秋桜の紅葉
しいなここみさまの「いろはに企画」参加作品です。
キーワード:紅葉
タイトルの通り、名前が入っておりますが、私ではありません。断じて。
「丘の秋桜が紅葉した」
その話を友から聞いたのは、秋も終わりかけのころだった。
そもそも最近は気候がおかしいため、秋なんていうものはほぼほぼないのだが。
「そんなわけあるか。秋桜は一年生植物だろ。紅葉なんて起こるはずがない」
紅葉は葉が落ちる広葉樹で起こることだ。最近気になって調べた。
そんなんだから、秋桜が紅葉するはずがないのだ。
すると、友は言った。
「じゃあ見てみなよ。百聞は一見に如かずっていうだろ」
そう言いながらも、友も伝手聞きで、見たことはなかったらしい。
街のはずれにある丘まで、二人で歩いていくことにした。
――え?
道を歩く僕らの視界の端で、奇妙なことが起こっているように感じた。
ポストの赤みがましていたり。
急に壁が赤く塗られていたり。
道を歩くお姉さんのリップが赤すぎたり。
――あ、これはお姉さんが厚化粧なだけか。
とにかく、すべてが赤いのだ。
「なんだか赤くないか?」
気になって、そう友に問いかける。
「確かに。でも、紅葉の季節だしこんなもんだと思う」
――まぁ、そうか。
僕たちは納得して再び丘を目指した。
「紅葉、してる……」
丘につくと、確かに秋桜は紅葉していた。
いや、違う。
血に染まっているのだ。
――なぜだろうか。そう、直感した。
「いこう~!」
急に友が走りだした。
「っあ、ちょっ、まっ……」
どれだけ大きな声で呼びかけようと、友は止まらない。
そのまま、血まみれの秋桜の大群へと突っ込んでいった。
足に秋桜が触れると、一瞬だけ友が振り返った。
その顔は、ひどく驚いているようで、怯えているようで――
秋桜に触れた部分から爛れたように溶けていった。
最後に見た友は、恍惚とした表情をしていた。
――だが、僕ももう終わりだろう。
逆らえない力で、足が動いt……
ちなみに最終日らしいですが、最終日らしい内容は思いつかなかった。