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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第3章:モブのゲシュタルト崩壊
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龍、飛翔!!

 銀色の龍がこちらを見る。

 その瞳はどこか意志を感じられる。とてもただの獣、魔物には見えない。まるでビルボさんや、バギンスに見られているかのような気持ちになる。


 戦っても勝てるとは思えない。

 それでも僕は剣を抜いた。三上さんも槍を構える。


 「ふぅ、ふぅ、ふぅ。三上さん。僕がなんとか囮になるからその隙に逃げるんだ」

 「そんな。囮になんてなったら絶対死んじゃうよ。そんなの駄目」

 「でもどちらかが囮にならないと二人とも死んじゃうよ」


 僕達は小声でやりとりをする。

 一体どうしたらいいんだ。二人が無事に逃げ延びる未来を想像することができない。

 そもそも囮にだって決死の覚悟を持って臨んでも上手くいくかわからない。それだけこの龍から感じるエネルギーは尋常じゃない。それこそ神宮寺くんから感じたエネルギーでようやく並べるかといったところか。流石魔王を除いた全魔物のトップに君臨しているだけはある。 


 僕達がやりとりをしてる間も龍はこちらをじっとみつめている。

 僕達は蛇に睨まれた蛙のように動けない。

 

 5分か10分か、はたまた5秒か10秒か。時間感覚がマヒしてくる。一瞬のような気もするし、とてつもなく時間が経っているようにも感じる。

 突然龍が首を下げた。


 「くるか!?」


 僕達は戦闘態勢をとる。

 

 「待て待て待て待て!!」


 すると、龍の上から人の声が聞こえてくる。

 龍は首を下げたまま襲ってくる気配はない。そして、その首の上から人が飛び降りてきた。

 飛び降りた人影には獣耳が生えており、どこかでみたことあるような・・・・。


 「あ・・・タッタさん!?」


 「おう!久しぶりだな。どうしてこんなところにいるんだ??」


 なんと龍の上からやってきたのはあのタッタさんであった。一緒にケルベロスと戦い、ピッピのしずくを手に入れた獣人のタッタさんであった。


 「いや、ちょっと。ていうかなんでタッタさんがニブルヘイムの上から下りてくるんですか。どういう関係なんですか、一体」


 「ははは、それはなかなか色々あったから話すと時間かかるかもしれないぞ?」


 こうして僕達はお互いに情報交換をすることになった。

 ともこちゃんを奪われて意気消沈していた僕達だったたけど、みんな気持ちを立て直し色々と調べたこと。そしてひょんなことから“全知の賢王”の存在を知り居場所を尋ねにきたこと。ともこちゃんはピッピの木の奥深くにいることがわかったこと。そして今さっき起きたことを話した。


 「そんなことがあったのか。お前達ならきっとやられっぱなしで終わるわけないと信じてたぜ」

 「本当ですか?1人でもやってやるって言ってたのに」

 「そりゃあ、あの時はな。でもすぐにあのまま終わるわけないってな。それにしてもピッピの木にいたのか」

 「灯台もと暗しってやつですね」

 「あ?なんじゃそりゃ」

 「元いた世界のことわざです」

 「そうか。それじゃあ次はこっちの番だな」


 僕達から離れた後に村に戻ったこと。そして、マッチ村長と話し合い龍に助けを求めることにしたこと。最初は森の龍に助けを求めたが断られたこと、そして今はこの山にいる氷龍に会いに来て無事に手伝ってもらえるようになったらしい。そして、村に帰る時に偶然僕達をみつけたようだ。なんて運がいいのだろう。


 「そんなことがあったんですか」

 「ああ、俺達獣人は昔からピッピの木と龍を信仰しているからな。地龍に断られた時は絶望したけど、無事にこうして手伝ってもらえるようになって良かったぜ。これであの不気味なやつを完全に消滅させることができるはずだ」

 

 「私たちも一緒に乗せていってもらえるでしょうか??」


 三上さんが尋ねる。

 

 「おう、ちょっと待ってろ。一応聞いてみるから」


 そう言って、タッタさんが龍に向かって話しかける。

 龍がまたも僕達を品定めするかのように眺める。相変わらず全身を見透かすようにじろじろと見つめている。バギンスさんみたいに心の声まで聞こえてないだろうな。


 ドキドキ・・・・


 龍に見つめられるだけで生きた心地がしない。


 龍がふーんと鼻息をだした。

 どうなんだ?駄目なのか?ちょっと機嫌悪そうだけど。じろじろみつめてとか思ったのは良くなかったか?


 「いいってよ。龍は気難しいからひやひやしたけど良かったな。じゃあ、さっそくピッピの木に向かおうか」


 「「はい!!」」



 僕達はおっかなびっくり龍の背に乗った。

 当たり前かもだけど、馬みたいにちゃんと乗る場所が確保されてるわけじゃないんだな。

 これ落ちないよな??


 「うわ~すごい高い!!」


 三上さんはこどもみたいにはしゃいでますけども。

 龍が頭をあげると、それだけでかなりの高さになった。

 まぁ、辺り一面雪景色なんだけど。

 

 「はは。もっと高くなるからな。落ちるなよ」


 タッタさんがそう言うと、一気に氷龍が飛び上がった。


 「ははは、早い!!」

 「それにめちゃくちゃ高いよ!!」


 僕達は落ちないように必死に鱗にしがみついた。


 ぐいぐいとスピードが上がる。


 「これならピッピの木まで2日もかからないで着きそうですね」


 「ああ、途中一度ガガル王国で休んで、その次の日には着くだろう」


 待っててね!ともこちゃん、今パパが助けに行くからね!

 しかし、まじで落ちないよな?これ。

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