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異能力者達の午後  作者: ゆーろ
異能力者達の午前
26/32

逃亡者達の終末

0:―――『逃亡者達の終末』―――



0:トロッコ峠



カルビス:…はあ。疲れた。ガチガチの戦闘は向いてねえのよ



アインズ:(M)ナンバーズ執行官。ヴルカーン・サウスパークを殺した。そいつは死に際、こう言った



アインズ:(M)「人には。役割があると思う」



アインズ:(M)「きっと。それぞれ、何かしらの役割があって。それを全うするために。俺達は生きている」



アインズ(M)「そう思わないと。やってられないだろう」

アインズ:(M)死に際にしちゃあ、恐ろしい遺言だった。そして最後にこう言った

アインズ:(M)「お前らの役割は。なんなんだろう。」



アインズ:(M)「地獄に堕ちろ。くそったれども。」



アインズ:(M)もっかい言うか。死に際にしちゃあ、恐ろし過ぎる遺言だった



カルビス:…。はあ。疲れた。



アインズ:…。連絡だ。アメリカ首脳が動いた



カルビス:って事はァ。あれか?



アインズ:―――ああ。バグテリアへの。核爆弾投下が決まった。



0:



ヨシュア:(M)心底しんていをたたく、一滴の青。ひとしずくが波紋となり、さざ波を起こす。



トトリ:(M)青が侵蝕してくる。深い、闇のような静謐せいひつをたたえて



ヨシュア:(M)息が止まるほど、青に侵され、溺れてしまったなら



トトリ:(M)それを『幸せ』と呼ばず、なんと呼ぼう――…?



0:バグテリア法外特区



アインズ:なあ。相棒



カルビス:なんだよ。



アインズ:…少し。腹を割って話そう



カルビス:どうした急に。



アインズ:お前とは。真面目に話した事が。あんまりなかった気がする



カルビス:…そうか。勿論。いいぜ、相棒



アインズ:つっても。今から言うのは。ただの文句だ。



アインズ:別に聞き流してくれて構わねえよ。



0:場面転換



0:トロッコ峠付近



ヨシュア:はあ…っ!はぁっ。はぁ…!



トトリ:…。



ヨシュア:(M)あれから、何人と交戦したか分からない…!トトリは暴君坊との戦闘も含めてかなり重症だ…!治療がしたい!くそっ。



トトリ:(M)…。ヨシュアの声が聞こえる。



ヨシュア:トトリ!!しっかりして!!



トトリ:(M)体中が痛い。



ヨシュア:トトリぃっ!!



トトリ:(M)ああ。俺はまた。お前に守られるのか。守られて、ばっかりだなあ。



ヨシュア:くそっ…!くそっ!トトリが、トトリが死んじゃう…!



トトリ:(M)…本当に。嫌になる。



0:場面転換



0:トロッコ峠



アインズ:俺は正直、このまま妹の所に帰りたい。ここじゃないどこかで優雅に過ごしてフカフカのベッドで目覚めて朝食にハンバーガーでも食っていたい。



カルビス:あぁ。分かる



アインズ:でも駄目なんだ。分かるなら聞こえるだろう?散々聞いた悲鳴が、俺はこれが怖い



カルビス:ちゃんと本音で喋れよ。お前がビビってるのはそんな格好のいい理由が主じゃあねぇな。どうしようも無くみっともない。そんな瑣末事の筈だ。



アインズ:これだって間違いなく本心だ。



カルビス:いいか。お前は歴戦の勇士でも無けりゃ世界を救う英雄でも、普通を過ごすパンピーでもねぇ。そしてそれは俺も同じだ。



カルビス:お前は、俺の相棒だ。



アインズ:あぁ。残念ながらな



カルビス:腹割って。何が話してえんだ



アインズ:…。俺はな。俺は、お前が大嫌いだ。カルビス・ラングナー



カルビス:傷つくねえ



アインズ:…。それでも。俺はお前の隣に居ることをやめなかった。最近。ようやくわかった気がする



アインズ:お前と居ると。俺は、楽なんだよ。何も選ばなくていい。何も選択しなくていい、これからもこのままなら。俺は楽だと、本気でそう思ってる



カルビス:ああ。任せろよ



アインズ:なにか重要な決断は全部お前がする。今も。そうだ。



カルビス:…何を決断すりゃいい?



