わたしたち、巻き込まれました。
私は、普通の女子中学生の吉野麻衣。親友の黒崎詩織とクラスの人気者の相澤友樹の三人が摩訶不思議な現象に立ち会う・・・。
「あ~ぁ・・・。雨止まないな。」
麻衣が窓を見つめている。隣にいる親友の詩織も一緒だ。今日は、二人そろって体育を無断でサボったため、放課後に反省文を書けと言われてしまい、午前中で終わるはずだった授業が延長されているという有様だ。しかし、反省文を書けといった先生は、職員室で先日行われた社会の小テストの採点をしている。私は当然、赤点だ。
「麻衣~、まだ~?」
先に終わらせた詩織が、私の反省文が終わるのを待っている。見ているだけなら手伝ってくれればいいのに。
「後もうちょっと~・・・。」
と言ったが、規定のところまでまだ半分も言っていないという有様。・・・終わるのかなぁ?
「・・・はぁ、とばっちりの私まで待たなくちゃいけないのか・・・。腐れ縁ってけなげなものよね。」
「とばっちりって何よ!?あんたが、保健室で休む、とか言って寝たと思ったら、抜け出して、屋上で寝てたんだもん!それを見ていたら私も眠っちゃって、先生に怒られたのよ!」
ため息をついた詩織を叱った。詩織はそのまま反撃をした。
「眠ったのは、あなたでしょう?私は自分の意志で寝たから良いのよ。自分の失敗を私に押しつけないで!」
「何よっ!?」
「なんなのよ!?」
む~っと顔を見合わせていたらガラガラっと教室のドアが開く音がして私と詩織は、同時にドアを開けた人物へ目を向けた。そこに立っていた人物は・・・・
「あ、相澤くん!?」
相澤友樹くん。うちの中学校でサッカー部をやっている学年女子のあこがれの的。ファンも数多くいるらしく、詩織もその一人。私は、女子に群れている男の子には興味がないみたいで、今のところ恋愛をした事はない。
「吉野と黒崎は、帰っていなかったのか?」
と爽やかスマイルで私達に微笑む。詩織に関しては、天使の微笑みと言えるべきであろうが、私にとっては正直、気持ち悪い・・・。一応言っておくが、吉野は私の名字で、黒崎は詩織の名字だ。
「え、えぇっと・・・うちの親友の麻衣が授業をサボっちゃって、終わるまで付き合ってあげてるんです!」
詩織は、猫の皮を被って相澤くんにアタック・・・ってあんたも授業サボったでしょうが!
「へぇ、優しいんだね。・・・吉野もがんばれよ。」
「あ、うん・・・。」
と返事を返したら隣から嫉妬の視線が突き刺さる。何々!?
「あ、と、友樹くんは何しに来たの?」
と詩織がまたもや猫の皮を被って相澤くんに話しかける。相澤くんは、嫌な顔もせずに質問に答える。
「あぁ。俺は、教室に水筒を忘れちゃってさ。練習で走り回ったから喉が渇いちゃって・・・。」
「そうなんだ。また試合に出るの?」
「・・・まぁね。」
と言う調子で二人は話を進める、私は反省文。という感じで孤立してしまっている。早く終わらせて家で読みかけの漫画を読もう。
と思ったその瞬間、窓の外から「どんがらがっしゃーん!」と雷が落ちる音がした。思わず私は、「ひっ!」と悲鳴を上げてしまい、とっさに机の下に潜り込む。それを見た私の親友は
「また机の中?相変わらずね。」
という冷たい言葉を発する。酷い・・・。
「えっ?吉野って・・・雷が苦手なのか?」
「そうなのよ。小さい頃、迷子になっちゃって途方に暮れたその時に、いきなり夕立で酷い雷と雨が鳴ってきて、公園のドームの中でうずくまって泣いてたのよ。そこにいるときに、もう一人帰り損なっちゃった男の子がいて、その子と数時間くらい一緒にいたのよ。でも、その子は、そのまま名前も告げずに帰って行っちゃってその後、麻衣の両親も迎えに来て無事、帰れたのよね?麻衣。」
「何でその事を今言うのよ!酷いよ。」
「そして、その男の子の事を・・・・♪」
「うわぁぁぁぁあ!!?言わないで~!!」
私の恥ずかしい過去を抹消するため、さっきよりも深く机に潜り込む。相澤くんがいるのにお構いなしで。
「それくらいにしてあげてよ。彼女もいやがってるじゃないか。」
「あ、友樹くんがそう言うなら・・・。」
と詩織は相澤くんに見つめる。相澤くんは、詩織の目線など気にせず、私の方に歩み寄る。私はとっさに視線を下に向ける。すると、
「吉野、そろそろ出てこいよ。・・・でないと、大変な事になるぞ?」
「た、大変な事・・・?」
「そう。机で雷を怖がっている奴のところに、雷様が怒って自分のいる場所まで引きずり出して雷をずっと聞かせるって言う怖い話だよ。」
「えっ!!?」
「ほらほら、どんどん近づいてくるよ?早くでないと・・・。」
「わ、分かった!分かったよぉ~!!」
私は半分泣きながら転がり出るように机から出てくると、机の前で待ち構えていた相澤くんの顔があった。相澤くんは歯を見せて笑いかけてきた。
「やっと出てきた。」
と言う言葉を言ってきて私の頭は一瞬、真っ白になってしまった。そして同時に顔がほてってきてしまう。
えっ?どうしちゃったんだろう、わたし・・・。今、相澤くんの顔を見た瞬間・・・顔が、顔が・・・!
と床に座ったまま身を悶え始める麻衣。その麻衣を見ても、友樹は気にしない様子だったが、詩織にとってはおもしろくもない事だったとしか言えない。そんな事が続いたその直後、いきなり教室のサイレンが鳴り始める。
「なっ、何?」
「防災訓練の時に流されるサイレンだ・・・。どっかで、火事があったのか・・・?」
「で、でも、何か流される放送が変だよ・・・?」
と麻衣が天井、放送されているスピーカーに目を(同時に耳を)向けるとノイズが度々入り、
「現在・・・上空・・・に、案内・・・中・・・。スカ・・ピア・・・へ・・・ご案内・・・ご案内・・・」
という聞いた事がない避難勧告らしき放送が流れていた。っていうか、「スカピア」ってどこ?
「麻衣、友樹くん、外を見て!!」
慌てた声を上げる詩織が窓に向けて指をさす。私と相澤くんは、それにつられて外を見ると
「ふえっ!!?」
と素っ頓狂な悲鳴を上げてしまっていた。その理由は、私達がいる校舎に竜巻が突っこんできているのだ。
「えっ!?」
「あ、危ないっ!!」
「みんな、何かに捕まって・・・!」
詩織の叫びで、私達は無我夢中で机や手を掴んだが、その努力も虚しく、私達は、空の彼方まで飛んでいってしまった。意識は闇の中のままで・・・・。
こんにちは。今回、私は、新たなお話をお書きしました。
今回のお話は、神様と人間の関係を書こうかと思います。
このお話の原点は、私の趣味によるものです。私は、普段から小説の他に脚本をぼちぼち書いていまして、その作った脚本を小説版にしたお話です。
初期はただ、天界に迷い込んだ子供達が現実世界(下界)に戻るすべを見つけるお話だったのですが、今回は、周りの人たちから得た新たな設定で書き直しました。今回のお話は、少し短い連載小説にしようかと思いますので(予想で10話から20話くらい)気長な目で見守りください。