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弓使いが魔法を覚えたら  作者: 肝臓の支配者(ノンアルコールマスター)
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力の使い方③



初めて弓矢を使っての狩猟を成功させてから既に1ヶ月が経とうとしている。

俺はその間エドワードさんから様々なことを教えてもらった。

まず地理。


俺が今いる場所は『オスロー国立自然公園』内にある大樹林の西側に位置する『スミレット渓流』のほとり付近というなんともよくわからない場所で生活をしている。これはエドワードさんの屋敷が現在たまたまここにあるからと言うだけで近々引っ越すらしい。どういう事だ?

オスロー国立公園は『バムレム王国』の南側を埋め尽くす広さを持つ広大な土地にある。

そこには点々と原住民が住んでいるが、オスロー国立公園の生態系では人間は下位の位置にあると言う。上位に位置する生物は主に植物と言われるから不思議だ。


エドワードさん曰く「今まで見てきた世界でオスローが1番美しく残酷な世界だと思えます」とのことだ。その詳細は教えてくれなかったが、どこかスッキリとした顔をしていたので嫌なことがあったわけではないのだろう。


次に、オスロー国立自然公園に生息している生物についてだが、この1ヶ月毎日森に入って狩猟を続けているのに動物をオスロー鳥とオスローワニグマしか見ないのはなんでなのか?

オスロー鳥は探そうとしなくても見つかるくらいいるからそこら中にいるのだろう。体毛が色彩鮮やかで焼くと味が絶品であるくらいしか特筆することがない。

オスローワニグマはワニのような口と尻尾を持った二足歩行でも四足歩行でも歩くことができるクマだ。体調は俺が見たものの中で大きいものが5mくらいあり、ワニのような口の中には本来ベロがある部分にびっしりと牙が生えていた。また、体毛は熊のものと一緒なのだが、毛の硬度が段違いで矢が刺さらないと言う苦難に陥ったこともあった。その時は目を狙って矢を脳に届けてことなきを得たのだが、一本目を目に刺した時に俺の場所が発見されて迫られた時には生きた心地がしなかった。

味は、まぁ、あんまりうまくない…と言うかゲキマズだった。


そして最近、エドワードさんからの申し出で魔法について教えてもらえることになった。

初めてオスロー鳥を狩った次の日にエドワードさんに俺の能力に回復魔法があることを伝えると「なら、魔法も覚えないといけませんねえ」と言われたのが懐かしく感じる。

そっから3週間も忘れられていたとは考えたくもないが…

閑話休題


魔法については今の所魔力を操作する段階に来ている。最初魔力感知の能力があったから体内に魔力を見つけるのには苦労しなかった。そこから魔力を動かすのに手間取って早1週間だ。

魔力操作あるのに、解せぬ。

そして現在


「よし、よし、そのまま動け〜、あっ!」


まただ。

俺は今体の中の魔力を任意の場所に移動させる魔力操作をしている。

これができて第一ステップ終了らしい。

できないと罰ゲームで1週間森の中で生活しないといけないから必死だ。

いや、森の中で狩猟生活をするわけではない。狩猟生活だったら進んでやるぞ俺は。森の中で自然と一体化することでより魔力を感じやすくなる…はず…だと思う…とエドワードさんに苦笑いを浮かべながら言われては必死になるのも必然だろう。そんな不確かな特訓を実践して失敗したら元も子もない。


「くそ〜!返しが難しい!」


体内で魔力が生成される場所は丹田と呼ばれる部分らしい。ココは力の源らしく、昔武術を嗜む人たちは皆丹田を意識して訓練していたそうだ。

魔力も例外なく丹田を意識することが大切なんだそうだ。

丹田から血管を通り指の先へと通すのは割と簡単にできるのだが、指先まで行った魔力を戻すことが難しく、俺の成長もそこで止まっている。


「蓮君。発想を変えてみることも重要だと思いますよ。」

「そうは言うけどなかなか…エドワードさんはどうやってるんですか?」

「忘れました!もう何十年も前のことですからね。でも一度できれば自然とできるようになるので自分の1番やりやすいイメージで操作することが重要だと思いますよ。あぁそうなると森の中で座禅を組んで1週間篭るのもアリな気がして来ましたね」

「え?マジですか?い、いや〜それはなしでしょ」


それは1番避けたいことだ。

俺は狩りが好きなだけで森で生活したいとは思わないからだ。蚊もいるし、変な鳴き声も聞こえてくるから眠れない。そんな状況に好き好んで行こうとは思わない。


「いえ、これは今決定しました。1週間朝から晩まで森で座禅を組んで来てください。食事はこちらで取ることを許可しましょう。」


はぁ〜決まってしまった。

俺はいつも狩りの時に使う鎧をインベントリにしまい、エドワードさんにもらった修行用の服装に着替えて外に出た。

憂鬱な気分を隠しもせずに……

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