

 リデルが持ち帰った羊皮紙がレヒトの机の上に広げられており、三者三様の面構えでそれを見下ろしていた。

 一際渋い顔をしていたギューテが、ため息と共に眉間を擦る。


「何かある、とは思っていたが。まさか、『魔道具』の調査をしていたとはな」

「あくまで推測の域を出ませんが」


 リデルの冷静な指摘に、ギューテが鼻を鳴らす。

 ヴィシオに二心があるというのはここにいる全員の共通見解だが、たった一つの物証で何もかもが確定できるわけでもない。

 それを忘れれば、結局はヴィシオのいいようにされてしまうだろう。

 部屋の主であるレヒトが、羊皮紙を丸めてギューテに差し出した。


「少なくとも、奴の影くらいはこれで掴めました。ただ、それではどうしようもありません。ですが、私もリデルも任務で動けない。これはエヴィニス卿、貴方が持っていたほうがいいでしょう」

「私とて、そうそう自由に動けるわけでもないが……預かろう」


 ギューテは眉を上げて羊皮紙を受け取り、丁寧に懐にしまう。

 レヒトはギューテとリデルにそれぞれ視線を配り、口を開く。


「奴の反応から考えても、『魔法使い』関連に何かある。執拗な『魔法使い』拿捕への口出しも、それに関係があると見ていいだろう」

「その意見には賛成する。こうなれば、騎士リデルが追っ手の任についてくれていることは心強い」


 ギューテの発言に、リデルは小さく首を振って恐縮する。


「いえ、結局は二度もあの二人を取り逃した無能です」

「彼らも必死だということだ。それに、今となってはそちらの方が都合がいい」


 レヒトの言い分に、ギューテが強く肯く。

 リデルはといえば、今一掴み切れずに首を傾げた。


「それはつまり、あの二人を早期に捕まえればミニストロ卿の思う壺だから……ということでしょうか」

「それもある。が、もっと重要なのは、捕まらない事でヴィシオが焦りを見せる事。そして彼女らを追う当てとして、『魔法使い』関連の事物の情報を集められるということだ」


 レヒトの言葉に続けるように、ギューテが言う。


「奴が『魔法使い』関連で何かしているというなら、必ずどこかに痕跡があるはずだ。君の任務は、奴に怪しまれずにその痕跡を探すのに向いている」


 二人の説明を聞いて、リデルは黙り込む。

 確かに、二人の言うことは尤もだ。

 だが、まるでマギサ達を捕まえる事よりもヴィシオの痕跡を探す事の方が本題とばかりの言い草はどうなのか。

 あくまで自分の任務は『魔法使い』の拿捕であり、国と民を守る為に必要だと認められたからこそ与えられたのだ。

 ヴィシオの件も勿論捨て置けないが、まだ疑いの段階であり、そちらの方がついででなくてはならない。

 リデルの沈黙の意味を汲み取ったように、レヒトが言葉を添えた。


「勿論、任務が最優先だ。だが、当て所なく探すよりは何か指標(しひょう)があったほうがいい。その中で、今回のようなことがあれば報告して欲しいというだけの話だ」

「了解しました」


 肯くリデルに、ギューテが苦味の深い微笑を浮かべる。

 ギューテやレヒトにとっては、マギサよりもヴィシオの方が遥かに脅威なのだろう。

 無理もない、とリデルは思う。彼らは、『魔法』を目の当たりにしていない。

 人は誰しも、自分が理解できる範囲のものを最も大きく判断するものだ。


 同じように、自分もヴィシオを過小評価しているかもしれない。なればこそ、一先ずは二人の言うとおりにしようと決めた。

 正式な任務としては発することはできない、内々の取り決めが交わされる。

 出来ればリデルとしてはそういうことはしたくないが、相手がヴィシオとなればそうも言っていられない。

 実際、二人を探すのにあてがないのは本当の事だ。


「私も、時間を見つけて『魔道具』関連は調べてみよう。今回と同じように、あちこちの動かせない『魔道具』のところで痕跡が見つかるかもしれない」


 ギューテがそう言い、レヒトとリデルの顔を順に見て頷き合う。

 一通り方針が決まって話がまとまった所で、リデルがレヒトに進言する。


