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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第1章:モブの異世界生活
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異世界にやってきた

2日に1回位のペースで投稿できるように頑張ります。

 僕たちが異世界にやってきてから1週間が経過した。


 文化祭の準備をしてたら突然魔方陣のようなものが浮かびあがり、気付いたらこの世界にやってきていた。きょとんとしていると、僕たちの周りを囲む神官たちが事情を説明してくれた。


 魔王が近々復活すること

 それに対抗するために異世界人を召喚したこと


 それに対して色々思うところはあった。

 しかし、やっぱり思ったのは、異世界転移で俺TUEEE!きたー!!だった。

 異世界人が手に入れないようなとびっきりのスキルを所有してたりして、最高に活躍して、現地の可愛いことかクラスの子にちやほやされるっていうね。

 まぁ、実際はスキルなんて存在しなかったんだけど。


 別に平凡なスキルから色々あって俺TUEEE!でもよかったんだけど、それさえかなわなかったね。


 でも、この世界には魔力が存在していて魔法が使えるらしかった。

 ああ、そっちね。魔力チートねなんて思ったりもしたけど、魔力っていうのは、酸素とか二酸化炭素みたいな感じで世界に充満しているもので個人の力量には左右されないらしい。


 ん?じゃあ一体なんのために召喚されたんだ?

 なんて思っちゃったよね。多分クラスのみんなも同じようなことを思っていたはず。


 現にクラスの委員長的なポジの子が、


 「私たちではお役にたてなそうなんですけども・・・・」


 なんて言ってたからね。

 別に戦闘訓練を受けてきたわけではないからそりゃあ、なんの役にも立てないよ。しょうがない。


 それに対する神官たちの反応は、


 なんでもこの世界に存在する魔物や魔獣を倒すとその魔物がもつ魔力のようなエネルギーの一部が自分に吸収されて強くなるらしく、それがレベルとなってその人の身体能力に影響し、僕たち地球人というのはもともとそのレベルに全くお世話にならずに生活しているために基礎身体能力が高く、レベルによる身体能力上昇率が高いらしい。


 たから役に立つし、将来に期待されているらしい。


 ああ、そういう感じなのかーとちょっとげんなりしてしまった。

 ゲームとかでもレベル上げが嫌いなのに、リアルでそんなめんどくさいことできるのか僕はとても不安だった。


 そんなこんなで、召喚された僕たちは国王の間に移動して、国王様から再度事情説明と協力依頼を受け、ちょっとしたごたごたはあったものの、自分たちの世界に帰るためにも魔王討伐を決意した僕たちなのであった。


 



