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異能力者達の午後  作者: ゆーろ
異能力者達の午前
28/32

No.6866400721

0:No.6866400721



アレジ:男。彼を兼役


マルボロ:男


カイ:男


林檎:アレジ。男を兼役


男:異常性。それは一切のプロセスも、原因も無しに結果だけを引き出す力



男:その力を持つ人間を、異常体と呼ぶ。



男:誰もがヒーローになれると思うかい。そんな筈が無い



男:ヒーローだったなら、僕達はこんな風になっていない



0:とある都市 逃亡する二人



マルボロ:「AXXELLアクセル!」



男:「やめろ!!マルボロ!!」



マルボロ:(吐血)「うるせぇ、落っこちねぇように、捕まってろよ!!」



男:「もういい、それ以上使うな!!十分距離は稼いだろ!?もう二人で、歩いて逃げよって!な!?だからもうやめてくれ!」



マルボロ:(M)ーーー良い、友人を持った。馬鹿だが、真っ直ぐで。不器用で、俺の最高の友人だ。



マルボロ:俺達は、中央解放戦線、赤い林檎。



マルボロ:巷ではテロリストと呼ばれているが、まぁ間違っちゃいない。



マルボロ:だからこうして、死に物狂いで逃げてるんだ。



マルボロ:こうなるのも、当然の報いだろうよ



男:「マルボロ!!聞いてんのか!!やめろっつってんだよ!!」



マルボロ:「ーーっ。AXXELLアクセル!!」



男:「マルボロぉ!!」



マルボロ:(M)随分と長い。長い旅だった。



マルボロ:それは話せば一蹴される様な、ただ道逸れるだけの、友人との旅。



0:回想



男:「…ふう。」



マルボロ:「久しぶりだな、アレジ」



男:「本当に久しぶりだ!背も伸びたか?」



マルボロ:「そりゃ五年も経てばな」



男:「俺だって伸びたぞ、五年経ったからな」



マルボロ:「はっ。そりゃそうだ」



男:「…待たせたな。マルボロ」



マルボロ:「いんや。さんきゅな、アレジ」



林檎:なんだこれ。ああ、懐かし記憶だな。本当に懐かしい。



林檎:彼は僕の親友。マルボロ・セルベルト



カイ:「…ん。寝てたか」



男:「おはよう、よく寝てたね」



カイ:「誰だお前」



男:「僕はアレジ・アンドレイ、君は?」



カイ:「俺はカイ。カイ・シグスだ。」



林檎:これも懐かしい記憶だ。僕の、二人目の友人。たった二人の、友人。名前はカイ・シグス



林檎:どこからだろう。間違えたのは。



林檎:いいや、僕が選んでこうなってしまった以上、間違えてすら居ないのかもしれない。



林檎:僕は、沢山の人を裏切り、沢山の人を殺した。最低最悪の、屑野郎だ。



林檎:沢山の声が、行いが、そのツケが頭の中に流れる



0:以下、回想



0:全員が同時に台詞を読む



マルボロ:「てめぇは本当に馬鹿だよ、アレジ」



彼:「アレジ・ロンドンの異常性は「移動」だ」



男:「ああ、本当に、どいつもこいつも有罪だ!!」



カイ:「分かんねぇだろうなぁ人殺しにはよぉ!」



マルボロ:「俺はマルボロ・セルベルト。赤い林檎の初期メンバーだ」



カイ:「お前は本当にクソ野郎だよ、ここで死ね」



彼:「じゃあな。また会おうぜ、赤い林檎」



男:「僕はアレジ・ロンドン。赤い林檎のリーダーだ」



カイ:「ァアレジィィイーーーーッッ!!!」



0:間



マルボロ:(M)こいつと、この一本道を、歩いてきた。



マルボロ:後戻りも許されない。一本道を。ただひたすらに、ひたむきに。



マルボロ:ーーー前へ



0:回想終了





0:間





0:とある都市。廃れた廃屋



0:虫の息のマルボロ



男:「嫌だ、僕を置いていくな、マルボロぉ…!言ったろ、僕と一緒に、来てくれるって」



マルボロ:「お前は、俺達は、馬鹿だからな。たくさん間違えたし、そのツケは、払わなきゃならねぇとも思う」



0:マルボロ、激しい吐血



男:「もう、いい、もう喋らないでくれ、僕は、お前が居ないと駄目なんだ、死なないでくれ」



マルボロ:「言ったろ。死ぬまで着いてってやるって。だから、ここまでだ」



男:「嫌だ」



マルボロ:「アレジ、ありがとうな。すっげぇ、楽しかった」



男:「嫌だ、マルボロ、待ってって。なあ、おい!!返事しろよお前ぇ!!」



マルボロ:「ーーーー」



男:「ーーーーっ。マルボロぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!」



0:廃ビルの奥からカイが姿を見せる



カイ:「目標確認。中央解放戦線。赤い林檎主犯、アレジ・ロンドン

カイ:中央政府監察局。カイ・シグス。只今より、執行任務へ移ります」



林檎:ーーー嗚呼。今気付いた。



林檎:「俺」は、友達を守る為に、こんなバカげた事をしたんだ。



林檎:最初から、マルボロが居れば、それで良かったんじゃないか。



林檎:はは、本当に、馬鹿だなぁ。「俺」は



カイ:「よぉ。アレジ」



林檎:もう、何もかも、どうでもいい。どこかへ行ってしまいたい。どこでもいい。



林檎:「ここ」じゃない。「どこか」に



カイ:「約束通り、お前を解放しに来たぞ」



林檎:ーーーは。何が解放だ。馬鹿馬鹿しい。



林檎:本当に、馬鹿馬鹿しい



0:彼は呟くように口を開く



林檎:「SCRAMBLEスクランブル



カイ:「…!」



0:



