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異能力者達の午後  作者: ゆーろ
異能力者達の午前
30/32

出題者達の午後

0:―――「出題者達の午後」―――





グローザ:(ニュース音声)緊急事態速報です。ロシア最西端。バグテリア法外特区への核爆弾投下が、アメリカ政府より公式に発表されました。



グローザ:(ニュース音声)被害規模は半径40km圏内、圏外でも放射線での被害が予想されており、ロシア政府は、近隣諸国の住民へ緊急避難案内を出しています。





0:――――――――――――――





アインズ:俺の人生の始まりは、マミーの腹から零れ出て、おぎゃあと産声をあげた日だ。



アインズ:逆を返して。俺の人生の終わりは、出会った日だ。



アインズ:くどい様だが、俺の人生の終わりは



カルビス:「俺と一緒に、全部ぶっ壊そう」



アインズ:こいつと、出会っちまった日だ。



0:数年前



ペンスタン:「お兄ちゃん」



アインズ:「なんだペンスタン」



ペンスタン:「ここ、分かんない。教えて」



アインズ:「あ?足し算じゃねぇか」



ペンスタン:「そう。足し算」



アインズ:「…ペンスタン、お前今年でいくつだ」



ペンスタン:「八歳だよ」



アインズ:「だよな。シスコンの俺が妹の年齢を間違うわけがねぇ。ってことはあれだな」



ペンスタン:「どれ」



アインズ:「馬鹿だな、俺の妹は」



ペンスタン:「酷すぎ、傷ついちゃった」



アインズ:「あぁ〜ごめんにぇ〜、よちよちよち」



ペンスタン:「子供扱いしないで」



アインズ:「どれ、頭のいい兄ちゃんが教えてやろう。」



ペンスタン:「早くして、お腹空いた、喉乾いたゲームしたい漫画読みたい」



アインズ:「…勉強するんだよな?」



ペンスタン:「?しないよ?」



アインズ:俺の最愛の妹は、馬鹿で、可愛くて、どこに嫁に出しても恥ずかしくない、超絶いい子だ。いや、嫁に行ったら行ったで俺は立ち直れんが。



アインズ:俺はペンスタンを、自分の事のように愛していた





グローザ:「おい、カルビス」



カルビス:「はいカルビス。なんだよグロちゃん」



グローザ:「その呼び方をやめろ」



カルビス:「はいはい。で?なによ」



グローザ:「お前の仕事が溜まっていると苦情が入った。私一人では請け負いきれない。こんな所でタバコ吸ってないで働け」



カルビス:「おまっ。今なんて言った」



グローザ:「働け」



カルビス:「エグすぎ。嫌だよ、俺ァ社会不適合者なんだ、自他ともに認めちゃってんの。」



グローザ:「どうして誇らしげに出来るんだ」



カルビス:「ほら、折角来たんだから、お前も一本吸ってけよ」



グローザ:「お前は…」



カルビス:「あ。煙草切れてる。わり、一本くんね?」



グローザ:「はぁ。いいか、最後の一本だ。これを吸い終わったら仕事をしろ」



カルビス:「わかったよ、真面目だなぁこいつ」



グローザ:私の雇い主は、はっきり言ってクソだ。自分勝手で、何を考えているのか分からない、何より仕事をしない



グローザ:私はカルビスの事を、割と普通に嫌っている





アインズ:「…」



グローザ:「はぁ。はぁ。くそ。思ったより重いな」



アインズ:「…グローザ…?」



グローザ:「アインズ、ここに居たか、大変なんだ」



アインズ:(被せて)「大変なんだ!カルビスの、相棒の血が、止まらない!今すぐ…」



グローザ:「…」



アインズ:「お前さん、今抱えてんの、それ誰だよ」



グローザ:「…運んできてしまったのは、野暮だったな」



アインズ:「おいおいおいおい。勘弁してくれ。ペンスタン…?お前、なんで…」



グローザ:「こちらもかなりの重症だ、お前ならどうにか出来ると思ったが。」



アインズ:俺の、最愛の妹が



グローザ:最低の雇い主が



アインズ:今、俺の目の前で



グローザ:死にかけている



アインズ:俺はそれを見て



グローザ:ざまぁみろ



アインズ:めんどくせぇ



グローザ:そう、思った。





アインズ:「…お前の冗談は、本当に笑えねぇぞ…カルビス…!」



カルビス:「…」



ペンスタン:「…」



グローザ:「どうする、アインズ。時間が無い」



アインズ:「分かってる」



グローザ:「ならいいが、恐らくお前にしかできない事だ」



アインズ:「分かってる」



グローザ:「この出血量からして、持って一時間といったところだが」



アインズ:「分かってるっつってんだ。少し、静かにしてくれ」



グローザ:「…お前は言っていたな、カルビスの事が嫌いだと」



アインズ:「大嫌いだよ」



グローザ:「だったら迷う必要はないだろう。カルビスの寿命を、妹に移し変えれば済む話だ」



