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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第2章:脱モブ宣言!
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ダンジョンに挑戦2

 村を出発して30分ほどが経過した。

 僕達はけもの道をひたすら走った。


 「あとどれくらいで着くんですか?」


 「もう少しで着くからそろそろ気合いいれてけよ」


 タッタさんが走りながら僕の質問に応える。

 ここまで恐竜型の魔物2体しか遭遇していない。

 ダンジョンから魔物があふれ出てきているにしては少ないような気もする。


 そして、そのまま魔物と遭遇することなくダンジョンに到着した。


 「ここがダンジョンか・・・・」


 ペニーニャ城の近くに出現したダンジョンと同じように、地面にぽっかりと穴があいている。

 そしてなぜか階段があって地下へと進んでいけるようになっている。


 「ダンジョンの様子はどうだ??」


 タッタさんがダンジョンの近くで防衛線を築いている獣人の戦士に声をかける。


 「昨日の昼から2体しかでてきておりません。小康状態が続いております」


 獣人の戦士は敬礼してこたえる。


 「2体ってのは少ないんですか?」


 「普段のダンジョンだったら1日で2体も出てくるというのは多いんだが、このダンジョンは多いときで1日50体ほどがでてきていたからな。それに比べると恐ろしく少ない」


 「それは逆に不気味ですね」


 「ああ、何事もなければいいんだが」


 嵐の前の静けさか。はたまた偶然少ないだけなのか。

 どっちにしろ僕達はこのダンジョンに挑むしかないのだけれど。


 「よし、じゃあ行こうか」


 「「「「はい!」」」」


 僕達はダンジョンへと一歩を踏み入れた。



 

 ダンジョンの中は天井が高く、道幅も広かった。

 ここなら戦闘もしやすいだろう。


 僕達はタッタさんの案内の元、最短距離を一気に進む。


 「中も魔物の気配が少ない・・・・」


 タッタさんはどこか考え込むようにしながら先頭をいく。


 「ともたけ、なんだかラッキーだったな。これならあっさりボスまでたどりつけるかもしれないな」


 和田君が軽い感じで話かけてきた。 


 「そうだね。でもそういうこというとフラグになっちゃうんじゃない?」

 「リアルにフラグなんてないから大丈夫だろ」


 この前のハイオークの時はフラグを立ててばっちり回収したのを忘れたのだろうか。

 まぁ、しかし、本当に静かなダンジョンだ。


 僕達がちょっぴり気が抜けかけてきたころ、タッタさんが手を横に広げ僕達を制止した。


 「魔物の気配がする」


 ごくり・・・・

 剣を抜き、構える。

 

 「来たぞ!!」


 タッタさんが叫ぶと同時に、前と上と横から同時に何かが飛びかかってきた。


 「ギシャ―」


 鋭い爪が頬を掠めそうになる。

 僕はそれを寸前で避けて、魔物に対して思い行きり剣を降った。


 ガッ!っと思っていたよりも硬くその体を切断することができない。

 しかし、その衝撃で少し吹き飛ばすことはできた。


 そこには茶色い皮膚をしたゴブリンのような魔物がいた。

 洋画の“ディセント”の怪物のようなやつであった。


 「なんだ!こいつ。まるで“ロード・オブ・ザ・リング”のゴラムみたいなやつだな」


 和田君が大剣で魔物の攻撃を受けとめながら叫ぶ。

 うん、そっちの方がわかりやすい。


 「きゃあ!」


 東堂さんが悲鳴をあげる。

 僕はぱっと後ろを振り向く。


 林君が東堂さんに襲い掛かってきた魔物の攻撃を腕で受け止めていた。


 「く・・・・」


 腕からは血が滴っている。

 魔物は腕を怪我した林君に向かって、追撃を行おうとしている。

 僕はすぐに後ろへと飛び出し、その魔物に剣をふる。


 その魔物は僕の気配に気づき、距離をとった。


 4匹の魔物に囲まれてしまった。


 「東堂さん、林君の治療を!」


 「うん。ヒール!」


 東堂さんと林君を内側に入れるように陣形を組む。

 現在戦えるのは僕と和田君とタッタさんの3人。対して敵の数は4人。しかもそこそこに強そうである。


 敵も油断はしていないようで、無暗に襲ってくることはない。


 膠着状態が続く。


 「うお~、しゃらくさい!!」


 和田君が大剣を大きく振りかぶり、横振りに思いっきり振り向いた。

 膠着状態が崩れ、それぞれが僕達に襲い掛かってくる。


 ただ剣をふっただけではこいつは切れないかもしれない。

 それならば、


 僕はぎりぎりまでタイミングをはかる。


 まだ・・


 まだ・・・・


 いまだ!!


 魔物が僕に襲いかかる一瞬の隙をついて剣を降り抜く。

 先ほどは切ることができなかった魔物が2つに分断される。

 敵が襲いかかってくる威力を利用し、敵の一瞬の油断と力む瞬間を捉えることで剣の威力を何倍にも引き上げる技だ。僕が見たペロンギさんの最初の技で、もっとも練習してきた技でもある。


 魔物からいつのものように煙が噴き出す。そして肉体がぼろぼろと崩れ土になって消えた。 


 「よし!」


 すぐに他の魔物へと意識を向ける。

 残りの3体もタッタさんと和田君によって無事にしとめられたようであった。


 僕は輪の中で治療されていた林君に目を向けた。


 「林君、大丈夫?」

 「ああ、大丈夫だ。籠手のおかげでそんなに傷は深くなかったみたいだ」

 「それならよかった」

 

 東堂さんの治療は続く。そして、光輝いていた腕が元にもどり、血はとまったようであった。


 「ふぅ。無事に元に戻ったよ」

 「ありがとう」

 「いや、こちらこそありがとう。林君がいなかったら死んでたかもしれない」

 

 とにかく二人とも無事でよかった。

 やっぱり治療ができる人が1人いるというのは安心感が大分違うな。


 次に僕はタッタさんのもとに近づいた。

 

 「こいつらがこのダンジョンのメインの魔物ですか?」


 「ああ、そうだ。前回の時はこいつらが信じられないくらい湧いていて、絶えず戦闘しながら進んだんだが・・・・」


 タッタさんが考え込む。

 こんな手強い魔物が絶えず襲ってくるなんて。そんな状況では僕達でもボスの元までたどり着けなかったかもしれない。

 今回は神様が味方してくれているようだ。


 「ベストタイミングでしたね。理由はわかないですが、魔物が少ない今は絶好の攻略チャンスです」


 「そうだな」


 僕達は再びボスを目指して進み始める。

 最初の戦闘で敵の強さを把握した僕達は油断することなく、順調にダンジョンを進んでいく。林君と東堂さんも最初こそ怪我をしてしまったが、それ以降は問題なく戦闘をこなしていく。

 そして、僕達はボスがいるという部屋の前までたどり着いた。


 「ここにボスが・・・・」


 僕はじっと扉を睨む。

 

 「ああ、三つの首を持つ地獄の番犬が待っているぞ。必ずやタッチ隊長の無念を晴らして見せる」



  

 

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