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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第1章:モブの異世界生活
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見知らぬ天井

 重い瞼をあける。生きている・・・・

 あれは全部悪い夢で、これから楽しいピクニックが繰り広げられるのだろうか。


 「おい!ともたけが目を覚ましたぞ!」


 和田君が騒がしい。

 どたばたと音が聞こえる。

 そりゃあ朝になれば、起きるでしょう。


 体を起こそうとする。

 しかし、体を起こすことができない。

 全身がずきずきと痛み力を入れることができない。


 「ともたけくん!大丈夫!?無理して起きようとしなくていいよ」


 三上さんまでいるのか。

 どうして三上さんまで?和田君ならわかなくもないんだけど。


 「良かった。無事で」

 「どうして言うとおりに逃げなかったのよ!」


 林君と東堂さんもいるようだ。

  

 「それじゃあ目を覚ましたので、もう一度ヒールをかけますね。ハイヒール」


 見知らぬ声が僕にヒールをかける。

 徐々に全身を襲うにぶい痛みが消えていく。


 うつろな意識も完全に覚醒していく。

 

 僕はばっと起き上がった。


 「ペロンギさんは!?ペロンギさんは無事か??」


 覚醒した意識ですべてをはっきりと思いだす。

 まがまがしい男との戦闘。貫かれたペロンギさん。


 僕の問いにみんなが顔を伏せる。


 「おい、和田君!どうなんだよ。応えてくれよ。」


 和田君はうつむいて応えてくれない。


 「あの、一緒にいた騎士の女のかたはすぐに治療をしたのですが、いまだ目を覚ましておりません。怪我は治すことができたのでもうすぐ目を覚ますはずなのですが」


 「無事なのか・・・・それなら良かった」

 

 さきほど僕にヒールをかけてくれた女の人が代わりに応える。

 ん?彼女は・・・・

 

 「涼宮さん?どうしてここに??」


 僕にヒールをかけてくれたのは、聖武器に選ばれた涼宮さんであった。

 涼宮さんは今、神宮寺君たちとドラゴン退治に向かっていたはずでは。


 「神宮寺君の直感がこちらに不吉な影を感じるというので、私と神宮寺君で戻ってきたのです。」


 「そうだったのか・・・・。あの不気味な男はどうなった?」


 「あの男は神宮寺君と私で戦ったのですが、とても強く取り逃がしてしまいました」


 あの不気味な男を退けることができたのか。

 やっぱり神宮寺君はすごいな。僕は盾にさえなれなかったというのに・・・・

 僕じゃなくて神宮寺君がいればペロンギさんは傷つかなかったかもしれない。


 僕は下唇をかみしめた・・・・


 「そういえば森から魔物が攻めてくるという件はどうなった??」


 「それは、今騎士団と冒険者ギルドと神宮寺で作戦を練っている。城の前の原っぱに大量の魔物が確認されている。」


 和田君が応える。

 不気味な男に、大量の魔物。

 やつが引きつれてきたのだろうか。


 「ペロンギさんの読みは当たっていたのか」


 「そろそろ何かしらアクションがあると思うんだけど・・・・」


 そうか。

 それなら今のうちにペロンギさんの様子を確認しに行くか。

 僕はベッドから降りて立ち上がる。


 「どこに行く気?」


 東堂さんが僕の行く手を阻むように立ちふさがる。


 「いや、ちょっと今のうちにペロンギさんの様子を見に行こうかと思って。」


 「駄目よ。今和田君が言ったでしょ。もう少しで何かしらのアクションがあるって。今は魔物との戦いに備えましょう。この戦いに負けたら何もかも終わってしまうのだから」


 確かにそうかもしれない。

 今は僕の手も借りたい時だろう。猫の手よりは役に立つはずだ。


 「そうだね。もうしばらくゆっくり休もうか。この戦いが終わるころにはペロンギさんも目を覚ましてるだろうし」


 「・・・・ええ、そうね」


 僕はベットに腰をかけた。

 ふぅと、息を吐いた瞬間、ホラ貝の音が響き渡った。

 

 「合図だ!」


 僕達は各自準備をし、音がなる方へと向かって歩き始めた。


 


 僕達は門の前の広場にやってきた。

 そこには数百人の騎士達と、荒くれ者の冒険者たちであふれていた。

 涼宮さんは途中で神宮寺のもとへ行くと言って別れた。


 「おう、何やら大変なことになったな」


 「ピピンさん!一緒に戦ってくれるんですか?」


 「当たり前だろです。この国の一大事なんですから」  


 “黒き鉄壁のペリルギ”の三人組が声をかけてきた。


 「ん?この人達は?」


 東堂さんが僕に尋ねる。


 「この人達は和田君の冒険者仲間で、僕はこの前のハイオークの時に知り合ったんだよ」


 「そうなんだ。よろしくお願いします。」


 「おう、嬢ちゃんもよろしくな」

 

 僕達は軽い自己紹介をして何か起こるのを待った。


 すると、鎧を着込んだ王様が壇上にあがる。

 声を拡大させる魔法器の前でしゃべりはじめる。


 「今、私たちは窮地にたたされている。原っぱに広がる魔物の群れをみたものもいるだろう。しかし、恐れる必要はない。私たちはこの驚異の存在に既に気付き、対策を講じることができているのだから。魔物に襲われながらもこのことを知らせてくれた勇気ある異世界人に感謝をしよう。そして、私たちは私たちで、自分たちの国を守るために全身全霊で戦うのだ!私たちには勇者もついている。負ける道理はない!!!」


 王様の横で神宮寺が腕を上げる。


 「私も全身全霊で戦います。必ずやこの国を守りましょう!!!」


 おー!!とこの広場に集まる者たちが雄たけびを上げる。

 治療中のペロンギさんのためにも、この国は必ず守りきってみせる。

 もう二度と、ペロンギさんを傷つけさせるものか!


 こうして、魔物との防衛戦が幕をあげた。

 

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