アインズ:…。俺は、今なら。このまま地獄への片道切符を投げ捨てて、どっかその辺の、このクソみたいな世の喧騒とは掛け離れたどこかで、優雅な隠居生活を送りたい



アインズ:妹の結婚式に出てみたい。幸せな未来を、見てみたい。



アインズ:フカフカのベッドで目が覚めて、朝食に重めのハンバーガーを食う



アインズ:そんな人生で。別にいい



アインズ:でも。ここまでやっちまった。やらされた。お前に。今更引き返せるはずもねえ。



アインズ:何とも言えねえ感情だ。



アインズ:俺は今更。お前の相棒を降りたくなっちまってる



カルビス:…。



アインズ:ペンスタンに。死ねって言われてんだ。俺は。お前のせいで。



アインズ:…なあ。俺はどうすればいい?



カルビス:なんでそんな事俺に聞く



アインズ:お前が決めろ。



カルビス:俺がか



アインズ:そうだ。お前だよ、お前以外に居ないだろ。



カルビス:…。



アインズ:あの時、お前は言ったな。降りたきゃ降りろって



カルビス:ああ。言った。



アインズ:お前にとって選択の日々が途絶えた事はねぇだろう。だがなカルビス。こりゃお前が俺にふっかけてきた「取引」の筈だぜ、なら責任取れや糞アヒル野郎



カルビス:・・・くわっくわっ・・・てな



アインズ:軽口はやめろ、俺が本心で語ってるんだ。てめぇもたまには本心で話してみろ



カルビス:・・・だな。



アインズ:てめぇには俺に命令する義務がある、俺にはてめぇに選択を委ねる権利がある



0:アインズはカルビスの肩に手を置く



カルビス:・・・



アインズ:カルビス、俺は「どうすればいい」?



カルビス:・・・



0:カルビスは自分の方に置かれたアインズの手をどける。



カルビス:選んでばっかりだよ、本当に。ずっとずっとずっと。ずっとだ。



カルビス:しょうがねぇもんな。お前らは選ぶ事も、何かを得る事もしねぇ。受容する事だけを望んでる。受け入れ続ける



アインズ:……。



カルビス:別にいいさ。世の中には需要と供給って言葉がある。受容する側と、させる側。この比率を間違えちゃいけねぇ。



カルビス:だからいつ死のうが、どう踊らされようが、受容し続けたお前らが悪い。



アインズ:・・・



0:カルビスは煙草に火をつけて立ち上がる



カルビス:だからアインズ、俺は受け入れさせるぞ



アインズ:・・・



カルビス:アインズ・ブローカー。



カルビス:妹との未来を、優雅な隠居生活を、フカフカのベッドを、朝食のハンバーガーを、その全てを。平凡を



カルビス:ーーー諦めろ。



アインズ:…。



0:トロッコ峠付近



ヨシュア:トトリ…っ。大丈夫、大丈夫…!絶対に僕が、守るから…!大丈夫だから…!



トトリ:…。ヨシュア



ヨシュア:…っ!トトリ!よかった、目が覚めた!



トトリ:もういいよ。ヨシュア



ヨシュア:…なにが?



トトリ:……。俺はもう。いい



ヨシュア:……どういう意味



トトリ:こんな戦場で。動けないやつ一人抱えるなんて邪魔なだけだ。だから、もういい



トトリ:俺を捨てて、一人でどっか逃げろ



ヨシュア:………なにそれ



トトリ:あの時から。ずっとそうだ。俺はヨシュアに守られてばっかり。



トトリ:俺が居ない方が。ヨシュアは、幸せなんだよ



ヨシュア:なんでそんなことトトリが決めるの



トトリ:俺が居なければ、ヨシュアが異常体になることは無かった



ヨシュア:僕は元々異常体だよ



トトリ:バレてなかったんだから一緒だ。特区外に逃げだそうとしなければ、あんな危険な目にも合わなかった



トトリ:ヨシュアが異常体になさえならなければ、中央に入ることもなかった。シモンさんと、どこかで。ゆっくりした日常を過してたんだ



ヨシュア:なんなんだよ。それ。やめてよ。なんでそんなこと急に言い出すの



トトリ:ずっと思ってた。異常性もない。力もない。頭も悪い。俺は、お前一人、守れない。



トトリ:ここに来て。さっき、暴君坊と戦って。よく分かった。俺は何も出来なかった



トトリ:だから、もう。いい



ヨシュア:ふざけんなってっ!!



