第三章 狂想曲 その4
「だめぇぇぇぇぇーーー!!」
宇佐美は、全力で叫んだ。
「うりゃあぁぁぁぁぁ!」
なんと月満は、先ほど拾った小さいハニワを、身体全体を回すようにして、ラプソディックパワーに投げつけた。
「え?」
「なに!?」
すると、ラプソディックパワーは、博士の開発したエネルギー吸収型ジェネレーターではなく、なんと月満が投げたハニワの中へと入っていった。
「はぁ?嘘だろ!?なんで、あんなへんてこな人形の中に?…いや、それよりも…!」
臼持博士は、月満を睨み、怒りをぶつけた。
「お前~!なんてことをしてくれたんだ!邪魔するな!」
「はん、未来が少しでも平和になるんだからいいじゃないか」
しかし、宇佐美はガクガクと震えながら、二人に言った。
「お二人共、言い争っている場合ではありません!あれを見てください!」
すると、月満がラプソディックパワーに投げたハニワが、巨大化していた。
「…え?」
月満は、自分が投げたハニワが急に巨大化したことに思考が追いついていなかった。
「…人形の巨大化?ラプソディックパワーは、物質量を増幅させるのか?」
臼持博士は、冷静に分析をしていた。すると、巨大化したハニワは、突然、三人を襲いかかってきた。
「きゃぁー!」
「うわぁー!」
「ふん…!」
三人は、なんとか巨大化したハニワの攻撃を回避した。
「なんで、ラプソディックパワーが、あの小さいハニワの中に入って巨大化して、私たちを攻撃するんですか!?」
「俺が知るわけないだろ!?てか、この糸どうにかならないのかよ!!」
月満が、臼持博士に言ったのだが、臼持博士は、ハニワの巨大化現象に興味津々で、冷静に頭の中で分析をしていた。
「…ラプソディックパワー、もしかして意思を持っているエネルギーなのか?…だとすると、もしや…」
巨大化したハニワは、今度は宇佐美を狙い、首元の人工宝石から無数の光の針のようなものを出し、攻撃してきた。
「きゃあ!」
「危ない!」
月満は、なかなか身動きの取れない身体で、宇佐美を突き飛ばして、ハニワの光の攻撃から宇佐美を守った。
「ううう…痛ってぇ…!」
「だ、大丈夫ですか!?」
しかし、ハニワの光の攻撃で、月満の身体を覆っていた臼持博士の開発した糸は消滅した。
「…あ、糸が取れた…」
「…悪運の良い小僧だ…」
巨大化したハニワは、今度は臼持博士を狙って、無数の光の針のようなものを出した。
「あ!博士が危ない!」
宇佐美がそう叫んだ次の瞬間、臼持博士は、持っていたエネルギー吸収型ジェネレーターで、無数の光の針を吸収した。
「あ…」
宇佐美は、自分がただうろたえているだけで、自分が情けなく思った。すると、今度は巨大化したハニワは、再び月満を攻撃してきた。
「うわぁ!」
巨大化したハニワは、無数の光の針で、月満を攻撃してきた。月満は、なんとか光の針を避けつつ、先ほどから辺りを見渡していたものを探していた。
「くそ!なんで、俺ばっかり狙ってるんだよ!このハニワ!うわぁ!」
月満は、何かにつまづいた。
「あ!これもしかして!」
月満がつまづいたものは、博士が対うさちゃん号用に使ったジャミング装置であった。月満は、それを探していた。そして、巨大化したハニワは、月満を無数の光の針で攻撃しようとしてきた。
「そう、何度も何度も、俺ばっかり狙ってるんじゃねー!」
月満は、博士のジャミング装置を、巨大化したハニワをめがけて投げつけた。すると、ジャミング装置は、ハニワの宝石部分に当たり小爆発、宝石部分が壊れ、光の針は出せなくなった。
「ふん…機転だけは効く小僧だな…」
臼持博士は内ポケットから何か道具を出して、宇佐美の身体に巻き付いている糸を切り落とした。
「…あ…」
「政府のコンピューターを出せ」
「何を偉そうに!」
「出さないと、このまま三人ともあの巨大な人形に潰されるぞ…」
「…くっ!」
宇佐美は、臼持博士の言い方は癪に障ったが、ここで潰されるわけにもいかないので、うさちゃん号を出した。
「いでよ!うさちゃん号」
ジャミング装置が爆発して壊れたので、宇佐美のペンダントから、うさちゃん号が現れた。ほどなくして、月満が、宇佐美と臼持博士のいるところに合流した。
「あの、うさロボ、戦うこともできるのか?」
「え?…いえ…あくまで、ただの自動車型コンピューターなので、戦うことはちょっと…」
「じゃあ、体当たりでぶつけて、爆発させるのか?」
「そんなことしないし、させません!」
すると、臼持博士が、皮肉を言った。
「機転は効くが、頭は悪いな…」
「なんだと!」
そうこうしているうちに、再び巨大化したハニワは、光の針を出す部分を壊されたため、今度は三人に殴りかかろうとしてきた。すると、臼持博士は、持っていた粘着糸を出す球を三つ、巨大なハニワへと放った。巨大なハニワは、糸が身体中に絡まり、身動きがとれない。すると、臼持博士は…。
「今だ!」
「うさちゃん号!光束具を、あの巨大なハニワに放って!」
すると、うさちゃん号の耳のような部分から、二重になった光の輪のようなものが出現し、巨大なハニワを拘束した。
「よし!これでラプソディックパワーはもらった!」
「あんた!それ目的で、俺たちを利用したのかよ!」
臼持博士は、持っていたジェネレーターで、ラプソディックパワーを吸収しようとした。しかし、次の瞬間、巨大なハニワは全身七色に輝きだした。
「あっ!しまった!」




