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本格始動と新年 Ⅳ

 サクラメント・エレクトロニクス


 フローレンス・N・ウールウォードが13年前に起業し、最初こそDrive Doll(ドライヴドール)へ搭載する光子ジェネレーターや新型の武装ギアの開発等を目的に始めた会社だった。


 しかし、いくら性能の良い製品を生み出そうとも、起業して間もない会社故に他社以上の信頼が得られず、ほぼ全ての製品が採用されることは無かったという。


 だがそれが逆に彼女の行動力に火を付けたようで「もう自社で新しいDD作っちゃえ」と舵を切り、数年間はDrive Doll(ドライヴドール)の製造へ着手し続けていた。


 そして漸く形になった機体


型式番号:Drive Doll(ドライヴドール) FourP-S008

 識別名:ブラックブロッサム


Four:第4世代ENIM(エニム)生体データ使用

 P:強化外骨格パワードスーツ

 S:サクラメント・エレクトロニクス

008:開発ナンバー



 この機体は従来のDrive Doll(ドライヴドール)と同様に規格化された武装ギアの接続を可能にしつつ、自社製の武装ギアの搭載を目的とした機体だった。


 周知の通り現在では基本とされる3種類の武装ギアがある

 

 高機動戦闘型ASSAULT(アサルト)ギア

 遠距離支援型BUSTER(バスター)ギア

 多機能支援型CONTAINER(コンテナ)ギア


 この3種類のギアの換装機構は過去の機体情報を調べれば簡単に真似することができた。この換装機構はDrive Doll(ドライヴドール)という機体を製造するにあたって、不可欠かつ宇宙連合軍正式採用試験の合格には必須条件であった。


 故に現状フローレンスが目指す自社製の武装ギアの搭載には、かなりネックだった。

 

 理由としては元からある規格化された武装ギアに合わせた性能では自社製の武装ギアを接続すると互換性を持たせた弊害でどうしても安定性が保てずパワーダウンしてしまうのだ。


 それを解消するために試行錯誤し自社製の武装ギアの性能を落とす等の試験したこともあるが、それではやはり採用されない上に自社でDrive Doll(ドライヴドール)を作れる様になった意味がない。

 

 自社製品の武装ギアの採用諦めない彼女は閃いた。




 Drive Doll(ドライヴドール)じゃなければいいのでは?





 そんな経緯と施設内の簡潔な説明を受けながらアスト達は一通り会社見学を終えた。


 そして最後に社長室へ招かれ、彼女の思いつきで開発された機体の詳細の1部を閲読していた。


「そういうわけで私はDrive Doll(ドライヴドール)を超える機体としてDriveDummy(ドライヴダミー)を考案したわ」


 

型式番号:DriveDummy(ドライヴダミー) NE-S000 FM

 識別名:ブラックストレリチア


 N:第9世代ENIM(エニム)生体データ使用

 E:地球外骨格ヴァリアブルスーツ

 S:サクラメント・エレクトロニクス

000:開発ナンバー

FM:Fast Model(初期型)




 カタログスペックを見たアストは言葉を失う


 DriveDummy(ドライヴダミー)、ブラックストレリチア……凄い性能だ……こんな機体を4年も前に開発していたのか……



 ブラックブロッサムをベースとしてネックだった武装ギアへの換装規格を取り払い、自社開発した最新型の動力機関であるフォトンストリームエンジンを搭載したことによりパワーダウン起こさず、Drive Doll(ドライヴドール)として必要とする3種の武装ギアと同等以上の装備を同時に使用可能にした。



 そして念願のオリジナル武装ギア、放熱姿勢制御翼アクティブウィングバインダーを搭載することに成功する。

 

 そして開発中にとある企業から譲り受けた最新の第9世代ENIM(エニム)生体データ。それに合わせ、ENIM(エニム)の様に泳ぎ回る機体形状への可変を可能とする地球外骨格(ヴァリアブルスーツ)を開発、導入した。


 最新鋭技術を余す事無く搭載して設計したその機体の変形状態の姿はまるで漆黒の不死鳥。


「私の夢の機体はトントン拍子に一度完成したかの様に思えたわ」


「思えた?全てのギアと同等の機能を搭載したこの機体にこれ以上何が――」


「性能ばかりを追い求めていた結果、一番重要な操縦者パイロットへの配慮を失念していたのよ」



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