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-序章-アイ・システム

学生時代バカな事ばかりして、学がありませんが。何か新しいものにチャレンジしてみようと思い。なんとなく初めて見ました。いちを何度か読み返し、修正して投稿をしてはおりますが、それでもおかしい箇所があればお伝えしていただけたら幸いです。気分で制作しているので、投稿が遅いかもしれませんが、暇つぶしに読んでいただけたら幸いです。

-序章-

アイ・システム


灰色の雲が、太陽の光を遮り強い風が大地を吹き抜け体にぶつかる。

空を駆ける一隻の船から兵士が、次々と飛び降りてくる。着地の瞬間に足元の空間が歪んだような現象を起こした。


「はぁはぁ…。」

どれだけ出てくるんだ。


ジジジ…。

「コチラ第二部隊、最前線の敵数未知数。偵察隊消滅。後方へと後退し味方と合流し立て直す。」


第三部隊隊長は、息を上げながらも無線連絡を聞き後退してくる第二部隊を迎えに向かう。荒れた草木の無い大地。 前方には見方と敵の戦闘が、繰り広げられつづけられる。カモフラージュに茶色を特徴とした迷彩服を着込み各兵士の背中には、刀、両手にはアサルトライフルを装着。敵は同じ人で有りながら、人間離れした動きをし、拳銃などの攻撃を受けたとしても怯む程度。そんな現状での戦闘が続くなか味方の遺体の数だけが増えていった。

第三部隊隊長マルコスは、急所を確実に狙い弾を撃ち込み怯ませながら、進むと前方へ。第二部隊長の姿をとらえる事が出来たが殺られた、ところを目撃してしまう。それを見たマルコスは、特に悲しいと言った感情などを持ち合わせる事も無く。ただ、身を守るためにも自分に襲いかかる敵の脳天を確実に狙い撃つ。

キリがない…。見た目が、同じ人間で有りながら話し合いと言う解決方法を見いだす事が、出来ないとは…。

腰の無線機をとり口元へ近付けスイッチを入れる。


「コチラ第三部隊、第二部隊隊長の戦死を確認。第三部隊も、持ちません。アイ・システムの許可を。」

マルコスの背中に背負われた剣は、微かに青い微粒子を放つ。

≪半年前≫


ダルク国、首都ラグニアス。


水と緑が豊富なこの街は、人口50万人ほどであるがアルニカ大陸で最先端の技術を持つ事で有名である。主に体に不自由な人の体をサポートする機械を作る技術が長けており、他の街から治療を目的とした人が、訪れていた。

大統領マハル・ミナス現在1年目を迎えた若い指導者であり国民からの信頼は厚く前大統領とは比べ物にならないものであった。前大統領は国を私物化し、国民に強制労働を行おうとした。人身売買、自国と他国を含むマフィア関係があったことと国民への税負担も高く。子供をがいる家庭では食事するのもやっとの状態であったが、現在の大統領マハル・ミナスは現在の地位を手に入れてからは、そのような事は無くなった。

元反乱軍のリーダーであり国民と共に前大統領へ立ち向かった人物である。当時は沢山の血が流れこの戦いを国民達の間では、「神への鉄槌」と呼ばれる。そして、国の利権を手に入れると税金の引き下げが実施され国民の生活は楽になり苦しい生活からの脱却を成功させた。

現在では医療関係にかけられる資金は、減り当時のような速さで進歩をすることはなくなったが、現在の生きる人々はそれを納得し、生き抜く喜びを感じている。前大統領は、ガルバロス・レイと呼ばれていた。

上品な香りを振りまきながらスタイルのよさを生かしたスーツは体のラインをはっきりとさせ、ブロンドヘアーの美女が赤い絨毯の上を書類を両手で抱え、大統領室へと足を運ぶ。歩くたびに左右に動く形の良いヒップはまるで男を誘うようだ。

トントンッ!

