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ペガスぺ潜入

「ごめん。ちょっとツレを拾ってくる」


 猫耳幼女……もとい娼婦の元締めを名乗る女マリエトルネに噛みつかれたまま、勝八は女性達にことわった。

 聞けば、彼女らも娼婦だという。

 

「ふがふが」


「そうそう。あっちは正真正銘のナントカ族だよ。俺は違うけどな」


 そのまま喋るマリエトルネ語を解読すると、彼女は満足したのか諦めたのか勝八の手を解放する。


「……下から覗くなよ」


 彼女にそう言い置いて、勝八は崖に手をかけた。

 そして、猿の如くそこをスルスルと昇っていく。


「なんでアタシだけ」


 他のお姉さんはチラリとなら覗いてくれて構わないからだ。

 愚痴る猫耳に心の中で言い返し、勝八は崖上にいるゾマを迎えに行った。



◇◆◇◆◇


 

 ゾマの元へとたどり着いた勝八は、事情の説明もそこそこに彼女を背負って全速力で崖を回りこんだ。

 ぶっ飛ばした山賊達がそのままだったと、今更ながら気づいたからだ。


 そして、崖下へと戻った勝八が見たものは、思い思いの緊縛方法で縛られた山賊たちの姿だった。


「……その縄どうしたんだ?」


「そりゃぁ色んなお客が来るからね」


「縛るの上手いな」


「アタシ仕込だからね」


 海老だの達磨だのに似せ、妙に卑猥な格好で縛られた男達を見て勝八が呟く。

 するとマリエトルネは誇らしげにそう答えた。


 このちっこいのも含め、本当に彼女達は娼婦の集団らしい。

 幼馴染みに神様だと言われた時より信じられない気持ちで勝八が見ていると、そのうちの一人がばちこんと勝八にウィンクする。


 娼婦というご職業の方とは初めて知り合いになったが、キレイだしお色気だしで勝八はすっかり骨抜きである。

 今噛みつかれたならば、きっと乳歯でも容易く歯型がついてしまうだろう。


「で、そこで死にそうな顔してるのが?」


 勝八がぽんやりしていると、マリエトルネが彼の背中に目線を向けて問いかけた。


「あぁ、こいつがゾマ。足に怪我してるんだ」


 ベランダに置き忘れたチョコが如くぐったりしているゾマを紹介する勝八。


「……ずいぶん重症だね」


「酔っタ。すごく、酔っタ」


 そんなに具合が悪いのか。眉根を寄せるマリエトルネに、勝八の肩に顔を埋めたままゾマは呪詛のように呟く。

 それはあるいは勝八への抗議であった。


 勝八の全力走りは、ゾマの三半規管に重大な影響を及ぼしたようだ。


「そんな訳で、街に医者を探しに行くところなんだ。知り合いにいたら紹介してほしいんだけど」


 足の怪我にしろ乗り物酔いにしろ、直せる人間が必要だ。

 勝八が尋ねると、マリエトルネは彼の体を下から上と値踏みする。


「アンタら、その格好でペガスに入る気かい?」


「私は止めタ」


 そうして彼女が尋ねると、ゾマはふがふがと勝八の肩を湿らせながら訴える。


「まずいのか?」


「あの街に蛮族なんて入れないよ。まして今は祭の最中だしね」


 腰巻一枚というのはドレスコードに引っかかるだろうか。

 不安になって蛇皮を摘む勝八に対し、マリエトルネは呆れた顔をして答えた。


「だから蛮族じゃねぇって」


 あくまで自分は都会……まぁちょっと田舎ではあるが普通の町出身である。


「うぅ……テイダラ・タクンダ」


「何族だろうと関係ないよ」


 そう主張しようとした勝八だが、その後にゾマが別種の抗議を重ねたおかげで正しくは伝わらない。

 お嬢さん方や山賊のリアクションからしても、自分がちょっと蛮族風に見えるのは避けられないようだ。


 ようやく勝八は自覚し始めていた。


 となるとどうしよう。

 ゾマを背負ったまま、ふむと考え込む勝八。

 医者らしき人間が街から出てくるまで張り込んで、相手が来たら頼み込む……のでは蛮族&山賊の汚名を着せられかねない。


 そんな彼をじっと見つめた後、くるりと背を向けてマリエトルネが言い放った。


「ついてきな。街に入れてやるよ。怪我を治せる奴も知ってる」


「本当か!?」


「借りは即返すのがアタシの流儀さ」


 大盤振る舞いな彼女の申し出に、思わず背負ったゾマをシェイクする勝八。

 先程まではただの幼女に見えた猫耳つきの背中が、今はどんと大きく見える。


「マリエ姐さんは優しいからねぇ」


 お姉さん達のうち、誰かが微笑ましい調子で呟いた。


「ありがとうマリ姐!」


「誰がマリ姐にゃ!」


 勝八も親愛を篭めた更なる短縮形で彼女を呼ぶ。

 が、マリ姐はお気に召さなかったようでにゃっと言い返された。

 ともかく勝八は彼女の導きの元ゾマと共に馬車へと搭乗し、街へと入ることになったのだった。



◇◆◇◆◇


 