「団長。今後の任務に関してですが、一つ許可を頂きたい」

「何だ?」


 リデルは真っ直ぐにリヒトを見つめ、ギューテは何事かと二人を見比べる。

 レヒトは相変わらず、その表情から心情を汲み取ることは困難だった。


「民を一人、同行させたいのです」


 ギューテは驚きに目を見開き、レヒトも息を呑んだように一瞬沈黙する。

 リデルの口から出たとは思えない言葉に、珍しくレヒトが動揺をみせる。

 リデルの目は、嘘でも冗談でもないことを示していた。


「……理由は?」

「可能な限り争わず、二人を連れてくる為に必要だと判断しました」


 堂々と言ってのけるリデルに、レヒトが暫し逡巡する。

 ギューテは驚きが収まらぬといった様子で、まじまじとリデルを見つめていた。


「……分かった。好きにしていい」

「有難う御座います」


 頷くレヒトに、リデルは深々と頭を下げる。

 二人が驚くのも分かる。守るべき民を危険に巻き込もうとしているわけで、本来騎士がするべき行動ではない。

 しかし、ナイトを説得できるとしたら、もうこの方法しかリデルには思いつかなかった。

 話は終わり、それぞれがそれぞれの職務に就く。

 ヴィシオとの争い、そしてナイト達への追跡は、新たな局面を迎えていた。



 そしてそれは、ヴィシオ側とて同じことであった。



  ※            ※             ※



「あのクソ能面野郎がぁ!!」


 敵意と憎悪を塗り固めて吐き出し、ヴィシオは力一杯椅子を蹴り飛ばした。

 転がる椅子に気炎を吐き、足を踏み鳴らす。

 その様子を、ヴィシオの副官であり『魔道具』の研究者でもある男は冷めた目つきで見つめていた。

 握り締めた拳を机に叩きつけ、ヴィシオは不快な音を立てて歯軋りする。


「二年も前の印章だとぉ!? ふざけやがってぇ!! なんでそんなものがあるんだよぉ!!」


 怒りのままに机を殴りつけ、物を投げ飛ばし、叫び散らす。

 こういうときは、下手に口を出せば火の粉が飛んでくることを副官は経験から知っていた。

 つくづく、醜い男だと思う。

 ヴィシオは副官になど一切構わず、倒れた椅子を更に蹴りつけた。


「連中めぇ、雑な仕事しやがってぇ! おい!!」


 呼びかけられ、副官は何食わぬ顔でヴィシオと目を合わせる。

 口は災いの門、とはよく言ったものだ。下手なことは言わず、適当に肯くに限る。


「印章を写し取られた馬鹿を探し出して、始末しろ! そもそも連中の責任だ、きっちり落とし前つけさせろ!!」

「分かりました」


 ヴィシオの怒声を聞き流し、副官は神妙なふりをした。

 もう二年も前の仕事に、『彼ら』が責任なんて持つかは知らない。ただ、金さえ積めばやってくれるだろう。そういうものだ。

 この馬鹿な上司は、そこのところを少し誤解している。

 『彼ら』との付き合いも、よく長続きしているものだ。まぁ、彼らの前でこんな姿は見せないだろうが。

 そこの切り替えの早さだけは、副官はヴィシオを認めていた。

 ヴィシオは拳を震わせ、憎悪を息と一緒に深く吐き出して、一応の落ち着きを見せる。


「まぁ、いい。どうせその程度では何も分かりはせん。暫くの間小蠅(コバエ)がたかってくるだろうから、下手な真似だけはするなよ」

「分かりました」


 言われなくても分かっている。半分聞き流して、適当に肯いた。

 すると、ヴィシオが実に不機嫌そうに副官を見やる。

 その視線に思い当たるところがなく、副官は首を傾げる。特に何もしていないはずだが。

 ヴィシオは鼻を鳴らし、本人としてはさりげないつもりだろう所作で床に転がった椅子に視線を配る。

 合点がいった。

 何もしていないのがご不満だったのだ。

 副官は内心の気持ちを押し殺し、椅子を直す。


「どうぞ」

「うむ」


 鷹揚に頷いて、どかりと腰を下ろす。そのケツの重さで壊れてしまえと副官は念じた。

 さっきまでの取り乱しっぷりなど無かったかの如く、ヴィシオは机の上で腕を組む。