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



カイ:(N)「異能力。

カイ:様々な超常現象を引き起こすことの出来る力の呼称。人は火を噴き空を飛ぶ」



アレジ:(N)「そんな世界があったら、君は面白いと思うかい?」



マルボロ:(N)「俺達は、ただ日常を過ごしたかっただけなのかもしれない」



0:とある都市



林檎:ーーーここは、どこだろう。バグテリアか?ああ、多分そうだ。見た事のある建物が建ち並んでいる。でもおかしい。何がと言われれば困ってしまうけれど、何かがおかしい



林檎:倒壊しかかった廃ビル。壁には大穴が空いてあり、吹通る風がほんの少し心地いい



林檎:割れたガラス片を見ると、そこには顔をお面で隠した男が居た。



林檎:これが、俺か?ああ、きっとそうだ。こんなセンスの悪いデザインのフルフェイスは俺くらいしか好んで着けない。



林檎:ーーああ。俺はアレジ・ロンドン。中央解放戦線、赤い林檎のリーダーだ。



0:満身創痍の三人がビルを駆け上がる



アレジ:「はぁ。はぁ、カイ、辛そうだね。もう帰った方がいいんじゃない?」



カイ:「はぁ?俺が、辛そうに見えるか?お前の方こそ顔が「こんなん」になっちまってんじゃねぇかアレジ」



アレジ:「その「こんなん」は僕の顔真似か?だとしたら笑えないな、とんでもないブスだ」



マルボロ:「いーや、案外似たり寄ったりだろ、ウケるな、ブス」



アレジ:「うるさいうるさい触んな!」



マルボロ:「うぇーいぶす〜」



アレジ:「触んなっつってんだろ!馬鹿!すけべ!」



カイ:「俺が言うのもなんだが、お前達は本当に緊張感とは無縁だな」



マルボロ:「まあ、長年こうやってつるんで来たんだ。しょうがねぇよ」



アレジ:「ああ、全くだ。」



カイ:「そうか」



アレジ:「言っとくけど、君もその一人なんだからね?ちんちんカイカイ」



マルボロ:「そうだぜチンカイ」



カイ:「うるさい略すな!」



0:三人は仮面の男と対峙する



マルボロ:「っと。」



カイ:「…居やがるな」



アレジ:「うん」



カイ:「テログループ赤い林檎主犯。「林檎」の姿を確認」



アレジ:「警戒クラスはアポリオン。腹くくるよ」



マルボロ:「おうよ。異能協会A級。第十二席。マルボロ・セルベルト」



カイ:「異能協会A級。第八席。カイ・シグス」



アレジ:「異能協会A級。第四席。アレジ・アンドレイ。

アレジ:以上三名。「異能協会」の名において、執行任務へと取り掛かる」



林檎:「……は?」



マルボロ:「いい加減そのふざけた仮面の下のご尊顔拝ませてもらうからよぉ!覚悟しろよ赤い林檎ぉ!」



林檎:「え。マルボロ?」



マルボロ:「ああ?」



林檎:なにが、どうなってる。さっき死んだじゃないか。それに、異能協会?A級?なんだそれは



林檎:カイも、そこにいるのか?異常体になったのか?



