終章 未来【完結】
宇佐美 未来と、光束具で拘束されている臼持 一太郎博士は、百年後の古井戸のほうへと帰ってきた。古井戸に設置してあった使い捨ての装置は、宇佐美と臼持博士が往復したことによって、ボロボロになり、灰となって消え去った。
「…使い終わると、跡形もなく灰となってしまうという設計…。やはりとんでもない装置ですね…」
「宇佐美さん!」
宇佐美の仲間である、情報調査局の男性の一人が、宇佐美に声をかけた。
「宇佐美さん、ご無事で何よりです!」
「ありがとうございます。臼持博士の野望は、なんとか阻止しました。とりあえず、拘束した博士を連行して、いったん局に帰りましょう」
「分かりました!」
「…フン…」
宇佐美は、待機していた情報局の男性と一緒に、拘束した臼持博士を乗せ、飛行乗用機で情報局へと向かった。
「…あの宝石をやったのは、間違いなんじゃないのか」
臼持博士が、宇佐美に言った。
「え?」
「何せ、あの宝石と同じようなものが、僕の実家にある。もっとも、多少なりとも並行世界として枝分かれしているとは思うけどな…」
「え?売らなかったんですか?」
「…まあ、そうなんだろうな…。しかし……」
臼持博士は、怪訝な表情をしていた。
「宇佐美さん、いったいどうなされたのですか?」
情報局の男性が、宇佐美に尋ねると、宇佐美は事のあらましを、情報局の男性に説明した。
「そんな大変なことがあったのですか…」
「ええ。しかもまさか…臼持博士のひいおじい様にお会いするとは思いませんでしたが…」
「え?博士のひいおじいさんと言うと……」
「フン…。あのとんでもない使い捨て装置を作った、月満 真之介博士のことだ」
「えええ~!?」
「………」
宇佐美は少し考え込み、やがて臼持博士に尋ねた。
「…博士、本当にラプソディックパワーのためだけに、危険を冒してまで過去に行ったのですか?」
「…それ以外に何がある?我が引きこもり生活のためならば、多少無茶をしてでも、手に入れるのが筋ってものだろう」
「いえ、もしかしたら、過去の世界に警告するために、わざと行ったのではないかなと思いまして…」
「はん!それこそまさか!…だが…」
「博士?」
「僕の手荷物の中に、サンプルボックスが入っている。そこに、今の僕たちの時代にはない植物のサンプルがある。それを品種改良して、この時代の気候変動に耐えうる植物を作り出し、今度こそ引きこもり生活だ!わはははははははは!」
宇佐美は呆れながら、こう思った。
(やれやれ、素直じゃない博士ですね)
その後、宇佐美に拘束された臼持博士は、勝手に禁止されている装置を持ち出し、使用したことによって逮捕された。だが、持ち帰ったサンプル植物の研究と、品種改良に着手するという条件で、ある程度赦免された。
一方、ハニワの中に入ったラプソディックパワーは、初期の弥生時代へと時空間移動し、七色に光る巨大な人形として、弥生時代の人々に恐れられた。その警告としてハニワを作ったとか作らなかったとか…という伝説が、埼玉県井中野市に伝えられたという。
おしまい
この作品は、当初漫画を描こうと思って作った作品で
漫画のページでは30ページしかありませんでした。
仕事がいそがしかったのと、実力不足で
漫画を描くことは諦めました。
しかし、どうにも物語を描きたいという思いは強かったので
ならば文章で描いてみようと思い、文章で描いてみました。
当然、漫画ではたった30ページだったものは
活字では、物語に幅を広げることができ
当時、ちょうど未来と気候変動についてのイベントに参加していたので
それも踏まえて、この『うさぎ狂想曲』を
短編ではありますが。漫画を描くときより自由に物語を作る事ができました。
文章はド素人でまだまだ下手くそですが
少しでも読んでいただける方がいて
大変励みになりました。
本当にありがとうございます。
次の物語は現在作成中です。
今回のものより、少しダークなお話になります。
またぜひ、読んでいただけると幸いです。