「それにしても、最早騎士団も信用ならんな。無能もそうだが、ややもするとわざと逃がしているのかもしれん」

「騎士団が、ですか?」


 訝しげな副官を一瞥し、ヴィシオは背もたれに身を預ける。

 クソ真面目が取柄(とりえ)の騎士団がそんな真似をするとはにわかに信じ難い。そう顔に書いてある副官に、ヴィシオは世の道理を説くように言った。


「中立を気取ってはいるが、団長のレヒトは王権派だ。国家の為と(うそぶ)いても、結局は人の子よ。ギューテに便宜(べんぎ)でも図ってもらっているのだろう」


 鼻を鳴らすヴィシオに、副官はとりあえず同意しておいた。

 実際の所は、疑わしいものだ。単純にこのままヴィシオが勢力を伸ばせば、国家にとって不利益が生じると考えているだけの可能性のほうが高い。

 何せ、この男は国家を私物化するつもり満々だ。

 勿論、それで自分のように利益を得る人間がいるからこそ、力を持っているわけだが。

 少なくとも、この男が本当に国家を牛耳れば、極めて分かりにくく、反抗もしにくい形で国民から搾取することだろう。


 尤も、自分はその利益を享受できる方にあるからどうでもいい。

 そんなことにも気づかない馬鹿が悪いのだ。

 だからこそ、騎士団長を王権派と決め付けて動くのはどうかと思うが、実質的に変わらないなら同じことかと考え直す。

 王宮の権力争いなど、自分が潤いさえすればどうでもいい話だった。

 ヴィシオは悩むように顎を撫で、一つ唸って口を開く。


「こうなれば、こちらも動かなければなるまいな」

「というと?」

「馬鹿を始末することでどうせ連絡を取るだろう。もう一つ、『魔法使い』の始末も連中に依頼しておけ。金に糸目はつけん」

「……分かりました」


 こういうところが、この男の醜悪で恐ろしい所なのだ。

 人一人を殺そうというのに、気負ったところがまるでない。鼠の駆除でも頼むように、邪魔な石をどかすように、当たり前の顔をして言ってのける。

 ヴィシオの副官になぞなったのは、自分がその対象にならない為でもあった。


 障害だと判断すれば、この男は容赦なく人を殺す。

 何の罪悪感も、良心の呵責もなく。


 王権派の要であるギューテを殺さないのも、単に今手にかければ真っ先に疑われるのが自分だからという理由に他ならない。

 自分の都合以外で、物事を判断したりしない。

 抜け目無く、計算高く、必要とあらば媚び(へつら)い、人の弱さに付け込む術に長けている。

 出来れば敵対したくない相手だと、副官は心底思っていた。


「では、手配して参ります」

「うむ。くれぐれも、小蠅共に悟られる事のないようにな」


 一礼して、副官は部屋から出て行く。

 言われなくても、そのくらいのことは分かっているのだ。



 ナイト達を取り囲む状況は、益々最悪な方向に向かって加速していた。



  ※           ※            ※



 魔法使いの少女を狙った大捕物から数ヶ月、ナイトの村はすっかり普段通りの姿を取り戻していた。

 それこそナイト達が逃げ出して暫くは井戸端会議の格好のネタであったが、それも時間とともに風化していく。

 あれこれと話したところで田舎村から出たこともない自分達にはどうすることもできない。そういう共通認識の下、噂するだけナイトの母親に悪いと誰もが口にしなくなった。

 クーアもまた、口を噤むことにした一人だった。

 何をどう話したところで、何が変わるわけでもない。だったら、いっそ昔みたいに村から出て行ったのだと思えば気が楽だ。

 昔とは、何もかもが違うけれど。

 ナイトの母は、もうかなりの年齢だ。元々子宝に恵まれるまで時間がかかっていて、体もそれほど丈夫な方ではない。放っておくことは、できなかった。

 それに、村の中のことも少し心配だ。村長を始め、牧場主のグランハや水車小屋のモリーノなどナイトと良く交流のあった人達はほぼ日替わりで様子を見に来てくれている。だが、一部ナイトのことを気に食わないと思っている人達もいるようなのだ。