林檎:それにーーー



アレジ:「なにさ。そんなに見つめちゃって。悪いけれど男は対象外だよ」



林檎:あれは、俺か?あいつは確かに言ったな。「アレジ・アンドレイ」って



林檎:最後に、移動の異常性を使って、それで。



カイ:「おい。様子がおかしいぞ、あの仮面野郎」



マルボロ:「だな。どうするよ、アレジ」



アレジ:「知ったこっちゃないね。協会からの司令は即刻処分だ。

アレジ:気を抜いたらこっちがやられるよ、何せあいつの異能は

アレジ:僕と同じ効果、同じ範囲、そのままだ。つまり相手は僕だと思っていい」



マルボロ:「わぁーってんだよんなことぁ。やりづれぇことこの上ねぇがな」



カイ:「一度お前を殺そうと思った事もあったからな。俺としてはアレジを殺さずアレジを殺せる。一石二鳥だ」



アレジ:「笑えないこと言うねぇ、カイちん」



カイ:「はっ。なんなら勝負と行くか」



アレジ:「おぉ、アーヘン以来だ。いいよ。乗った」



林檎:頭で理解した訳では無い。納得した訳でもない。



林檎:ただ、「ここで」で、俺は「そうあるべきだ」という直感が働いた。



林檎:だから俺のとるべき行動はひとつだ



マルボロ:「いつまでだんまり決め込んでんだよ赤い林檎ぉ!さっさと構えねぇとマジでリンチしちまうぜ」



林檎:(被せて)「まずは。再会を喜ぼうと思う。

林檎:改めて、俺は赤い林檎主犯。「林檎」だ。」



カイ:「ああ。まったくもってふざけた名前だ」



アレジ:「だね。僕としてもあんまり笑えない所を突かれた模倣犯だ。」



マルボロ:「だな。「俺達」の名を騙って何がしたい?てめぇは」



林檎:「……俺の話は置いておこう。

林檎:俺はな、お前達に興味がある。少し話を聞かせてくれないか。なり染めとか、そういうのを」



マルボロ:「はぁ?」



アレジ:「この期に及んで談笑する気にはならないな」



カイ:「もういい、とっとと殺そう」



林檎:「そうか。だったらいい。自分で「見に」行くから」



アレジ:「…。何かするよ、二人とも」



マルボロ:「おう。何でも来い」



カイ:「…」



林檎:「SCRAMBLEスクランブル



0:場面転換



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



林檎:『…ここは。なんだ。中央か?にしては、物々しいな』



アレジ:「異能協会B級。アレジ・ロンドン。失礼します」



林檎:『やっぱりそうだ。薄々勘づいていた、予感にも近いもの。



林檎:俺の移動の能力は、過去、現在、或いは



林檎:ありえたかもしれない何時かへと行かせてくれる力になっている



林檎:恐らくはあの時。極度のストレスを抱えた為の暴発にも近い現象だろう』



マルボロ:「異能協会C級。マルボロ・セルベルト、失礼します!」



アレジ:「え。マルボロ…?」



林檎:『俺が見ているのは、この世界のアレジ・ロンドンの記憶だ。



林檎:どうしてだろうな。嫌に冷静だ。



林檎:俺は今、どういう感情でいるのだろう。自分を客観視できない



林檎:恐らくはーー』



マルボロ:「という訳で、今日から同じチームだ。よろしくな」



アレジ:「よろしくなって。協会は基本チームを認めてないと聞いたが」



マルボロ:「司令がそう言ってんだ。お前の実力が買われてんだよ。やったなぁおい?」



アレジ:「…まあ、お前と一緒に仕事が出来るなら。まんざらでもないな」



マルボロ:「だろうがよ」



林檎:『異能。俺が居た世界での、異常性と同じものだろう



林檎:そうか。どの世界でも、俺とあいつは、友達だったんだな



林檎:そっかそっか』



アレジ:「マルボロ!そっち行ったぞ!」



マルボロ:「ああわかってる!合わせろよアレジ!」



アレジ:「任せろ!」



林檎:『……そっかぁ』



マルボロ:(同時に)「AXXELLアクセル!!」



アレジ:(同時に)「SCRAMBLEスクランブル!!」



林檎:『………異常体。この世界では異能力者と呼ばれているらしいが



林檎:ここでは、異能力者への迫害はない。むしろ、異能力者が人間を管理していると言ってもいい



林檎:こんな世界なら、俺は



林檎:いいや。こんな世界でも。俺は』



マルボロ:「なあアレジ!そんな焦んなって!」



アレジ:「焦るな?無茶言うなよマルボロ。俺達がチームを組んでいられるのも、俺の実績ありきだ。

アレジ:もっと、もっと功績を上げるんだよ。じゃなきゃ」



マルボロ:「別にそこまで拘らなくてもいいだろ、チームを組まなきゃ死ぬって訳でもない」



アレジ:「協会が個人に出す任務難易度が下がることは無い!俺達が今まで生き残っていられるのは、俺と、お前の息が合っていてこそだろ!」



マルボロ:「そうだがよぉ、それじゃあイタチごっこだ。功績を上げりゃまた任務難易度は底上げされる。んな事もわかんねぇのか。ちったぁ冷静になれよ」



アレジ:「だったら行く所まで行けばいいじゃないか。A級にさえなれば自由も効く。」



マルボロ:「馬鹿言ってんじゃねぇよ、あいつらは怪物だ。俺達とはまるで訳が違う」



アレジ:「馬鹿はお前だろ。マルボロ。」



マルボロ:「あ?」



アレジ:「お前の異能は体に負荷がかかり過ぎる。一人だったらすぐに死ぬぞ」



マルボロ:「俺に気ぃ使ってんなら尚更やめろ。俺は別に」



林檎:『あーあ。』



アレジ:「うるさいなぁ、黙ってろよ。誰のお陰で生きてられると思ってんだ。」



林檎:『俺は、どこでも、いつでも』



マルボロ:「なんだその言い方。俺が足でまといかよ」



アレジ:「……お前がそう思うなら、そうなんじゃねぇか」



林檎:『馬鹿だなぁ。



林檎:当てるぞ、アレジ・ロンドン。俺は次にこう思う』



アレジ:「力が足りない。」



林檎:『ってな。



林檎:この後は、俺が居た世界と同じだ。異常性、異能を強制的に開花。強化させる果実を食って、それで』



マルボロ:「アレジ!!てめぇふざけんなよ!!」



アレジ:「ごめん」



マルボロ:「それ食っちまったらもう後に引けねぇって、分かってんだろ!!お前!!」



アレジ:「ごめん」



マルボロ:「ごめんじゃねぇって、なぁ、アレジ…!」



林檎:『この後は、見るまでも無いな。



林檎:俺は自分の手で、マルボロを一回殺した。』



マルボロ:「どうしてもっと、俺を頼ってーーー

アレジ:「…あ……」



林檎:『やっぱり俺は』



アレジ:「…マルボロ?死んだ?誰のせいで?誰に?誰が?

アレジ:………ああ、「僕」か」



林檎:『馬鹿だなぁ』



アレジ:「は・・・はは・・・はははは・・・はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」



林檎:『…』



アレジ:「なんだよ・・・なにしてんだよ・・・!はははは!何がしたかったんだよ僕は・・・!結局マルボロは、死んだ・・・!僕のせいだ!・・・ざまぁねぇなぁ・・・「僕」の身勝手な行動に付き合わされて死んだ!死んだんだぁ!」



