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夏の夜の出来事  作者: ざー
Side B
8/12

Side B(2)

1995年7月6日(木)21:23

「うぅ」

 ジャンケンに負けた僕は、2階にある自販機に向かっていた。自販機の横に休憩用のソファーがある。そこで、タキがサヤを口説いているという話だった。

 エラい修羅場に遭遇しても困る。階段の途中で、警戒して階下を覗いてみる。

「あれ、誰もいないじゃん」

 ソファーは空っぽ。ホッとしたような残念なような、複雑な気持ちで階段を降りた。


1995年7月6日(木)21:25

 ゴトン。

 3本目の飲み物を買った時だった。ドアが閉まる音に気づいて振り返ると、廊下の奥を横切るヤマの猫背が見えた。

 純粋なパソコン好きの彼は、トイレに立つ時くらいしかパソコンルームから出てこない。さして気にもせず缶の取り出しにかかる。

「うわわっ!?」

 背後から悲鳴のような物が聞こえた。ドタドタとへっぴり腰で走るヤマが目の前で止まる。

「と、トイレで……タキが……血ぃ……!」

 よく分からないが緊急事態らしい。

「屋上のセイ達呼んできて!」

 抱えた缶ジュースをソファーに投げ出し、男子トイレに向かう。

 トイレの前でサヤがオロオロしている。構わず男子トイレに飛び込む。

「タキ!」

 床に座り込んだタキ。ユウが彼の後頭部にハンカチを当てている。洗面台の角に、血痕がほんの少し。

「ひっ!?」

 後ろからついてきたサヤの声。顔を上げたユウと目が合うと、何故か一目散に逃げ出した。

「サヤ!」

 ユウは僕にハンカチを預け、彼女の後を追う。ハンカチにも血はほとんどついていない。タキのケガは、大したことはなさそうだ。

「ヤマが青い顔で飛んでくるからビックリしたよ。えーっと、ちょっとたんこぶになってる」

「イテテ……アイツ洗面台の血を見て逃げてったんだ。どんだけ血に弱いんだか」

 そう言ってタキが立ち上がった頃。

「タキ、大丈夫か!?」

 血相を変えたセイとトモが、トイレに飛び込んできたのだった。

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