 無理もない、とは思う。王都にいって騎士になると息巻いた挙句出戻りして、またも騒ぎを起こして逃げるように村を出て行ったのだから。

 騎士達が何度か村を訪れてはナイトが戻ってきていないかと探し回っているのも影響しているだろう。

 そのせいで村に来る騎士達は嫌われていて、その風貌と荒らして回ることから『イタチ』なんて呼ばれたりしている。畑を荒らす害獣扱いとは、本人には聞かせられない。

 そこまでは、クーアも笑っていられたのだ。

 痛くもない腹を探られれば、多少なりと不快に思うのが人間だ。まして、その原因が出戻りナイトであれば矛先は当然そちらにも向く。

 騎士達が余計なことをしなければここまでにならなかったのに、とクーアは思うが、言ってもどうせ誰も聞きはしない。だから、口を噤んで黙り込むのが一番だと思った。

 ナイトの話をしてもいいことなんて一つもない。心配する気持ちと一緒に押し込んで、いつもどおりの毎日を過ごす。それが何よりの解決策だ。

 時折向けられる、もの問いたげな老婆の視線を気にしなければ。

 わかっている。おばさんが何を言いたいかなんて。

 けれど、村の仕事があるし、そもそも外に出ても何もできない。

 誰もがナイトみたいに思い切れるわけではないのだ。

 そうして口を噤む日々をすごしていたある日の、昼下がりだった。

 馬の蹄の音が、村を訪れた。

 馬上の男を見て、村人達は顔を見合わせ、慌てて村長の家とナイトの家へと駆け出していく。

 その時、クーアは丁度薬草を砕いている最中で、薬研の取っ手を握ってぐりぐりと恨みを込めているように動かしていた。

 「大変だ! クーアちゃん、マドレさんは!?」

 慌てた様子の村人にクーアが目を丸くしていると、奥からマドレ――ナイトの母の名だ――本人が顔を出す。

「どうかされましたか?」

「あぁ、マドレさん! 騎士、騎士がきたんだ!」

「……それが、どうかしたんですか?」

 横からクーアが口を出す。

 騎士が来ること自体は初めてではない。ナイトの生家だから真っ先にこの家に来るだろうし、その程度で今更慌てるようなこともないはずだ。

 クーアの疑問に、村人はごくりと唾を飲んで、

「それが、いつものイタチ共じゃなくて、」

 続く言葉に、クーアは息を飲み込んだ。


「以前マギサを追いかけてきた、あの騎士隊長がきたんだ!」


 かつてビンタを張った手が、じんと痛んだ。


 ※               ※                ※


 日が傾く頃合になって村長が例の騎士を伴ってナイトの生家を訪れたのは、誰にとっても予想の範囲内の出来事だった。

 むしろ少し遅いくらいだ。お陰で、家の周りには仕事を切り上げた野次馬が集っている。

 家の中も、ナイトの母を心配して訪れた村人が数人。グランハとモリーノ、近所の奥様が二人と、猟師のカサドル。

 そして、クーアがナイトの母を庇うように仁王立ちになってリデルを迎え撃っていた。

 数ヶ月ぶりの対面は、かつてと同じような構図だった。

「お久しぶりです」

「二度と会いたくなかったけどね」

 睨み付けるクーアに、リデルは苦味を伴って口の端を歪める。

 村長が咳払いをして、口を開いた。

「あー、今日騎士様がこられたのは、ある頼みごとがあってのことだ。一応私から進言させてはもらったが、皆に直接尋ねたいと仰られるものでな」

 歯切れの悪い言い草に一同から疑問の目を向けられ、村長はなんともいえない顔でリデルに視線を送る。

 衆目が自分に移動したのを確認して、リデルが一歩進み出た。

「ナイト君を説得する為、村の方に一緒に来て頂きたいのです。できれば――ナイト君を良く知っていて、彼が言うことを聞くような人にお願いしたい」

 殆ど個人名を言っているのと変わらない指定に、クーアは思わず背後に庇った老婆を見やる。

 ナイトの母は顔色一つ変えず、じっと騎士を見つめていた。

 村長がまたも咳払いをする。

「あー、私もな、ナイトほどのやんちゃ者はどうにもならないと言ったんだがな。まぁ、その、なんだ。あえて言うなら一人心当たりがいないこともないが、旅には出られないと言ったんだ。だが、直接会いたいと仰るものでな、うん」

