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弓使いが魔法を覚えたら  作者: 肝臓の支配者(ノンアルコールマスター)
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規格外?



なんのけなしに狩ってきた狼をインベントリから出したらギルド内がシーンとした。

レンにとってはウサギを狩ってきた時と同じ感覚で出したのだが、ことこのギルドでは違った意味合いを持つことになる。


ダークファングと呼ばれるその狼はホワイトファングの亜種である。

ホワイトファング自体は狼の魔物で通常の狼の2〜3倍の大きさで知能が人と同じ程度と言われるくらいに頭がいい魔物なのだが、ダークファングは体の大きさは通常の狼と同じ程度の大きさなのだが真っ黒でまるでサーベルタイガーのような犬歯の硬さは大木をも砕くと言われている。さらに頭脳が人で言えば歴史的な天才と同じ程度の賢さを持つと言われている。ダークファング自体が亜種なのだがそもそも狼系の魔物が既に希少種なのでダークファングはとても珍しい個体となる。なお、そんなことを知らないレンは周りの反応に気づいてない。


そして冒頭に戻る。


「えっと、え?そんなにいるの?ちょ、ちょっと待っててね!」


受付嬢のレイルさんは少し慌てた様子で席を立つと職員専用の通路を走って行ってしまった。


「おいおい、レンなんちゅうもん持ってきたんだよ?!」

「ただの狼だろ?」

「いやいや!お前こいつの価値がわかってないのか?」


ドランボはさも当然のように言うが、俺としては牙が虫歯で真っ黒になってる狼にしか見えないのだが何か珍しいものだったのだろうか。


「虫歯で歯が真っ黒の狼だから売値が悪くなってるのか?」

「は?はあぁまぁそのうちわかるだろうさ!これじゃあまたすぐ追いつかれちまうな…」


そう言ってドランボはトボトボとと言う表現が似合うほど沈んだ様子でギルドを出て行った。

ドランボが出て行ってすぐにレイルさんに手を取られて職員専用の通路へと連れてかれた。


「ちょっ!レイルさん!なんですか?」

「レン君これからギルド長が話があるから少し大人しくしてね!」

「ギルド長が!?なんでよ!?」

「それを今から説明してもらうからね!」


結構強めの言葉で締められると後は何も言えない雰囲気がその場に漂った。

それから少しして通路の突き当たりの部屋へと入れられてレイルさんがお茶を取ってくると言い1人部屋でけたたましく変わった先ほどからの状況について考えをまとめようとしていた。しかし、レイルさんとほぼ入れ替わりで1人の妙齢のおばさんが入室してきた。


「あなたがレンというFランク冒険者ですか?」

「そうだけど、あんたは?」

「申し遅れましたこの街のギルド長をしてます、メローナと申します。さて、今回あなたがダークファングの群れの討伐をしてきたとレイルから伺ったのですができれば討伐までの経緯を伺ってもよろしいですか?」

「あぁ分かった。でもその前にあの狼は何なんだ?何か捕まえたら悪かったやつか?」

「いえ、そんなことはありませんしむしろありがたいと感謝状でも上げたい気分ですよ。」

「そうか、悪いことでないならいいや。じゃあ狩る少し前からでいいか…」


この前ガイルと会った時と雰囲気というより外見が全く違うギルド長が出て来た。だがあれから結構時間が経ってるから代わったのかと思い追求はせず話を進めた。

そうして狼を狩るまでの大まかな流れをメローナに話した。

そしてメローナに最近少しだけ気になっていたことをついでに聞いてみることにした。


「そう言えば俺がこの街に来てから毎日ウサギを1羽以上獲って来てるのに一向にウサギの数が減らないのは何でかわかるか?」

「ウサギの数が減らない?ですか……、本来ダークファングは狼が魔物になった希少種のホワイトファングの亜種という分類になります。そして狼とは主に平原を狩場にしてるはずなのですが、レンさんの話を聞く限りでは森の中央付近、特に生い茂ってる辺りで見つけたようですね?これはあまりに不自然なのですよ。それにウサギの数が減らない事から考えると、ダークファングの狩場に強者が現れて追いやられたと考えられますし、ウサギ達も他の場所から逃げて来てこの森一帯に数が増えて来たと考えられます。となると、一度探索隊を派遣したほうがいいかもしれませんね。」