ドアの前に立つと木製の扉を叩き、中から入っていいと言う言葉が聞こえ大統領室へと足を運び入れる。

ルミス・ハルトン、年齢26歳 職業 ダルク国国務長官 性別 女性

大統領マハルが座る机の上に手に抱え込んだ資料のファイルを置き笑顔を浮かべる。


「大統領おはようございます。」


「あぁー おはよう。そういえばメッチェが言っていた炭鉱労働者への死亡保険強制加入案はどういう状況になったかな?」


机の上に置かれたファイルを手に取り広げて目を通していくと、渋い表情をマハルは浮かべ始める。


「現在の段階では進展はありません。あと一ヶ月前に現れた200名のアンノンの対処ですが、現在もダルク北東森林地帯で戦闘が引き続き続けられています。話し合いをする機会があった模様でしたが、その時の現場にいた部隊長は殺されました。」


ファイルのページをペラペラとめくり目を通していくと、マハルはそこでめくるのを止め資料を机の上に置き気になった所を指す。

-アイ・システムによるアンノンのへの対策案。-


アイ・システムは体を動かすことが不自由な人のために企画されたものですが、人間の身体能力を上げると言う点で、身体能力が高いアンノンと戦を行うには、必要不可欠になると思われます。殺傷能力が高い武器にアイ・システム実装を検討。アイ・システム解除後人体への影響はでるものの最低でも10%は身体能力を上げることが可能です。医療のみでしかアイ・システム許可が下りていないため軍での利用許可をいただきたい。


「アンノンとの戦で何人無くなった?」


「250名を超えました。」


眉間にシワを寄せマハルは、書類にサインを書き込み、引き出しから印鑑を取りだし押し終えるとルミスへ手渡しす。


「これ以上、犠牲を払うには私には荷が重過ぎる。アイ・システム開発者と共に新武装の開発を取り組んでもらいたい。」


「はい。では、早速。」


大統領の机の前には香りだけが残され、扉のしまる音が部屋に少し残った。


「同じ人でありながら我々より高い身体能力と強固な肉体を持つ人種とは恐ろしい。」


白で統一された大統領室は、光が注ぐように作られ窓の数が多い。机から横の窓の前に立ち、外へ目を向けるマハルの目には不安が滲みでていた。


「許可が下りたぞ!!」


研究所の扉を打ち破る勢いで、1人の研究員が飛び込み大声で朗報を告げる。軍専用のアイ・システムの開発をおこなう研究員達の表情には、笑みがこぼれ意欲をを沸き立たせた。


「協力のようなものは、してもらえるのだろうか?システムはあるが武器関係の知識は我々は乏しい…。」


喜びに満ちた表情はどのような武器にシステムを搭載するかで、雲行きの怪しい顔つきになる。

ガチャ…。

ゆっくりと開かれた扉の向こうに立つ白いロングヘアーの身長は155cmぐらいの女性は大きな袋を担いで入ってくる。


「ここでいいのかな?アイ・システムの研究をおこなってる部屋は?」


幼い声からはまだ小学生とでは無いかと思わせた。研究者達は驚いた表情を向け5名ほどの研究者達は近寄る。


「まさか、アイ・システムの生みの親が来るとは。」


「大統領の命令だから仕方ないですね。人を殺すために利用されるのは、力を貸したくはありませんが、理由が理由でしたので、今回は仕方ないです。アイ・システムを搭載する武器ですが、すでに存在はしてるので、その素材と武器加工はルミスさんがやってくれています。2500名以上のアイ・システムを至急作るのが我々の使命です。」


研究者達の悩みは一瞬にしてなくなったが、今の話を聞いた研究者のリーダーは頭の中に、何か引っかかるようなものを感じる。


「アイ・システムを搭載した武器はすでに存在してるといっていたのですが、そんな資料は一切ありませんよ。」


不愉快な表情を桃井は向けた。


「あなたはまず世界を冒険し、直接物を見て体で感じたほうが良いと思います。本などの資料ばかりを当てにしてると足をすくわれますよ。アイ・システムを搭載した武器を発見したメンバーは私しとその時の調査団員しか知らないですからね。あいにく資料には残してません。」


背中に背負った袋を床へと置くと中から皮製の大きな鞄が姿を現し、鞄を開けるとショートソードと鋼のようなものが研究者達に目には映った。


「アイ・システムを実装された武器はこれですね。そして、これが素材です。作ってしまいましょう。」


「鋼でしたらウチの国土でも手に入れることはできるのでないのでしょうか?」


不機嫌そうな表情が特徴的になってきた桃井は目を閉じて鋼のほうへ右手の一指し指を向ける。


「玉鋼には、炭素、ケイ素、マンガン、リン、イオウ、ニッケル、クローム、ダングステン、モリブデン、バナジウム、コバルト、銅、アルミニウム、チタン などが含まれており硬度を得るのに必要な炭素以外の元素は微量しか含まれてません。鉄にとって最も有害とされるリンとイオウの値は極小…。

