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友達  作者: 八頭葛
第一章
1/4

①_______

「お久しぶりです。今、大丈夫ですか?」

「見て分からないのか。駄目に決まっているだろう。話し掛けないでもらえるかな」


 彼女は僕のことを見ようともせず、本に目を落としつつ言った。

 いつも通りなので、気にせず僕は話を続ける。


「相変わらずの言い草ですね。これはあれ、虐めですか?」

「虐め? 君はこんなことを虐めだと認識する程に繊細な心の持ち主なのか。そうか、それは悪いことをしたね。これからは少しばかり労りの精神で君に接してあげるよ。――ということで消えてくれ」

「文脈がナチュラルにいかれていますよね!? 虐めにしか思えませんって!」

「自意識過剰なんだね、君は。自意識過剰で繊細なチキンくん。君はもう少し他人の攻撃(ことば)に対する守備方法を学ぶべきだよ。受けるだけでなく流すことや避けることも覚えておくといい」

「はあ、御高説ありがとうございます」

「うん。今のを受けるのは間違っていない。今までのはただの忠告であり警告だ。虐めだなんてとんでもない」

「分かりましたよ」

「ではチキンくん。素直な君のために一つ聞いてあげるとしようか」

「チキンじゃないですが、何ですか?」

「君は誰だ?」

「やっぱ虐めじゃないですか!!」


 ちょっと来なかっただけでこれか。

 しかもまだ僕を見ようともしない。


「僕ですよ、僕。分かりませんか?」

「分かるわけがない、と言いたいところだが、話し方や態度で分かったよ」顔を見ろ。「学校に友達がいない、まして普段私以外に話す相手もいないチキンくんだね」

「分かったなら名前で呼んで下さい」


 チキンじゃないっての。この人、本当に分かっているのか。


「まったく、最初から名乗っていれば邪険に扱わなかったのに」


 嘘吐け。

 変わらず本を読みながら言われても説得力がない。


「それで、今日はどうしたんだ?」

「ええ、ちょっと話がありまして」

「ふーん。面白い話なら聞いてあげるよ」

「面白い話かどうか分かりませんけど、とりあえず聞いて下さい。それがですね、昨日僕の携帯に知らないアドレスから変なメールが届いたんですよ」

「どんなメールだ?」

「読み上げるのもあれなんで、送りますよ」


 自分の携帯から、彼女の携帯に件のメールを転送した。






あなたには友達がいますか?

あなたにとって、友達は大切な存在ですか?


これを読んだ人は、友達5人に同じ文章をメールで送って下さい。

送らなかった場合、あなたの友達が必ず不幸になります。

これは強制ではありません。

友達が大切な存在だと思えるあなたなら、

送ってくれると信じています。


あなたには友達がいますか?

あなたにとって、友達は大切な存在ですか?





「――とまあ、そんなメールなんですけど」

「ははははは! いいね、これは面白い!!」

「えっ、そんなに面白いですか」


 はて、そこまで面白いものでもないと思うけど。


「ああ、こんな面白い話があるか。友達のいない君に、友達に送らなくてはいけないチェーンメールが送られてくるとはね」

「そこは面白いところじゃない!!」


 この人は鬼か?


「ははは、冗談だよ。嘘ではないけどね」

「一言余計ですよ?」


 この人は鬼だ。


「……まあいいです。ところで、あなたはこのメールを知っていますか?」

「君のような人間に送られてくるくらいには広まっているんだ。私は知っているよ」本のページをめくりながら彼女は言う。「加えて言うなら、このメールについてはもう調べ終わっている」

「何を調べたんです?」

「出所と広まった理由についてだよ」

「……でも、チェーンメールなんて現象を遡って調べることなんて可能なんですか?」

「不可能ではない。特に今回は特殊だったしね」

「特殊ですか?」

「ああ。その辺も含めて、説明してあげるよ。どうやら君は、そのために私のところに来たみたいだしね」

「ははは、ばれてましたか」

「そんなに質問ばかりしてたら分かるよ」


 本を閉じながら、彼女は言った。

 話に集中してくれるのかと思ったが、どうやら違ったようだ。

 読み終えた本を自分の右側に積んで、次の本を準備しながら彼女は話し出した。



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