ちょっと、神様!友情ルートで覚醒させないでよね!
わたしは温かい幸せに包まれているのを理解した瞬間一抹の不安が過りながらも、この温かい幸せが未来永劫続けば良いのにと思った。
『ハラヤマ シホ。目覚めなさい。あなたの願いを叶えましょう』
「・・・」
わたしは心の底から大きく溜め息を吐くと、目を開けた。
「・・・聖女リリアンヌ!君のお陰で助かったよ!」
「本当にな!さすがにもうダメかと思ったぜ!」
「あっ!俺、レベルアップしちゃってるよ〜!」
「えっ!?嘘っ!?良いなっ!って、俺もだ〜!」
「うん!俺もレベルアップしたみたいだな!」
「勇者もか?ん?俺もレベルアップしてるな!」
「皆んな!明日は魔王との決戦だ!世界の平和は俺達にかかってる!絶対に勝利するぞ!」
「うん!今までめちゃくちゃ痛い思いしてレベルアップして来たんだし!絶対に負けない!」
「そうだね!俺達は絶対に勝つんだから!」
「そうだ!俺達は絶対に死なない!俺達には聖女リリアンヌがいるからな!」
「・・・」
わたしは目の前のキラキラしたイケメン達の頭の上に表示されてるステータスを見ながら、心の中でもう一度大きな溜め息を吐いた。
この世界はまたしても乙女ゲームの世界で回復魔法がチートな聖女がヒロインだ。
そして、内容は攻略対象の勇者・戦士・魔法使い・遊び人と一緒に全ルート強制的に魔王を倒して世界を救った後、選んだ攻略対象と結ばれると言うものなのだけど、攻略対象達の好感度とレベルによっては逆ハーレムルート等の色んなルートが楽しめるから、わたしが暇潰しに全ルートクリアしたのは言うまでもない。
「・・・聖女リリアンヌ、君は逃げるんだ・・・」
「・・・聖女リリアンヌ、今迄ありがとう・・・」
「・・・聖女リリアンヌ、俺達の事忘れないでくれよな・・・」
「・・・聖女リリアンヌ、俺達の友情は永遠だよ・・・」
・・・ですよねー
わたしは好感度はそれなりだけどレベル49とステータスに表示された、血塗れで息も絶え絶えでめっちゃ痛そうな瀕死の勇者達を見て、大きな大きな溜め息を吐いた。
この乙女ゲームには色んなルートがあるので、勿論友情ルートと言うものもあり、それはどんなに好感度が高くても勇者達のレベルが100までカンストしてなければ辿るルートなので、今現在レベル49でしかない勇者達は魔王にあっさり負けているのだ。
そして、友情ルートをクリアする為には、回復がチートな聖女であるわたしが自分の全魔力を消費した最高回復魔法【オールヒール】で、このルートでは必ずHP1の瀕死状態になる勇者達を全回復すると、勇者達のレベルは100のカンストとなり魔王を倒すと言うものなのだけど、この世界での全魔力消費は自爆行為なので、当然わたしは死ぬ。
それが、この乙女ゲームでの、仲間の為に、世界平和の為に犠牲となると言う友情ルートなのだ。
・・・死ぬのはちょっとなぁ。それにめちゃくちゃ痛くて苦しいはずなんだよねぇ。って言うか、こいつら今迄レベル上げサボりまくってたよねぇ?
わたしがゲームの魔法の設定やらここに来る迄の事を思い出して、思わず舌打ちしそうになったのは許して欲しい。
・・・まあ、しょうがないよね。世界平和の為だもんな〜
そして、わたしは叫んだ。
「ヒール!」
すると、勇者達はちょっと光った。
ピロリ〜ンッ!
そして、レベルが1上がった。
瀕死状態から重傷状態になった勇者達はヨロヨロと立ち上がると、チラッとわたしを見てから魔王へと挑み一瞬で再び瀕死状態になったので、わたしは再び全員にヒールを掛けた。
すると、勇者達はまたしてもちょっと光った。
ピロリ〜ンッ!
そして、勇者達のレベルは1上がったのだ。
こうして、わたしは勇者達がレベル100のカンスト状態になる迄ヒールを掛け続けた。
グギャーーーーーーーーーーーーーッ!!!
「よしっ!魔王に勝った〜!これで世界は平和だねっ!」
「「「「・・・」」」」
こうして、わたしは魔王を倒し世界平和を成し遂げると、好感度がゼロになった死んだ魚の目をした勇者達と国へ戻ったのだ。
「・・・さてと!聖女になってみたい願いは叶ったし!これからいったいどんな人生になるのかな〜♪」