メローナさん、俺のこと置いていって1人でブツブツと独りごちている。

ブツブツ呟いていたかと思うと急に目を俺に合わせて来てつい臨戦態勢を取ってしまった。


「そういえばレンさんはFランク冒険者ですがどのようにしてダークファングを討伐なさったのですか?あんなに賢い魔物を単独で7匹も討伐してくる人を見たことがないもので気になりまして。」

「それこそ論より証拠。実物を見てくれとしか言えないな。俺がいくら言っても信じてくれない生物らしいし。」


「そうですね…」呟くと机の上に置いてあったベルを手に取り、チリンチリンと鳴らす、すると部屋の扉が開きレイルさんが現れた。


「レイル、レンさんの持ってきたダークファングを1体…いや全て持ってきてもらえますか?」

「かしこまりました」


そう言ってレイルさんは部屋を出て行った。

そして俺も席を立ち一言言う。


「もう帰っていいか?」


話の流れからしておかしい発言だというのは俺も分かってることだが、俺からしたらこのダークファングも普通の狼も生物の分類としてはただの狼なので……というかもう帰りたい。今日1日色んなことがありすぎてベッドにインしたすぎる。

流石に俺の発言の意図が読めなかったのか、はたまた単純に何を言われたのかわからなかったかギルド長は困惑した表情をしていた。


「え?えと、そうですね、今日はもうおかえりになってもらって構わないです。それと今日持ち込んでもらいましたダークファングの料金は明後日にお支払いさせていただきますね。なにぶん珍しい商品となりますので。あと今回の魔物討伐でFランクからEランクへと昇格でございます。」

「あぁ明後日な分かったまた受け取りにくるよ。レイルさんに話だけ通して置いてくれ。あと疑問なんだが魔物討伐の昇格ラインってどの辺りなんだ?前にスライムめちゃくちゃ倒したんだが」

「スライムですか?そのような記録はこちらにはありませんね。討伐部位などはお持ちでしょうか?」

「ああ、あるよ。だけどあいつら同族の核を食うからなかなか倒した数とドロップ品が合わないんだよな…」


と言いながらポケットのインベントリに手を突っ込みスライム関連のものを机に並べていった。それとついでに、スライムを倒した合計を書いたメモを取り出す。

このメモだが、俺の能力『∞矢』は一回の戦闘で使った矢の総数をカウントしていることに最近気づきよく活用している。別に矢自体は減らないし、何本打ったとか誰に報告するでもないんだが、まぁこういう時に役立つくらいしか使いどころがないな。

閑話休題


「あの日井戸から湧き出てきたスライムの総数は1312体だな。改めて見るとメチャクチャな数だな(笑)。」

「せんさんびゃ!!……」

「おいおいどうしたんだよ、いきなり大声出して、スライムだぞただの。まぁ確かに数だけはいっちょまえだったけどそんなに驚く事じゃないだろ」


少しの間フリーズしているギルド長を尻目に俺はインベントリの整頓機能を使い中身を整頓した。

整頓後ギルド長を見ると先ほど俺が出したドロップ品のスライムの核を手にとっては「なんと…」とか「嘘でしょ?!」とかコロコロと表情を変える姿はなかなか面白い。

面白い、だがもういいだろ?

俺は早く帰りたいんだが!

そりゃあ自分で話を長引かせた感じはあるけど、このギルド長さがフリーズするから嫌いだ。


「なぁ俺の話は終わったから帰るな!じゃあ」


とまだ、フリーズをしているギルド長をよそに俺は部屋を出た。

部屋を出るとレイルさんが居たが「話は終わりましたよ」と一言言ってさっさと宿に戻って風呂も飯も食わずにベッドに直行した。


「あぁ〜こっち来て1番疲れた日だわ!」



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