 ナイトの母とさほど変わらない年齢である村長は、隠しきれぬ困惑を顔に張り付かせてそうのたまった。

 一体何を考えているのか。唇を噛んで、クーアは村長とリデルを睨み付ける。

 村長は怯んだように顔を歪め、リデルは涼しい顔で受け流す。

「ナイト君は、強いです。一度不覚を取りました。だからこそ、次は騎士の名誉に賭けて容赦なく剣を交えることになります」

 場の空気が凍りつく。

 それは、ほぼ死刑宣告に近かった。

 誰かが唾を飲み込む音が、いやに響いて聞こえた。

「ですが、できれば穏便に済ませたい。ナイト君が悪い人でないことは分かります。ですから、どなたかに協力して頂いて、ナイト君に手を引かせて欲しいのです」

「わかりました」

 他の誰が反応するより早く、ナイトの母が声を上げる。

 慌てて振り向くクーアを尻目に、老婆は真っ直ぐにリデルを見上げた。

「この老体がお役に立つのでしたら、是非ご協力させて頂きます」

「……ご子息は、貴女に似たのでしょうね」

 驚く村長達を余所に話がまとまりそうになったところで、

「やめなさい」

 カサドルの低い声が凍りついた空気を打ち砕く。

 節くれだった手を老婆の肩において、引き止めようとする意思を明らかにしていた。

「気持ちはどうでも、あんたの体が持たない。クーア、この人の体は持つと思うか?」

 話を振られ、村でただ一人の若い薬師は強く首を横に振った。

「どのくらい長くなるかも、目的地も分からない旅に出られるような歳じゃないよ。村にいたって大変なのに」

 クーアの診断に勢いづいて、他の村人達もそうだと声を上げる。

「悪いことは言わない、止しなさい」

「あんたが倒れたらナイトを説得するどころじゃないだろう? 騎士様も旅どころじゃなくなるぞ」

 グランハやモリーノも口々に引きとめ、リデルとの間に挟まるように動く。

 村長は横目に騎士隊長を見上げ、

「言った通りでしょう? 申し訳ないが、ここは一つ潔く諦めてもらって、」


「行かせてやりゃあいいじゃねぇか」


 突然響いた声に、全員の視線が一点に集まった。

 入り口から入ってきたのは、クーアやリデルよりは年嵩の、しかし村長達よりはずっと若い男。

 粗野な風貌と乱雑な物言いは、かつて村の荒くれ者であっただろうと思わせる。

 男はぐるりと中にいる人々を見回して、ぴたりとグランハのところで目を止めた。

「なぁ、親父。行かせてやれよ。本人が行きたいっつってんだから」

 グランハは眉間に皺を寄せ、

「馬鹿を言うな。村の仲間をみすみす行かせるものか」

「村の仲間ぁ? こっちはいい迷惑なんだよ! 親ならガキの責任取らせろよ、それが筋だっていつもアンタ言ってたろ!」

 叫ぶ男に同調するように、家の外から野次が飛んでくる。

 出来るだけ聞こえない振りをしながら、クーアは男に視線を移す。

 グランハの次男、ベレタ。幼い頃に何度か遊んでもらったが、随分と乱暴だったのを覚えている。特に大人しいナイトなどはよくからかわれて玩具にされていた。

 確か、グランハの牧場を手伝いながらカサドルの弟子をやっているとか。今はもう結婚して子供もいて、落ち着いたと聞いていたのだが。

「出たり戻ったりしてよぉ、挙句『魔法使い』を庇って逃げるだの、迷惑かけるだけの奴を仲間って言うのかよ。親父も師匠も甘いんだよ。とっととアイツ切らねぇと、そのうちこの村は騎士団に占領されちまうぜ」

 素行の悪さも相まって、彼の家は随分念入りに調査されたらしい。

 逆恨み、とも言い切れない。同じように家の中をひっくり返されるのを嫌う人はいる。

 外から同意する野次が飛んでくるのが何よりの証拠だ。

「そんなことしませんよ」

 ベレタの言い分が不服だったのか、リデルがやわらかく否定する。

 次男坊は鼻を鳴らし、

「どうだかな。あんたらにどんだけ家の中ひっくり返されたと思ってんだ。あんな奴匿ってねぇっつっても聞く耳もたねぇ。そのうち、監視下に置くとかなんとかいっていいようにするんじゃねぇの」

