Side A(5)
【考察】1995年7月6日(木)21:32
サヤが落ちてきた時、僕は屋上に身を乗り出すユウを見た。サヤの落下に驚き、慌てて覗き込んだ、というように感じた。サヤは植込みから助け出された後、抱きしめたユウに対して迷いなく抱き返している。彼を恋人として信じている証拠とも取れる行動だ。
この二人の態度から、サヤが屋上から落ちたのは事故だった、と考えるのが自然だ。サヤはあまり屋上に出たことがなかったから、思わず屋上の縁を踏み越えてしまったのだろう。
【結論】
タキにキスされて逃げたサヤは、廊下の奥でパソコンルームから出てきたユウに会うものの、女子トイレに逃げ込んでしまう。この時タキと僕はソファーで話をしており、廊下の奥の出来事には気づかない。逆にユウは僕達の話を聞き、タキがトイレに向かうことと、他に誰かがいることを知る。タキと二人で話をするため、先に男子トイレに入る。
タキはトイレに入るとすぐ洗面台に向かい、ビンタされた頬を鏡で見る。ここで待ち伏せていたユウに声をかけられ、洗面台を背に話をすることになる。話の途中、何かの拍子にタキが転び、頭をぶつける(あるいはユウが突き飛ばしたのかもしれないが、ハンカチで手当てしていたことから、ケガをさせるつもりはなかったと思われる)。直後にヤマがトイレに入り、悲鳴を上げて逃げ出す。
ヤマの悲鳴を聞いて女子トイレを出たサヤは、男子トイレに入れずオロオロする。走ってきた僕が躊躇なく男子トイレに入ったので、続いて入る。タキとユウの姿を見て、キスしたことをバラされたと感じ、その場を逃げ出す。多分もう女子トイレに立てこもる手は使えない(ドア越しに追及されたら逃げ場がないから)。階段に向かい、降りてきたセイ達と入れ違いに階段を昇って屋上に出る。
ユウの追跡から逃れようと必死だから、サヤは後ろばかり見て走っていたはず。気づかぬ内に屋上の縁まで来て、段差に躓き落っこちてしまったのだ。ユウもまさか落ちるとは思っておらず、驚いて下を覗き込んだところを僕が見上げた、と。