そして玉鋼を使った剣は1日使っても刃は鈍らず、長期の戦闘を見通して殺傷能力の事も含めるとしたらこの素材から作った剣が、一番適してるのではないかと私は思い早急に対処できる方法として今回お持ちしました。素材を手に入れることが出来たとしても2500名以上の人に手渡せるほど手に入れられるかはわかりませんが、私達に出来る事は安定したシステムの量産です。」


医療関係の情報を持ち合わせてない研究者達は桃井が言ってることで理解できたのは、「とりあえず、この素材でないといけない」と納得する。


「システムは医療関係の身体促進だけのものでは、所有者が戦場で生命を確保することは難しいと思えるので、強制的に身体のリミッターを解除します。」


「リミッターの解除とは?」研究員の1人が質問をする。


「人間は100%脳も体も扱えていません。普段の生活で3%も使ってないと予測してる学者もいます。それは、なぜでしょうか?元々扱える力を自らでも扱うことができないのは…。」桃井は歩きながら言う。


「あくまでもこれは推測ですが、現在の人間社会に至る過程で扱う必要がなくなったからなのか、それとも人間には過ぎた力だから神が封印したのかもしれませんね。」


「馬鹿な。神と呼ばれる存在は人間が作り出した想像の産物にしか、過ぎません。」


「ほぅ。今回、私達の脅威にもなっているアンノンに対しても、そう言えますか?神と言うのは絶対な力を持った存在の事だと私は思ってます。私達の敵の力は神に等しい力ではないでしょうか?」桃井は一度立ち止まり言葉を発した研究者のほうを一度見ると再び歩き出す。


「・・・・・。」


「もし想像の産物だとしても、現在も神を崇める信仰などが残ってると言うことは、存在していたのかもしれませんよ。絵に残っている神の大半は人と似た姿をしてますし、今回のアンノンはもしかしたら…。まぁ言うの止めておきましょう。まぁ、人には越えてはいけない境界線みたいなものが存在し、それを強制的に解除するんです。そうすることによって普段、眠っている力を開放することができます。」


眠そうな顔をしている学者の一人が口を出す。

「それを開放した場合、なんらかのリスクを伴うのではないですか?」


「その通りですね。普段使うことの無い力を使うと言うことは身体への負担も大きいです。それでリミッターをもう一度かけます。医療用アイ・システムは患者に合った上限を定めて使用しますが、軍用のアイ・システムは100%開放され所有者へ負担が少ない範囲でリミッターをかけます。」


「そのシステムを作るには一ヶ月ぐらいはかかるのでは?」


「ご心配なく。これがオリジナルのアイ・システムです。」

桃井のポケットから出てきたのは、球体で青い球のようなものであった。


「武器へ搭載方法ですが、ナノマシーンにシステムを記憶させ量産された剣をコーティングする形で問題ないと思われます。」


5名の研究者達の目を1人づつ見ていくと桃井は息を大きく吸い込み。

「さっ!やりましょう!」思ったほど大きくない声と幼い声が、研究所内に広がろうとした。


≪ダルク北東森林地帯≫


森林の中を駆け巡る人達の手にはアサルトライフルが握られ戦闘が、続けられている。第三部隊を指揮する隊長はルリナ。女性でありながら、そこいらの男では相手にならないほどの戦闘技術を持っている。

副隊長マルコスを引き連れ死んだ仲間達を背に残し、敵がやってくるほうへ進軍していく。森の中は静けさが広がるが時折、遠くから銃声の音が聞こえすぐに止み静かな森へと姿を戻る。どこで敵に出くわすかわからず、いつ背をとられるかわからない現状の中を2人は互いの背を守りながらこ三日間生き抜き続ける。


「第三部隊隊長へ連絡。新しい武器を送るため現在の場所で待機。」


面白い。私達はてっきり捨てられたものなのかと思った…。こんな人でありながら私達以上の力を持ち合わせたモンスターを普段と同じ武器で戦うなど、エサになれと言われてるようであったからな。