「つまり移動娼館ってのはアタシが考えた画期的なシステムで、娯楽の少ない町へ積極的に営業に行くことによって本拠のあるペガスにも新しい客を呼び込むって寸法さ」


 街道に戻った馬車がパカパカと、リズムを刻み進んでいく。

 その幌の中、調子良く喋るマリエトルネの話を勝八はそれなりに聞き流していた。


「この数で営業って……もしかしてかなり大きいのか? えーとローズなんとかは」


 自分の周りには、趣味のこととなると突然早口になる女性が多い。

 などと考えながら、勝八はたまに会話内容へつっこみを入れる。

 それは緩との会話で培ったテクニック……というより完全に思考が飛んでしまわない為の勝八なりの防衛策だった。


「ローズフィリアだっての。物覚えが悪い奴だね」


 馬車に乗ってからも何度かその名前で詰まった勝八に、マリ姐が口を尖らせる。

 ちなみに彼女の正式な名前も、勝八はそろそろ忘れかけている。


 だが、しょうがなかろうと勝八は心の内で愚痴る。

 

 学校にある女クラ(女子のみクラス)はバラバラの化粧と香水の匂いが混ざり合ってひどい匂いがしたものだ。

 しかし、娼婦のお姉さん達はそういうことも気遣っているのか。馬車の中は統一された甘ったるい匂いで満たされている。

 勝八でなくとも会話に集中できなくとも不思議はない。


 彼女らは全員、馬車の両側面に設置された荷物箱兼長椅子にずらりと座っている。

 ゾマの方はそもそも部族外の人間に慣れていないのか勝八にぴったり寄り添っている。

 彼女を背負っていた時とは違うトキメキが、勝八を更に落ち着かなくさせた。

 

 徹底したことに、馬も牝馬でそれを操る御者も女性である。

 ただし彼女は娼婦ではないらしい。


 この営業人数に専属の御者。勝八は娼館というものをよく知らないが、それでもかなり大規模に思えた。

 なので先程の質問が出たのだ。


「本店は今留守番の子2人しか残ってないのよ」


 勝八の質問に対し、むくれたマリエトルネではなくお姉さんの一人から意外な答えが返ってくる。


「今は祭りの最中だからね」


 それを補足するように、マリエトルネはそっぽを向いたまま呟いた。

 そういえば、先程のマリエトルネも祭りという言葉を口にしていた覚えがある。


「そういう日って逆に書き入れ時じゃねーの?」


 思い出して、勝八は首を捻った。

 お祭りというのはみんな財布の紐が緩みがちだ。

 こういう時はそういった店の収益も、自然と増えそうな気がする。


「うちの宰相が、祭りの最中は神聖な期間だからって営業禁止してんのよ」


 そうよねぇと頷いた娼婦の一人が、不満そうに呟く。


 出た宰相。

 彼女の話を聞いて、顔を歪める勝八。

 ファンタジー世界で王政側の悪役と言えばこの役職だという思い込みが勝八にはあった。


「アタシらは邪悪な職業かっての。本当は娼館なんて潰したいみたいよ」


 当然、娼婦達からは嫌われている様子である。

 しかしペガスは、勝八でも知っているほどに緩が力を入れて作った国だ。

 その国の重要な役職ならば、例の隊長のように彼女が「設定」を考えていても不思議ではない。

 平和を望む緩が、そこにただの嫌な奴を配置するだろうか。


 いや、そもそも風俗店の営業を禁止したからといって嫌な奴とも言い切れないのだが。

 というか勝八はペガスの宰相という単語に、何やら覚えがある気がする。


「でも私ら人気だから」


 珍しく長めに思考した勝八だったが、娼婦の一人が胸を強調するセクシーポーズを取ったのでその全ては霧散した。 


 そりゃそうだろうと勝八が緩んだ顔で彼女達を眺めていると、ゾマが不満げな顔をする。

 何故そんな顔をする。

 もしや嫉妬か。


「二人って恋人なの? もしかして駆け落ち中?」


 怪訝に思って彼女と向かい合い、その真意を探ろうとする勝八。

 見つめあう形となった彼らに、お姉さん方が楽しそうに尋ねた。


「違う」


「チガウ」


 こういうゴシップが好きなのはどこも共通らしい。

 というか自分は彼女と同郷ではない。


 呆れて否定する勝八。

 ほぼ同時にゾマも同じ言葉を口にしたが、彼女の言葉には続きがあった。


「私はカッパチに、この身のスベテを捧げていル」


 それは場が一瞬シンとするほどの衝撃発言であった。


「いや捧げてもらったことねーから! ていうか俺に対する配慮を一片ぐらい捧げてほしいんだけど!」


 慌てて彼女の言葉を否定する勝八。

 あまりに狼狽したので上手いことも言えていない。


「神の使いであるカッパチを手伝うことは巫女としての使命ダ。私はそう決意しタ」


「なんでこのタイミングでそんな重要な決意表明をする!?」

 

