表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/76

第56話 強敵、ニーズヘッグ


「さあ、せいぜい足掻いてみせるんだな! ゴーシュよぉ!」


 鍾乳洞の奥地にて。


 アセルスが封印を解いたことで、そこには巨大な漆黒の竜が現れていた。


 ――グルガァアアアアアアッ!!!


 アセルスの声を受けたわけではないだろうが、黒竜はひときわ大きく咆哮したかと思うと、鋭い眼光をゴーシュたちに向ける。


「漆黒の竜……。そういえば昔、魔物考古学者さんの配信で聞いたことありますね。古代には普通の魔物よりも遥かに大きな、黒い凶暴な竜がいたと。確か、《ニーズヘッグ》と呼ばれていましたが」

「ニーズヘッグ……。それがあの竜の名前か」

「ツノがでっかい。しっぽもでっかい。つばさもめっぽうでっかい。見るからに強そう」

「そうですね、ロコちゃん。でも、臆せずいきましょう」

「がってんしょーち」


 ゴーシュたちは互いに頷き合い、黒竜ニーズヘッグと対峙する。


【だだだ大丈夫かな? 確かにゴーシュさんたちが止めてくれないと、とんでもないことになりそうだけど……】

【あんな魔物が山から降りてきたら逃げるしかねえよ……。ゴーシュさん、頼む!】

【逃げようともしない大剣オジサン。だが、それがいい】


【しかしあの竜、これまで大剣オジサンが戦ってきたフレイムドラゴンやクリスタルゴーレムよりも更にでかいぞ】

【確かにこんな魔物、封印するしかないのも納得ですわ……!】


【なんかアセルスが偉そうにしてるのが腹立つ。竜に踏まれて潰れちゃえばいいのに】

【↑オレもまったく同じこと思ってたわ】

【魔除けの薬を使ってるって言ってたが、あの竜に効果あるのか?】

【第一お前の力じゃないだろって感じ】


【どうでもいいさ! 大剣オジサンたちがあの竜を倒しちまえば丸く収まるってもんよ!】

【そうだな!】

【ゴーシュさん、ミズリーちゃん、ロコちゃん、やっちまえ!】

【くっ、応援することしかできないのが歯がゆいでござる!】


【同時接続数:648,007】

【同時接続数:762,298】

【同時接続数:897,568】


 同接数も急増し、皆がニーズヘッグを食い止めようとするゴーシュに声援を送っている。

 その声を背に受けるようにして、ゴーシュはニーズヘッグを睨めつけた。


(こんな魔物が人里の方へ行ったら、間違いなく大きな被害が出る。絶対にここで食い止めてみせる……!)


 ゴーシュはニーズヘッグの挙動を注視しながら、ジリジリと距離を詰める。

 ニーズヘッグもまた、目の前にいるゴーシュを脅威と感じ取ったのか、敵意をあらわにしていた。


 そして両者睨み合いのような格好が続き――。


「四神圓源流、《紫電一閃(しでんいっせん)》――」


 先に動いたのはゴーシュだった。

 ニーズヘッグの至近距離まで一足飛びに接近し、先制攻撃を見舞おうと大剣を横薙ぎに払う。


 その距離から攻撃を仕掛けられるとは思っていなかったのか、ニーズヘッグは驚いたように短く咆哮し、即座に前足を振り上げて迎撃態勢を取る。

 が――、その迎撃よりもゴーシュの人並み外れた速度の方が上だった。


「ハッ――!」


 ――ゴガァアアア!


 瞬速の剣撃がニーズヘッグを捉え、ゴーシュは確かな手応えを感じ取る。


【おぉおおおお!!!】

【捉えたでござる!】

【やったか!?】

【さすが大剣オジサン!】


【黒竜がナンボのもんじゃい!】

【よっしゃぁあああ!】

【ゴーシュさんならやってくれると思ってたぜ!】

【ワタクシもですわ!】


 リスナーたちのコメントが歓喜一色に染まり、すれ違いざまに攻撃を放ったゴーシュはニーズヘッグを振り返る。


 さしもの巨大竜も、ゴーシュの一撃を食らってはひとたまりもない。


 そう、思われた。


「なっ――」


 ゴーシュに向け、何かが勢いよく振り下ろされる。


 それは今ゴーシュが一太刀を浴びせたはずの、ニーズヘッグの鉤爪(かぎづめ)だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本作のコミック第①巻が発売です!
ありがたいことにSNSでバズりました(^^)
漫画版ならではのオリジナルエピソードなども満載ですので、ぜひお楽しみください!
※画像を押すと販売ページに移動します。無料試し読みも可能です!

最強は田舎農家のおっさんでした

▼▼▼こちらの作品もオススメです!▼▼▼

元社畜の転生おっさん、異世界でラスボスを撃破したので念願の異世界観光へ出かけます ~自由気ままなスローライフのはずが、世界を救ってくれた勇者だと正体バレして英雄扱いされてる模様~





↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押していただけると作者への応援になります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔除けの薬を飲んでようが関係無しに、巨大質量の魔物にプチっと潰されて、へぺっとか言い残して汚いシミになるのを期待してたけど、まだこのクズ生かしとくのね…… 取りあえずあとちょっとだし、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