「了解。」


「新しい武器とはなんでしょうか…。まさか、噂のレールガン?確かにあれを使えるなら戦局を変えられそうですね。」


「どんなものかわからないが、こんな状況で持ちいれてくるぐらいだ。少し不安はあるが使わせもらおう。」


マルコスの頭の中には新しい武器の情報といえばレールガン?それくらいしか思い浮かばない。大抵の技術研究関係の話は実装段階にいたらなくても、多少の情報は流れてくるため把握することができたが、最近では軍事関係の縮小のため武器関係などの開発はストップをしてる中で新しい武器の実装は頭の中に引っかかった。


「マルコス見つかった。上だ!」


木の上から見下ろしている着物を着込んだ洋風の顔立ちの男達は、飛び降りながら攻撃を加えてくる。とっさにマルコスは背を地面につけ仰向けの状態で、相手の額へ確実に一発お見舞いすると目をぐるっ白めになり、そのまま落ちる。回避するように地面を転がるマルコス。

首元へダガーを突きつけ斬ろうとするとルリナの手に握られた刃は、不思議な欠け方をした。


「まずいな。長いはできない。」


「現場をいったん移動して、戻るというのは?」


ルイナは背後に何かしらの気配を感じ取り、その場から前方へ転がり背後のほうへと投げ目を送ると見慣れた人物が、ダガーを避けた。


「あら、元気そうじゃない。」


昔、反乱軍で一緒に戦ったかつての仲間の姿がそこにはあった。森林などで戦いで効果を出す迷彩服を着込み両手にレールガンを握られ、そして剣を背負っている。


「ルミス!お前にはやらなくてはいけないことがあるだろう。」


ニヤッとした表情を見せながらルリナへと背中の剣を手渡すと、不思議そうな表情を浮かべるルリナ。


「これは?」


「さっき連絡があったでしょ?それが、新しい武器よ。」


これを新しい武器と呼ぶには、あまりにも時代が古すぎる。自動小銃などを装備する時代に剣を装備して戦えと言ってるのが、馬鹿にされてるとしか…。


「私も今あなたが思ってることをそれを見たときに感じたわ。でも、今はそれしか手がないのよ。相手の身体能力を凌駕する力を得て確実に殺す方法は…。」


その剣は、両刃のロングソードで幅が広く見た目からはずっしりとした重量感を感じさせるが、持ってみるとまったくそんな感じはなく、不規則な線が掘り込まれているのが見て取れる。鍔は無く握りは両手で握れる長さであった。


「それで、この新しい武器の使い方は?」


「その剣を握って何かを感じないかしら?」


質問をされて逆に不思議そうな表情を見せたルミスは、近寄って剣を受け取ろうとする。


「ううう…。」


「意識が戻った!」


とっさにマルコスは言う。その場の3人は一斉に身構えレールガンの充電を行いながら後方へと移動をするルミス。先ほど気絶をしていた敵はルミスへの方向へと向かっていく。マルコスはとっさに急所を含めながら何発もの弾をお見舞いするが、先ほどとは違う速さで移動をするアンノンへ狙いが定まらない。ルミスは身の危険を感じ、とっさにレールガンの引き金を引くが、充電を行っていた銃口の光が止んでしまう。


うそ…。


目の前には懐から取り出した2本のダガーを、装備したアンノンがルミスへと向かう。動きを取れないルミスはそのまま尻餅をついて、ただ見ているだけの状態。突き出される2本の刃を見つめとっさに目を閉じた。

暖かいものが、流れているのを脚元に感じるとゆっくりと目を開け、自分を狙っていた敵が胸から刃が抜けているのを確認した。


「はぁー…。」


敵をそのまま自分のほうへと引き寄せると地面へと叩きつけ、剣を勢い良く振り払い刃についた血を払う。


「新しい武器と言うのは確かのようだな。普通の刃物じゃこいつらには刺さらない。」


その場から立ち上がりお尻をはたくと、レールガンを両手に再び構える。


「ありがとう。あとその剣にはアイ・システムを搭載してあるの。」


「体が不自由な人が使う身体促進の?」


「そう。それを軍事用に開発したものが今その剣には搭載されてるのよ。剣の素材も限られたところでしか作られてないものだから、大量に入手するのが難しいのよ。ただ、その剣だけはまた別物みたいだけどね。桃井博士が、現在の状況早急に終わらせるつもりならコレを持っていきなさいといったのよ。ただ、アイ・システムは試作型で長期での使用は、厳禁。アイ・システム発動方法は、剣へ意識を集中させると開放できるようになってみたいよ。解除は逆に自分を切り離す感覚を行えば解除できるといってたわ。」