林檎:『もう、いいだろ。



林檎:マルボロは俺の能力で体の時間を移動させた。つまり生きてはいる、が。俺の馬鹿みたいな行動に付き合わせっきりだったなぁ



林檎:思えば、俺が間違えたのはここから、ずっとだ。』



マルボロ:「ブーーーーン!飛空船の操縦全然分かんねぇ!むっっず!」



アレジ:「マルボロちゃぁん!墜落だけは勘弁しておくれよ、まだ死にたくない!」



マルボロ:「あいあいさー!」



林檎:人類の原罪は、林檎を食べた事だと言う



林檎:この世は腐っていると彼は言った。



林檎:金に溺れる者、性に貪欲な者、他人を蹴落す者、人に依存する者、目を背ける者



マルボロ:「かぁ〜!死ぬかと思ったァ!」



アレジ:「墜落してんじゃないよスカタン!」



林檎:だからどうやら彼らは、世界にナイフを突き立てたらしい



マルボロ:「ふぅ。ああ。あがってきたな?」



アレジ:「うん、その通りだ」



林檎:知能であり、感情であり、人間性。



アレジ:「時間は午後になりまして、僕ら「赤い林檎」の初仕事!」



マルボロ:「目標はあのイカれた街を騒がた「辻斬りグローザ」の解放!」



林檎:端的に言うのであれば



アレジ:「さあ、どいつもこいつも有罪だ!」



林檎:それが「林檎」だった。



0:回想終了



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



林檎:「……」



アレジ:「え?なに?なんかした?」



マルボロ:「いいや。何も」



カイ:「警戒は解くな。何してくるか分からないぞ。相手はお前とほぼ同じだからな、アレジ」



アレジ:「なに?嫌味?」



カイ:「ああそうだ、よくわかったな」



アレジ:「はっはぁーん!ぶん殴る!」



マルボロ:「緊張感ねぇなぁ〜!」



カイ:「まあ、こっちはA級が三人だからな。」



マルボロ:「嘘つくなって」



アレジ:「僕達だから。だろ?」



カイ:「は。くっせぇ」



マルボロ:「ははっ!」



アレジ:「わるぅござんしたねぇ!」



カイ:「が、ああ。その通りだ、アレジ」



アレジ:「は。うん」



林檎:「おかしいだろ」



アレジ:「おぉ、やっと喋ったね」



林檎:「何も、変わらないじゃないか。俺と」



マルボロ:「あ?」



林檎:「なあ、お前は俺と、同じなのに。どうしてお前は、マルボロと、カイと、一緒に、そうやって。

林檎:ーーーそうやってさぁ。」



カイ:「来るか。赤い林檎」



林檎:「…ああ。思えば、お前はどうしてそこに居るんだよ。カイ」



アレジ:「っ。来るよ!」



林檎:「SCRAMBLEスクランブル!!」



マルボロ:「AXXELLアクセル!」



0:二人は掴み合いになる



林檎:「ちぃっ!マルボロ・セルベルト、お前は!!なんでそっちに居る!!なあおい!!マルボロォ!!!」



マルボロ:「なんの、話だよ!!」



林檎:「お前は、俺と、一緒に、来てくれる筈だろ!!なんで!そっちに居るんだよ!」



マルボロ:「ちっ。何言ってるか、わかんねぇっつってんだよ!」(蹴り飛ばす)



林檎:「っ…!っそ、くそくそ!」



カイ:「何だ急に、ヒステリックか」



林檎:「…カイ」



カイ:「余所見は厳禁だろうがよ、赤い林檎」



林檎:「そうだ。なんで、お前もそっちに居るんだよ、カイ」



マルボロ:「AXXELLアクセル!」(飛び蹴り)



アレジ:「SCRAMBLEスクランブル!」(接近して殴打)



