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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第1章:モブの異世界生活
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ダンジョンに挑戦

 「武井君、右から2体迫ってきてるよ」

 「お、おう」


 僕は東堂さんの指示のあった方に向かって勢いよく剣をふる。

 僕の剣は右から迫ってきていたジャイアントスパダー、つまりは大きな蜘蛛を真っ二つにする。

 しかし、一体には逃げらてしまう。


 「ごめん、一体逃がした・・・」

 「任せろ!」


 和田君が僕が逃がした蜘蛛に向かって、剣をたたきこむ。

 無事にするどいダメージを与え、迫ってきた2体の蜘蛛を撃退することに成功した。


 「おお、お前たち成長したな。」


 ペロンギさんも僕たちの見事な戦いぶりに驚きの声をあげる。

 

 「師匠がいいんですよ!師匠がね」

 「む・・・そんなおだててもなにもでないぞ」

 「帰りは串焼きだな!」

 「わーい、この世界の串焼きすごくおいしいんだよね」

 「だからそんな俺はちょろくないってのに」


 


 僕たちはダンジョンにきていた。

 神宮寺達がダンジョンから帰還して戦闘訓練が再開した後、またもウサギ狩りな日常に戻ったのだが、レベルが10を超えた頃に和田君が冒険したいとペロンギさんにしつこく迫り、僕たちは神宮寺達が攻略したダンジョンに挑戦することになったのだ。そろそろ次の段階に進むころ合いだったらしく丁度よかったらしい。


 「いやー、でもダンジョンって思ったより簡単だな」


 和田君が腕を頭の後ろに組みながら余裕そうに呟いた。


 「そうやってすぐに調子のらないの。ペロンギさんが言ってたでしょ?一度攻略されたダンジョンは大分安全なものになるって」

 「そうだけどよ~」


 ダンジョンには最奥にボスが待ち構えていて、そのボスを倒すまではダンジョン内が異様に高い魔力を帯び魔獣や魔物が出現しやすくなるらしい。つまり攻略とはダンジョンのボスを倒すことで、ボスを倒すとダンジョン内の魔力が雲散霧消し魔獣の数が減るということらしい。


 「いくらボスが倒されたといっても、地上より危険な魔物と遭遇する可能性があるんだから、気は抜くなよ」

 「はーい」


 東堂さんとペロンギさんに注意された和田君は腕をおろし、武器を構えなおす。


 「でも、このダンジョンって大きい虫がたくさんいるから嫌いです・・・」

 「僕も同感。正直早くでたい」


 町の近くのこのダンジョンには、先ほどの蜘蛛や、おおきなムカデなど、なぜか昆虫のような魔物が多かった。

 虫嫌いには地獄だ。


 「それもあるけどさ、暗いしじめじめしてる気がするし、思ってたより楽しくないよな」


 林君も三上さんと僕に同調して愚痴り始める。


 「そうか?すごい冒険感でてて俺はわくわくするけどな」


 和田君がそんな僕たちをみて理解できないと首をふる。

 和田君以外のメンバーは理解できないものをみるような目で和田君をみる。


 「まぁ、ダンジョンってのはそんなもんさ。どんな環境でも戦えるようになる修行としては最高の場所だ。それに魔物もウサギよりはどれも強くてレベルも上がりやすくなるしな」


 

 しかし、安全になったとは言っても、1時間に3回は魔物と遭遇するからあまり気は抜けない。

 このダンジョンは10階層になってるらしく、攻略して道順などはわかっているとはいえ、最深部まではかなり時間がかかる。

 次の階が最深部というところまで4時間もかかった。

 神宮寺君達が挑戦した時はまだまだマッピングも終わっていなかったダンジョンだったので、きっとこの3倍はかかったはずだ。こんな中に一日以上閉じ込められていた神宮寺君達に軽く同情した。いくら聖武器に選ばれているとはいっても同じ高校生なのだから。


 そんことを考えていると、このダンジョンの最深部へと到着した。

 

 「ゴール」


 和田君が勢いよく最深部の部屋へと入る。

 続いて、僕たちも部屋へと入っていく。


 「ここが最深部かぁ。長かった・・・・」

 「なんか装飾が人工物っぽくなってるね」

 「ボスってどんな魔物だったんだろうな」

 「やっと虫から解放された~」


 各々が感想を呟く。

 それに対して、ペロンギさんが

 「お前たちはマッピングされた地図があったんだから大分早いペースでこれたんだぞ。人工物っぽいのは外の遺跡がダンジョンの発生に伴って一部吸収されたからだな。このダンジョンのボスはミノタウロスだったらしいぞ。道中は虫ばかりだったのに不思議だよな。ダンジョンは謎が多くて楽しいぜ」

 応える。


 ミノタウロスか。今まで、ウサギだったり恐竜だったり昆虫だったり現実世界でも見ることができそうな生き物が多かったけど、ここにきてなんかすごい異世界っぽいのがでてきたな。


 「ミノタウロス!なんかファンタジーな感じでいいな!」


 和田君も僕と同じような感想をもったみたいだった。


 「結構強かったみたいで、エリート騎士団でもなかなか歯が立たなかったらしい。それを異世界からきたお前達の仲間がかっこよく倒したらしいぞ。なんでも一緒に挑戦した騎士達は葛城の美しい槍さばきに見とれたものや、神宮寺の神々しい剣に魅入られた者もいたらしくて、今でも騎士団内でああだこうだと話題にのぼってるぞ。大きな派閥としては葛城派と神宮寺派に分かれるけど、武骨な感じの轟も一部では人気だな。弓つかいは同じ弓使いの長宗我部を推してるし、紅一点の涼宮も熱狂的なファンがいるな」


 異世界にきてまだ2週間もたっていないのにあの5人はすごい活躍してるな。

 きっとこういう冒険譚が伝説の一つとして語り継がれるんだろうな。召喚されて1週間ほどでダンジョンを攻略した勇者達!、みたいな感じでさ。

 かっこいいな。


 「お前達も負けじに強くなれよ!」

 「「「「「は・・・はい」」」」」


 昆虫とか小動物ばっかりと戦ってるからどうにもこうにも自信がわかない僕らであった。

 


 

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