「そうか。」


辺りの様子を確認しながら、マルコスは安全の確保を努める。森はただ息を殺すかのように気持ちの悪い静けさが、広がっていた。


「この先ずっと進めば、和平交渉の現場となった敵の船へとたどり着けるわ。私はまだ仕事が残ってるから、また会いましょう。」


来た道を戻るようにルミスは、森の中を駆け抜けていく。


「隊長。背中は任せてください。」


「ありがとう。では、乗り込むか。」


太陽は空の真上に指しかかろうとしている。2人の兵士は何も言わずに周囲の確認をしながら森の中を抜けていくと船が一隻、森の中にあるのが確認することができた。

船の見た目は、木製で作られた大きな普通の物と変わりないが、なぜこのような海のない森の中に存在している事が不思議な印象を与える。船の周囲の木の枝が、地面に落ち小鳥の泣き声などは一切聞こえずシーンとしていた。敵が5、6名いるのが確認でき、外にゴミのように捨てられている仲間の兵士は3体重ねてあった。


「我々の任務は、生存者の確保です。情報では和平交渉としていった3名は殺された模様。連れ去られた女性の確保です。船へ乗り込むに、この現状は…。」


木の陰に隠れながら2人は船に乗り込める機会をうかがうが、そんな状況はこなそうであった。


「私が、敵を引き付ける。その隙に船の中に乗り込み民間人の確保、すぐに取り掛かる。」


「えっ…。」


驚いた表情をするマルコスをよそに、ルリナは腰の手榴弾をどんどん前方へ投げ込む。


「こちら第三部隊。これより救出作戦を行う。」


すぐに無線での連絡だけを入れると、マルコスへ支持を促す。マルコスは船を中心に右回りに森の中を駆け抜けていく。ルリナは左のほうへと回りこみ手榴弾で爆風が立っているほうにいた敵が、どうくるか目を送りながらも船の左側にいる2人の敵へと駆け抜けていく。

気づいたか。

2人の兵士は人間離れした速さで、一気に間合いをつめてくる。ルリナは両手で握った剣へ意識を送りながら、前方の敵へと向かう。身長が高くガタイのいい敵は奪った銃器を使い攻撃をしながら、向かってくる。

動きが、見える。

弾丸の流れを確認することが出来ることに気づいたルリナは、左右に揺れるように避け、敵のほうへ近寄り首元から胸にかけての切り込む。後方にいるもう一体の敵へ、切り込んだ敵を押し蹴ると後方にいた敵は避け、ルリナを掴みかかろうとするが、両腕を切り落し胸へと突き刺す。

何だ。この力は、これならやれる。力がみなぎるような実感は無かったが、相手と互角以上に戦えてることで力を感じた。

剣に彫られた不規則な線のようなものは青白い光を放ちながら、線に沿って走っていた。煙が止んで手榴弾を食らった門番の2体は、見事に体の一部を持っていかれその場でもだえる。

船の周囲をぐるっと一周し確認をすると、敵がいないことを確認し、甲板へジャンプをした。体はうそみたいに軽く普通では跳べない高さまで飛ぶことが出来、進入する。


「侵入者。甲板へ急げ。」


なんだ。奴らも私達と同じ言葉を使えるじゃないか。

甲板の上に続々と、敵が集まってくる。ルリナはなぜか、にやけた表情を向け、ダッシュで敵の群れの中へと飛び込む。

立場が逆になった気分は、奴らにとってはつまらないだろうな。今の私なら仲間の仇も取れる!