林檎:「っぶがっ!邪魔、すんじゃねぇよ!!」



アレジ:「どっちがだよパクリ野郎!」



マルボロ:「耳貸すなよカイ!!」



カイ:「わかってる!」



林檎:「どいつも、こいつもぉ!!」



カイ:「VOLTボルト!!」



林檎:「ーーーっ!」



0:仮面が割れる



マルボロ:「やりぃ!仮面割ったったァ!」



アレジ:「さあ、パクリ野郎の顔面を拝もうじゃないの!」



林檎:「……」



マルボロ:「……は?」



カイ:「おいおいおい、これは。」



マルボロ:「アレジと、同じ顔、だぁ?」



アレジ:「えーーーっと。どういう異能?」



マルボロ:「んなちゃちなもんじゃねぇだろ。こりゃあよ」



林檎:「……ああ。カイも異常体か。そっか。違うのは「そこ」か。」



カイ:「は?」



林檎:「見せてくれ、どうすれば、そうなれたのかを」



マルボロ:「まーた何言ってんだこいつは!」



アレジ:「…」



林檎:「SCRAMBLEスクランブル



カイ:「ーーー

0:場面転換

彼:『実行世界を更新します』

0:場面転換 とある列車

林檎:『……ああ。やっぱりこの列車だ。政府設立のアーヘン高等学院。

林檎:そこへ行くためだけの、大層な列車』

アレジ:「やあ。ぐっすり寝てたね」



カイ:「…誰だお前」



アレジ:「僕はアレジ・アンドレイ。この列車に乗ってるって事は、君もアーヘンの新入生だ」



カイ:「ああ、そうだ。俺はカイ・シグスと言う」



アレジ:「よろしくよろしく、君はどうしてアーヘンに入ろうと思ったの?」



カイ:「初対面でグイグイ来るな、話すような事でもない」



アレジ:「いいじゃない、ただの雑談。

アレジ:僕はね、儲かるから!協会職員は危険も多いけど給料いいし、君もそんな感じでしょ?」



カイ:「お前がそう思うなら、それでいい」



アレジ:「うんうん、硬いなぁ、酷く硬い」



林檎:『ここでのアーヘンは、異能の扱いを学ぶ為の学校らしい



林檎:この世界でのカイは、初めから異能力者だった。何もかもが、きっと世界の根本から。俺の元いた世界とは違う。けど、それはきっと大差ではない』



アレジ:「やあ、隣の席だね。カイ」



カイ:「話しかけるな」



アレジ:「ひーん冷たい!」



林檎:『俺がここに入学した目的は、この学院を襲撃する為だ。そこで俺は、アレジ・アンドレイと名乗っていた



林檎:訓練は馬鹿みたいにしんどくて、教官も厳しい。が。そこでの暮らしは、やはり悪いものではなかった』



アレジ:「筋トレ、各メニュー百回、とは、言うけど。案外楽勝だね」



カイ:「そうか、だったら、黙ってやれ」



アレジ:「おやおやぁ?口数が減ってるのは余裕の無い証拠じゃありませんっくて?」



カイ:「なんだ、張り合う気か」



アレジ:「あぁそうだ。張り合う気だよ、僕は」



カイ:「いい度胸だ、アンドレイ」



林檎:『良きライバル。とでも言うのか。そこで過ごした半年は、あっという間に過ぎていった』



アレジ:「カイ、今度の合同訓練。僕と組もう」



カイ:「断る。」



アレジ:「ひゃー冷たい!」



カイ:「言っておくぞアンドレイ。俺はお前が、苦手だ。というか嫌いだ」



アレジ:「そっかぁ。ぐすん」



カイ:「そーいう所だ!そういう所が嫌いなんだ、よ!」



アレジ:「ひぇーカイちんったらあれかい?ツンデレってやつかい?」



カイ:「いつデレた、俺が、お前に」



林檎:『俺がカイと仲良くしだしたのは。本当に、ただの気まぐれだった



林檎:この学院で、「赤い林檎」としてバレるまでの間、暇せず過ごすか。



林檎:ただそれだけの、気まぐれが。思いもよらない方向に転がる事もある。』



アレジ:「はぁ、はぁ…!カイ!!どこ行ったんだ!カイ!」



林檎:『それが、こっち側の俺だったんだろうな』



アレジ:「あれだけ深入りはすんなって言ったのに!!あんのバカ!」



0:場面転換



カイ:「っ!!VOLTボルト…!」



0:異能は発動しない



カイ:「…ちっ。あーぁ。ガス欠か。」



林檎:『これは、俺の知らない話だな。』



カイ:「ああ、クソみたいな人生だったよ、本当にな。こんな所に居るのも、こんな所で、お前みたいな奴に殺されるのも、本当に本当に、不本意だ」



林檎:『とある異能力者の捕縛任務。学院生徒とは言え、任務である以上は命懸けなんだろう



林檎:俺の時は、こんなのは無かった』



アレジ:「SCRAMBLEスクランブル!」



カイ:「…あ?」



アレジ:「はぁ、やっ、と、見つけた!!このバカ!」



林檎:『じゃなきゃ、こんな事はしない』



アレジ:「っ!逃げるよ!カイ!」



カイ:「なんで来た!俺が一人で勝手に突っ走っただけだ!アンドレイまで来る必要は」



アレジ:「そういうのいいから!!早く捕まれ馬鹿!!」



カイ:「今二回馬鹿って言ったなお前!」



アレジ:「うるさい馬鹿!

アレジ:SCRAMBLEスクランブル!」



林檎:『命懸けの救出。赤い林檎としての素性を隠しつつ、能力を制限しながらのそれは身を削る行為にほかならない



林檎:どう足掻いたって、俺とお前は、仲良くなってるんだな。少しだけ、嬉しいよ』



アレジ:「……はぁ。疲れた」



カイ:「…なんで来た」



アレジ:「は?」



カイ:「さっきも言ったが。俺が勝手に深追いしただけだ。アンドレイが俺を助ける理由なんて」



アレジ:「あるでしょ。だってほら、友達だし」



カイ:「……ジュースだ」



アレジ:「んあ?」



カイ:「ジュース一本奢る。これでチャラだ。」



アレジ:「…は。安く見られたもんだね」



カイ:「うるさい。俺は力がいる。言っておくがもうお前の手は借りないぞ」



アレジ:「意地っ張りだなぁ…(小声で)どうしてそうも似てるかねぇ」



カイ:「どうした。早く行くぞ、アレジ」



アレジ:「…お。名前で呼んだね!いま!」



カイ:「うるさい。呼んでない」



アレジ:「はーいツンデレ!」



林檎:『それからの時間はあっという間だった。良い友人。良い環境に囲まれ。心の底から楽しかったと、言える。ああうん。



林檎:ーー楽しそうだなぁ』



カイ:「俺には、この学院に来た本当の目的がある」



アレジ:「ああ、やっと話してくれる気になった?」



カイ:「ああ。」



林檎:『そうだ。カイは、カイにとって俺は』



カイ:「テログループ、赤い林檎。」



アレジ:「!」



カイ:「俺の家族は、こいつらに殺された。」



林檎:『カイにとって俺達は、殺すべき敵なんだ』



カイ:「俺は、あいつらを何としてでも殺す。這ってでも、どれだけ惨めでも。殺すと決めたんだ。」



アレジ:「…そっか」



カイ:「復讐者の話なんて、この界隈じゃ聞きなれたものだろ。誰にでもあるさ。語りたくない目的の一つや二つ」



アレジ:「そうだね」



カイ:「俺とお前は、悔しいが。本当に悔しいが。友人だ」



アレジ:「うん」



カイ:「だから。いざって時は頼るぞ。アレジ」



アレジ:「……」



カイ:「アレジ?」



アレジ:「ああ、うん。任せてよ。カイ」



林檎:『どこだ。どこから、ああなった。ここまでは今までの俺と変わらない。



林檎:ほんの少しの寄り道を、思っていた以上に楽しんでしまった。ここまでは、俺だって。同じだったじゃないか



林檎:あの瞬間まで』



カイ:「半年、短かったな」



アレジ:「そうだね」



カイ:「もうあと半年だ。頼りにしてるし、存分に俺に頼れよ。アレジ」



アレジ:「…随分と、素直になったね」



カイ:「まぁな。ああ、そうだ」



アレジ:「…なに」



カイ:「次の合同訓練。俺と組まないか」



アレジ:(被せて)「カイ。」



カイ:「おお。なんだ?」



アレジ:「僕達は、友達だったんだろうか」



カイ:「なんだ急に。お前がそう言ってくれた…。んん。お前がそう言ったんだろ

カイ:俺たちは、友達だ」



アレジ:「ーーー…。そうだね。その通りだ。

アレジ:だからこそ、ちゃんとしなきゃ」



カイ:「?」



林檎:『これ以上仲良くなっちゃいけない。そう感じた。これ以上は、他の誰でもない。俺自身が辛くなるから。辛いと感じてしまう前に、そんな思考が芽生える事すら無いように