 そんな勝八へ、ゾマは至極冷静に、かつ情熱を秘めた金色の瞳で語る。

 成り行きで彼女を連れてきたと思っていたが、その裏でこんな重たいことを考えていたとは。


 考えてみれば先程の不機嫌な視線も、神聖な神の使いのくせにだらしない表情をした勝八が気に入らなかったのだろう。

 浮かれていた自らの認識を改める勝八。


「え、何々どゆこと?」


「据え膳食べてないってことじゃない?」


 一方ズルズルと精神年齢が下がってきた娼婦達が、まるで教室の女子のごとく姦しく騒ぎ出す。

 そもそも異世界に据え膳なんて言葉があるのかなどというツッコミもできない状況だ。


 やがて、話題が勝八の貞操に関して及び始めたところで。


「そろそろ正門だよ。アンタらは隠れてな」


 マリエ姐さんによる素敵な助け舟が入った。

 幼女な彼女の背中が、今の勝八にはやたらと大きく見える(二回目)。


「お、おうありがとうマリ姐!」


 が、感動している時間はない。

 娼婦達があからさまに残念そうな顔をしながら尻を上げ、座席にしていた長椅子兼用具入れの蓋を持ち上げる。

 ゾマを持ち上げた勝八は彼女をその中に放り込み、自らは反対側の箱へと潜り込む。

 入りきらない彼の体を、お姉さま方の尻が蓋の上からぎゅうぎゅうと押した。

 ここに勝八達を隠して密入国させる。

 それが彼女達の作戦であった。


 ようやく蓋が閉まりきったところで、「よーし止まれー!」という声が進行方向から響いた。

 どうやら門番らしい。


 内部で蠢きながら勝八が姿勢を変えると、用具入れの取っ手部分から外を覗くことができた。


「お尻がむずむずするから動かないで」


 上に乗る尻から抗議が届いたので、以後は大人しくしていることにする。

 ともかく彼が外の様子を見ると、そこには勝八の身長の2倍ほどの大きな門。

 そして、それを守る門番の姿があった。


「おう、お仕事ご苦労さん」


 マリエトルネがぴょこぴょこと御者に並び、門番に挨拶をする。

 彼女の尻にはスカートの下から尻尾まで生えており、それが勝八の視界の中でひょこひょこ揺れた。


「マリエトルネか。今回は随分かかったな」


「おや、寂しかったのかい坊や」


 顔なじみらしく、二人はいくつか言葉を交わす。

 もしかしたら「お客さん」なのかもしれない。

 これはすんなり通れそうだ。

 勝八がそう思った時……。 


「さて、規則だからな。荷物を確かめさせてもらうぞ」


 男がちらり、勝八が隠れる荷物箱に目を向けた。

 距離も離れているし、中に人がいるなどとは想像できなかったのだろう。

 目線が合うことは避けられたが、それでもピンチには変わりない。


 勝八が緊張で体を硬くしていると、マリエトルネが急に声を上げた。


「それより大変だったんだよ! さっきそこで山賊に襲われてね」


「なんでそれを早く言わない!? 怪我人は!?」


 門番が指摘するように、間違いなくおかしな話題運びだ。

 しかし内容が内容だけに彼も無視はできないようである。

 真っ先に怪我人を心配する辺りに人の良さが滲み出ており、勝八は黙って通ることに若干申し訳なさを感じた。


「大丈夫だよ。通りすがりの蛮族が、全員のしちまった。街道から少し外れたところに縛って転がしてあるよ」


 門番をどうどうと宥める動作をして、マリエトルネは事情を説明する。

 だから蛮族じゃない。

 抗議したい勝八だが、とりあえずその言葉はぐっと飲み込んで成り行きを見守る。


「蛮族ぅ!? おかしな作り話はやめてくれ」


 唐突に出てきた蛮族ヒーローの存在に、門番は裏返った声を上げる。

 そのヒーローは今も貴方の側にいるのです。

 そんなノリで出て行きたい。だが、今はゾマの足首がかかっているのだ。

 蛮族の密輸に加担していたとなれば娼婦達の立場も危うくなるのでやはりじっと待つ勝八。


「嘘なもんか。もっとも蛮族はそのまま何処か行っちまったけどね。それより縄のほうだけど、素人が縛ったもんだから、いつ解けるか分からないよ」


 門番が混乱しているうちに、マリエトルネはそんな事を早口でまくし立てる。


 素人とは言ったが、あれだけ立派に縛られていれば、自力で抜け出すのは困難だ。

 しかしそんなことは知らない門番は、彼女の言葉で少なからず動揺する。


「ど、何処だ! 何処に転がしてある!?」


「私が案内しまーす」


 慌ててマリエトルネに詰め寄る門番に対し、娼婦の一人が立ち上がって挙手した。

 

