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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第3章:モブのゲシュタルト崩壊
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藁にもがる

 「ねぇ、僕達はどうしたらいいのかな?気持ちばっかり先走って結局何もできていないよ」


 「しらねぇよ。自分でどうにかしろ」


 厳しい言葉である。

 しかし、結局最後の最後でどにかできるのは自分自身をおいて他にいない。他人に頼ってばかりでは道は切り開けないのである。


 「つまりはそういうことだね?飯室君」


 「はいはい、そうですよ」


 僕は飯室君のマッサージ屋に来ていた。

 この2日間、徹夜で本を読み漁ったにも関わらず一向にてがかりはつかめていない。

 得たものは焦りと眠気だけであった。


 そんなわけで一旦解散となり、僕は息抜き&情報収集で飯室君のところにやってきたのだ。

 こういうのは意外なところから意外な情報が入ってあっさり解決したりもするのだ。さっきも有意義な話ができたし、藁にもすがる気持ちである。


 しかし、飯室君はマッサージが上手い。

 気を抜くと気持ち良くて眠ってしまいそうになる。


 ああ、そこ気持ちいい。



 

 そして、僕は本当に眠ってしまった。



 


 目が覚めた。お昼位に来たはずなのに、辺りは暗くなり始めていた。

 

 「お、やっと起きたかよ」


 飯室君がイライラした顔を向けながら言う。


 「マッサージ気持ち良かったです」

 「そうかよ。昼寝代も含めて、銀貨10枚な」

 「高!ぼったくりマッサージ屋だ、ここ」


 銀貨10枚と行ったら大体1万円位である。

 宿やに2泊できる。


 「お前が一番客はいる時に場所とって寝ちゃうのが悪いんだろ。起こそうと思っても全然起きないしよ」


 く・・・・とは言え、銀貨10枚は高すぎる。


 「おい、テツヤ。ぼったくりはやめろって言ってるだろ。気持ち良く寝て、気持ち良く帰ってくれればまた来てくれるかもしれないんだからさ」


 奥の部屋からメガネ君がでてくる。

 そういえば、経理やらなんやら雑務をやってるんだっけか。


 「そうだ、そうだ~。ぼったくり反対」


 「く・・・・わかったよ。銀貨2枚な」


 メガネ君のおかげでぼったくられずに済んだ。

 働いてなかった僕にとって銀貨10枚なんてちょっと冗談ですまない金額だったのだ。


 「メガネ君、ありがとう!」

 「メガネ君ってひどいな。あのままぼったくられてればよかったかな?」

 「冗談だよ、神崎君。ごめんごめん」

 「む~、次からちゃんと名前で呼んでよね」


 「うん」


 


 僕は神崎君に銀貨2枚を渡して店を出た。

 2連続の徹夜明けで眠気がピークだったんだな。マッサージが気持ちよかったのもあるけど、まさか寝てしまうとは。


 疲れだけとってなんとか夜まで起きてから寝るつもりだったのに。

 これでじゃあ昼夜逆転してしまうよ。とぼとぼと歩いていると、見慣れた人が目に入る。


 「む・・・・あれは?ペロンギさん!?」


 僕はあわてて、ペロンギさんのもとへと走って行った。


 「おお、ともたけ。どうしたんだ?そんなに急いで」

 

 「どうしたもこうしたもないですよ。どうしてもう鎧を着て外を歩いてるんですか。この前目が覚めたばっかりじゃないですか!」


 いくらピッピのしずくを飲んだとはいえ、ちょっと前まで呪いにむしばまれていたのである。こんなすぐに体を動かしていいはずがない。


 「ああ、もう2日もゆっくりしたからな、全回復だよ。大丈夫大丈夫。あんなことがあった後だからな、動けるならすぐにでも仕事に戻らないと」


 この人はまったく、どうして。

 しかし、そんな仕事に対する姿勢なんかも好きなところの一つなのだからしょうがない。


 「まったく。しょうがないですね」


 僕はそう言って笑う。


 「そういうともたけも、もう大丈夫みたいだな」


 「え?」


 「このまえ私の見舞いに来た時は目が死んでたからな。またうじうじ何かに悩んでるのかと思ったが、今はすごくすっきりしているように見える」


 はは、ペロンギさんはガサツな感じなのに本当に周りをよく見ている。


 「ええ、もう大丈夫です。悩むだけなんて無駄ですもんね。体を動かさないと。生き物はそれだけで十分、ですよね」


 「ああ、そうだ。体を動かして、美味しくご飯を食べれればそれで十分だ。でも、今のお前みたいに、悩んだまま行動して何かを必死になそうとする姿はそれ以上に高潔で素晴らしいことだとも思うぞ。頑張れよ」


 「あ、ありがとうございます」


 僕はペロンギさんの言葉にちょっぴり泣きそうになる。

 理由はわかない。


 「ま、私に告白したんだからそれ位の男にはなってもらわないとな。ははは。」


 顔が真っ赤になる。

 告白の件、なんだか僕がペロンギさんのことを好きだって伝えて以降なんの進展もない。会うたびにこういう風に話題にはするのに、答えを聞けていない。


 「あ、あの、その件なんですけども」


 僕は勢いで聞く。

 もうあいまいなままに耐えられない。


 「なんだ?」


 「僕がペロンギさんのことを好きなのはわかってくれてると思います。それで、その、付き合ってもらえるんでしょうか?」


 「・・・・・」


 ペロンギさんが考えている。

 

 「だめでしょうか」


 ペロンギさんも顔を赤くしている。

 好きだとは言ったけど、付き合ってくれとは言っていない。ということは、ちゃんとした告白をしたのって今日が初めて?いや、しかし、ペロンギさんも告白と言ってたし。あれ?好きって伝えることと付き合ってくれとお願いするのは別物か?

 

 僕の顔がさらに顔が真っ赤になっていく。

 ちょっと早まったかもしれない。


 しかし、聞いてしまったからにはもう戻れない。


 「決闘だ」


 「え?」


 「決闘して私に勝てたら付き合ってやろう」


 「えええええええええええええ????」


 またもよくわからない決闘が始まる。


 

 

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