トトリ:…



ヨシュア:僕はっ。トトリと一緒に居たい…っ!トトリと一緒にいるのが幸せなんだっ。僕がトトリと居て嫌な顔した事があった?僕がトトリにいなくなって欲しいって、そんな事言った時が、一秒であったかな…?



ヨシュア:無いよ。言ったことも、思ったことも無い。



ヨシュア:君は。僕の青なんだ。



トトリ:…なんでそんな勝手なことばっか言うんだよ



ヨシュア:…なにが



トトリ:俺だって一緒に居たい。でも、一緒にいると危険が伴う。俺は、ヨシュアに生きていて欲しい。



トトリ:だから。もういいって言ったんだ



トトリ:お前はいつも勝手だよ。俺から異常性を奪って、我が物顔で俺を守る。



トトリ:…こんな惨めなこと。あるかよ…っ。



ヨシュア:…………。行こう。治療が先だ



トトリ:ヨシュア。



ヨシュア:…。



トトリ:ヨシュア。聞いてるのか



ヨシュア:…っ。



トトリ:ヨシュア。



ヨシュア:僕は。



トトリ:…



ヨシュア:…僕は。どれだけ自分勝手でも、トトリと一緒に居たいよ。



トトリ:……。



0:



カルビス:さて。



アインズ:行くか。相棒



カルビス:ああ。行こう



アインズ:…。ありがとうな。カルビス



カルビス:今更だろ。



ヨシュア:…。あれ。中央政府の制服



アインズ:待った。また、誰かいるな



カルビス:………。なんだなんだ。次の来客は。



ヨシュア:…っ!良かった!生存者がいる!助かるかもしれない!トトリ!



トトリ:…。



アインズ:…ああ。特務班の。



カルビス:元異常体どもか



ヨシュア:すみません!この子、監察局の子なんですけど、重症で!手当がしたいんです!どこか施設が整ってる場所を知りませんか!?



カルビス:バグテリアだぞ。内臓破裂に小便ぶっ掛けりゃ治るとか言い出す連中ばっかだ。そんな清潔な場所滅多にねえよ。



ヨシュア:でしたら、救護班を…!



カルビス:それも居ない。確認されてる段階で、救護班はバグテリアに転移されてない



ヨシュア:………っ。



カルビス:諦めな。そいつは死ぬよ



ヨシュア:そんな事には、させません。僕が、守ります。



アインズ:女に守られるなんざ、渋いもんだ



トトリ:…。



ヨシュア:情報、ありがとうございます…。



アインズ:どこ行くんだよ



ヨシュア:治療できる場所を探します。



カルビス:無駄だぞぉ



ヨシュア:無駄でもなんでもっ。少しでもトトリが生き残れるならっ。僕はその方法を死にものぐるいで探しますっ。



アインズ:見てらんねえな



カルビス:二時間後



ヨシュア:…はい?



カルビス:アメリカ政府がバグテリア法外特区に核爆弾投下を決定した。確かな情報だ。



ヨシュア:………は?



アインズ:おい、カルビス



カルビス:逃げるなら特区外がいいだろうが。ここから外壁まで片道一時間ちょい。そいつ引きずっていくならもっとかかる。諦めろ



ヨシュア:……なんですかそれ。聞いてないです



カルビス:ああ。俺らしか知らない



ヨシュア:なんでそんなこと知ってるんですか



カルビス:人が親切で言ってやってんだ。黙って従っとけよ。損するぞ



ヨシュア:確証がないじゃないですか。そんな所まで移動してる間にトトリが死んじゃいます



カルビス:あぁそう。じゃあ好きにしな



トトリ:待ってください



カルビス:…。なァに



トトリ:それが、もし。本当なら。特区外にさえ出られれば、ヨシュアは助かるんですよね。



カルビス:ああ。助かるよ。出来ればもっと遠くまで逃げたい所だけどな。放射線は怖いぞー



トトリ:ヨシュア。



ヨシュア:なに。



トトリ:俺を置いていけ



ヨシュア:嫌だ。



トトリ:置いていけって



ヨシュア:嫌だ



トトリ:ヨシュア



ヨシュア:嫌だっっ!