 そして、今、僕たちはちょっとした原っぱで戦闘訓練を行っていた。


 「はい、そこで君が剣で突き刺して!」


 国に所属している騎士団員が指示したとおりに、僕は剣をうさぎのような魔物に突き刺す。


 「ぴぎゃー!!!!」


 ウサギのような魔物が断末魔をあげ、体から霧状の何かが噴出される。そして霧状の何かの一部が体に吸収される。

 最初は体に悪そうな気がして霧が体に吸収されていくのを気味悪がっていたけど、1週間も狩っているとなんとも思わなくなってくる。

 それに最近はレベルアップの恩恵というものも感じ始めていた。

 ちょっぴり重い荷物とかももてるようなってきていた。最初は剣も重かったけど、今では軽々動かせる。


 「いいぞ~。じゃあ、次は君たちが囲って、君がやろうか」

 「「「「「はい!!」」」」」


 5人一組になって、行動している。

 4人でウサギのような魔物を囲って、1人がとどめを刺す。

 そのローテーションで安全にレベル上げを行っている。僕たちの他にも4グループ程がそれぞれの騎士団員とともに同じような訓練をしていた。



 「なぁ、なんかむなしくないか?」


 必死にウサギのような魔物を逃がさないように追い詰めていると、隣で同じようにウサギのような魔物を逃がさないようにしていた友達の和田君が話しかけてきた。


 「俺、もっとモンハンみたいに大型のモンスターと戦うもんだと思ってたよ。もう1週間ウサギ狩ってるだけじゃんよ。」

 「まぁ、でも安全だしいいだろ?それともお前はあっちに混ざりたいのかよ??」

 「・・・・・」


 そう言うと和田君は黙る。

 口では戦ってみたいというけれど、実際にはそんな度胸はないのだ。まぁ、僕も同じなんだけどさ。

 僕たちはこうやって危険が少ないウサギを狩ってるのがお似合いなんだよ。ゲームみたいなことはあいつらに任せておけば十分だ。


 「えーい」

 「ぴぎゃー!!!!」


 そんなこんなをしているうちに、ゆるゆるふわりんとした三上さんがやわらかーい掛け声とともににウサギの魔物に剣を突き刺した。


 「はぁ、倒せたーーー」

 「おめでとう」

 「よくやったー」

 「偉い偉い」

 「お疲れ様ー」


 僕たちのグループのマスコット的存在となりつつある三上さんがウサギを倒すと声援が飛ぶ。

 ほんわかする瞬間である。


 「よし!よくやったぞー偉いぞー。怪我してないかー。血がついてるからこれで吹いとけよ。」

 「ありがとうございます。」


 騎士の人もどことなく三上さんには甘い。


 「じゃあ、次、君が狩る番だ。」

 「「「「「はい!!」」」」」



 

 そんなこんなで、今日も一日楽しい?戦闘訓練というかレベル上げ作業を行った。


 「はぁ、今日もウサギ狩りだったぜー」

 「いつまで続くんだろうな」

 「俺たちも早く強くなって冒険したいよな」


 異世界人受け入れ用宿の食堂で和田君と一緒にご飯を食べていた。

 最近和田君は冒険欲が強い。

 僕も最初はわくわくしていたけど、現実に直面して今はもうそんな気持ちはみじんもない。


 「いや、僕はもう冒険とかいいや」

 「はぁ、なんでだよ。せっかく異世界に来てレベルまであるんだぜ?」

 「だって町から離れたらあのときみたいな魔物がうろうろしてるんだよ?死にたくないよ、僕は」


 異世界に来てすぐのころ、ちょっと町から離れた森の近くでウサギ狩りをしていると、森から超巨大な爬虫類が飛び出してきて死にそうな目にあった。騎士の人が剣を一振りで倒していたけど、僕は急に冒険欲が萎えたのを感じていた。


 「確かにあの恐竜みたいなやつは怖かったけど、ペロンギさんが一瞬で倒してただろ?俺たちだってレベルをあげれば同じことができるようになるはずだよ。それに、俺たちの方が潜在能力高いんだからさ」

 「レベルが上がるたびに強くなってる気はするけど・・・・どうなのかな?」

 「絶対できるよ。現に神宮寺達は冒険してるんだからさ。早く俺たちもレベルを上げて神宮寺達みたいに冒険しようぜ!」

 「神宮寺達は聖剣とか伝説の武器に選ばれてるからでしょ。僕たちには無理だよ」

 「ちぇ・・・男じゃないなぁ」


 そりゃあ死にたくないからね。

 僕たちが転移してきたペニーニャ王国に伝わる5つの武器に選ばれた神宮寺達は国からの期待を一身に受けて、僕たちよりも危険な場所でレベルを上げている。僕たちが初日に死を感じた爬虫類型の魔物も、今の彼らはばったばったと切り倒している。今日も帰りに巨大なイノシシみたいな魔物の死骸を持ち帰っていた。

 そういう特別な人だけが主人公になれるんだろうなと感じている。

 僕みたいな煩悩まみれな人間では、俺つえーとかハーレムなんて夢のまた夢なんですよ。

 

 「あ、そんなこんな話してたら神宮寺君たちがやってきたぞ」

 「お、和田と武井じゃん。」

 「お疲れさん」


 神宮寺君と轟君が僕たちの横に座る。

 

 「なぁ、今日はどこまで行ってきたんだ??」

 「ああ、今日は近くの森の結構深くまでいってきたよ」

 「変な遺跡みたいな場所があったな」


 和田君が前のめりになりながら神宮寺君たちに尋ね、彼らもそれに応える。

 遺跡とかまた和田君が興味持ちそうなことを・・・


 「かぁー、遺跡かぁ。すげーロマンを感じるな」


 やっぱりつぼだったみたいだ。

 

 「なんでも明日からその遺跡のダンジョンに挑戦するらしいよ」

 「ダンジョンかぁ」


 ダンジョンというのは魔王が発生する前兆として各地に出現するものらしい。

 そもそも魔王というのは世界中に魔力が爆発的に増えてその影響で出現するものらしく、魔力が増える影響で魔物が大量発生したり、こういったダンジョンが発生するらしい。


 「無事に帰ってこいよ」


 僕はしみじみとそう言った。


 「そんな風に言われるとちょっと不安になってくるな・・・」

 

 神宮寺達はちょっぴり苦笑いをしてそう答えた。

 

 

 

 

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