アインズ:「…ああ。」



グローザ:「…」



アインズ:「グローザ。」



グローザ:「なんだ」



アインズ:「俺は、どうすればいい」



グローザ:「私の知ったことか。お前次第だろう」



アインズ:「…っ。確かに俺ァこいつが嫌いだ、大嫌いだ」



グローザ:「…ああ、私も嫌いだ」





カルビス:「よぉ相棒、暇してるか」



アインズ:「なんだカルビス、また来たのか。残念だが俺は今自分の仕事で忙しい、お前さんのサボりに付き合ってやる暇はない」



カルビス:「そう言うなよぉ、俺一人じゃ出来ねぇ案件なんだ、お前の力が必要なんだよ」



アインズ:「また嘘だな」



カルビス:「ほんとーだっ。俺は無能なんだ!頼むよぉ、俺の仕事してくれよぉ」



アインズ:「帰りに飲み」



カルビス:「奢る!」



アインズ:「よし。交渉成立だ、よこしな」



カルビス:「さすが相棒、愛してるぜぇ。これなんだけどよ」



0:大量の資料が目の前に置かれる



アインズ:「お前さん…どんだけ仕事溜めてんだよ…」



カルビス:「いやぁ、わりぃ」





アインズ:「…いや。ろくな思い出がねぇ。思い返してみても、あいつは嫌な奴だ。本当、性根が腐ってて、調子いいことばっか言って、自分勝手なクソ野郎。」



グローザ:「そうだな。私もそう思う」



アインズ:「よし。なら結論は出たな」



グローザ:「ペンスタンを選ぶのか」



アインズ:「ああ、俺の最愛の可愛い妹だ。そもそも迷う必要がなかったって話だよ」



グローザ:「潔が良いな」



アインズ:「まぁな。こういうのはサクッとやっちまった方が気が楽ってもんだ

アインズ:BOXボックス…」



グローザ:「…」



アインズ:「じゃあな、クソ野郎」



グローザ:彼の手は、震えている。私はそれを見て、どこか安堵してしまった



アインズ:「…なん、で。出来ない。簡単だろうが、いつも通り、やれば」



グローザ:「天秤にかけるには、少し重たすぎたみたいだな」



アインズ:「…重いどころじゃねぇ。」





ペンスタン:「ごめんなさい…ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさい」



アインズ:俺の妹が化け物になっちまったのは、まだこいつが十歳の頃。



ペンスタン:「お兄ちゃん、違うの、こんなつもりじゃなかったの、ごめんなさい、でも。私は」



アインズ:こいつは自分を養子として引き取ってくれた、俺の両親を、自分の手で殺した。勿論、わざとじゃねぇ。こいつが悪くないのは、間近で見てた俺が一番分かってる



ペンスタン:「私は悪くない、悪くないって言って、お兄ちゃん。本当に、わざとじゃないの。信じて。」



アインズ:ああ、信じる。だってお前は、俺に残されたたった一人の家族だ。血が繋がってなくても、それは変わらない



ペンスタン:「間違えちゃった、お兄ちゃん。ちょっとした、間違い。ほら、私ってお兄ちゃんと違って」



アインズ:変わらない、筈なんだがな



ペンスタン:「馬鹿だから、へへ…」



アインズ:その時俺はこいつを、心底気持ちわりぃと、思っちまった。



ペンスタン:「お兄ちゃん、言ってよ。私は悪くないって、いつもみたいに、馬鹿だなって言って、笑って」



アインズ:「に、が」



ペンスタン:「お兄ちゃん?」



アインズ:「何がおかしいんだよ!!!」



ペンスタン:「…」



アインズ:「分かってんのか!?人を殺したんだよ、てめぇは!!自分の手で!そんなてめぇが悪くないわけねぇだろうが!」



ペンスタン:「お兄ちゃん…違うの…」



アインズ:ああ、分かってる。お前は悪くないよな、分かってるんだ、愛してるんだ



ペンスタン:「わざとじゃないの!信じてよ!」



アインズ:「わざとじゃねぇなら人殺して「はい、そうですか」で済むのか!?んなわけねぇよ、てめぇが殺したのは――」



アインズ:違うんだ、ペンスタン、俺が言いたいのはこんな事じゃない



ペンスタン:「やめて、それ以上言わないで」



アインズ:「「俺の」親だぞ!!?」



ペンスタン:「やめて!!」



アインズ:嗚呼。本当に馬鹿なのは、俺だな。





グローザ:「アインズ、大丈夫か」



アインズ:「…ああ」



グローザ:「妹が、嫌いなのか」



アインズ:「嫌いじゃない!」



グローザ:「だったらなぜ迷う」



アインズ:「嫌いじゃねぇけど…」



グローザ:「…」



アインズ:「俺はもうずっと、あの日から、ペンスタンに合わせる顔がねぇんだ。

アインズ:どの面下げて兄貴ぶってんだって、ずっと、思っちまう、罪悪感でどうにかなりそうなんだよ。俺は、俺は…!」



グローザ:私には友人が居ない。こういう時なんと声をかければいいのかは分からない。