林檎:前倒しにした計画を、懺悔と言わんばかりに吠えるんだ』



アレジ:「僕はアレジ・ロンドン。」



林檎:『この時の顔は、酷く醜いものだったと、我ながら思う』



アレジ:「テログループ。赤い林檎のリーダーだ」



林檎:『…………その後、駆け付けたマルボロと共に、数百という赤い林檎の構成員が学院を占拠した。



林檎:それらの手によってカイと、俺以外の学院関係者は。全員死んだ



林檎:殺した。俺が、殺したんだ



林檎:そして逆上したカイに俺は一度殺されかける。ああ、ここも同じだ。けど、一つだけ違うとすれば』



カイ:「ーー呆気ないもんだな」



マルボロ:「なぁカイ。あ、カイって呼んでいいか」



カイ:「…なんだ」



マルボロ:「お前すげぇな。お前と学院職員だけでほぼ全滅だ。こりゃ作戦は失敗だよ」



カイ:「…そうか」



マルボロ:「あと。お前とアレジは、よく似てる。」



カイ:「…は?どこがだよ。全く似てねぇ。俺は、こんな屑じゃない」



マルボロ:「昔のアレジにそっくりなんだよ、お前は

マルボロ:まだこいつが協会職員で、真っ直ぐな顔して、ただただ俺を守るって必死こいてた頃に」



カイ:聞きたくない。どうでもいい。もういいじゃないか、アレジは死んだ。俺が、殺したんだ



マルボロ:「お前さ。馬鹿だろ」



カイ:何もかも、どうでもいい



マルボロ:「こいつも馬鹿なんだ。本当に、どうしようも無く馬鹿なんだよ

マルボロ:前に、前に進むしかない、馬鹿なんだ。お前とアイツの違うところと言えば

マルボロ:お前の方が、意地っ張りだったってとこくらいだな」



カイ:「…もう、いい。理由も、過去も、どうでも。今あるのは、俺がアレジを。殺した。ただそれだけの事実だ」



マルボロ:「…」



カイ:「お前とアレジは、友達なんだろ」



マルボロ:「ああ。そうだ」



カイ:「怒らないのか、アレジが死んだんだぞ。俺のせいで」



マルボロ:「そうだなぁ。感謝してるよ」



カイ:「感謝?」



マルボロ:「ありがとな、あの馬鹿を、叱ってくれて」



カイ:…嗚呼。なんだこれは



マルボロ:「俺はマルボロ・セルベルト。赤い林檎の、一番最初のメンバーだ。」



カイ:…俺の中でのあいつはアレジ・アンドレイで、俺はあいつのどれだけの事を知っていたんだろうか



カイ:どれだけの理由と過去があって、こんな馬鹿やったんだろ



マルボロ:「改めて紹介しとく。こいつはアレジ・ロンドン。俺の親友だ」



カイ:でも。今となっちゃ知る事は出来ない。死んじまったから。殺したから。



カイ:ただ、もう、それでいい。この結果で、いい



マルボロ:「おら、アレジ。そろそろ起きろよ」



カイ:「…は?」



アレジ:「…す…く、らん、ぶる」



カイ:死んだ筈だ。殺した筈だ。



カイ:もうどうでもいい、どうでもいい



カイ:ただ分かるのは、殺した筈のアレジの体に飛び散った血液が「移動」していく光景だ



アレジ:「…ぁ。」



マルボロ:「お遊びもこの辺にしようぜ。そろそろ例の執行部からの応援も来る頃合だ」



カイ:なんだよ。



アレジ:「ーーーーうん。そうだね、マルボロ」



カイ:元気じゃねぇか



マルボロ:「じゃあ、気を取り直して。いつものやつ、行こう」



アレジ:「了解!僕達はテログループ「赤い林檎」!」



マルボロ:「今日の解放作戦はぁ〜どぅるるるるる。ここ、アーヘン高等学院の襲撃!全生徒職員の殺害!赤い林檎!その奪取!」



アレジ:「二つは達成!残りの全生徒職員殺害は恐らくグローザが済ませてくれている!と、思う!」



マルボロ:「と、言うわけで俺らはここで退散!退散!」



アレジ:「時間は午23時38分。以上で、今回の解放作戦を終わります!」



マルボロ:「終わります!」



アレジ:「それじゃあ、またね」



カイ:「待て」



アレジ:「いいや待たない。もう君に構ってる時間はないんだ、カイ」



カイ:「質問に答えろ」



アレジ:「嫌だね。このままじゃ僕ら袋のネズミだもの」



カイ:「アレジ!!!」



アレジ:「…」



カイ:「お前は、誰だ」



アレジ:「何の質問かは分からないけど、今言ったろ。君に構ってる時間は」



マルボロ:「アレジ。答えてやれよ」



アレジ:「マルボロが急げって言ったんだろ!もう、なんだっけ?僕が誰かだっけ!?

