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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第1章:モブの異世界生活
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ペニーニャ城防衛戦:前篇

 僕達は城から出て、原っぱに整列している。

 騎士団が先頭で隊列を組み、その後ろに冒険者たちがうろうろとしている。


 僕達は冒険者グループの方にいた。

 林君は弓兵として城の上に移動した。

 なので、今僕達は、僕、和田君、東堂さん、三上さん、黒き鉄壁のペリルギの三人の計7人グループとなっている。


 魔物の大群が原っぱを真っ黒に染め上げている。

 ここから見える範囲だと、ゴブリンやオークといった魔物達がひしめき合っている。

 あちらもなんとなく隊列を組んでいるように見える。

 大群の真ん中で鎧を着た人間のような魔物が馬に乗って指揮をとっているようだ。ここから見える感じでは頭の部分が見当たらない。首なしの騎士だ。


 僕達人間達の作戦は、無理のない範囲で突撃して魔物の数を減らし、ホラ貝の合図で城に戻って籠城戦をするというものになっている。しかし、この戦闘で終わらせられるのがベストであり、みなもそうするべく士気を高めている。


 初めての戦争の前にそわそわしていると、ヤンキー君が話しかけきた。

 後ろにはイケてるグループの2人と秀才君がいた。どうやらギャル子ちゃん達は来ていないようだ。


 「おい、武井、もう怪我はいいのかよ?」


 「涼宮さんの治療のおかげでもうばっちりだよ」


 「そうか。お前がぼろぼろになって神宮寺に担がれてきた時は何があったのかと思ったぜ。お前ほどのやつがそこまでなるなんてよっぽどのことがあったんだろうな」


 「僕ほどって。僕なんて大したことないよ」


 「そんなこと言ったら怪我をした状態でやられた俺達がみじめじゃねえか。そんなことは言うんじゃねーよ」


 「ごめんごめん。」


 「この戦いが終わったらリベンジするから絶対に死ぬんじゃないぞ。お前に勝って、そして胸をはって計画を遂行する」


 ヤンキー君がそういって去って行った。イケてるグループの人達が続く。

 ヤンキー君の後ろにいた秀才君がこっちに向かってくる。


 「あれは飯室君のてれ隠しだから。本当はすごい心配してたんだよ。それじゃあ、お互い頑張ろう」

 

 「ありがとう」


 そういって、秀才君がヤンキー君、いや、飯室君達のもとへと戻って行った。


 「どうしたのよ?飯室君達が話しかけてくるなんて珍しいじゃない」


 東堂さんが僕に尋ねる。


 「実は最近ちょっとあいつらと色々あってさ。お互い頑張ろうってエールを送りあったんだよ」

 「そう。やっぱりこういう異常事態だとおかしなことも起きるのね」

 「そんな言い方しなくても」


 その時、ホラ貝の音がなる。

 

 ゴクリと唾を飲み込む。

 ついに始まる。

 

 みんなの方に向く。

 みんなどこか不安そうな顔をしながらも、しかし目の奥は燃えていた。

 和田君と目があい、お互いにサムズアップをした。

 

 


 「全軍用意!!!突撃!!!!!!」


 神宮寺君の合図とともに騎士団が一斉に走り出した。

 城の上からは弓兵が矢を放つ。

 魔物の群れもほとんど同時に突撃してくる。


 少し遅れて、冒険者と僕たちも走り始める。


 騎士団が魔物の群れとぶつかりあう。


 そして、僕たちも戦闘の中に入って行った。

 人々がひしめきあいながら、剣をふる。


 僕たち7人はしっかりと隊形を構築し、魔物を迎え撃つ。

 黒き鉄壁のペリルギの三人が魔物の進行を止め、その隙に、三上さんが槍を放つ。僕と東堂さんが右と左からくる魔物を撃退し、和田君がそれぞれ隙ができたところの魔物を葬る。


 「こいつら普通のゴブリンより強いぞ」


 和田君が魔物を倒しながら叫ぶ。


 僕たちのところはゴブリンが多かった。

 一般的にはこん棒や、錆びた剣などしか装備していないのだが、このゴブリン達はどれも簡単な鎧とさびていない普通の剣を装備していた。そのため、いつもよりも手強くなっていたのであった。

 

 しかし、


 「でも、私たちの敵じゃないわ。ペロンギさんの訓練のおかげで戦えてる!」


 東堂さんが叫ぶ。

 東堂さんの言うとおり、僕達はそんなゴブリン相手に優位に戦うことができていた。

 

 僕達は順調にゴブリンを駆逐していく。


 しかし、順調な僕達とは裏腹に、他の冒険者たちは苦戦している。

 次第に戦況が悪くなっていく。


 ゴブリン達は苦戦している冒険者たちのもとへ徐々に集まって行った。



 「ゴブリン達がこちらの崩れそうなところを攻めてきてるぞ!」

 

 僕が声をあげる。

 

 「あそこに指揮をとってるみたいなゴブリンがいるよ!」


 三上さんが指さす方に目を向けると、そこには他のゴブリンよりも一回り体格が大きく、鎧や武器も良いものを装備したゴブリンがいた。

 

 「あいつを倒そう!」

 「今俺達がぬけると、ここいら一帯が崩れるから無理だ」


 和田君の提案をピピンさんが却下する。


 「それなら僕1人で倒して戻ってくるよ」


 僕が提案する。


 「駄目です。それは無謀ってやつです。今は耐えるしかないです。」

 「でも、ここであいつを倒さないと、この防衛戦を崩されてしまうかもしれない!」 


 ペーダさんが否定するも、あいつをどうにかしないことには結局負けてしまう恐れがある。


 「わかった。それならともたけとけんじの二人で行くんだ!しばらくの間なら俺達3人と嬢ちゃん達でなんとかする」


 「二人とも任せたわよ!」

 「絶対に戻ってきてくださいね」 

 

 ピピンさんがGOサインを出す。

 東堂さんと三上さんからもOKをもらう。


 僕と和田君は視線を交わす。


 「「行きます!!」」


 僕と和田君は呼吸を合わせ、一気に指揮をしているゴブリンの元へと駆け出した。

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