 露骨な疑いの眼差しに、リデルは口を閉ざした。

 黙る騎士に舌打ちし、もう一度ぐるりと睥睨して、

「行けよ。道中で野垂れ死んでも俺達は知らねぇ。恨むなら、てめぇの息子を恨むんだな」

 ナイトの母を見下ろして、吐き捨てるように言った。

 きつく唇を噛んで、クーアは頭を巡らせる。

 反論したい。反論したいが、ここで喧嘩するのは今後の為にも良くない。

 間違いなくナイトの家が村八分になるか、村を真っ二つに割っての諍いになる。

 そんなことは、ナイトもおばさんも望んでいないだろう。

 村なんて閉鎖的な環境で起きる争いは、絶対に禍根を残す。だから、村長もさっきから目を白黒させながら黙っているのだ。

 どうする、どうすればいい。

 何一つ解決策が浮かばないでいると、

「騎士様」

「はい」

 老婆は再び視線をリデルに戻し、騎士隊長もまたそちらに向き直っていた。

「ご迷惑をおかけすると思いますが、」

 考えている暇はなかった。

「待って!」

 咄嗟に口をついて出た制止の声に、全員の視線が集まる。

 言わなきゃよかった、と思わないでもない。多分、カサドルさんかグランハさんが大人らしくまとめてくれる気もする。


 それでも、ここで黙っているのは嫌だった。


「私が行く」


 考えなしに出た言葉に、クーアは自分でも少し驚いていた。

 それは周囲も同じだったようで、村長などは目を丸くして息を呑んでいるし、カサドルもグランハもぴたりと動きを止めている。

 唯一、ナイトの母だけは真摯な瞳を息子の幼馴染に向けていた。

「ナイトを良く知っていて、言う事を聞く人ならいいのよね?」

 言葉を止めたらダメだ、とクーアは矢継ぎ早にリデルに聞き返す。冷静になる暇を与えてはいけない。自分にも、他人にも。

 若き騎士隊長はやや意表を突かれた顔をしながらも頷いた。

「えぇ、そうです」

「だったら、私が行く。昔っからナイトと一緒にいたし、あいつは私の言うことは聞くから」

 少しだけ嘘だ。本当は、覚悟を決めたナイトを動かすことなんてできない。

 それでも、この場はそれで押し通すしかなかった。

 なし崩しに押し切ろうとして、

「バッ、バカかお前は!?」

 ベレタが怒鳴るように叫んだ。

「お前、仕事はどうすんだ! 出て行っていいと思ってんのかよ!?」

 至極まっとうなベレタの指摘に、

「親が子供の責任を取るのが当たり前なら、家族が責任を共有するのも当然よね?」

 怯むことなくクーアは次男坊を見つめ返す。

 一瞬言葉に詰まった隙を見逃さず、一気にまくしたてた。

「昔から家族ぐるみの付き合いだったし、両親がいなくなってからは家族同然に暮らしてきたもの。村の人なら皆知ってるでしょ? だったら、ナイトの責任を家族として私も背負うのはおかしくないわよね?」

 ベレタの唸り声が鳴る。

 相手に反論する暇なんて与えない。

「おばさんは旅に耐えられる体じゃない。だったら、その責任は私が負う。家族がその責任を共有して、取れる人が取るのは普通のことでしょ? それがおかしいって言うなら、あんたの最初の言い分から物言いがつくわよ」

