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MP SOULー魔力を授かりし者ー  作者: 鈴風
第1章 -友達-
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4話 「彼女の食卓」

久々の更新となりますね

楽しんでいただけたら幸いです

 

 ここは考え所だ。


 まだ出会って間もない少女と一夜を共に過ごすという、ワタシにはまだ覚悟の足りないイベントが発生した。

 少女は純粋そうな子だから勢いでいけちゃうだろうけど、ワタシは恥ずかしさで一杯一杯だ。


 でも、正直いってここを去って泊まるあてがあるのかというともちろんない。

 だってこっちの世界には来たばっかりなんだよ? 何にもわからないのに、そもそもお金すらないよ!

 一応住んでた方のお金は諭吉4枚ほど今あるけど、でも世界自体が違うのだから当然お金の単位も違うだろう。


 んー。まぁ、しょうがないよね。

 泊まるあてもないし、このまま街に出ても野宿確定だもんね、そうだよね。

 ……………………。


「……………………」


 ワタシは彼女に向かって首を縦に振る。

 何か、「泊まる泊まる、泊まりたーい!」みたいなテンションでいけたらいいんだけど、ワタシなんだからそういうわけにもいかず。

 仕方なく頷くだけで返事をすることにした。

 恩人に対してホント失礼だなワタシは。


「と、泊まってくれるんですか?」


 隣に腰下ろしている少女は、そんなことを言ってきた。

 いや君から言ったんじゃん。

 今度は激しく頭を振ってやる。これで伝わるだろう。



「そ、そんなにワタシとお泊まりしたいんですか! では泊まりましょうっ!」



 いや、別にそんなハイテンションだったわけでもなくて……て、ちょっ!


 ワタシは彼女に腕を掴まれると、下の階まで引きずられて行った。

 何でこうなるか、ワタシにはわからん。



 ◇◆◇◆◇



 引っ張られながら、流れて行くように目に映る廊下。

 それをワタシは、まるで観察でもするかのように眺めていた。


 廊下の壁もやはり木造で、この家が木造作りであることがわかる。

 壁には絵画が額縁に収められて飾られている。

 何だかよくわからない絵だったが、何だが高価値の雰囲気を漂わせていたから、恐らくそういうものだろう。

 廊下の四隅を見ると、所々汚く掃除が行き届いてないだけか、もしくはだいぶ昔からある家なのかという想像がつく。

 そんな観察をしているワタシを他所に、彼女はワタシをある扉の前まで連れてきた。


 走っていたせいで息を切らしているワタシに、彼女は告げる。


「この向こうに、ワタシのお母さんとお父さんがいます! ……出来れば挨拶して欲しいな、お父さんそういうとこに厳しいから」


 彼女はそう言うと、小声でワタシの耳元にそう囁いた。


 マジですか、ただでさえコミュ障だって言ってるのに……いや彼女には言ってないか、というか言えてない。

 そんなコミュ障なワタシに、厳格そうな想像が出来るお父さんに挨拶しろと……。


 ガクブルだよホント。


 と、そんな緊張に体を震わすワタシを差し置いて、彼女は躊躇いもなく扉を開け放った。

 そりゃそうだ、自分の家なんだもの。

 でもね、せめて客人としてもてなしてくれてたならワタシの事も気にして欲しいかな!


「お父さんお母さん! この人、今日お家にお泊まりさせてもいいよね?」


 この人、辺りで背中を押されたワタシは、たたらを踏んで彼女の両親の方へと歩み寄った。

 あー怖いんだろうなーお父さん、何てことを思いながら思わず伏せてしまっていた目を薄く開く。


「…………あっ……、こんばんは」


 まず、第一に感じたのはお父さんの雰囲気。

 お父さんの顔立ちは頭髪、口髭顎髭ともに白色で、白いスーツでも着ようものならそれこそKFCよろしくカーネルさんになってしまう。

 それぐらいに穏和そうなお方だった。


(厳格という話はどこいった!)


 そんなツッコミののち、ワタシは感じた二つ目のことは、



 ーーーー何でワタシは、初対面の、それも年上の人に普通に話しかけられたんだ?



 彼女のお父さんには、何か不思議なものでもあるのか、コミュ障のワタシでも普段通り接することができた。

 お父さんの隣に座っているお母さんも、にこにこしていてとても穏やかな方だという印象を持つ。


「やぁ、目覚めたのかい?」


 お父さんまでも、目の前にいるんだからわざわざ訊く必要のないことをワタシに訊いてきた。


 親子はやはり似るのだろうか。

 いやでも、ワタシはそこまで父さんとも母さんとも似てないような……。

 そんなワタシを横目に、彼女が両親と話し始めた。


「うん、もう、元気いっぱいみたいな感じだよ! ワタシがお泊まりするか聞いた時も、リョーカちゃん元気良く頷いたんだもん!」


 "リョーカ"と彼女がワタシの事を呼んだからなのか、お父さんとお母さんはハッと彼女の顔を見た。

 まぁ、名前が同んなじだからしょうがないよねー。


 やがてお父さんは、下を向きながらプルプルと震え始めた。


 え、何なんなの?

