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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第3章:モブのゲシュタルト崩壊
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因縁の対決:後編

 「はぁああああああ!!!」


 僕は光輝く聖剣に導かれるままに剣を振る。

 これは自分の意志か、聖剣の意志か。意識ははっきりしているし感覚も鋭敏だが、いつも以上の万能感が自分の行動の源を曖昧にさせる。


 しかし、今はそれでも構わない。

 こいつを倒せるのであれば、自分の力でなくても構わない。


 僕は全力で剣を振った。


 「調子に乗るなよ~!!!この屑が!!!」


 男もいつの間にかいつも以上にまがまがしい剣を持っている。もしかしたら、それもこの剣と同じような

特別な剣なのかもしれない。邪悪なものであるが。

 

 僕の剣と男の剣がぶつかる。

 光と闇がぶつかる。


 お互いの剣の力は拮抗しているらしく、僕達はお互いに弾かれる。


 「そんな!聖剣でも通用しないのか!?」


 タッタさんが心配そうな声をあげる。

 心配しないでほしい。まだたった一撃ぶつかりあっただけだ。そんな一撃で片付くほど甘い相手だとは思っていない。まだまだ戦いはこれから。 


 僕はすぐに体勢を整え、第2撃をはなつ。

 神宮寺君の技をまねて、剣から光の剣戟を飛ばす。


 ライトニングスラッシュ。技名を叫びたくなる気持ちもなんとなくわかる。

 

 放たれた光の剣戟が男にせまる。

 男もすでに体勢を整え、その一撃を迎え撃とうとしている。


 男が手をかざすと、闇が広がり、光の剣戟をかき消す。


 「ははは、そんな一撃が私に届くと思うなよ」

 「うん、そんなに舐めてないよ」


 僕はもちろん弾かれると読んでいた。

 万能感を感じていても油断はしない。


 光の剣戟をかき消す際に生じたわずかな死角をつき、一瞬で男の横へと移動していた。


 剣がまぶしく光輝く。

 僕は剣を男の胴に向かって振った。


 横一線、男の体の一刀両断を狙う。


 「ちぃ!!」


 しかし、男はそれを避ける。

 そして、そのまま腕をふるって、僕にむかってペロンギさんを打ち抜いた漆黒の何かを放つ。


 僕はそれを剣で確実に撃ち落とす。

 そのまま打ち落としながら、離された距離を詰める。


 仕切りなおして、お互いに剣をぶつけ合う。


 「は、速すぎる・・・・」


 三上さんがぼそりと呟く。

 ビルボさんの方が速いよ。多分ね。


 僕は男に剣を振り続け、男はそれをいなし続ける。

 男も僕に剣を振り続け、僕はそれをいなし続ける。


 「ち・・・らちがあかないな!地龍!!!」


 男が憎々しげにそう叫ぶ。

 地龍に助太刀を期待してるのかな?甘い、甘い。


 地龍は男に命令されるも動かない。

 

 「なぜだ!?」

 「はは。この聖剣の光で正気に戻ったんじゃないか?」


 この剣を持った時から、地龍にへんな邪気がまとわりついているのを感じていた。

 さっきの光の剣戟を放った際、こっそりとその邪気を切り裂いていたのだ。


 「く・・・・、憎たらしいやつめ」

 「お前に言われたくない、ぜ!」 


 僕はわずかに生じた隙をつき、男に一太刀を浴びせる。

 男は影に潜り距離をとった。


 僕はそっと剣を構えなおす。


 「ぐぐぐ、あと少しで私の野望が叶うかもしれないと言うのに・・・・」 

 「お前の野望が叶うことはない。僕がここでお前を討ち、ともこちゃんを救うからな」


 男が憎々しげにこちらのをみる。

 しかし、ふっと表情を和らげる。


 「わかった。お前は強い。もはや龍もそちらの手にわたった以上、私に勝ち目はないのだろう」

 「諦めるのか?」

 「フ、しかし、このままただでやられるものか!どうせ死ぬのならお前達を巻き添えにして消えてやる!!」


 男が体をぎゅうと抱え込む。

 外へ外へとあふれだしていた邪気が一気に男へ収束していく。


 龍達もその男の様子に脅威を感じたのか、どちらともいわず、男へ向かってブレスをはこうとしている。


 まさか、自爆する気か!?


 僕は三上さんとタッタさんを見る。

 ふたりとも不安そうな表情をしている。


 何か手はないのか・・・。

 時間がゆっくりと流れているように感じる。


 僕が手を考えていると、剣が光輝いた。

 剣が俺に任せろと言っているように感じる。 


 馬鹿げているかもしれない。

 しかし、今は信じてみるしかない。


 僕は光輝く剣を手に男へと向かう。

 

 「武井君!!!」


 三上さんが叫んでいるのが聞こえる。

  

 でも、これしかない。

 龍のブレスもきっと間に合わない。

 

 「うわああああああああ!!!」


 僕は光輝く剣を男に突き刺した。

 剣から男へ向かって光が流れ込んでいく。


 剣から生じた光は男へ集まっていた邪気とまざりあっていく。


 「く、、くそが。最後の最後まで邪魔をしやが・・・・て」


 そして、一瞬男の体が光輝いて、すっと消えた。


 男も、邪気も、光も消滅した。

 突き刺した剣もボロボロと崩れ落ちていく。


 「聖剣が・・・・」

 

 ボロボロと崩れ落ちていく聖剣はそして完全に塵となって消滅した。


 「やった・・・・のか」


 あいつと会ってから色々なことがあった。今までの日常を壊されいきなり冒険が始まった。結局名前もしらなかったけど、ついに決着を迎えた。


 僕は三上さんとタッタさんの方へと振り返った。

 きっと二人の笑顔が見れるはずだ。


 しかし、そこには緊迫した表情の二人が。

 どうしたんだ?ようやく倒せたって言うのに。


 

 そのすぐ後に二人の表情の意味を理解した。

 男を狙った龍のブレスが僕を襲ったのだ。


 なすすべもなく僕は龍のブレスで吹き飛ばされた・・・・

 

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