カルビス:おあついねえ



アインズ:まったくだ



ヨシュア:さっきも言った。僕は、トトリと一緒に居たい。だから、トトリを置いて一人で逃げるだなんて、そんな選択肢はなっからない



トトリ:なあ。頼むよ。ヨシュア



ヨシュア:…



トトリ:生きていてくれ



ヨシュア:……



カルビス:お邪魔だろ。行こーぜアインズ



アインズ:おお。空気読めるんだなお前



カルビス:読めるわ。なめんな。



ヨシュア:待ってください。二人



アインズ:次はなんだよ



ヨシュア:そこに転がってるのは。ナンバーズの死体。ですよね



アインズ:……っ!



カルビス:…あちゃあ。こりゃまた。へまったな。



ヨシュア:なんですか。あれは



カルビス:いやあ、駆けつけた頃にはもうぽっくりと。



ヨシュア:そんなわけないですよね。だって、ここでの戦闘報告は、一切行われていません



カルビス:…。



アインズ:どうする。



カルビス:……はぁぁぁ。折角親切かけてやったのに、勘ぐりまでしちゃう。良くないなあ。お前ら、なあ?



ヨシュア:…っ!貴方達は、何をしたんですか…!



カルビス:殺してみた。ナンバーズ



ヨシュア:っ…。報告…!トロッコ峠にて



アインズ:おいおい。そりゃダメだ、嬢ちゃん。



0:携帯を取り上げた



ヨシュア:っ…!?



カルビス:ったく。また戦闘かよ



ヨシュア:トトリ。ごめんね。ちょっとまってて



トトリ:は…?ヨシュア、待てよ。やめろって、逃げろよ…!



ヨシュア:気付いちゃったんだもん。しょうがないよね。



トトリ:応戦する必要なんてない!向こうも別に殺害は目的にして無いはずだ!



カルビス:バレた以上は殺すよ。だからそこのナンバーズは死んだんだ



トトリ:…っ!ヨシュア!逃げろ!ナンバーズ殺したヤツらだぞ!



ヨシュア:どうせ不意打ちだ。相手が人間なら問題ないよ



アインズ:おーおー、マジでやる気だ



ヨシュア:mutantミュータント



カルビス:へえ。それが報告にあった細胞分裂、細胞結合。人口異常体ってのは二つの性質を持つことが多いらしい



アインズ:BOX。



ヨシュア:っ…!なんだこれ…!?箱か…!?



トトリ:異常性…!?



カルビス:あー。これはこれで放置でもいい気がしてきたな。



アインズ:2km離れたら解除されるし、俺との距離が空く事に硬度も下がる。殺しちまった方がいい



カルビス:…しゃあねぇな。殺すか



トトリ:ヨシュア!!



ヨシュア:…。なんで情報局員が、異常性なんて使ってるんだ



アインズ:俺達が裏切り者だからだよ



カルビス:なんかもう白状慣れしてね?



アインズ:一番言いたくないやつに言ったあとだからな、なんかもう舌が軽い



カルビス:ああそう



ヨシュア:mutantミュータント



ヨシュア:Model。GANMAN



カルビス:ひょーー。かっけえ。



ヨシュア:撃ち。抜けえっ!



アインズ:無理だろうよ、核爆弾に耐える強度だぞぉ。俺らは絶対安全圏って話しよ



ヨシュア:っ…!くそっ!トトリ!!



トトリ:やめろ…!お前ら…!



カルビス:はあああ。また悪者だ。嫌になる



アインズ:悪者だろうが。俺らは



カルビス:まったくだな、おい



ヨシュア:っ…。万事休すってこと?



アインズ:ああ。そうなる



ヨシュア:…僕は。今から殺される?



カルビス:ああ。そうなる。



トトリ:ふざけんな…!やめろ!



ヨシュア:…トトリ。



トトリ:…なんだよ



ヨシュア:中央に入った時から。いいや、もっと前から。君の異常性を奪った時から。僕は決めてたよ。トトリ。



トトリ:なにを…っ



ヨシュア:きみのためなら死ねる



トトリ:…ふざけんな。何言ってんだ



アインズ:潔いいな。



カルビス:決まっちまってる顔だな。これは、一本飛んでる側の顔だ



アインズ:ああ。らしいな



ヨシュア:…。約束して欲しい。僕は殺してくれて構わない。でも、そこのトトリだけは。殺さないって。約束して



トトリ:……は?