アレジ:そんなもん決まってるでしょ

アレジ:僕はアレジ・アンドレイだ!」



マルボロ:「…」



カイ:「ああ。違うな」



アレジ:「違わないよ。忘れたの?君が憎んで憎んでやまないアレジ・アンドレイ。それが僕だ」



カイ:「お前はアレジ・ロンドンだろうが」



マルボロ:(溜息を零す)



アレジ:「……あ」



カイ:「俺の故郷を焼いて、家族を、友人を殺した、大量殺人鬼が、てめぇだよ、アレジ・ロンドン

カイ:俺は、なぁ。本当にお前の事を、友達だと。思ってた。思ってたんだよ」



アレジ:「……」



カイ:「お前の事は殺したいほど憎んでるさ。アレジ・ロンドン。一度お前を殺した時、味わった喪失感はこれだ。

カイ:お前を理解したいと、思ってるんだ。俺は。アレジ・アンドレイ」



マルボロ:「…」



アレジ:「…だったら。どうする?」



林檎:『ここか。』



アレジ:「僕を理解して、どうするのさ。

アレジ:僕がやってきたことは消えない。無くならない。もう後に引けないんだよ。僕は」



カイ:「法がお前を許すかは分からない

カイ:……それでも。」



林檎:『嗚呼。やっぱりここだ』



カイ:「俺は、お前を、許したいと。思ってしまってる」



林檎:『なんだよ。あの時は、こんなこと、言ってくれなかったじゃないか』



アレジ:「…」



マルボロ:「へ。俺はさぁ。こういう時の決着の付け方を知ってる」



カイ:「なんだよ」



マルボロ:「ただの、殴り合いだ」



アレジ:「は?マルボロ、お前何言ってんだ」



マルボロ:「友達だって言うなら、ただの喧嘩で決着つけんのが男同士の礼儀だろうがよ。ちげぇか、アレジ」



アレジ:「……」



カイ:「…約束しろ。アレジ」



アレジ:「…なにをさ」



カイ:「俺がお前に勝ったら」



林檎:『なんでそんな、清々しい顔してんだ。お前ら』



カイ:「ジュース一本奢れ」



林檎:『あーーあ。もう、やっぱり、今日の俺は嫌に冷静だ。



林檎:なんでこんなに冷静かって?そんなのは』



アレジ:「…マルボロ、僕は」



マルボロ:「お前が決めろ。アレジ。

マルボロ:言ったろ。お前がどんな道を進んでも、死ぬまで着いてってやる。そこが例え処刑台だとしてもな」



アレジ:「でも」



マルボロ:「お前は、どうしたい。」



アレジ:「……僕、は」



林檎:『そんなのは決まってる。』



アレジ:「カイと、マルボロと、少しだけでもいい、友人と、笑って暮らしてみたい」



林檎:『怒りが一周回ったからだ。俺は、今。ブチぎれてる』



マルボロ:「ーーよし。上々だぁ!

マルボロ:これより、アレジ・アンドレイとカイ・シグス。両名の、ただの殴り合いを始める!

マルボロ:審判は俺!でもただの殴り合いに反則もクソもねぇからな!

マルボロ:存分に殴りあってスッキリしろ!くそ野郎ども!」



林檎:『どうして、人を散々殺して、散々うらぎってまで、こんなにも、清々しい顔が出来るんだよ。お前は』



アレジ:「…」



カイ:「…」



マルボロ:「そーーれ、行ったれ!!」



アレジ:「うぉぉおおおおお!!!」



カイ:「おおおおおおおおお!!」



林檎:『ただの、喧嘩だ。それは対等の証。ああ、こんなにも俺は今。満ち足りた顔をしてる』



アレジ:「っ…!」



マルボロ:「はっはっ!負けんなよー!アレジ!」



アレジ:「わかってる、よ!」



カイ:「まだ倒れんなよ!あと五千発殴る!!」



アレジ:「ああいいよ!!かかって来な!!」



林檎:『ああもう。本当に。腹立たしい。



林檎:見てるだけで虫酸が走る。詭弁だ。綺麗事だ。安いハッピーエンドを見せられてる気持ちになる。気持ち悪い』



カイ:「…はぁ…はぁ」



アレジ:「…ごほっ」



林檎:『もうやめろ』



マルボロ:「はっ。よく勝ってくれたな、カイ」



カイ:「はぁ、っ。何か言ったか、マルボロ」



マルボロ:「いいや。何も」



林檎:『やめろって』



アレジ:「…はは」



マルボロ:「負けで、いいな?アレジ」



アレジ:「……ああ。僕の。…いいや。僕達の負けだ」



林檎:(被せて)『やめろっつってんだよ!!!