アインズ:「妹の存在が、憂鬱だ。さっさと俺の知らねぇところで消えてくれって、思っちまってる」



グローザ:ただ分かるのは、彼は酷く、人間臭いという事だ



アインズ:「屑だな、俺は」



グローザ:「お前の過去に何があったのかは知らないし、聞く気もない。だが。多分、お前は屑だ」



アインズ:「…どっちの命を拾っても、捨てても、俺は後悔する。絶対にだ」



グローザ:「これは持論だが、後悔のない選択なんて無い。と、思う。アインズが気に病むことじゃない」



アインズ:「…無茶言うぜ」



0:場面転換



0:とある空き教室



白橋:懐かしい匂いがする。砂と木と、鉛筆の芯が混ざったような匂い、窓のカーテンからは夕日が指していて、ほんの少し埃が舞っている。



白橋:教室の真ん中には机と椅子が置いてある。俺はこの光景を知っている



水瀬:「バシー、バシバシ」



白橋:懐かしい匂いと、声がする。



水瀬:「バシ?」



白橋:なんだかほんの少し、許された気がした



水瀬:「あのー。聞いてますか」



白橋:「ああ。聞いてるぜ、水瀬」



水瀬:「なにさなにさ、ボーッとしちゃって。こんな教室で私以外に目移りするものある?いいや、ないね」



白橋:状況への疑問はあった。それもひとつやふたつじゃない。余りにも漠然としていて、思考を巡らせると無数に広がる選択肢、そしてその先の解答を



白橋:俺は一旦、捨て置くことにした



水瀬:「また上の空。」



白橋:「はっはぁ。悪ぃな」



水瀬:「本当に思ってる?」



白橋:「思ってる思ってる」



水瀬:「ならいいけど。いいけどいいけど。私は心が浅く広いから。」



白橋:「水瀬」



水瀬:「なに?」



白橋:「今日は、なんの話しをするんだ」



水瀬:「うーーん、そうだなぁ、そうだねぇ。」



白橋:40畳一間のだだっ広い空き教室で繰り広げられたいつもの長話。聞くだけ無駄で、真面目に取り合っても結論は水に流れる。



水瀬:「話したい事は山とあるけど、うん。私はどうしても今気になることがある。今、今、今!」



白橋:こいつはずっと一人で話を進めて、俺はそれに相槌を返す。



白橋:ただ、それだけ



水瀬:「バシはさ。人の死について、どう解答する?」



白橋:そうだ。俺は、この時間が、この空間が嫌いじゃなかった。これ以上に望むことなんて、初めから、何も無かった



白橋:ああ、改めて。俺の名前は白橋 律。



白橋:カルビス・ラングナーは、もう死んだ



0:場面転換



0:どこともしれない場所



グローザ:「結局、アインズ。お前はどっちを選ぶんだ。最悪どっちも選ばない、というのも」



アインズ:「…」



グローザ:「すまない。野暮だったな」



アインズ:「本当に野暮だよ、お前さん」



グローザ:「…」



アインズ:「こいつは…カルビスは、人を騙して、人を沢山殺した。」



グローザ:「人を殺したという意味であれば、私達も同じだ」



アインズ:「こいつにやらされんだ。俺は悪くない。いつだってそうだ、こいつに振り回されて、後に引けねぇ状況に落とし込んで、最低な奴だよマジで」



グローザ:「それでも人を殺したのは私たちの意思だろう」



アインズ:「お前さんはどっちの味方なんだよ、グローザ」



グローザ:「味方もクソもあるか。どうでもいい。ただ、お前の被害者面が気に食わないと言っている」



アインズ:「だからよぉ、何様のつもりなんだよてめぇは。人の命令に従ってるだけのデク人形のくせしやがって」



グローザ:「ああ。お前と同じだ」



アインズ:「俺とてめぇは違う。そもそもこいつに出会いさえしなけりゃ俺の人生は平穏そのものだった!」



グローザ:「私に当たってどうする」



アインズ:「冷静じゃねぇって言いてぇんだろ、そうだよ、俺は今やり場のない怒りが溢れ出て止まねぇ。だって選ぶのは他の誰でもない、俺だからな」



グローザ:「…」



アインズ:「なんだよ、その顔」



グローザ:「…いや、お前はなんと言うか、もう少し淡白な奴かと思っていたんだが。

グローザ:思っていたよりも、小心者だな」



アインズ:「…。ハハァ、バレたか。そうだよ、俺はこう言う人間だ。都合が悪くなりゃ他人に当たるし責任をなすり付ける

アインズ:別に、普通だろ、これが。おかしいのはお前らだと思ってる。ずっとな」



グローザ:「そうだな、お前は普通だよ。勿論、私も」



アインズ:「分かったような口聞いてんじゃねぇよ。てめぇは所詮見てるだけの傍観気取りだろうが」



グローザ:「…」



アインズ:「…くそ。どうすりゃいい。どうすれば、俺は…」



グローザ:「何をそんなに怖がってるんだ」



アインズ:「…なんだろうな。ああ、いや。よく分かってる。結局俺は、責任を負うのが嫌なんだ。自分で何も選択したくない。だからこいつが居ると、楽だった。まじで。お前さんだってそうだろ」