 自分の言い草がどこかおかしいのはクーア自身も分かっている。

 だが、このまま見過ごしてむざむざナイトの母を旅に出すわけにはいかない。

 多少無理筋でも、勢いに任せて押し通すしかなかった。

 ベレタは不愉快そうに顔を歪め、

「だっ、だからって村はどうすんだ! お前以外に薬作れるやついないんだぞ!?」

「その辺は、騎士様が何とかしてくれる。でしょ?」

 唐突に話を振られ、リデルは困ったように苦笑する。

「まぁ、なんとかできなくはないです」

「ほら。これで何か文句ある? それとも、国の偉い人に逆らってみる?」

 今度は無理やり権威を笠に着た。

 何も言わない騎士をいい事に、あたかも国家権力を背景にしたふりで睨み付ける。

 野次はいつの間にか消え、ベレタも口を引き結んで眉間に皺を寄せていた。

「文句は、ないみたいね。騎士のあんたも、それでいい?」

「条件さえ満たしていれば、何でも構いません」

「村長! 話はまとまったわ」

 強引なクーアの仕切りに、しかし反対の声はなかった。

 村長は飛び上がるように顔を上げ、忙しなく髭をなでつけながら、

「では、村からはクーアを出すということで。詳しいことは、私と騎士様でまた話し合ってから伝える。クーアは後で私の家に来るように!」

 解散の合図とともに、野次馬達は散っていった。

 ほっと胸を撫で下ろすクーアの肩を、近所の奥様が軽く叩いて笑って見せた。

「良く頑張ったね」

「何かあったら、いつでも言いな」

 そう口々に声をかけて、皆それぞれの家へと帰っていく。

「息子がすまなかったね」

 頭を下げるグランハに小さく首を横に振り、励ますように背中をそっと叩いて見送る。

 カサドルもナイトの母とクーアに頭を下げ、出て行った。

 二人っきりになった家の中で、ナイトの母はクーアを見つめ、


「これで良かったの?」


 ナイトが出て行ってから、言葉にはしてこなかった問いを口にした。


「うん。あとは任せて」


 ナイトが出て行ってから、一度もできなかった笑顔をクーアは見せた。


 よろしくね、という声を聞きながら、ナイトの幼馴染は息を吐いて大の字に倒れこんだ。

 今日は疲れた。

 どうせ旅の準備で明日から忙しくなるのだから、もうあとは寝てしまおう。


 村長に後で来るように言われたことは、すっかり忘れてしまっていた。


 ※               ※              ※


 騎士が村を訪れてから半月後、後任の薬師に引継ぎを終え、クーアは少なめにまとめた荷物を騎士の立派な馬に積んでいた。

 ベレタとはあれ以来会っていない。奥さんや子供とはたまに顔を合わせるが、ベレタ自身は徹底的にクーアを避けているようだ。

 なるべく気にしないようにして、騎士に手伝ってもらって馬に跨る。

 見送りにきてくれたのは村の半数ほどで、気遣わしげな村長が禿げた頭を神経質そうに撫でていた。

「あー、なんだ、くれぐれもご迷惑にならぬように。騎士様も、どうか何卒宜しくお願い致します」

「大丈夫だって、心配しすぎ」

「はい、可能な限り善処します」

 若い二人のそれぞれの反応に、村長はなんとも言えず顔を歪める。

 騎士が手綱を引き、馬が軽く嘶く。

 出発の合図に、クーアはナイトの母に向かって小さく手を振った。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 ごく短い言葉を交わして、クーアはリデルと共に村を出た。

 生まれて初めての、外の世界。

 何が待ち受けているのか、実のところだいぶドキドキはしていた。

 無理矢理ついてきたような気はしているが。

「それにしても、良く代わりを見つけてこれたわね」

「必要なら、手配くらいはします」

「……悪かったわね、無理言って」

「いえ」

 自分が無理を通した自覚はある。

 クーアの謝罪に、リデルは短く否定するだけにとどめた。

 多分ではあるが、ナイトの母を連れ出すことはこの騎士も良心が咎めたのだろう。

 悪人であってくれた方が恨みやすくてよかったが、今回ばかりは助かった。

 考え事を丸めて捨てて、見たことのない景色を見ようと前を向く。

「さぁて、それじゃいっちょ行きますか!」

 気合を入れるために声に出す。

 ナイトの説得については、後々考えればいいだろう。何にしても、もう一度会いたいとは思っていた。

 会って、聞きたいと思っていたのだ。


 ――それでいいの?――


 ナイトが王都から戻って以来、言葉にはしてこなかったもの。

 それを、今度は言葉にしてみたいと思う。

 どうするかは、その答えを聞いてからでいいだろう。

 そう決めて、クーアは初めて乗る馬の振動に身を任せた。



 こうして、騎士と薬師の奇妙な旅路は始まった――

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