「ありがたい! 応援を呼んでくる!」


 それを聞いた門番は、背中を見せると「開門だー! 開門ー!」と叫び、少し遅れて正門が開いていく。


「私らはどうすりゃいいのさ?」


「後で詰め所に来てくれ! 詳しく話を聞きたい!」


 その最中にマリエトルネが問いかけると、開ききるのももどかしいのか門番は門に体をねじ込みながら答えた。


「つまり、荷物検査は無し、と」


 御者の女性がクールに呟く。


「思いの他上手く行ったねぇ」


 マリエトルネが幼女らしからぬ悪い顔で笑っていると、やがて鎧を来た男達が馬に乗り門から飛び出していく。


「行ってらっしゃーい」


「がんばってねー」


 彼らは娼婦達に声をかけられると、嬉しそうに手を振って森へ消えていった。

 そして悠々と、勝八達は武の国ペガスへの侵入を果たしたのである。



◇◆◇◆◇



 門をくぐると、喧騒がまず耳に入った。

 勝八が狭い視界の中から覗くと、大通りの左右にはずらりと出店。

 その間を大勢の人々が行き来している。

 初めて見る異世界住人の大群だ。


 西洋風の人相が多いが、勝八のような黒髪もいなくはない。

 しかしマリエトルネのように猫耳をつけた人種はおらず、彼女への謎は深まるばかりである。


「こんな場所通れるのか?」


「バカだね。馬車の通行は隣の道だよ」


 箱の中から勝八が尋ねると、振り向いたマリエトルネは呆れた表情で答える。

 スカートの中身が見えそうになるほど尻尾が上げられているのは、猫でいうとどういう気持ちだったか。

 勝八が考えていると、御者のスムーズな方向転換で馬車は隣の辻へと入った。

 

 こちらの道は空いている。

 昼下がりという時間帯のせいか他の馬車の姿も見えず、まるで別世界のようだった。

 いや、ここは間違いなく別世界ではあるのだが。

 

 ドントチャン。ドントチャン。

 何か懐かしい気持ちにさせられる祭囃子が、遠くから手招きするよう、勝八の耳に届く。


「そういや祭りって、何の祭りなんだ? 誰かが生まれたとか死んだとか?」


 筋肉量が増えていようと……いや、増えているからこそジッとしているのは辛い。

 増量した筋肉達が、自分を活かせと蠢き叫ぶからだ。


 それを誤魔化すため、勝八はマリエトルネに尋ねた。

 だが――。


「……知らないのかい?」


 暇つぶしの質問であったはずなのに、急に周囲の娼婦達が口をつぐみ、マリエトルネはチラリと反対側の箱――つまりはゾマの方へと意味ありげな視線をやる。

 一体なんだというのだ。


 勝八が困惑していると、馬車が進む道の曲がり角から、何かがにゅっと飛び出た。


 それは全長2メートルほどはある人間……いや、悪魔の顔である。

 

「なっ」


 びくりと勝八が頭を上げると、蓋が持ち上がり娼婦達の尻が一斉に浮遊する。


「ちょっと」


 蓋を持ち上げたまま硬直する勝八に、お姉さまの一人が抗議の声を上げる。


「いや……だって」


 蓋の隙間から指を出し、勝八は抗弁した。

 彼女らにはあれが見えていないのか。

 もしやまたしても世界の歪みか。


 勝八が考えている間にも、巨大な頭は曲がり角から這い出てその全容を現した。


「よく見な。あれは張りぼてだよ」


 どんっと、上から押さえつけるようにマリエトルネが荷物箱に腰を下ろす。

 猫のように軽い彼女が乗ったところで勝八が揺らぐはずもない。

 目の前で揺れる尻尾を払いのけながら言われたとおり観察すると、それは確かに頭だけしかない張りぼてであった。

 下には担いでいる人間もいる。

 要するに神輿もしくは山車である。


 そして、恐ろしい形相の張りぼてには何故かゆるふわのおさげがついていた。


「あれ……?」


 神とおさげ。何となく、勝八には覚えがある組合せだ。


「破壊神ノン討伐祭」


 勝八が首を捻っていると、マリエトルネが不貞腐れたような、あるいは観念したかのような声で告げた。


「最後は破壊神ノン神輿を爆破して終わる派手な祭りさ」


「なっ!?」


「ナニーーー!」


 勝八が何か言う前に、反対側の荷物箱がガタガタと揺れた。

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