線香花火
久しぶりに逢えた君と
浴衣着て祭りに出掛けたよね
私が選んだ藍色の浴衣は
君にとっても似合ってて
長身でかっこいい君は 周りから注目の的で
あの時不機嫌だったのは それが原因だったんだよ?
祭りが終わって近くの河原で
二人静かに座ってた
突然花火をしようと言った君の手に
握られていたのは線香花火
花火の先に火をつけて
蕾が落ちないようにじっとして
小さくぱちぱち音立てる火を
ただただ二人で見つめてた
揺れる水面に映った橙色の灯がとても綺麗で
だんだん灯が小さくなって
最後にぽつっと音を立てて散った花
なんだか少し虚しくなったの覚えてる
私たちは静かに寄り添い合って
ゆっくりと帰路を歩いたね
別れの時が近付いて
君はそっと抱きしめて優しく甘いキスをくれた
次いつ逢えるか分からないから
もっと君といたくなる
キスが終わった後君は
私に小さな箱をくれた
その中身を目にした時には
視界が涙で霞んでて
とめどなく溢れる涙を拭い
「これからはずっと一緒だ」と
そう耳元で囁いて
もう一度キスをくれた君
ほんの小さかった幸せが
大きな幸せに繋がったこの瞬間
愛しい君と一つになれた幸せを
この先一生忘れない