主に接近戦を専門としている敵は、ダガーなどを両手に装備し攻撃を繰り出すがルリナは、すらすらと避け敵は剣の餌食になる。船内にいる敵が続々と集まるが素早い動きで次々と蹴散らす。


「うっ!」


突然、脳に痛みが走りその場にと倒れる。冷や汗のようなものを背中に感じながらも、周囲に近寄ってくる敵の存在を確認し、動きそうにもない体を動かし、回転しながら周囲を取り囲もうとした敵へ攻撃を叩き込む。


「隊長!生存者を確保し別部隊へ引き渡しました!」


船内のアナウンスからマルコスの声が聞こえ、少し時間がたってから制御室を爆破した。地下から姿を現すマルコスの手にはレールガンが握られ、独特の音を響かせる発射音が響くと前方の敵が蒸発した。


「マルコス!お前も逃げろ。これ以上、保てない!」


何を言っているのか、マルコスにはわからなかった。ルリナは敵を蹴散らしながら叫ぶが、その場でマルコスはレールガンに充電を始める。


逃げろ…。


意識が遠のいたルリナの目は、ぐるりと回り白目を向け体勢を一瞬崩した。マルコスは隊長の下へと駆け寄っていくがルリナは立ち直ると、そのまま周囲の敵を切り刻む。その刃はマルコスのほうへ向けられ間一髪でその攻撃を避ける。素早い動きで2発目の攻撃が向かってくる。マルコスへ集中しすぎたのか、周囲の敵からルリナは攻撃を受け体が宙へ。その隙にマルコスはレールガンを捨て、その場から離れルリナは地面へ叩き付けられる。体勢を直し、再び残存する敵を殺していく。

まるで、バーサーカーだ。隊長の姿を見たマルコスは思った。

今になって逃げろと言われた事の意味を理解したマルコスはそのまま甲板から飛び降りたが、着地をしたときの衝撃で両足の足首をやってしまい。足を引きずるように森の中へと姿を消しす。


「こちら、第三部隊副隊長。隊長は残存する敵と戦闘を続けるが、帰還をすることは不可能。救援を頼む。」

木に背を預け、マルコスはその場で目をつぶる。


≪5時間後≫


ゆっくりを目を開けると、白い部屋のベットの上で横になっていることにマルコスは気づいた。

喉が渇いた。

立ち上がろうとベットから出ようとするが、両足から強烈な痛みを感じ動くことができない。

あれからどれだけ寝たのだろうか?隊長はいったい…。扉が開き医師とスーツ姿の男が、2人入室してきる。


「マルコスさん目を覚ましたんですね。足方ですが、一ヶ月ほどで歩けるようにはなると思います。そのときには軽いリハビリをしていただきますが、今は安静にしていてください。何かあれば枕元にあるコールをお使いください。」


医師は部屋から出て行き。2人の男が、ベットの横に椅子を寄せ腰を落ち着かせるとこちらの様子を伺いながら男の一人が口を開く。


「私たちは国務長官からの任務を経てきました。」


上着の内側から顔写真と名前に所属が載った手帳を見せられたが、いったい何処の所属の人物までかは把握ができない。大統領の認印を見て少しは信用をするが、疑いの気持ちだけは胸の中に残る。


「マルコスさん。今回の任務はご苦労様でした。船に存在していたアンノンは全て排除され、生存していた女性の数十名は診察後、家庭の元へと戻りました。」


「隊長はどうしてますか?」


あのときの隊長の姿は、忘れることが出来ないほど印象の強いもので人間離れした動きで圧倒的な力を見せつけたが味方を認識できるほどの意識はなく、あの後どうなったのかが気がかりになっていた。


「治療は終えてますが、意識のほうはまだ戻ってません。面会も禁止されてます。」


何か裏があると思ったマルコスは鋭い目を2人のスーツを着込んだ男へと向けるが、冷静な目を向ける2人の男。


「私達がここへ来たのは今日あなたを歩けるようにする方法があることを伝えに来たのと、アイ・システムを搭載した武器による軍隊強化促進のために貴方を候補者の1人として今回、声をかけさせて頂きにまいりました。」


「人で、無くなってしまうような物を使って俺にも死ねと?」


「ルリナさんでしたら、生きてます。現地で聞きませんでしたか?システムは試作型だと。貴方が寝ていた数時間でさらに改良を加えられ安全性のあるシステムになってますので、ご安心を。」


…。

黙るマルコスは考える表情を浮かべ少し経ってから口を開く。


「わかった。今から歩けるようにしてもらえるんだな。」


「ここですぐには無理ですが、アイ・システム軍備研究室でならそれが可能です。今からそこへお連れしますので、車椅子を用意してきます。」


≪研究施設≫


込み合った街中を抜けて森に囲まれた見慣れた軍の基地へと車は入っていくと、基地内にある大型エレベーターに車ごと入り自動でエレベーターは下りはじめる。


「その書類にサインをお願いします。アイ・システムについての書類も下にあるので、目を通して置いてください。」


受け取ると今回に関する情報を口外してはならないなど、今まで仕事でサインしてきた書類と変わらない内容の文面が見て取れる。サインを済ませその下のほうにあるアイ・システムの書類へと目を向ける。


