第三章 狂想曲 その3
「だから言っただろう?なんでもかんでも機械に頼りすぎるなと」
「博士!ラプソディックパワーの危険性は、あなたなら重々分かっていらっしゃるはず!戦争と気候変動は決して別問題ではありません!どんなに強力なパワーを持ったとしても、それを利用しようとして、兵器開発をしている連中が必ず狙ってきます!」
「…僕は一生分の引きこもり生活が送れる金が手に入ればそれでいい」
「それは勝手すぎます!ラプソディックパワーは、人知を超えた未知のパワー!人の思考を狂わせ、破滅に導かせる!たとえ他国同士で争い事が起こっても、それが地球規模で気候変動を起こし、どんどん地球が荒れて、今以上に人口減少が加速してしまい、地球そのものが、もう生物が生きていけなくなる星になってしまう!ラプソディックパワーは危険なパワーなんです!そうなれば、引きこもりどころではなくなってしまうでしょう?それでも欲しいというのですか?」
宇佐美は悲痛な声で必死に博士に訴えていた。
(…戦争と気候変動は、決して別問題じゃない…)
月満は、宇佐美の悲痛な叫びを真剣に聞いていた。
ピピピ
突然、なにか電子音が聞こえた。
「来る!ラプソディックパワーだ!」
臼持博士は、これから発生するラプソディックパワーに備えた。その頃、月満は冷静に辺りを見渡していた。それを見た宇佐美は…。
「?あの、何かを探しているのですか?」
宇佐美は、月満にだけ聞こえるようにヒソヒソと声をかけた。
「いや、ちょっとな。あとこれ、実はさっきこの小さいハニワ、ずっと持ってた」
「え?返さなかったのですか?」
「いや、返しそびれたというか…」
「何をヒソヒソ喋ってる!来るぞ!お前らもしっかりと、目に焼き付けるんだな!」
すると、目の前に小さな玉のような、眩しく七色に光るものが現れた。
「ま、まぶしい…!これが?人類を破滅に導く光?」
月満は、初めて見る光を目の当たりにして、そう言葉を発した。
「ああ、そうだ!それとさっきの話だが…。元々、エネルギー資源のないこの日本で、僕がそのエネルギー源を安全に生成してあげるんだ!逆に感謝して欲しいね!」
「さっきから、身勝手なことばかり言って…!」
宇佐美は悔しくて涙が溢れていた。
「ふふふ…さあラプソディックパワーよ!我が引きこもりの野望を成就するためにも、このエネルギー吸収型ジェネレーターに…!我が元に来い!」
臼持博士は、自身が開発した、五百ミリリットルのペットボトルくらいの大きさの、エネルギー吸収型ジェネレーターで、七色に眩しく光るラプソディックパワーを吸収しようとした。