 理由はわかんないけど、怒ってらっしゃる?

 お母さんも何故か台所に歩いて行くし……って、台所て怖すぎるだろ!


 仮に理由不明でも怒っているのだとしたら、お父さんは拳で、お母さんは包丁でワタシを殺すとでもッ!



 …………て、流石に飛躍しすぎか。



「リョーカッ! まさかお前が誰かを家に泊まらせるなんてなぁ!」


「お母さん、感激ッ!」



 お父さん、お母さんが共に歓喜に打ち震えていた。

 そう、言葉通り震えていたのだ。

 それをワタシは怒っているとか、あまつさえ殺そうとしてるとか想像しちゃった。


 失礼にもほどがあるだろう、ワタシ。



 でも、何で誰かを家に泊めたぐらいでそんなに両親は喜ぶのか……。



「うん! ワタシ頑張ったよ!」


「おぉリョーカッ! お前は良くやったよ!」


「えぇ、頑張ったわねリョーカ! 今日は七面鳥の丸焼きよー!」


「……………………」



 彼女も自分が頑張ったと歓喜し、お父さんもそれを褒め称えて挙句お母さんは夕飯を七面鳥の丸焼きにするという。



 …………どんだけだよ……。



 そしてワタシは、彼女に背中押され食卓へと着かされた。



 ◇◆◇◆◇



「……マジで七面鳥なのか……」


 目の前にド迫力で存在する七面鳥の丸焼き。

 全員足をひとつずつ持っているから、七面鳥は二体お亡くなりになったということか。


 そしてワタシは、二つの意味合いで手を合わせてから食事を始める。

 いや、元々の意味合いがそういうのも含んでるんだっけ? よく覚えていない。


 隣を見ると、元気そうにもぐもぐと七面鳥を頬張る彼女の姿が。

 ワタシたちの対面の席には、彼女の両親がこれまた娘とおんなじように七面鳥を頬張っている。


 そんな幸せで温かく、温もりを感じるような食卓で、ワタシも七面鳥を一口食べた。


「ッ!」


 その直後、お父さんは突然七面鳥の右足をテーブルの皿の上にバンッと置き、突然大声で言った。



「そういえば、君の名前はッ!?」



 そんなこと大声で言わんでください。


 という無粋なツッコミは心の中だけでしておくとして、確かにまだ自己紹介的なことしてなかったな。

 家に泊めてもらうわけだししておいた方がいいよな、というかしなきゃ失礼だよね。


「えーと、ワタシの名前は瀬々良木燎香、しがない普通の高校生。ということで一日お世話n」

「なんだとぉぉーッ!?」


 ワタシが話している最中だというのに、構わずお父さんは声を張り上げて驚きの言葉を口にした。



 …………いちいち叫ぶ必要があるのだろうか。



「キミ、リョーカと同んなじ名前では無いか……ッ!! 確かにさっき、ウチのリョーカがキミのことを"リョーカ"と呼んではいたが、そんな偶然があるというのか!」


「……はっ、あまりの衝撃に母さんも意識が飛んでたわ!」


「そっ、そうですか……あははははは〜」



 ワタシは苦手な愛想笑いをしながら、両親二人の雰囲気を壊さないでいた。


「でもホント不思議ですよね、名前もだけど苗字まで同んなじだなんて〜!」


 彼女本当に凄い、と言わんばかりに笑いながらそう言った。


「あぁ〜……」


 彼女のある一点を見つめ、ワタシは思わず変な声を漏らす。


「……あんた、あんまり早く食べるから、口にタレ付いてるよ」


 ワタシはテーブルの傍に置いてあった紙の詰まった箱(現代で言うところのティッシュ……かな?)から紙を一枚取り出し、彼女の口元に付いたタレを拭ってやる。


「あはは、くすぐったいよリョーカちゃん!」


「ちょっと、あんまり動かないで……」


 まるで、お姉さんか何かになった気分だ。



「…………そういえば」



 そしてワタシは、あんまり不思議に感じなかったが、今になってはっきりとその違和感を感じた。





 ーーーーなんでワタシ、すっかりこの家族と打ち解けられてるんだろう。



何か色々矛盾とかあるかもしれません、なんせ久々ですから

誤字脱字やストーリー、説明等の矛盾がありましたら感想欄まで

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