グローザ:「そうだな。私は選ぶのが苦手だ。」



アインズ:「俺達、似てるな。悪い意味で」



グローザ:「まったくだ。」



0:二人は煙草に火をつける



アインズ:「あ〜。くそ」



グローザ:「…苦いな」



アインズ:「クソ苦い。」



0:場面転換



0:とある空き教室



水瀬:「同じ種族で最も殺し合いを重ねているのは、ミーアキャットっていう話、知ってる?」



白橋:論点が飛躍する。人の死の定義から、何故かミーアキャットの話にすげ変わる。



水瀬:「メスのミーアキャットは自分の子供がしっかり餌や資源を確保できるように、別の家族のミーアキャットの赤ちゃんをよく殺害する習性があるという話があるの

水瀬:でもこれは生存本能に乗っ取った生殺与奪だと思うんだ」



白橋:それはそうだ。自己が生きて行く為に他を蹴り落とす。それはどの種族でも有り得る話で、それを悪とするのなら人間社会に法律などという物は存在しない



水瀬:「でもね。一個体の私的要因で、意図的に同族を殺すのは人間だけなんだ。

水瀬:だってほら、人間って賢くて馬鹿だから」



白橋:全くもってその通り。人は馬鹿で、だからこそ賢く在るべきである



水瀬:「人の死の定義付けとひとつとして、私が先ずあげる解答は、人殺しである。

水瀬:これはどうかな」



白橋:死刑制度がある以上、その答えは間違いではないだろう



白橋:そして人を殺す事が人としての死なら、俺達はとうの昔に死んでいる事になる



水瀬:「人の罪は人では許すことは出来ないって話を聖書か何かで読んだ気がするんだ

水瀬:だから社会には法律があって、それをさも神の審判であるかのように裁く

水瀬:人が作った神の尺度に、人は殺され続けている。それは即ち、人間が別種族と比べて何より勝る「個人の視覚化」を蔑ろにするものでしょ。」



白橋:恐らく彼女はこう言いたいのだ。



白橋:人という種族の尊厳を奪われた以上、それは人では無い。



水瀬:「個人の権利が剥奪されればそれは死ぬ。という定義なら、私は次にこう唱えたい

水瀬:人の死は、誰の記憶にも残らない事である。どうかな」



白橋:これは有名だろうし、人間が何より恐れる事象でもある



白橋:記憶とは、それこそ人が人たらしめる軌跡であり、証拠でもある



白橋:それがないのであれば、それは「死」と同義では無いのか。



水瀬:「…バシ?」



白橋:珍しい。水瀬が話の腰を折って俺に話しかけるのはあまり例が無い。



白橋:奇っ怪な物を見るような目で俺を見ている。咄嗟に聞き返すと、彼女はこう答えた



水瀬:「あーあ。病んだ!病んだ病んだ病んだ!もうまじ無理!」



白橋:うるさい。



水瀬:「だってバシったらずっと帰りたそうにしてるんだもん!病んじゃった!」



白橋:「…え」



水瀬:「なに?今日は何か用事あるの?」



白橋:「そんな顔をしていたか」



水瀬:「うん。全然楽しくなさそ」



白橋:「そんなことは無い。この時間は俺にとって、本当に、心地良い」



水瀬:「嘘。本当だけど、嘘だね。

水瀬:当てたげよっか」



白橋:「なにをだ」



水瀬:「バシ。今寂しいでしょ」



白橋:支離滅裂で、滅茶苦茶で、自分勝手



白橋:だから水瀬は、自分に向けられる感情と、その場の空気に嫌という程敏感だ



白橋:そしてそれは、グゥの音も出ないくらい真っ当な、解答だった



水瀬:「…たまにはバシの話もしてよ」



白橋:「話すことなんてない」



水瀬:「はーいまた嘘ぴょーん」



白橋:「…」



水瀬:「何かあったでしょ」



白橋:自分の事を話すのは得意じゃない。とくにこういう、取り繕いようの無い話は



0:場面転換



0:どこともしれない場所



グローザ:「アインズ。いよいよ時間が無い。決めろ」



アインズ:「うるせぇな。アラームかてめぇは。何度でも言う、俺は責任を負いたくない」



グローザ:「お前が何を選んでも、きっと誰もお前を責めない。」



アインズ:「仕方が無かった。それで済ませられるほど、馬鹿になれねぇんだ。俺は」



グローザ:「…そうか」



アインズ:「ああ。そうだ」



グローザ:どうしようも無い。仕方が無い。私の根底にあるのは、いつもこれだ



アインズ:「…なぁ、カルビス。お前のせいでこうなったんだぜ。」



グローザ:誰かに利用され続ける人生だった



グローザ:それも仕方がないと、諦める事のできる。傍から見れば楽な、性格だろう



アインズ:「お前さえこんな馬鹿な事しなけりゃ、誰も死ななくて済んだ。俺も、妹も、グローザも、お前だって、こうならずに、済んだんだ」



グローザ:こういう時、なにかが変わる時、決定する時、決まって思い出すのは、嫌な事だ



アインズ:「お前のジョークは、いつも笑えない」



0:場面転換



0:教室



水瀬:へえ。それはまた、随分と楽しい体験をしたねっ!