-アイ・システム-

刀に搭載されたシステムが、所有者と同調することにより身体能力を促進してくれます。

元々身体が不自由な人のために作られたこのシステムは、常に同調を行うことが前提となってますが、軍事用に開発されたシステムは個人差はありますが、人間本来持っている。自己の意識では扱うことのできない力を一時的に100%強制解放しシステムが身体への影響を考えてリミッターを掛けた範囲での身体能力促進となります。

長期での使用は体への負担が大きいためなるべく避けていただきたい。

訓練方法はシステムとの同調を疲れが感じるまでおこない。切り離す訓練を行ってください。体に疲れを感じている時に訓練をするのは控えてください。


エレベーターは止まり、車内から見える目の前の扉は左右、上下と動きを見せ開かれる。車が少し前へと進むとあたりは研究を行っている学者が6名ほどと、椅子に座って待つ軍関係者の姿が見て取れた。車から車椅子へと乗せかえられると、軍関係者と同じ席のほうへと移動させられる。


「貴方が今回の英雄マルコスですね。」


隣の席に座っていた男が、軽い口調で言いながら右手を差し出す。その手を握り返すマルコスは「こんにちは。」と一言伝えて数本の並べられた刀のほうへと目を送る。


「ええ、私がアイ・システム第一人者の桃井です。人を殺すような道具に力を貸すのはとても不愉快な気持ちですが、大統領がどうしてもと言うことで今回は協力させていただくことにしました。」


その場に居合わせた人達の中にはクスっと笑う者も居れば嫌味を含めた発言に驚きを隠せない人も居た。


「そこの車椅子の人こっちに来てこれを握ってください。」


そう言われると刀の有るほうへと車椅子を進め、指示された刀を握る。

試しにさっき書いてあった通りにやってみるか。


「この刀ですが、来る前に話は聞いてると思いますが、身体を促進するためのシステムを搭載してあります。実際に…。」


桃井は隣にいたマルコスが刀を握って立ってるのを見てがっかりした表情を見せるが、軍関係者の人達は驚いた表情を見せた。


「何のマジックだい?」椅子に座っている一人が笑いながら言う。


「ほぅ。これがシステムの力ね。」脚に痛みは感じたが、不思議なぐらい楽に立ち上がることが出来る便利なシステムだなとマルコスは思った。


「そうですね。それじゃ、問題なさそうなので、各自一本ずつ持ち帰ってください。訓練は欠かさずやってください。以上です。」


不愉快だと言わんばかりの態度をとりながら、桃井は自分の机のほうへと席を着いた。各自、言われるがままに刀を手にするとエレベーターで上へと向かうが、マルコスだけはその場に残り刀の柄を握ったまま桃井の元へと向かう。


「俺がココに来た理由は、お前に話しがあるからだ。あの時になぜ俺らのところへ試作型を運んだ。」


その話を聞いてピンッと来た表情を見せる桃井。


「大統領から頼まれたからですね。そして、戦場での死者300人。もし、受け取って拠点への侵入をしていなかったら更に増えてましたね。どちらの判断が正しいのかは私には付ける事が出来ませんが、貴方はどちらを?300人を超える死人を出すか、1人の犠牲を出すか?」


怒りに身を任せてマルコスは桃井の近くにあった机を蹴り上げると、不自然な曲がり方をして宙へ上がり地面に接触した机は大きな音を研究所内に響かせ、スーツの男2人は桃井をかばうように前に立つ。刀をその場に突き刺し、手を離すと力を失ったかのようにその場に倒れこんでしまう。


「俺にはこんな刀はいらない。」


地面を這い蹲りながら移動し車椅子へ乗り込みマルコスはエレベーターのほうへと向かう。桃井はその場から立ち上がるとへし曲がった机の引き出しから青い球体を取り出し、たけ掛けてある剣を手に取るとマルコスの元へと向かう。


「いい歳して、面白い人ね。代わりにコレを持っていきなさい。」


桃井の手に握られていたのは、隊長が扱った剣と同じ形をしていた。桃井はその剣に球体を重ね合わせると、吸い込まれるように球体が剣へ浸透していき剣に掘り込まれた不規則な線は青白く輝きを放つ。その剣をマルコスの膝の上に置き桃井はマルコスの車椅子を押しエレベーターへと乗せ終えると、勝手に上昇した。

形見にしろとでも言うのか?

