第74話 ちょっぴり照れ屋な魔法使い
「ボエボエボエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
「なななな、何よコレ!?」
響き渡る絶叫。
それはパルクゥがギルドに入ろうとして手にかけた扉、そのやや上から発されたものだった。
その場所に吊るされていたのは、一言で表せば「人型のダイコン」である。
まるでこの世のものとは思えない声……というより爆音であり、人型のダイコンは聞いた者をすくませるほどの音圧を放っていた。
「ぐぎゅう……」
「あばばばば、マズいです……」
「耳がもげる……」
至近距離にいたパルクゥはへなへなとダウンし、離れた所にいたミズリーやロコも体が痺れていた。
当然配信を聞いていたリスナーたちも同様である。
【何ですのぉおおおおお!?】
【鼓膜ないなった】
【放送事故レベルの音がががが】
【ヤバいですよ!】
【これあれだわ、田舎の畑でたまに採れるやつ】
【あれか、『マンドラゴラ』か……】
【爆音で叫ぶ植物でござるな。拙者の土地にもたまに生えてるでござる】
【配信越しだからまだいいけど現地で聞いたら気絶するやつ】
【防犯用に使われてるんだっけ?】
【そうそう。事前に指定した人がいない状態で近づくと叫ぶんだよな】
【パルクゥはまだ登録してなかったってことか】
【泥棒扱いされるパルクゥw】
「とりあえず止めないとな。――ていっ」
「ぎゅむ」
何とかゴーシュがマンドラゴラの近くまで行き、頭部から伸びている葉っぱの付け根辺りを握る。
すると、マンドラゴラは大人しくなり、辺りに響き渡っていた絶叫も止まることとなった。
「た、助かった……。ダイコンの叫び声で天国に行くことになるところだったわ」
「ハハ……。すまなかったな。前に畑で採れたから防犯用に吊るしておいたんだが」
「何とか収まって良かったです。昨日の内にパルクゥさんもマンドラゴラに認識させておくべきでしたね」
「まあ、確かにこんなのがあったらある意味では心強いわね。もしギルドに押しかけてくる厄介ファンがいてもあの叫び声だけで撃退できそうだわ……」
ある意味では防犯対策の有用性を示す結果となり、リスナーたちの中にはゴーシュにマンドラゴラの栽培方法を尋ねる者もいた。
ゴーシュはリスナーたちに詫びを入れてから、ルームツアー配信を再開させる。
大勢が集まって食事できるダイニングや、レンガ造りの釜があるキッチン。
開かずの扉がある地下倉庫に、メンバーそれぞれの個性が表れている個室のチラ見せなどなど。
一行は楽しいトークも混じえながらギルドの内部を巡り、一通りの紹介が済んだところでその日の配信を終えることとなる。
ゴーシュたちの普段が身近に感じられる内容に、リスナーたちにも満足度が高い配信となったようだ。
「あぁー、疲れだぁー」
慣れないことの連続だったせいか、配信を終えたパルクゥはダイニングの広いテーブルの上に突っ伏す。
配信中は疲れた表情を見せないよう振る舞っていたのか、そのギャップはパルクゥの頑張りが分かる様子だった。
「ふふ。お疲れ様です、パルクゥさん」
「パルクゥは初配信だもんね。ぐろっきー?」
「でも、パルクゥの元気な姿が見せられて良かった。リスナーの人たちも楽しんでくれてたみたいだし」
「ふ、ふーん? まあ、この天才にかかれば当然ね。これから私の魅力もどんどん知れ渡ることになるわ」
みんなの労いがどこか気恥ずかしかったのか、パルクゥは分かりやすくプイッと顔を逸らす。
「でもその、私もいつもゴーシュさんの配信を見てるだけだったのが、配信をする側になるのが新鮮だったというか……。とにかく、ありがと」
顔を逸らしたままゴーシュたちに礼を告げるパルクゥ。
表情は見えなかったが耳の先が赤く染まっていて、パルクゥの心情はバレバレだった。
「パルクゥ、やっぱりツンデレ」
ロコがどこか嬉しそうに呟き、ゴーシュとミズリーも柔らかく微笑んでいる。
ギルド《黄金の太陽》加わったハイテンションな自信家、そしてちょっぴり照れ屋な新人の記念すべき初配信の日だった。
次回からいよいよ精霊祭のスタートです!
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