白橋:ああ、思えば、こんな会話。水瀬とはした事がなかったな



アインズ:「…」



グローザ:どうしよう無い。仕方が無い。私の根底にあるのは、いつもこれだ



アインズ:「カルビス・ラングナー」



グローザ:諦め無い事は、私にとって非常に難しい



アインズ:「お前が選べ。選んでくれ、相棒。てめぇみたいなクソ野郎が、こんな楽にいっちまっていい訳がねぇ。」



グローザ:だからいつもの様に、どの結末であろうが、諦めて、受容すると初めから決めていた



アインズ:「お前が目を覚ましたら、俺はお前を殴る。蹴りつける。そんで、妹が死んだのはお前のせいって事にする。」



グローザ:なのに、チラついてしょうがない。精一杯を尽くせ。この言葉の、呪いが。私から離れない



アインズ:「俺はこういう人間だ、屑なんだ。

アインズ:ダメな兄ちゃんで、ごめんな。ペンスタン」



グローザ:諦めないという事は、本当に苦手だ



0:一瞬の沈黙



アインズ:「グローザ。お前さん、今度は何のつもりだ。」



グローザ:「…私は今、何をしている?」



アインズ:「俺の目の前に突っ立ってるよ。邪魔だ、どけ」



グローザ:「そうか。邪魔か。という事は、お前は決めたんだな。妹を見殺しにする事を」



アインズ:「違うね。そうするしか無かった。全部こいつのせいだ。」



グローザ:「…」



アインズ:「もっかい言うぞ

アインズ:邪魔だ。どけ。」



グローザ:「断る」



アインズ:「……どういう気変わりだよ。勘弁してくれ」



グローザ:「悪いとは思っている」



アインズ:「だったらどけよ。お前さん言ったよなぁ?俺が何を選んでも誰も責めないって」



グローザ:「ああ。前言を撤回しよう。誰がお前を責めなくとも、ここでカルビスを生かすのなら、私はお前を責め続ける。一生だ」



アインズ:「いい加減にしろ、これ以上、俺の情緒を乱すな、まじで、頭がどうにかなりそうだ。どういう心境の変化だ。説明しろ」



グローザ:ーー正直な話、べつにどちらが生き残ろうが、死のうが、アインズが決断したのなら、その結果を尊重してやりたかった



グローザ:ただ、アインズが「そういう選び方」をする事に、苛立ちを感じた



0:場面転換



0:とある空き教室



白橋:「…悪い、話し過ぎたな。」



水瀬:「いーよ」



白橋:「話を戻そう。人の死について、だったな」



水瀬:「バシは。死にたい?」



白橋:「…」



水瀬:「人の死とは、罪を侵す事でも、記憶から消える事でも無く

水瀬:死にたい。と、生命維持の意志を放棄すること。そう願望することだとしたら。バシは、死にたい?」



白橋:「…ああ。死にたいな」



水瀬:「…」



白橋:「そもそも初めから終わってたんだよ。あそこは。だから別にどうでもいいし、何より目的はもう達成した

白橋:あとは死ぬだけだ、未練なんてこれっぽっちもねぇよ」



水瀬:「また、嘘。」



白橋:「いいや。死にてぇよ。こりゃマジだ」



水瀬:「そっか」



白橋:「でも…。そうだな

白橋:……生きては、いたいな」



水瀬:夢を見ているような気持ちだった。



水瀬:いつも通りの教室で。私と、バシの二人きり



水瀬:ただいつもと違うのは、いつも無感情に相槌だけを打つ彼は、酷く寂しそうな目をしている事くらいで。その事実に、私まで少し、寂しくなってしまった



0:場面転換



0:どこともしれない場所



アインズ:「…はぁ。」



グローザ:「どうする。私を殺すか」



アインズ:「違う違う、もう俺に何も選ばせるな、取捨選択ほど疲れることぁねぇ

アインズ:頼むからよぉ、そこをどいてくれ。カルビスに、選ばせるんだ」



グローザ:「…そうか。言わなければ分からないんだな」



アインズ:「なぁにが」



グローザ:「馬鹿にされているんだぞ。お前は。今、私に」



アインズ:「…は。

アインズ:冗談、分かってるよ。だから俺は、めちゃくちゃイライラしてるんだ」



グローザ:「そうか。なら良かった」



アインズ:「……覚えてるか」



グローザ:「何をだ。主語を抜くな」



アインズ:「相棒に、最後の選択をさせた時だよ」



グローザ:「…ああ。覚えている」



アインズ:「……あの時さぁ、逃げちまえばよかった」



グローザ:「ーーそうだな」



0:場面転換



0:数日前



カルビス:「説明は以上だ。」



グローザ:「わかった」



アインズ:「了解だ」



カルビス:「ああ。煙草切れてる」



グローザ:「やらんぞ」



カルビス:「ケチ。相棒」