暗い空間の中上昇するエレベーターは一定の区間に設置されたライトが、光っては消えを繰り返し何も考えることが無いまま地上へと着いた。


≪現在≫


「アイ・システムの許可は下りないのか?」


無線機の向こうへ怒鳴りながらマルコスは言う。襲い掛かってくる敵へ向かって背負っていた剣を使い攻撃を加えていくが、相手の反応速度が速くまともに剣の攻撃を与えることができない。相手の一方的に繰り出される攻撃を何発か食らいながらも回避をし、攻撃をする。

いったいなにをしてるんだ。このままじゃ、どこの部隊も終わりだ。


「大統領。見殺しにするのはかまいませんが、どうしてシステムの許可を出さないのですか?今までの進めてきた今回の件はいったいなんのために。」


問い詰めるように桃井は、大統領室に乗り込み傍へ近寄っていく。ルミスは冷たい表情を桃井へと向けつづけ、大統領は椅子の背もたれを向けたままであった。


「今、現場にいる兵士達が命を無駄に何人すれば、許可をだせるのですか?現場からの連絡が途絶えません。」桃井は更に声を張った。


「ルミス…。この件はお前に任せてると言ってあるはずだ。なぜすぐに対応して許可を出さない?私のシステム使用許可の権限はお前に一任したはずだが。」


「妹と同じ人が増え悲しみを背負う人が増えるぐらいなら、死んだ方が…。」


「それは違うな。ルミスが、どう感じたのか知らないがルリナは、生きている。」


大統領室マハルは、ダイヤルのあるボタンを1つ押しっぱなしにしながら受話器を耳元へ。


「私だ。戦場にいる戦士達に無線を繋げてもらいたい。」


「わかりました。」若さの感じ取れる声がした。「繋がりました。どうぞ。」


「ありがとう。大統領の私から皆に連絡がある。アイ・システムの使用を許可する勝利し、必ずこの地へ帰ってきてくれ。」受話器を元にに戻した。


戦場にいる兵士は各自、アイ・システムを搭載した剣・刀を握りこむと意識の同調をおこない敵のほうへと切り込んでいく。相手の身体能力を凌駕した、各兵士のその動きは相手に恐怖を与え始めた。


「やっとか…。アイシスいこうか。」


剣から女性の声で「了解です。マスター。」


身体への影響を及ぼす過程を見ながら、リミッター%を高めていきます。最悪の場合は、強制的にカットします。脳内に直接アイシスは言う。


「わかった。このまま敵を倒しながら空を駆ける船を占領する。」


剣に掘り込まれた不規則な線に青い光が走り始め剣から青い粒子が飛ぶ。素早い動きで空を飛ぶ船の真下まで敵を倒しながら向い足元へと力を入れ踏み込み跳ぶ。地面から脚が離れると、地面は崩れマルコスは上空へ勢いよく向かい空を飛ぶ船より高い高さに到達すると、体制を整え甲板へと飛び込んだ。大勢の兵士が、落下をしようとしている光景が確認できる。敵の銃による応戦が始まった。


「アイシスこのままではやられる。一瞬でいいリミッターを限界まで弱めてくれ。」

はい。マスター。

空中から甲板へたどり着くが、着地の際に足場が崩れ、船内へとマルコスは、たどり着く。

いてー。襲い掛かってくる敵へと立ち向かっていく。


気づけば空は青くなっていた。その戦場にいた者達は気づく事が無かったであろう。太陽は光を注ぎはじめ生きるものへ平等に暖かさを降り注ぐ。戦場から離れた緑で生い茂った森では小鳥の鳴き声し、村人は田畑を耕し普段となんら変わりない生活を送り、気の合う仲間で集まった主婦達は会話に花を咲かせ、町中で子供達は友と笑い合い時が来るまで遊び今を純粋に楽しむ。戦争が起きてることを知らないのか、知っていても知らない振りをしているのか、国を守るために立ち上がった兵は、今も確かに戦場を駆け抜けた。

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