表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弓使いが魔法を覚えたら  作者: 肝臓の支配者(ノンアルコールマスター)
15/42

増えた登場人物

サブタイトルが完全にメタですが気にせずに読んでください


「50m先にウサギの親子、その先10mに雄鹿、それを囲むようにジリジリと狼の群れ10匹か」


日課の森で狩り。

今日の獲物を探しているとウサギ親子と鹿と狼の群れを見つけた俺は誰に狙いを定めようか迷っていた。

いつものルーティンで行けばウサギを1匹獲って雄鹿を狙うんだけどここ最近森の生態系が少しだけおかしいことに気づいた。

その前兆は俺が狩りを始めてすぐに疑問に思ってはいたんだけど、確証がなかった。でも今日はっきりとした。


「よし!今日は狼の群れとウサギ1匹だな」


そう決めると群れ狩りをするために四方に散っている狼達を一体ずつ射殺していく。

5匹の目に矢を射たあたりで群れの狼達も何かおかしいことに気づきだしたようで「ガフッガフ」と怯えだした。

狩りをしていたらいつの間にか仲間が減っている状況に生物として今日を感じているみたいだ。

そうしてさらに2匹の狼を殺す。その際1匹の狼を矢で射た時に急所を外し胴体に当たってしまったことで他の狼に気づかれた。その結果3匹が逃走、ウサギ1匹をなんとか仕留めたが雄鹿もウサギの家族も取り逃がしてしまった。


「まぁこんなところか…俺もまだまだだな」


俺はスナイパーの如く樹上にて獲物を狩っていた木から地面へと降り狼を集めに行った。



時刻は昼過ぎで場所は冒険者ギルド。昼飯を食べ終わった冒険者達が再度森に行ったり、街中の依頼をこなすために依頼者の元に戻っていこうとしていた。

ちょうどその頃インベントリには7匹の狼と1羽のウサギを捕まえてホクホク顔でギルドへの道を歩く蓮がいた。


「おい!やめろ!あっ、くそ!誰かそいつ捕まえてくれーー盗人だ!」


そんな声が聞こえて今歩いて来た道のりを振り返ると確かにこちらに走って来る、というか逃げてくる黒いマントと白い仮面を顔につけた怪しい奴が猛然とこちらに向かって来た。

道行く人は当然のようにそいつを避ける。

ここで蓮は思う。

「当たり前だな」と。

そいつを捕まえる段階でメリットがない。捕まえて盗んだものを盗られたやつに返して衛兵に突き出す。盗られたやつがお詫びとして金一封くれるか、犯人が賞金首で懸賞金がもらえると分かっているなら捕まえるのも吝かではないが、現状それを確認するすべはない。

もうすでに蓮と犯人の距離は5mもない。

蓮は避けた。犯人が通り過ぎる。


「誰か〜頼む!そいつを捕まえてくれ!」


犯人を避けて初めて盗られたやつに目が行った。

出っ腹で顔は卑しい豚のように汚いが、身に纏う服とジャラジャラと首からかける宝石類、腕から指先まで金や銀の装飾が施されたリングをつけていたそいつはあからさまに、富豪です!といった感じがした。


蓮はそれを見て弓を構えた……瞬間には犯人の両足首には矢が刺さっていた。


一瞬の出来事に周りにいた人間達は呆然とそれを見ているしかなかった。

蓮が犯人に近づくも犯人は匍匐前進でなんとか逃げようともがいていた。

だが無常にも蓮が歩いて犯人を取り押さえる方が早かった。


「おい、諦めろ!」

「い、嫌だ!あいつらが待ってるんだ!だから見逃してくれ!」


声からしてまだ若い女の子くらいだなと思った。

家族…なのか?それともスラムの子供達とかかな?と少し思案する。……が、いうことは決まってる。というかやることは決まっていた。


「がぁっ!!」

「無理だな。見逃す道理がない」


蓮は前のめりに倒れこんでいる犯人の背中を足で抑えて言い放った。蓮の心境はクズ野郎なのか?と思われるかもしれないが第三者視点から見れば今目の前で足に矢が刺さった盗人はたとえどんな事情があろうと悪人なのだ。まして、そいつに矢を放った蓮がそいつを流せるわけがなかった。矢を放った時点で悪人を捉えるために行った行為だからだ。


そうしてしばらく待っていると、2人のガタイのいい男と剣を持った女を引き連れたさっきの成金野郎が息を切らしながら走って来た。


「ふぅ、ふぅ、ぶー。よ、よくやってくれた。ありがとう!たっく、散々な目にあった。おいリーンこいつを衛兵に突き出してこい!」


リーンと呼ばれた剣士風の女が頷くと蓮が踏んでいる犯人に近づいて来た。それを蓮が手で制した。


「俺の名前は蓮と言う。冒険者だが、慈善活動家ではない。こいつが欲しいなら相応の対価を払いな。」

「な!何を言う!?助けてくれたのではないのか?」

「アホなことを言うな。誰がそんなめんどいことをすると思う?」

「いや、現に蓮殿がやってくれたではないか!」


そこまで言って成金野郎はポンと手を打って急に笑顔を向けて来た。

正直キミワルイ笑顔で吐き気がしていた。


「あ〜そうか!申し遅れましたわしの名前はジュウロウ・ドレッファ。この街の商業ギルドの服長をやっています。お見知り置きお。」


「?」

「?」

「だから?」

「え?いや、だからわしの名前はジュウロウ・ドレッファと申しますと言ってるんです。」

「あんたの名前はわかったから、というか別にあんたの名前は興味ない。」

「な?!なんということでしょう!この街に来て私の名前を知らないとは!ええい忌々しい!覚えおきなさい!必ず後悔させてあげますからね!」


勝手に怒って帰って行ってしまったジュウロウ・ドレッファという成金デブを無視してその光景を面白そうに見ていた成金デブの連れの男の方に「こいつどうしよう?」と声をかけた。こいつとは犯人のことだ。


