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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第1章:モブの異世界生活
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続・一狩り行こうぜ!

 僕達は隣町(ペニール村)にやってきた。

 ペニール村はそんなに遠くなく、1時間ほど歩いた場所にあった。道中、巨大なハリネズミに何度か襲われたが、さすが鉄壁を名乗るだけあり、一度もその鉄壁の盾を超えられることはなかった。三人が確実にハリネズミを追い詰め、和田君の大剣でとどめを刺す。効率の良い戦い方であった。自分だったらたとえ盾でハリネズミの針を受け止めたとしても、そのまま貫かれてお陀仏だったと思う。さすが“黒き鉄壁のペリルギ”だ。本当にここまではただの散歩だった。


 「さて、まずはこの村で依頼の詳細を聞くとするか。ちょっと待っててくれ」


 そう言って、ピピンさんが村の中の小さな冒険者ギルドの建物に入っていく。

 冒険者ギルドは大体どの町や村にも存在する。このペニール村みたいな小さな村だと騎士団は滞在しておらず、自衛は村人と冒険者で行っている。村に滞在する冒険者では対応できない事態が起きた時、首都であるペニーニャなどに依頼を送るようだ。そうして、僕達みたいな人間がやってくるのである。

 

 「やっぱり首都を離れると急に文明レベルが落ちる気がするね」

 「そうだな。俺は他にも3つ位町に行ったことがあるけど、騎士団が常駐してた町は発展していたけど、いない町はどこもこんな感じだったな」

 「魔物がいるから安全が確保されないと発展しないのかもね」


 町は数件の建物と冒険者ギルドの建物しかなく、住んでる人数も50人もいないくらいだ。 

 しかし、農場や酪農を行うだけならこれくらいの発展でも十分なのかもしれないな。

 首都からもそんなに離れていないし、不自由はないのかもしれない。

 

 僕達がペニール村の様子を話しているとピピンさんが戻ってきた。


 「村の裏山で山菜狩りをしていた村人がオークを発見したようだ。村に常駐する冒険者が1人しかいないから、何かあった時に対応できないと困るから早目に不安を取り除いておきたいんだとよ」

 「裏山にオークですか。オークってのはもっと高い山に生息しているはずですから、はぐれてきたんですかね?」

 「まぁ、何にせよ。俺たちがぱぱっと倒せば解決だ。まだ、昼前だし、ちゃちゃっと行って倒してこようぜ」


 ペーダさんが気になることを言っていたけど、これくらいよくあることなのかもしれない。

 ペッぺさんの余裕ぷり的にも、あっさり終わるかもしれないな。


 こうして、僕達はペニール村から出発し、裏山に出没したというオーク狩りに赴く。



 裏山というだけあり、山へはすぐに到着した。

 山に入ると、ムードはちょっぴりとぴりぴりとしたものになった。木々が生い茂り、油断をすると突然襲われることにもなりかねない。僕も剣を抜き、緊張感を高める。


 日差しを木々がさえぎるも、蒸し暑く、額を汗がつたう。

 散歩から、急に厳しい登山になった。


 ガサリ!!


 前方から突然物音がした。

 先頭を行くピピンさんが手で僕たちを制す。


 「前方の開けた場所にオークがいる」


 僕は緊張感をさらに高める。

 ピピンさんが指さす方を見ると、ゲームや漫画でみたことがあるオークがそこにいた。しかし、どちらかというと野生の熊にイノシシやブタを融合させたような外見だ。原始的な服とか着てるのかと想像していたけれど、そんなことはなかったようだ。

 思っていたよりも怖い。唾がでなくなる。


 「じゃあ、いつもどおり俺たちが三人が注意を引くから、その隙ににけんじがとどめをさせ」

 「お、おう」


 ピピンさんが作戦を伝える。

 狩りに慣れてきた和田君もやっぱり大物は緊張するのだろう。緊張しているのが僕にまで伝わってくる。

 そんなに緊張してると僕までさらに緊張しちゃうわ・・・・そんな時、ぽんと、背中をたたかれる。


 「安心しろよ。俺たちは何度かオークも狩っている。すぐに終わるぜ」


 ペッぺさんがそう言って、オークに突撃する。

 それに合わせて、ピピンさんとペーダさんも駆け出す。

 和田君と一瞬目があった。すると、親指をあげ、

 「ちょっくら、狩ってくるわ」

 そう言って、和田君も走りだす。


 

 僕は少し離れた場所で戦闘を見守る。

 やっぱりオークに対しても彼らの守りは鉄壁で、恐ろしいくらい威力のありそうなタックルを受けてもその壁が壊れることはない。ハリネズミの時より若干よろめいている気もするが、それでもまだまだ見ていて安心感がある。そして、その突進を受け止めた隙をつき、和田君が一撃を入れる。ハリネズミのように一撃で倒すことはできないようだが、オークの体に傷が刻まれていく。


 「すごい・・・・」


 人間が大きな熊のようなイノシシのような巨大な生き物を圧倒している。爬虫類をペロンギさんが一刀両断した時とはまた違った凄さがある。レベルを上げていくことでここまで人は強くなれるのか。

 

 次第にオークの動きが鈍くなっていく。

 和田君の攻撃頻度も上がっていく。隙が出来たら一撃あてて離脱するスタイルから、連続で剣を振っていくスタイルにわかっていく。


 「おら~!!!」


 激しい雄たけびとともに和田君の渾身の一撃がオークの脳天に直撃する。

 その一撃が決定打となり、オークの体から霧状の者が湧きだし和田君に吸収されていく。


 「お~、やったな」

 そう言って、ピピンさん達が和田君の元に近づいていく。

 その時、少し離れていたところにいた僕はかすかな異変に気付いた。周囲で鳥たちが一斉に飛び立っただのだ。これは和田君の一撃が決まった時には起きていなかった。

 みんなはその異変に気づいていない。


 「みんな、危な―――-」


 僕がみんなに危険を知らせようとした時、突如爆音が響き渡り、森の中から先ほどのオークよりもさらに巨大で力強そうなオークが大木を持って現れた。そうして、オークが手に持った大木をみんなに向かって一振りした。

 

 「な!?」


 今まで鉄壁を誇っていたピピンさん達がその一撃で派手に吹き飛ばされていった。

 

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