カルビス:献身的だなぁ。泣けてくる



アインズ:だが出来ない約束だ。知った以上は殺す。



0:土下座した



ヨシュア:………お願いします。僕のことは好きにしてくれて構いません。



トトリ:おい。なにやってんだよ。ヨシュア



ヨシュア:だから。トトリだけは。殺さないでください。お願いします。



トトリ:おい。ヨシュア…!



カルビス:………。



アインズ:いやあ。本当に。引くくらい献身的だ。



カルビス:…ったく。



アインズ:どうする。カルビス



カルビス:…どーせあの怪我じゃ動けねえだろ。いいよ、約束だ



ヨシュア:……ありがとう。



トトリ:やめろ…!!



ヨシュア:(M)……なんだろう。この気持ちは



トトリ:やめろ!!お前ら!!



ヨシュア:(M)………僕は。今から殺される。



トトリ:やめろ!やめてくれっ!頼む!



ヨシュア:(M)死にたくない。思い残す事なんて山ほどある。もっとトトリと、一緒に居たい。トトリが笑ってる所を、もっと沢山見たかった。もっと。もっともっと。トトリと。



ヨシュア:(M)生きてたかった。



トトリ:ヨシュアぁっ!



ヨシュア:(M)それでも何故か。僕の名前を、最後まで呼んでくれている事を、嬉しく思ってしまう。



ヨシュア:(M)僕の為に泣いてくれている事を、嬉しく思ってしまう



ヨシュア:(M)先に死ぬのが僕で良かった。と、思ってしまう。



アインズ:―――定義転換



トトリ:やめろっ!



ヨシュア:(M)やっぱり僕は。自分勝手だね。ごめん



トトリ:やめろぉぉおおおおおっ!



ヨシュア:大好きだよ。トトリ



アインズ:―――「取籠」



0:



ヨシュア:(M)心底をたたく、一滴の青。



ヨシュア:青は波紋となり、さざ波が鼓動を止めた



ヨシュア:(M)青が侵蝕している。深い、闇のような静謐せいひつをたたえて



ヨシュア:(M)息が止まる。青に侵され、溺れている君の音を



ヨシュア:(M)『幸せ』と呼ばず、なんと呼ぼう――…?



0:



アインズ:――――残り寿命。59年。



カルビス:そりゃあまた。随分と長生きだ事



アインズ:だなあ。どいつもこいつも。死に急ぎだ



カルビス:そんだけありゃあ国ひとつ救えんじゃねえか。



アインズ:小出しできねえんだよ。ATMじゃねえんだ



カルビス:わあ。ペンスタンは長生きだな



アインズ:ああ。200歳まで生きろ



カルビス:おう。それちょっとゾッとするわ



トトリ:――――。



アインズ:あいつはどうする?



カルビス:約束しちまったしなあ。何もしねえなら殺さねえよ



アインズ:変なところ律儀だよな



カルビス:根が真面目なもんで



アインズ:やかまし過ぎる



0:



トトリ:(M)心底をたたく、一滴の青。



トトリ:青は波紋となり、さざ波が鼓動を産んだ



トトリ:(M)青が侵蝕している。深い、闇のような静謐せいひつをたたえて



トトリ:(M)息が止まるほど。青に侵され、溺れていく、この心情を



トトリ:(M)『異常』と呼ばず、なんと呼ぼう――…



0:



トトリ:ヨシュアは。俺に、色をくれた



アインズ:…。カルビス



カルビス:いいや。まだ、何もしてねえ。何もするな



トトリ:俺に、生活をくれた。



カルビス:おい。立つな。頼むから立つな。



トトリ:青は。



0:拳を握りしめた



トトリ:ここに在る



カルビス:立ちやがった。最低だな。約束しちまったたって言ってんのに



トトリ:mutantミュータントっっ!



アインズ:はぁ!?あいつ監察官じゃねえのかよ!?



カルビス:元異常体だ!なんかのトリガー引いちまったってことだろ!



アインズ:ああもう、面倒くせぇなっ!



トトリ:Modelモデル



トトリ:―――Joshuaヨシュア



カルビス:(M)なんだありゃ。目が。



アインズ:BOXボックス…ッ!



トトリ:STEELスティール



アインズ:…。まじか。やられた。



カルビス:はぁ!?何がだよ!