林檎:ーーーもう、見たくない。』



0:場面転換



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



カイ:「やっと監獄から出てきたな、馬鹿野郎共」



マルボロ:「ああ。聞いたぜ。会長に相当嘆願してくれたらしいな」



アレジ:「こいつらは強いから殺してしまうには惜しいってね

アレジ:ほんと、あれが無かったら極刑まっしぐらだったろうさ」



マルボロ:「いやぁーお優しいこったァな」



カイ:「茶化すな、大変だったんだぞ」



マルボロ:「だな、さんきゅ」



カイ:「ああ」



アレジ:「ーーカイ。」



カイ:「おう」



0:アレジはカイにジュースを投げ渡す



アレジ:「ジュース一本。これでチャラだ」



カイ:「…はっ。安く見られたもんだな」



アレジ:「……ただいま、カイ」



カイ:「…ああ。おかえり、だ。アレジ」



マルボロ:「おいおい、仲間外れかよ寂しいな」



アレジ:「なーにいってんの、帰るよ、マルボロ」



マルボロ:「…へ。おうよ!」



カイ:「ピザでも食うか、出所祝いに」



アレジ:「いきなり重いね、でも」



マルボロ:「アリ」



カイ:「よし。お前が奢れマルボロ」



マルボロ:「えぇおれぇ!?任せろ!」



林檎:『……こんな、可能性もあったなら、そっちがいいに、決まってる



林檎:……ああ。いいなぁ』



0:場面転換



彼:『実行世界を更新します』



0:とある都市



アレジ:「さぁて、どうしたもんかね」



マルボロ:「あれっきりまただんまりだ」



カイ:「疑問は尽きんが。あの顔、どういう事だ」



マルボロ:「全くだな。服装が同じだったらどっちがどっちか分からねぇよ、ありゃ」



アレジ:「…」



林檎:「……はは、はははは。」



アレジ:「…」



林檎:「カイ・シグス、お前は、とんだクソ野郎だな」



カイ:「あ?」



林檎:「SCRAMBLEスクランブル!!」



カイ:「ちっ!VOLTボルト!」



林檎:「なんであの時!!俺にはその言葉をかけてくれなかった!!」



カイ:「なんの、話だよ!そっくりさんの割に口調も中身も全然違うなお前!」



林檎:「ふざけんな!ふざけんなよ!!どいつも、こいつもさぁ!!」



マルボロ:「AXXELLアクセル!!」



アレジ:「SCRAMBLEスクランブル!!」



林檎:「ぐっ、ぁああ!!」



カイ:「VOLTボルト!」



林檎:「っっァ…SCRAMBLEスクランブル



0:自身の身体を修復する



カイ:「再生、早いな」



マルボロ:「やっぱ厄介だなおい」



アレジ:「僕と同じ異能で、同じ顔。だいたい察しは着いてきたね」



カイ:「このタイミングで唐突に出てきやがった新生赤い林檎。その面。

カイ:恐らく、別世界を行き来する異能を持った誰かが寄越したか」



アレジ:「「僕」自身の異能でこっちに来たか。のどっちかだね」



林檎:「くそ、くそ、くそ!!くそ!!」



マルボロ:「…なあ、赤い林檎。」



林檎:「なんだよ、なんだってんだよ、あぁ?」



マルボロ:「俺達の考察は、合ってんのか」



林檎:「どうでもいいだろ、お前は、変わらずそっちに居て、お前は良い友人と一緒にいて、お前は、全部、全部投げ出して一人幸せそうに暮らしてやがる!!

林檎:ばっっかじゃねぇの!!自分が何したか分かってんのかよ人殺しが!!」



アレジ:「…」



マルボロ:「概ね、当たってるっぽいな」



カイ:「…アレジ、マルボロ」



マルボロ:「おうよ」



アレジ:「うん」



林檎:「なんで、どうして、お前らだけ、さぁ!!」



カイ:「全出力だ!!てぇ抜くなよ!」



マルボロ:「だーれにいってんだっての!なぁ、アレジ!」



アレジ:「全くだ!」



林檎:「アレジ…!アレジ・アンドレイィーーーーーーーー!!!!」



カイ:「なっ!アレジ!!」



マルボロ:「大丈夫だ。信じろ」



0:二人、ほぼ同時に



林檎:「SCRAMBLEスクランブル!!」



アレジ:「SCRAMBLEスクランブル!!」



林檎:(M)ーーーああ。最初から、「俺」が悪かったのか



林檎:だから、「僕」はーーー



0:彼の首が落ちる



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



0:実行管轄内



林檎:「…」



アレジ:「やあ、アレジ。って言うのも、不思議な気持ちだ」



林檎:「…なんだよ。嫌味でも言いに来たのかい」



アレジ:「まさか。僕も気付けばここに居た。」



林檎:「……」



アレジ:「帰りたくない?」



林檎:「そう、だね。あんな光景を見せられちゃあ。やる気もなくなるってもんだ」



アレジ:「…」



林檎:「でも。良かったよ。皆が幸せになれる未来もあった。「俺」には。それで十分だ」



アレジ:「…そっか」



林檎:「マルボロとは、仲良くやってるんだね」



アレジ:「うん」



林檎:「相変わらず?」



アレジ:「お調子者だ。」



林檎:「僕に負けず」



アレジ:「劣らず、ね」



0:二人、少し笑う



林檎:「…カイとも。うん。僕が一番驚いたのはカイだなぁ。そんな可能性も、あったんだなぁ」



アレジ:「…一歩間違えれば。いや、僕の本来あるべき結果は、君なんだろうと思う。

アレジ:それでも、僕はこの結果を自ら勝ち取ったものだ、と思っているよ」



林檎:「本当に、嫌味ったらしいね。よく似てる」



アレジ:「まぁ、僕だからね」



林檎:「……対立こそしたけど。会えてよかった。本当に」



アレジ:「…最後に、ひとつ」



林檎:「?」



アレジ:「どうあれこうあれ。僕は、僕だ

アレジ:だから。君はきっと馬鹿で。曲げるという事を知らない」



林檎:「…どの口が、だよ」



アレジ:「は。だから、うん。ただひたすらに、ひたむきに」



アレジ:(ほぼ同時に)「前へ」



林檎:(ほぼ同時に)「前へ」



アレジ:「…」



林檎:「じゃあね、アレジ・アンドレイ」



アレジ:「じゃあね。アレジ・ロンドン」



林檎:「ーーーー。」(何かを言いかけてやめる)



林檎:ああ、それでもやっぱり。僕は僕を許せないよ





林檎:ーーーだから。



0:場面転換



彼:『実行世界を更新します』



0:場面転換



マルボロ:『人類の原罪は、林檎を食べた事だと言う』



カイ:「目標確認。中央解放戦線。赤い林檎主犯、アレジ・ロンドン」



アレジ:この世は腐っていると彼は言った。



マルボロ:金に溺れる者



アレジ:性に貪欲な者



マルボロ:他人を蹴落す者



アレジ:人に依存する者



マルボロ:目を背ける者



カイ:「中央政府監察局。カイ・シグス。只今より、執行任務へ移ります」



アレジ:だからどうやら彼らは



カイ:「よぉ。アレジ。約束通り。お前を解放しに来たぞ」



マルボロ:世界にナイフを突き立てたらしい



林檎:「……うん。そうだ。そうだね」



カイ:「…」



アレジ:知能であり、感情であり、人間性



林檎:「改めて。「僕」が中央解放戦線。赤い林檎のリーダー」



マルボロ:端的に言うのであれば。



林檎:「アレジ・ロンドンだ」



アレジ:それが、林檎だった。


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