アインズ:「断る。」



カルビス:「薄情だ…薄情なんだ、こいつらは…」



アインズ:「お前さんには言われたくねぇな」



グローザ:「私は単純に残りの本数が少ないだけだ。」



アインズ:「だったらお前ら買いに行けよ…。ってまぁ、そんな時間ねぇな」



グローザ:「まったくだな。」



アインズ:「煙草も無しじゃヤニ切れでどうにかなっちまう、もうやめちまおうぜ相棒」



カルビス:「だったら降りるか」



アインズ:「ハハァ。出たよ。どうせそうさせてくんねぇだろうが」



カルビス:「いや。まじな話よ。お前ら、降りたきゃ降りていいぜ」



グローザ:「…」



アインズ:「あーー。今度はどういうジョークだ」



カルビス:「そのままだ。まじで」



グローザ:「熱でも出たか」



アインズ:「ありゃ熱どころじゃねぇよ。へそで茶を沸かせる」



グローザ:「それは危ないな、気を付けよう」



カルビス:「そんなに信用ねぇか、おれ」



アインズ:「無いだろ」



グローザ:「無いな」



カルビス:「あちゃぁ。どこで間違えたか」



グローザ:「自業自得だろう」



アインズ:「で。どういう風の吹き回しだよ」



カルビス:「ここまでお前らと一緒に仕事をしてきた。結構長い間な」



アインズ:「そうだな」



カルビス:「だから、お前らが降りるって言うなら、俺は止めない。

カルビス:簡単に言うと」



グローザ:「…」



カルビス:「お前らに死んで欲しくなくなった」



グローザ:「私は言ったぞ。お前に利用されてやると。それは変わらん」



カルビス:「…そうか。相棒は?」



グローザ:カルビス・ラングナーは嘘つきだ



アインズ:「どうだろうな。降りれるなら今すぐ降りてぇくらいだ。そんで旅行に行きたい」



グローザ:こいつは私に嘘をつき



アインズ:「再三言ったが、俺ァ普通の生活を送りたかった。大層なもんは一切望んじゃいねぇ。働いて、遊んで、たまに愛されるくらいでよかったんだよ

アインズ:でもそうできなくしたのは、お前だろ。相棒」



グローザ:相棒と称する男に嘘をつき



カルビス:「…ああ」



グローザ:ありとあらゆる物に嘘をつき



アインズ:「だから、お前が選べ」



グローザ:そして



カルビス:「…分かってる。全部嘘だよ、嘘。初めっからな。かま掛けだ」



グローザ:自分が嘘をついたと、そう。嘘をついた



カルビス:「俺と一緒に死んでくれ」



0:場面転換



0:どこともしれない場所



アインズ:「最後だ、グローザ。どいてくれ」



グローザ:「断る」



アインズ:「じゃあしょうがねぇ」



グローザ:「最後に矛を構えるのが、お前か」



アインズ:「同じ気持ちだよ」



0:沈黙



アインズ:「BOXボックス



グローザ:「modechangeモードチェンジ



アインズ:「グローザァ!そこを、どけぇ!!」



グローザ:「Espadaエスパーダ!」



0:場面転換



0:とある空き教室



白橋:「水瀬には、夢があるか」



水瀬:「なに急に」



白橋:「人が死んだっていう話の続きだよ。夢を無くした人間は死んだも同然って線もある」



水瀬:「あるよ。私は普通に生きていたい。女の子らしい事をもっとしたい。友達とご飯食べに行ったり、勿論、バシとも」



白橋:「…そうか」



水瀬:「今日は珍しくよく喋るね」



白橋:「そうだな。不思議な気持ちだ」



水瀬:「私もだよ」



白橋:「何をどう定義しても、人はどうせ死ぬ。だから水瀬、ひとつアドバイスだ」



水瀬:「こりゃまた珍しい。なに?」



白橋:「夢見て死ね。夢叶えて死ね。いいな」



0:少しの間



水瀬:「うん」



白橋:「最後にお前と話せてよかったよ。」



水瀬:「私も。楽しかった」



白橋:この教室から、自分の足で出るのは初めてだ。



白橋:それはそうだろう、出る必要も、意思も無かったんだから



白橋:扉を開けると、外はすっかり暗くなっていた



水瀬:夢を見ている。彼は、教室から出ていってしまった



水瀬:少しだけ視界に入った彼の顔は、笑っているような、泣いているような



水瀬:ただ分かるのは、何かを終えた後の顔だった。それは選ぶことだったり、目的を達成することだったりするだろう



水瀬:だから私は、こう声をかけることしかできない



白橋:「じゃあな。水瀬」



水瀬:「お疲れ様。バシ」



0:場面転換



0:どこともしれない場所



アインズ:「…はぁ。疲れる」