アインズ:異常性。多分取られた



カルビス:…っ!おいおい、まじか。さっきの女の馬鹿変形に加えて、略奪の異常性…!



トトリ:…。ああ、そうだ。ヨシュアを、取り戻そう。何年かかっても。なにか方法がある。そういう異常性がどこかにあるかもしれない。



トトリ:俺が。青を与える番だ



カルビス:ステージ5クラスだろうが…!!



アインズ:やべぇって!どうすんだ!



カルビス:監察官として応戦しろ!



アインズ:ちっ。久しぶり過ぎて忘れちまったよ…!



0:アインズ銃を構える



トトリ:BOX。



アインズ:うぉっ!?他人に入れられるとこんな閉鎖感あんのかよ俺の異常性…!



カルビス:ったぁくもう、厄介!



トトリ:mutantミュータント



カルビス:――――偽装



トトリ:Modelモデル



ヨシュア:もうやめて。トトリ



トトリ:……。ヨシュア…?



ヨシュア:もうやめよう。こんな事するのは。無謀だよ。勝てっこない



トトリ:………。



ヨシュア:帰ろう?



トトリ:どこに



ヨシュア:どこでもいい。私達が、静かに暮らせる場所に。帰ろう?



トトリ:………。随分と、早い再会だったなあ



ヨシュア:そうだね。私、早く会いたくて



トトリ:なあ。



ヨシュア:なあに



トトリ:ヨシュアの一人称は。「僕」だ。



ヨシュア:…っ。



アインズ:あいつまじで変装下手だな



ヨシュア:………バレちまったかぁ。そう。こりゃ俺の異常性だ。



トトリ:………。それは。だめだ。



ヨシュア:…なにが?



トトリ:……ヨシュアは。殺せない…。



ヨシュア:……。いつかもあったなぁ。こんな事



トトリ:………。



ヨシュア:…お前は俺らの事を知ったし。異常性は充分驚異になる。



0:銃口を向けた



トトリ:……。



ヨシュア:あいつとの約束を違えることになるが。死んでくれ



トトリ:……………ああ



トトリ:……ヨシュアがそう言うなら。喜んで死ぬよ



ヨシュア:……。



トトリ:……お前に殺されるなら。本望だ。お前がいい



ヨシュア:そうか。なら、よかったよ。



0:発砲



トトリ:(M)頭蓋骨が、割れた。



トトリ:(M)心底を叩く。一滴の、青。



0:トトリは倒れた



トトリ:(M)俺も、大好きだよ。ヨシュア



0:トトリ死亡



カルビス:……。



アインズ:BOXボックス



カルビス:おい。なんで俺を閉じ込める



アインズ:いや、ちゃんと異常性戻ったかなって



カルビス:戻ったなら良かったよ。多分、さっきの女が使ってた異常性も。元はこの白髪のガキが持ってたやつなんだろうよ



アインズ:ああ。それで女の方が死んでこいつが異常体に戻ったってわけか。



カルビス:……。



アインズ:なあ。相棒



カルビス:なんだ



0:煙草を一本差し出した



アインズ:ほれ。



カルビス:なんだよ。煙草くれんの?



アインズ:地獄への片道切符。



カルビス:…はっ。



0:タバコを受け取った



カルビス:ああ、乗車券も付けとけよ



アインズ:ああ。俺にはくれねぇの?



カルビス:…。



カルビス:やらねえよ。作戦前に切れちまってる。



アインズ:………そうか。



カルビス:そんじゃあ。俺は最後の用事に出かける。随分かかっちまったが。



アインズ:俺はどうすればいい



カルビス:近辺で待機してろ。すぐに終わる



アインズ:ああ。分かった。



カルビス:……。



アインズ:相棒



カルビス:なんだぁ?



アインズ:またな。



カルビス:……はっ。ああ。またな



0:



アインズ:(M)……あいつは。片道切符を。



アインズ:(M)しっかりと。うけとった。



アインズ:(M)カルビス・ラングナーは嘘つきだ。あらゆる事に嘘をつく



0:



カルビス:…よお。久しぶりだな



0:



アインズ:(M)それでも。あいつは確かに。受け取った。



0:



カルビス:お前のムカつくニヤケ顔、吠え面かかせにきたぜ



0:



アインズ:(M)あいつは確かに。俺に、煙草を寄越さなかった



0:



カルビス:最終ラウンドだ。セノ・アキラ


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