「あぁ、そいつな衛兵に突き出しといてくれたら1番助かるんだけど面倒いならあんたの好きにしてくれて構わない。」

「そうか、じゃあ放置で!」

「ふふっ、放置か!なかなか鬼畜だな!俺の名前はドレークってんだ。よろしくな」

「あ?あぁ俺はレンだ。」


その男ドレークは先ほどまで憮然とした態度で成金デブの横に居たとは思えないほどにニヤニヤと俺を見ながら自己紹介をして来た。

その後ドレークと少し話をしていると先ほどリーンと呼ばれていた剣士風の女が衛兵を連れて戻って来た。


「む?ドレーク、ジュウロウ様はどこ行った?」

「あぁおかえり、あいつは怒って先に帰ったよ。」

「そうか、珍しいな。ところでお前、先ほどの動きは凄かったな。見事な早業だ。」

「あ?そうか?ところでそっちにいるの衛兵か?」

「そうだ!」

「じゃあこいつが賞金首かどうか見てくれ。」


リーンと呼ばれた女の話をぶった切って衛兵に話をした。俺的には早くこの場を離れたかった。と言うよりはさっさとギルドに行って報告をしたかったのだ。


その後衛兵は犯人を見ると


「あ?!こいつ白仮面だ!」

「有名なのか?」

「えぇ、最近金持ちばかりを狙う奴で足が速くて逃げられてばかりだったんですよ!」

「賞金首か?」

「はい!確か金貨10枚だったかと……後で詰所にこの紙を持ってリョナンに会いたいと言ってください。そしたら賞金をお渡ししますね!ではご協力感謝します。おら!たてっ!」


賞金告げた時に衛兵のリョナンは少し物欲しそうにこちらを見て一枚の紙を渡して来た。その紙には「賞金首拿捕」と「白仮面」と書かれていた。

俺はそれをポケットのインベントリにしまうと衛兵リョナンとリーン、ドレークに「じゃあ」と言ってその場を去った。



所変わってやっとギルドに着いた。

さっきの場所からギルドまで100mもない。

なんか疲れがどっと出て来て速く宿に帰ってベッドに飛び込みたい欲をなんとか抑えて俺は受付カウンターに向かう。


カウンターはランクごとに使えるカウンターがあり、左からFとEランクは2つDとCで3つずつとなっている。Cから上のランクは2階にあり、初心者冒険者と中堅なりたてあたりが1階のカウンターを使っていることになる。

レンはいつも通り1番左のカウンターに並ぶ。


冒険者になるのに基本的に年齢制限のないこの国は誰でもなれると言う点では敷居がとても低いと言える。そのためFランクの冒険者は非常に多い。またFランクから上に上がるには最低でも10匹の魔物を狩る必要がある事もFランクの冒険者が多いことに拍車をかけている。

そうした理由があるからFランク受付はいつも長蛇の列になっている。


そうして列におとなしく待っていたレンの肩に手を置いた1人の人物。


「よぉ〜!さっきの見たぜぇレン!賞金もらえたんだろ?奢ってくれよ!」

「うるせぇぞ!依頼こなして自分の金で呑めよ」

「なんだよ!連れねぇな。」

「いいから、手を離せや重い!」


身長は2mぐらいだろうか、肩幅はカウンターの横幅くらいある。顔は髭面で正直汚いし、顔のパーツも結構散らばってる。身体つきは熊みたいな大男が無遠慮に俺の方に手を置いていたらそれは苦痛以外の何者でもなかった。

こいつの名前はドランボ。この(なり)でまだ15歳って言うんだからドワーフはファンタジーだなぁといつも思う。ドワーフのくせにちっちゃくないところがまた腹立つ。

しかもFランクだし。


「お前遠征行くって言ってなかったか?」


列に並んでいる間暇なのでしょうがないからドランボに話を振る。


「そりゃあ俺は優秀だからな!さっき帰って来てよ!ほれ!見ろよこれ」


笑顔で自分の薄汚い顔の横にEランクの冒険者カードを見せびらかして来た。


「へぇ、もうEランクに上がったのか!」

「そうだよ!お前がのんびりしてるから俺はどんどん先に行ってるぞ?」

「へいへい、俺は冒険者にはならないから別になんとも思わんよ」

「けっ、つまんねぇな。お前と旅したら楽しそうなもんなのにな〜」

「お前もかよ!?俺は狩りができればいいんだよ!」

「ん?誰かに誘われてんの?」

「ガイルっていうやつにもな誘われたんだ。行く気は無いけどな……」


実際ガイルもドランボも最近は割と話す方にはなって来てる。ドランボは同じFランクだったてのもあるし、ガイルとは例の一件があってからはちょくちょく酒場で話すことがある。


「……そうか!まぁいい兆候だな!っとそろそろお前の番みたいだな、俺は帰るわ!」

「おう、じゃあな」


そうしてドランボはどっかどっかと歩いて行った。Eランクになりたてのくせにでかい態度だなあいつ。


「次の方…レンくんですか!今日もウサギですか?」

「いや、今日はウサギと狼ですよ!」


いつもの受付嬢ーー俺がウサギを毎日狩り出してからずっと同じ受付カウンターで対応してくれるーーのレイルさんに俺はインベントリからウサギの耳を掴んで取り出した。


「今日は割と小ぶりですね。」

「あぁ今日はウサギを囲んでる狼がいたからね。先にそいつらをやって来たよ。」


そうして8匹の狼を取り出した瞬間ギルドから音が消えた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