グローザ:私は今、地に伏している。ボロボロの体でよくやった方だと思う



グローザ:本当に、自分で自分を褒めてやりたいくらいだ



アインズ:「…悪いな、グローザ」



グローザ:その男は彼を生かすだろう。



グローザ:私の抵抗も虚しく、自己防衛の為に、妹を見殺しにし、彼を生かす



アインズ:「……最後だ。これで本当に、最後にする。だから」



グローザ:何故だろう。少しだけ、嬉しい



アインズ:「カルビス・ラングナー、お前が選べ」



0:カルビスはアインズの手を取る



グローザ:「!」



アインズ:「…は?」



カルビス:「ーーっ。ぁ。…」



アインズ:「生き、てんのか、よ。だったら早く言えって!!なぁ相棒、状況を説明してる暇はない、お前はーーー」



グローザ:きっと彼は、初めから「それ」が聞きたかったんだろう



アインズ:「お前は…」



グローザ:彼が悩んでいたのは、天秤にかける重さが対等だったからではない



アインズ:「…」



グローザ:天秤にかけるものがなかったんだ



アインズ:「お前は、俺を選ぶか」



グローザ:選ばない事を、選んだ。それがアインズという男だ



カルビス:「…は…。」



アインズ:「…」



カルビス:「たばこが、きれてる」





アインズ:俺の人生の始まりは、マミーの腹から零れ出て、おぎゃあと産声をあげた日だ。



アインズ:逆を返して。俺の人生の終わりは、出会った日だ。



アインズ:くどい様だが、俺の人生の終わりは



カルビス:「俺と一緒に、全部ぶっ壊そう」



アインズ:こいつと、出会っちまった日だ。



カルビス:「晴れて今日から共犯者だ。よろしくな、相棒」



アインズ:「ひとつ聞かせろ」



カルビス:「おう。いいぜ」



アインズ:「お前にとって、人生が始まった瞬間と、終わった瞬間はいつだ」



カルビス:「まだ終わってねぇぞ」



アインズ:「いいや、お前は終わってる。そういう顔だ」



カルビス:「そうか。お前と同じだな」



アインズ:「その嘘にゃもう乗らねぇよ」



カルビス:「やるじゃなァい」



アインズ:カルビス・ラングナー。



アインズ:こいつが吐く嘘は本当に気に食わねぇ



カルビス:「俺にとって人生の始まりはぁ。そりゃあ」



アインズ:こいつは俺に嘘を吐き



カルビス:「マミーの腹の中から溢れ出てオギャった瞬間だ」



アインズ:周りに嘘をつき



カルビス:「んで、俺にとって終わった瞬間はぁ。そうだな」



アインズ:自分が嘘つきであると、嘘をついた



カルビス:「ああ。煙草が切れてる。ってことは今だ。」



アインズ:とんでもなくクソな、クソでクソでクソ野郎の、大嘘つきだ



グローザ:彼の中で、全ての事象は終わっている事だった。



グローザ:誰と話していても、何をしていても。全ては終了している事だった



グローザ:だからその男は、彼を選ばなかった



グローザ:私がそれを覗いたのは。作戦開始直後。



グローザ:私はこれを見て。



グローザ:ざまぁみろ。と。そう思った





水瀬:(M)時計の針が動いた



グローザ:「結論が出たか」



アインズ:「――――ああ。」



グローザ:「そうか。ならお前達は退避しろ」



アインズ:「は?」



水瀬:(M)核爆弾投下まで。残り



グローザ:「あと2分だ」



アインズ:「…。いやいや。じゃあ、お前も箱に入れよ。核くらいなら」



グローザ:「三人だぞ。一人は寝たきり。お前の箱は効果範囲が小さければ小さいほど硬度が増す。」



アインズ:「なんとかなる…!」



グローザ:「もしかしたら。が、あるだろう。」



アインズ:「ふざけんな!!お前はどうすんだよ!!」



グローザ:「どうするもこうするも。初めから、私を地獄に連れていく約束だ。」



アインズ:「……」



水瀬:(M)核爆弾投下まで。残り一分



グローザ:「早く行け。」



アインズ:「…っ。」



グローザ:「…」



0:笑顔で振り返った



グローザ:「長生きしろよ。相棒」



アインズ:「…!お前…まさか…」



グローザ:「…さあ。どっちだろうなぁ。そぉら。行った行った」



アインズ:「…。本当に、嫌な奴だよ。お前らは」



グローザ:「ああ。知ってる。」



アインズ:「―――BOX」



水瀬:(M)核爆弾投下。定刻



グローザ:「柄でもない。柄でもないことばかりした。ああ、本当に、疲れた」



グローザ:「ーーーああ、そうだった」



グローザ:「ーー煙草、きれてる」



0:



0:



ペンスタン:夢を、見ていた。安心するような、馬鹿げてるような、意味の無いような。何を見ていたかは、思い出せない。でも、悪い夢じゃなかった



アインズ:―――BOX。



0:



ペンスタン:「…ん。」



アインズ:「おはよう。ペンスタン」



グローザ:「…」



ペンスタン:「お兄ちゃん…?よかった、無事だったんだ…いっつ…」



アインズ:「止血はしたが、重症に変わりは無い。動かない方がいい」



ペンスタン:「…うん」



ペンスタン:「なんかさ、夢を見てたんだ」



アインズ:「夢か、悠長だな」



ペンスタン:「変な夢だったなぁ。」



アインズ:「どんな夢だったんだ」



ペンスタン:「うーん。思い出せないや」



アインズ:「…そうか。」



ペンスタン:「ねえ。お兄ちゃん」



アインズ:「なんだ」



ペンスタン:「ここ。どこ?」



アインズ:「バグテリアから少し外れた、ロシアの中東だ。」



ペンスタン:「皆は」



アインズ:「…」



ペンスタン:「作戦は。どうなったの。皆は。生きてるの?」



アインズ:「…。三時間前。バグテリアに核爆弾が投下された。多分、生き残りは居ない」



ペンスタン:「…そっ。かぁ。カイも。ホトバシも。トトリも、ヨシュアも。みんな。死んじゃったのかあ」



アインズ:「…ああ。」



ペンスタン:「…ぅ…。」



0:涙ぐむ



ペンスタン:「なんで。みんな。私を置いて行っちゃうんだろう…。」



アインズ:「…」



ペンスタン:「ねえ。なんでなんだろう。お兄ちゃん。言ったんだよ、カイは。必ず会おうって、言ったの」



アインズ:「…」



ペンスタン:「みんな、みんなみんな、いなくなっちゃう…っ」



0:抱きしめた



アインズ:「…ペンスタン…っ。」



ペンスタン:「…」



アインズ:「俺はっ…。こんなことしでしかた、最低最悪な事をした、ゴミクズみたいな兄ちゃんだ。」



ペンスタン:「…うん。さいてい」



アインズ:「自分で何一つ選べなかった、ペンスタン一人守る事すら、相棒任せだった、とんでもねえチキン野郎、ゴミ野郎だ」



ペンスタン:「うん。」



アインズ:「それでも。俺はっ…。お前の前から、居なくならねえから、さあ。」



ペンスタン:「…うん。」



アインズ:「お前と。一緒に生きても。いいかなぁ」



ペンスタン:「…っ。うん…っ。」



グローザ:(M)西暦。2001年。9月12日。バグテリア法外特区への核爆弾投下から、四時間が経過した



グローザ:(M)多数の死傷者の中、カルビス・ラングナー。アンダンテ・S・グローザの遺体は、未だ発見されていない。





アインズ:「なあ。ペンスタン」



ペンスタン:「なに、お兄ちゃん」



アインズ:「…帰ったら、旅行行くか」



ペンスタン:「…行きたい。ほんとに連れてってくれる?」



アインズ:「ほんとだ。俺は嘘つかねぇよ」



ペンスタン:「やった。約束だからね、ほんとうに、約束」



アインズ:「ああ。約束だ。暫く話せてなかったしな、ゆっくりしよう」



ペンスタン:「…カルビスも。死んじゃったの」



アインズ:「…どうだろうなぁ。あいつの事だし、ケロッと現れそうな気もするけど」



ペンスタン:「…確かに。じゃあさ、カルビスが戻ったら、三人で。行こうよ」



アインズ:「…ああ。そうだな、じゃあ、三人で。なんならさっきの奴、グローザもどーせその辺で煙草吸ってるからとっ捕まえて、美味し物食って、珍しいもの見て、あ。動物園とか行くか」



ペンスタン:「うん」



アインズ:「ホテルは高級の…いや、景色がいい所なら安くていい、普通の、旅行、そんで、遊園地とか、海も、行こう。行ってみたい。BBQとかもいいな。遊んで、話して、食って、それから…」



ペンスタン:「お兄ちゃん」



アインズ:「どうした」



ペンスタン:「なんで泣いてるの」



アインズ:「……ああ。」





アインズ:「煙が、目に入った」


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